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変分原理、変分法の一般理論はあまり、一般数学の延長でしっかり解説されることがないように思います。調べてみると、個別の物理問題の中で個別に解説されています(量子論、光学、懸垂線、最短距離など)。しかし、変分法は一般の数学ですし、物理工学の特定の分野に特化した解析法ではないと思います。また、複雑な条件下での工学的に有用な最適化の基礎を与えるように思います。

どうして、変分法はあまり一般的に解説されないのでしょうか。

A 回答 (4件)

ANo.3のコメントについてです。



> いままで適用した例がない問題に対してこれを応用するための準備ができるのかな?

 変分というやり方があるんだ、ということを知れば、時には旨く使えるかも知れない。それ以上の準備はできない。これは(出題範囲が決まっている試験問題を除けば)どんな話でも同じでしょう。

 ANo.2の繰り返しになっちゃいますが…

 変分法の考え方は、要するに、ある量Lを最小にするような状態pを考え、そのとき状態pの微小変化が満たすべき条件を導くということです。次に、その条件を満たす具体的なpを(できるものなら)計算する。
 こんな例を考えます。

 平面上に2n個の点がばらまかれていて、どの3点も同一直線上にないものとします。点を2個ずつペアにして、ペアを線分で結ぶことにします。このとき、

定理: 線分同士が交点を持たないような、ペアの作り方が存在する。

証明)
 ペアの作り方をpとする。pとは、線分の集合に他ならない。pにおける全ての線分の長さの総和をL(p)とする。
[1] pは有限通りしかないから、

  L(p)を最小にするpが存在する。…(1)

[2] あるペアの作り方p0において、線分ab (点aと点bを結ぶ線分)と線分cd(同様)とが交点mを持つ場合を考える。abの長さを|ab|と書くことにすれば、三角不等式から明らかに
  |ab|+|cd|>|ac|+|bd|
である。従って、p0から線分ab, cdを取り除き、代わりに線分ac, bdを加えたものをp1とすると、
  L(p0)>L(p1)
である。つまり、p0は「L(p)を最小にするp」ではない。以上をまとめると、

  p0において少なくとも2本の線分同士が交点を持つならば、p0はL(p)を最小にするpではない。

 この命題の対偶をとれば、

  L(p)を最小にするpにおいては、線分同士が交点を持たない…(2)

[3] 従って、線分同士が交点を持たないようなpが存在する。
(証明終わり)

 定理を、離散的な「ペアの作り方」の上で定義される汎関数L(p)の極値問題に帰着した訳です。Lを最小にする具体的なpを計算する前に話が終わっていますが、この例のポイントは、Lとして「線分の長さの総和」を考えろ、などという示唆は問題(定理)の中には全く含まれていない、という事です。つまり、考える過程では[2]の
  |ab|+|cd|>|ac|+|bd|
を検討した結果として「線分の長さの総和」がヒラメイたのであり、さらに、これによって問題が(広義の)変分に帰着されることに気付いたのです。

 変分法は力学での応用が最も多いと思われますが、その場合、変分の結果として導出された微分方程式(停留状態が満たすべき条件)をどう扱うかの方に、実用を考える人にとっては興味の中心がある。けれども、微分方程式の扱い方はもはや変分の話ではない。
 数学的には、漠然と「汎関数の極値問題」と言ってしまえばそれまでで、汎関数の定義域になる関数の空間を絞らないと深い話にならないが、絞ると変分法の一般論ではなくなってしまうから、いろんな絞り方について個々に論じるしかない。
 つまり、純粋に 「変分法の応用」に絞った教科書を書くとすると、「問題に対して、旨い汎関数を導入し、その停留条件を導くまで」の事例集になるでしょう。しかし問題を最後まで解く方法が示されておらず(それを書くと、そっちの分量の方が多くなってしまう)、これ一冊では何の役にも立たない。また事例も様々で、「こういう類いの問題ならこの手」というパターンが見えて来ない(一方で、変分を最もよく使う力学では、とにかくラプラシアンやハミルトニアンを作れ、というパターン以外は出て来ない)。
 これらが、ご希望のような本が少ない(ってか見た事ない)理由じゃないでしょうか。
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ANo.2のコメントを拝見すると、


(1) 「変分原理」という哲学そのものに興味がある訳ではないらしい。
(2) (「変分法」ではなく)「変分原理」を学びたいと仰っている。
(3) 「変分原理」を「応用数学」と捉えて、「有用性」に期待していらっしゃる。

