No.5ベストアンサー
- 回答日時:
体温を調節する方法にはいろいろなものがあります。
犬や猫、牛や鹿には汗をかく以外に体温を下げるしくみがあるのです。
体の中でも熱に弱いのが脳です。だから熱がでると頭を冷やすわけです。
犬や猫には奇網という組織があり、これには脳に入る血液を冷やす機能があります。そのために汗をかかなくても大丈夫なのです。
奇網で冷やされた分の熱は鼻や口で排出されます。エアコンの室外機みたいなものです。暑いときに犬が口をあけてハァハァいっているのはこのためです。
奇網が最も発達しているのは羊のようです。
一方、馬は奇網がなく、人間と同じように汗をかいて体温調整をしています。
No.11
- 回答日時:
Jagar39です。
そういえば動脈血と静脈血で熱交換するのはよくある話ですね。
ただ、静脈洞を動脈が貫通するという構造が重要なのであって、怪網は冷却システムとしては二次的なものでしょう。太い内頸動脈1本よりは微細な網状血管の方が熱交換効率は良いでしょうけど。
脳底部に怪網を持つのは偶蹄目(牛や山羊など)とネコ科の動物だけのようです。犬にはやはり怪網はありません。
それといろいろ調べてみましたが、同じrete mirabileなのですが「奇網」というのは魚類の解剖学でよく使われ、哺乳類の解剖学では「怪網」と呼ぶのがほとんどのようです。この数日で解剖学の本を5冊ほど読みましたが、「奇網」と記述されている本はありませんでした。
ネットで調べても「奇網」でヒットするのはほとんど魚類の話ですし。
なかなか勉強になりました。
今度、牛か豚の解剖が入ったら脳底部、よ~く見てみます。
No.10
- 回答日時:
No.5 です。
ヒトの場合、内頚動脈は太くなった静脈である海綿静脈洞を貫通してから、脳に入っています。ヒトでは静脈洞内の内頚動脈は一本ですが、動物によっては編目状に分岐していてふたたび一本にまとまってから静脈洞を出て脳に入っています。
この編目状の内頚動脈を奇網と呼んでいるわけです。(他にも奇網はありますが、今問題になっている奇網はこれです)
奇網では内頚動脈内の温かい動脈血が静脈洞の冷たい静脈血で冷やされるわけですが、この冷たい静脈血は鼻や口周辺で冷やされた静脈血が静脈洞に流れ込んでいるものです。
つまり、奇網による冷却システムは鼻や口周辺での冷却システムとセットになっていないと機能しません。
逆に言うと、鼻や口周辺で体温を冷却している動物には奇網を持った動物である可能性があります。
網目状になった血管を経由したりすると
頭の血の巡りが悪くなるような気がします。
人間のは一本で通っているとのことで、
人の頭が良くなったのに関係があるのかな?などと思いました。
なにはともあれ、ご回答ありがとうございました。
No.9
- 回答日時:
No.6のJagar39です。
私も牛の解剖は日常的にしているので(最近ご無沙汰ですが)怪網はこの目で何度も見ています。
ただ、前述したようにかなり奥まった位置にあるため放熱効率は低そうなのと全ての血管が怪網を通るわけではないので、「冷却システム」としてどの程度重要な働きをしているのかはちょっと疑問に思いますが。キリンの血圧調整システムという説はすんなり納得できましたが。
ですが犬の解剖図には、脳底部には怪網は存在しないようです。3冊くらい調べましたが、怪網という組織名は載っていませんし、図にもそれらしい組織は描かれていませんでした。実際に犬の解剖をやったのは学生時代だけなので、目で見た記憶ではないのですが・・・
猫には怪網はあるようです。ライオンの怪網組織を調べて「猫と似ている」という論文がありましたから。余談ですが、これ、歯学の学位論文でした。これで学位取れるなんて楽すぎやしないか・・・?
