A 回答 (4件)
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No.4
- 回答日時:
うわぁい、またやってしまいました・・・。
申し訳ありません、「立法不作為」というのは言い過ぎでした。「立法に関して(=立法の作為・不作為や立法内容について)」というべきでした。堀木訴訟では確か、裁判所は「立法不作為」とは述べていないですよね。面目ない。
さて、堀木訴訟に限らずどの判決であっても、その評価は論者によって異なる場合があります。堀木訴訟についても、「生存権はプログラムと抽象的権利性との中間だと位置づけた」という評価もありうるものと思います。
そもそも、「抽象的権利説」だの「プログラム規定説」だのは、学者が(ある意味勝手に)分類して定義付けているに過ぎず、裁判所は、どの説に立つかを述べることはありません。裁判所が規範を立てる際にも、そのような分類を、多少は意識することもあるのかもしれませんが、基本的にはそれと無関係に規範を立てているようです。
そして、堀木訴訟において裁判所は、原則として25条を直接の根拠に提訴できないが、立法に関しては非常に限定的ながらも25条を直接の根拠として提訴し違憲確認できる場合がある、という規範を立てた上で、本件はその場合に当たらない、と判断していたかと思います。
これを評して、25条につき、「裁判所は抽象的権利説に立ちながらも限定的に裁判規範性を認めた」とする見解をご紹介したものです。
繰り返しますが、裁判所は、「私らはプログラム規定説と抽象的権利説の中間に立つんだ」とも「抽象的権利説に立ちつつも少し修正するんだ」とも宣言していないんです。
それから、学説でいうところのプログラム規定と抽象的権利とは、ともにそれを直接の根拠とする裁判規範性はないものの(したがって、堀木訴訟の規範はそのいずれでもないといえます)、次の2点で違いが見られます。
すなわち、前者は法規範性すなわち人権としての権利性が無いのに対し後者はそれがある点、および、前者は法律があってもなお裁判規範性を有しないのに対し後者は法律があればその限りで具体的権利となり裁判規範性を有する点です。
いってみれば、プログラム規定はどこまでいっても努力規定、抽象的権利は法律をつくれば生きてくる、といったところでしょうか。
ただ、いずれであっても、法律に救済方法が定められていれば、救済されると考えられています。それを定めた一例が、国賠法と思われます。
No.3
- 回答日時:
> (1)もし堀木がそうならばすべての抽象的権利は「具体的権利はないが裁判規範性はある」ではないでしょうか?
抽象的権利はもともと、直接に裁判上の請求の出来ない権利を指すものと位置づけられています。したがって、抽象的権利に分類されるものは、原則として裁判規範性がありません。
堀木訴訟については、ご存知のとおり、25条1項の生存権の裁判規範性が問題となった事案です。
それまで、学者や実務家の間では、裁判所はプログラム規定説の立場を採っているかまたは抽象的権利性を理由とすることによって、生存権の裁判規範性を認めていないのではないかと解されていました。ところが、堀木訴訟において裁判所は、非常に厳しい要件ながらも、生存権に係る立法不作為につき裁判所の審理判断の対象になる場合があると述べました。これは、裁判所が生存権の立法不作為につき裁判規範性を認めたものと捉えられています。
しかしそれは、生存権に係る立法不作為という限定的な場面においてのみ、一定の要件の下で裁判規範性のあることを認めたに過ぎません。生存権一般については認めていませんし、まして抽象的権利全般に裁判規範性があるとはしていません。
他の判決で抽象的権利全般に裁判規範性を認めたものは存在しませんし、学説もそこまで認めたものは(少なくとも私の知る限りでは)ありません。
そうすると、やはり抽象的権利は原則として裁判規範性が無いものと考えるのが、抽象的権利の意義に適っているのではないでしょうか。
なお、念のためですが、堀木訴訟は例示に過ぎません。NO.2で「堀木訴訟など」としていることに、ご注目ください。
> (2)やはり堀木が他の抽象的権利よりも裁判規範性に優れてる
「具体的権利はないが(他の抽象的権利よりも)裁判規範性はある」
のであれば、そこを示した判例の文章はどういうものでしたでしょうか?
簡単に記せば、立法府における立法措置の選択決定が著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱濫用となる場合には、裁判所の審理対象になる、としています。
> また、他の抽象的権利と違い具体的に何ができるようになるのでしょうか?