 こりゃ(ANo.2の冒頭で申し上げた通り)変分法と変分原理を混同なさってるんじゃないでしょうか。で、興味をお持ちなのは変分法の方であるらしい。しかも(変分法の数学的基礎、なんていう)抽象論より、現実に応用して具体的な問題を解くためのテクニックとしての側面を重視していらっしゃるようです。
 でしたら、現実の問題に如何に応用されたかを、事例を通して学ぶ他ないでしょう。で、事例が豊富で取っつき易いのは古典力学だと思います。「作用積分」や「ハミルトニアン」を使った計算の演習をやれば、(変分という言葉は出て来なくても)それは変分が姿を変えたものですから。視野を広げるには、最適化問題や最適制御理論における変分の使われ方もチェックしとくべきかも。

 ついでに。量子力学でも変分法は有用だけれど、「変分原理」(作用が最小になる経路だけが実現する、という原理)は成り立ちません。
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この回答へのお礼

有難うございました。私は用語として変分法と変分原理を混同して使っており、十分区別がついていないので私が言おうとしていることを推察して読み替えて頂けるとありがたいです。

あくまでも応用数学として捉えています。演習が必要ということなら、すなわちこの変分法(原理?)がうまく機能した例を数多くなぞることによってその使い方がだんだん習得できてくるというものなのでしょうか。いままで適用した例がない問題に対してこれを応用するための準備ができるのかな?という疑問もあるのですが。

要は勉強の仕方が分からない、あるいはそのためのテキストがあまり多くないというのがもともとの疑問なのですが。

お礼日時:2008/06/12 22:49

 結論としては、ANo.1とほぼ同意見です。



 まずは変分原理と変分法、両者を区別なさるべきかと思います。変分原理は「この世のこの種の現象はこういうルールに従ってるように思われる」という科学の話。あるいは、例えば「この世の大抵の現象は変分原理に従う」というような包括的な主張であれば、これは「この世はこういう仕組みになってるんだ」という信念、つまり形而上学です。一方、変分法はこの世の現実とは関係ない数学の世界の話。
 言い換えれば、ある現実の現象について、それが変分原理で説明できるというアプリオリな保証はない。仮に変分法が使えるのだとしても、「最小化されるべき汎関数は何か」ということを、現象の観察から帰納した知見を抜きにして数学だけから導き出せる筈がありません。つまり、応用においてはあくまでも現実こそが絶対であって、応用できる場合には応用できる、というだけのことです。

 さて、個別の応用において、変分法は具体的な計算方法(すなわち法則や公式やアルゴリズム)を構成するための手段として使われます。結果は対象によって異なり、微分方程式になることもあれば、組み合わせ論的な探索問題に帰着することもある。しかしいずれにせよ、その応用分野においては導出結果の方に興味の中心があって、すなわち、毎度毎度変分の問題と取り組む訳じゃありません。ほとんどの場合は、その応用のための公式を応用すれば済んでしまう。せいぜい、類似の問題について、類似のアプローチ(i.e., 変分法をその分野向けに特化したもの)を使って公式が構成できさえすれば十分である。(勿論、実験的な検証が不可欠ですが。)
 なので、変分法そのものを抽象的かつ厳密な数学として学んでおくことは、工学等の応用から見ると必須ではないでしょう。
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この回答へのお礼

回答、有難うございました。変分原理の一般論とか普遍性などの根源的な問題だとご指摘の通りだと思います。
一方、応用数学としての有用性は高いと思いますの誤差は承知の上でできるだけ説明して欲しいという面もあると思います。変分法・変分原理をタイトルにしたテキストはあるにはありますが、ベクトル解析とか複素関数論のようなものに比べるとはるかに少ないです。変分原理は量子力学の本の1つの章として出てきたりします。その場合は量子力学を 勉強しなければならないような感じがします。有限要素法のように有る意味ラフだけども、形状の複雑さのような問題を取り扱うことができるような場合のバックグラウンドの理論として出てきたりもします。
変分原理の最良の教科書はどのようなものがあるでしょうか。
よろしくお願いします。

お礼日時:2008/06/02 17:26

数学は厳密性が要求される学問です。

変分原理・変分法は直観的な理解は比較的簡単にできますが、完璧な厳密性となると非常に難しいのです。応用分野での変分原理・変分法の利用は、道具として数学的手法を活かすことに主眼がおかれ、その理論を完全に理解しなくとも、機械的に使える側面があります。もちろん、変な使い方をしてありえない結論(答え)を導き出しても、その間違いに気づかないということも起こりそうですので十分な検証が必要かとは思いますが。

以下のURLを参考にしてみてください。

  http://www.fem.gr.jp/fem/1dim/variational/variat …

変分法のことが、かなり詳しく丁寧に解説されてはいますが、それでも最後まで解説されてはいません。なぜなら、読んだ人がついてこれなくなってしまうからです。
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