解剖学そのものは「肉眼で見たまんま」ですからそう簡単に書き換えられはしませんが、その機能や意義については新説が出たり旧説が否定されたりと言うことはあるでしょう。
まあ、怪網が脳の冷却システムだという話が否定されたということも聞かないので(解剖学は専門ではないので私が知らないだけかもしれませんが)、そういう機能も確かにあるのでしょうけども。
私自身はやはりピンときませんが。少なくとも外界に直接放熱できる位置にあるわけではないですから。普通に解剖してもあまり見ることができないくらいの場所にありますからね・・・
イメージとしては、車のラジエーターがエンジンルームの奥深くにあるような感じです。エンジンかギアボックスを下ろさないと出てこない位置にラジエーターがあるのを見つけても、俄にはこの機械が冷却用だと信じられない、という感じでしょうか。
魚類の奇網は筋肉組織中にありますから、これが冷却組織だというのはすごく納得できます。またヒトもそうですが、哺乳類の精巣の表面を覆う血管も怪網状に微細に分岐していて、これも冷却のためだというのも納得できます。
でも、脳底部の怪網だけは納得し難いです・・・放熱できないところにラジエーターを設置しても意味ないだろ、というのが実感です。
私も凄く疑問なので誰か教えて下さい。
それとNHKスペシャルの、
>サバンナに出るときに効率的に体温を下げることができるように体毛をなくし, それによって表面化する紫外線の害に対してはメラニンを獲得することで回避した
も部分的に疑問に思っています。
1つ目は、それならサバンナで暮らす他の動物で「体毛をなくしてメラニン色素を造る」方向に進化したものがいなかったのは何故か?という疑問です。全身に汗腺を発達させて汗による体温低下システムを備えた馬ですら、薄く短いながらも体毛を捨てていません。丸裸になったのはヒトだけなんですよね。(ヒトも産毛ならまだあるか)
もう1つは、紫外線のことだけなら「暑熱に適応するため体毛をなくし、紫外線はメラニン色素で防御」というシステムも理解できるのですが、No.3さんも書かれているように、丸裸は紫外線抜きにしても直射日光には弱いということです。体毛はあった方が断熱層ができるので有利なはずです。
それにしても、人類(というかまだ原人ですが)がサバンナに進出したのって、400万年前とかの話でしょう。その頃のアウストラロピテクスなんかが体毛がない、ということはないはずなんですが・・・
人類が本当に体毛を(ほぼ)失ったのは、ほんの数万前から数十万年前のホモ属が出現してから、と思っていたのですが。化石で体毛の有無までは確定できないとはいうものの、復元図なんかはそうなってますよね。
とすると、「サバンナ進出→体毛喪失」はちょっと端折りすぎじゃないか?と私はあの番組見ていて思いました。
私は、
1.発汗で体温調節するなら体毛は邪魔(汗の蒸発が妨げられる)
2.しかし体毛をなくすと紫外線や暑熱に弱くなる
3.衣服の発明により、体毛はようやく不要になった
と思っています。通気性を確保した上で直射日光だけを遮断すれば、発汗による体温調節にとっては良いことずくめですもん。
No.8
- 回答日時:
No.5 です。
犬や猫の奇網については30年ほど前のサイエンス(現在の日経サイエンス)で紹介されていたものです。
日経のホームページでバックナンバーを調べると、
'79 7月号の「哺乳類の脳冷却システム」M.A.ベイカー
というものだろうと思われます。
私の記憶によれば猫と羊の奇網の図があり、羊と比べると非常に貧弱ですが、猫にも奇網があったと思うのですが、昔のことなので記憶違いがあるのかも知れません。
No.7
- 回答日時:
体毛と体温との関係は, ちょうど今日 (4月20日) の NHK スペシャルで出てました.
その中では, 「サバンナに出るときに効率的に体温を下げることができるように体毛をなくし, それによって表面化する紫外線の害に対してはメラニンを獲得することで回避した」と言っています.
No.6
- 回答日時:
獣医師です。
他の方の回答のとおり、犬や猫は汗腺をほとんど持たず、口呼吸によって体温を調節しています。舌から唾液を蒸発させることによって気化熱を放出し、外気を導入することによって体温を下げているわけです。
肉球にある汗腺はアポクリン腺で、主に臭気によってマーキングをすることや"滑り止め"が主な機能で、体温調節機能はさほどないと考えられています。なお、犬は肉球の汗腺も退化していて、「犬には汗腺はない」と言って差し支えないほどです。
ヒトは逆にアポクリン線は腋下や性器周囲など、ごく限られた部位にしか存在せず、その他体表にはエクリン腺が分布していて発汗による体温調節の機能を実現しています。
また、怪網(または奇網:Rete Mirabile)は牛や山羊、豚等の偶蹄類に見られる構造で、犬にはありません。腎臓の子球体等にはありますが、それは体温調節とは無関係です。