判決文ではそこまで述べていなかったものと思います。学説は、三権分立ゆえ立法の義務付けまでは出来ず、違憲確認が出来るに留まるだろうと考えるのが多数説だったように思います(裁判所が「審理対象になる」と述べていますから、この場合には例外的に訴えの利益が認められましょう)。
この回答への補足
いつもありがとうございます。
それにしても堀木訴訟では「生存権というのは立法不作為のときのみにしか裁判規範性は有さない」としか述べていない、
というのは知りませんでした。
それでしたら生存権というのは、
やはり普通の抽象的権利と違い、
それを具体化する立法内容が生存権規定の憲法条項の趣旨に反するものであっても
訴えることはできないのですね。
ということは、
生存権は、
抽象的権利が持ってる「立法内容への違憲主張権」はもってないが
具体的権利は持っている「立法不作為への違憲主張」は持ってるという
どっちつかずのものなんですね。
少なくともプログラム規定の要素はまったくないですね。
堀木訴訟によれば生存権はプログラムと抽象的権利性との中間だと位置づけた、
と仄聞したものですから・・・・。
いやー、それにしても抽象的権利というのは何もできないんですね。
立法されない限り。
プログラム規定との違いは立法不作為への国家賠償請求ができるかできないかの違いだけですね、このままだと。
詳細なご説明大変助かります。
No.2
- 回答日時:
> (1)しかし立法不作為への国賠請求は抽象的権利でもできるのになぜ裁判規範性がないということになるのでしょうか?
「裁判規範性がある」とは、お考えのとおり「その条文が有する権利の追求ができる」ことを意味します。損害賠償で解決を図った場合、「その条文が有する権利の追求」は出来ていません。
なお、この場合の国賠請求は、お気付きのことと思いますが、憲法ではなく国家賠償法という法律を根拠にしています。
> (2)立法不作為への賠償請求ができるのなら違憲確認もできそうなものですが何が違うのですか??
立法不作為に対する賠償請求は、前述のとおり法律を根拠にしていますから、要件を充足すれば問題なく請求できます。
他方、立法不作為に対する違憲確認訴訟は、三権分立ないし訴えの利益で問題が生じます。すなわち、裁判所の違憲判断により立法が義務付けられるとすると憲法41条に抵触し、義務付けられないとするとそもそも訴えの利益が認められないため、訴え提起できないのです。
> (3)また、具体的権利性はあっても裁判規範性のない定めとは何を指すのでしょう?
申し訳ありません。いま読んであっと思ったのですが、逆に書いておりました。正しくは、裁判規範性はあっても具体的権利性のない定めがある、でした。堀木訴訟などで、判決文にもそれが現れています。
この回答への補足
ありがとうございます。
「具体的権利性はなくても(他の抽象的権利に比して)裁判規範性はある定め【も】ある」
とのことで、
(カッコは文脈から私が勝手ながら付記)
堀木訴訟がそうだとのことですが、
裏を返せば堀木以外の抽象的権利は裁判規範性はないとのことですが、
(1)もし堀木がそうならばすべての抽象的権利は「具体的権利はないが裁判規範性はある」ではないでしょうか?
なぜなら、むしろ堀木は他の抽象的権利よりも権利追求には厳しめで
「具体的権利はないが裁判規範性はギリギリ何とか認める」
であったと思料するゆえに・・・・。
(2)やはり堀木が他の抽象的権利よりも裁判規範性に優れてる
「具体的権利はないが(他の抽象的権利よりも)裁判規範性はある」
のであれば、そこを示した判例の文章はどういうものでしたでしょうか?
また、他の抽象的権利と違い具体的に何ができるようになるのでしょうか?
すみません、追加です。
(3)裁判規範性がなくても抽象的権利は国家賠償法というものがあるおかげで
立法不作為への賠償が可能だとのことですが
では同じ裁判規範性がないプログラム規定の条文でも賠償請求ができるものでしょうか??
できないなら、できる抽象的権利との違いというのはどういうところにあるのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
> 抽象的権利性を有する憲法条文は、かりにその内容を具体化する法律がない場合
> 具体的権利性をもつ条文と違い裁判規範性は有せず、結果その条文が有する権利の追求はできないということになるのですか?
お考えのとおりです。
なお、具体的権利性はあっても裁判規範性のない定めもありますよ。
この回答への補足
ありがとうございます。
(1)しかし立法不作為への国賠請求は抽象的権利でもできるのになぜ裁判規範性がないということになるのでしょうか?
(2)立法不作為への賠償請求ができるのなら違憲確認もできそうなものですが何が違うのですか??
(3)また、具体的権利性はあっても裁判規範性のない定めとは何を指すのでしょう?
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