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ヘンリーの法則の説明として,液体の溶ける気体の体積は一定である.
従って,溶ける量(質量)は,圧力に比例するという説明をよく見かけます.

液体中で,気体が微少な気泡として存在しているのならこの説明でよいと思いますが,溶液中では気体は分子レベルで分散していると思います.

液体に気体を溶かすと体積が増えますが,この増えた分(わずかですが)が気体の体積と見なせないこともないですが,圧力による液体の体積変化は無視できるでしょうから(単なる推測です),最初の説明に矛盾があるように思います.

ヘンリーの法則について,どのように説明したらよいでしょうか.お教えください.

A 回答 (2件)

まず一度は、初歩的な熱力学の式によって理解される事をお勧めしますが、概念的理解を助けるものとして少し述べさせて頂きます。

(部分的には熱力学的な意味と一致しない部分がありますので、あくまで理解の補助とお考え下さい。)
ご質問の系において、気体が液体にどれだけ溶解するかを決めるのは、液体中にどれだけ“すき間”があるかではありません。旨くすき間に潜り込めた酸素なども、溶液や酸素自体が振動している為、ある一定の確率で溶液中から追い出されてしまいます。溶解している濃度が二倍になれば、時間当たりに追い出される酸素量も倍になります。
 圧力が倍ということは、液面にぶつかる酸素の数が倍になります(温度は同じものとします)。旨く“すき間”にもぐりこめる数も、倍になります。
 溶液中から“追い出される”数とすき間に“潜り込む”量がバランスした状態が平衡となります。
 では、“すき間”の広さは考えなくていいのでしょうか。本件を理解する上では、“すき間”は充分に広いと考えてください。気泡として存在しているのではなく、個々の分子として存在しています。
 窒素と酸素では溶解量に約二倍程度の差はありますが、一気圧下にて溶解度は水で10^-3mol/dm3、一般的な有機溶媒で10^-2mol/dm3 程度です。重量濃度にすると、より僅かである事がわかると思います。鍋いっぱいの水に塩を一つまみ、程度です。コーヒーに砂糖を入れる状態を考えれば、気体の溶解で使っている“すき間”など僅かなものなのです。
 圧力をどんどん上げていけば、やがては“すき間”の減少が無視できなくなり、例えば圧力を1000倍にしても、比例した量だけ溶解しないことは容易に理解できるかと存じます。
 ご参考までに。/
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ご質問の主旨が十分に分からないところもあるのですが、要するにヘンリーの法則の考え方は概略以下の通りです。


混合気体の場合、理想系なら成分iについて、その圧力依存性とモル分率依存性は
μi=μi*(T)+RTln Pi...(μi*は、Pi→1(分圧1)の時の化学ポテンシャル)
μi=μi0(T,P)+RTln xi...(μi0は、xi→1(モル分率1)の時の化学ポテンシャル)
の形になります。全圧をPとしてPi=xiPだから、μi*(T)+RTlnP=μi0(T,P)の関係があります。
溶液系の場合理想系ならモル分率依存性は
μi=μi0(T,P)+RTlnxi
です。圧力依存性は気体のように行きませんでここでは省きます。

成分iが気相(g)と液相(l)で平衡になっている時、
μi(l)=μi(g)...(1)
ですから、
μi0(T,P)+RTlnxi=μi*(T)+RTlnPi...(2)
この式は
ki=exp{(μi0(T,P)-μi*(T))/RT}...(3)
とおけば、
Pi=kixi...(4)
となることがわかります。kiは温度と圧力に依存しそうにみえますが、kiを圧力で偏微分して整理すると
dki/ki=(vi0dp)/RT ...(viは溶液の成分iの部分モル体積)
となりvi0/RTは概ね小さな数になるので、1気圧程度の変化ではdki/kiは小さくなり、kiはTのみの関数と看做せます。

濃度が十分に希薄(希薄溶液)なら、理想溶液の性質をもつ、という場合、溶質について(4)の形が成立します。これは”溶質の蒸気圧はモル分率に比例する”という意味となり、これが「Henryの法則」です。

一応溶媒について言わないといけないですが、(4)でxi=1とすればPi=kiで
Pi=(Pi0) (xi)
つまり、成分iの蒸気圧は、純成分iの蒸気圧Pi0に、モル分率xiをかけたものである、という完全溶液についてのRaoultの法則があります。希薄溶液なら理想に近いという場合、溶媒(成分1)についてはRaoultの式が使え、
P1=(P10) (x1)
です。ですからほぼ純成分1の飽和蒸気圧になっています。

以上の議論は、書き方が、溶液を形成する溶質のモル分率とこれの蒸気圧の関係としていますが、ある化学成分の、気相の化学ポテンシャルと、液相の化学ポテンシャルの等値から導かれているものですから、ガスの溶解でも同じで、液相のモル分率は気相圧に比例します。
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