奇網は魚類の筋組織によく見られる構造で、体温調節に重要な働きをしているようですが、哺乳類の怪網は体温調節器官としてはあまり効率は良くないでしょうね。脳底部というかなり奥まった部位にあるので放熱効率も良くないでしょうし、脳に入る動脈が全て怪網を経由するわけでもないし。むしろキリンに見られるように、血圧の調節のための弁のような役割を果たしているようです。
余談ですが、怪網と奇網は同じRete Mirabileで同じ構造を指すのですが、魚類の解剖学では奇網、哺乳類の解剖学では怪網と表記されることが多いようです。
学生時代に解剖学で「怪網は偶蹄類に見られる構造」と習った記憶があったので、No.5さんの回答を読んで調べ直した次第です。つまり、「俄勉強」です。
それはさておき、体温調節、特に「体温を下げる」ことに関しては、「発汗」が群を抜いて効率的に優れています。水分の補給が必要というデメリットを差し引いてもメリットの方が大きかったということなのでしょう。
ただ、同じヒトでも暑熱に対する反応には違いがあり、熱帯地方に住む人種では基礎代謝量が低かったりして(体温上昇が少ない)、なるべく汗をかかなくて済むような反応をしています。
なお、体毛は暑さに対しては決して不利というわけではありません。体の周囲に断熱層を作れるので、あれでけっこう凌ぎやすいのです。素肌に直射日光というのが最もダメージが大きいです。
身体では起きている全ての出来事は「化学反応」です。食物をエネルギーに変換するのも筋肉が収縮するのも化学反応ですし、「思考」ですら脳内の化学反応です。
化学反応は基本的に温度が高いほど反応速度が速いという性質があります。体温が低すぎるとまずいのは、これでお判りかと思います。
また、その体内の化学反応の大部分には酵素が関与しています。酵素とは一言で言うと蛋白質でできた触媒のことですが、まあ高校生物で習うことなのでそこは理解しているという前提で話を進めます。
この酵素は蛋白質なので高温に弱いです。高温になれば蛋白質の複雑な構造が変わってしまい、「変性」してしまいます。変性すると酵素の機能は失われるので化学反応が進まなくなります。
酵素が最も効率よく働く温度を至適温度と言いますが、これは哺乳類であれば概ね36-40℃くらいです。細菌の中には100℃を超える温度が至適温度という凄まじいのもいますが。
なので、体温を一定に保たなければならないのは、恒温動物も変温動物も同じです。それを外界に頼るか自律的に行うかの違いです。
体温は上げるのは比較的簡単です。基礎代謝量を上げたり、手っ取り早く筋肉を動かせば熱が発生しますから。体温を下げるのがやや難しく、動物によっていろいろ工夫しているところです。
体毛も体温の変動を抑制することでは有利なのでしょうが、発汗という効率的な体温下降手段を得たヒトでは、体毛はない方が有利でしょう。体毛があればそれが断熱層として働き、せっかく分泌した汗の蒸発が妨げられますから。しかし体毛がないのは直射日光には著しく不利になります。
ですからやはり衣服の発明があって初めて体毛が不要になるのだとは思えます。馬も短いけれど体毛をまだ保持していますし。
人類が森から草原(サバンナ)に進出した時は、まだ体毛が必要だったでしょう。サバンナの方が直射日光に晒される強度は高く、体毛がなければ耐えることはできなかったでしょう。
ですがヒトはサバンナで狩猟を始め、それは激しい運動を伴うので体温下降システムはさらなる高効率が求められ、体毛は薄くなった方が有利なのだけどそれは直射日光による体温上昇や紫外線による皮膚ガンのリスクを増大させ、衣服の発明によってようやく体毛は薄くなることができた、のでは。
他の動物、例えば犬だと発汗によって体温を下げようとしても体毛があるので効率が悪く、さりとて衣服を発明する知恵も授からなかったので体毛をなくすわけにもいかず、ということで、発汗とは別の体温下降システムを獲得してきたのでしょう。
つまり、それどれの動物種によってベストな体温下降システムは別、ということです。ヒトが体毛をなくして発汗によって極めて効率的に体温を下げるシステムを獲得できたのは、衣服の発明があってこそ、なのでしょう。
参考URL:http://homepage2.nifty.com/ToDo/cate1/ase1.htm
丁寧なご回答ありがとうございます。
汗をかいても体毛が邪魔で体温が上がりすぎて
へばっている初期の人間?を想像して、
なんだか和みました。
No.4
- 回答日時:
生物にはそれぞれ体の機能が違います、人間は常に体温を一定に保たなければならないのです(逆に体温を外気温に合わせる生物もいます、変温動物)
液体は蒸発によって、周りの熱を吸収する特性があります、これを気化熱と言いますが、皮膚の表面に汗をかくことによって、
熱を発散し、表面温度を下げ、体温の上昇を防ぎます。
当然水分が減るわけなので、補給しますが、その水分の必要な分を使い
余分な水分で体の中の浄化をしています。
人間だけが特別でなく、さまざまな生物にさまざまな仕組みがあります。
たぶん神様が決めたのではないのでしょうか?
これ回答になりますかね?
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