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無機化学を勉強していたのですが、その中で、15族と16族の水素化物は同族中で周期を増していくごとに、結合角が小さくなっている理由がよくわかりませんでした。非共有電子対の影響が大きくなるのでしょうか?もしそうだとしたらなぜ影響が大きくなるのでしょうか?また、電気陰性度や原子の大きさに関係していることはわかるのですが、なぜ電気陰性度が小さくなると結合角が小さくなるのか・・・教えてください。

A 回答 (5件)

s と p の混成具合によるんじゃないですかね.


N や O では 2s と 2p がかなり混成してますが, Sb とか Te までいくと 5s と 5p が混成することはほとんどなく, SbH3 や H2Te の Sb-H や Te-H はほぼ純粋に 5p-1s の共有になります. だから H-Sb-H や H-Te-H の結合角が Sb や Te の 5px-5py などの角度, つまり 90度に近くなるんじゃないでしょうか.
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。軌道の混成具合がよくわからないので調べてみます。

お礼日時:2008/07/26 23:34

結合角の違いはpとSの混合具合によるという説明をよく見かけます。


でもこれは説明にはなっていないだろうと思います。結合角に合うようにsとpの混ざり具合を計算しただけというのとの違いが明らかではないからです。これだと理由ではなくて単なる言い換えになってしまいます。
2sと2p混ぜるよりも4sと4pを混ぜる方が起こりにくいということを説明する別の理由を添える必要があります。この理由を私は知りません。多分sとpのエネルギー順位の差が4s、4pでは大きくなるというようなことがあるだろうと思います。

私も知りたいと思っていることですので詳しい方、よろしくお願いします。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。

お礼日時:2008/10/30 04:37

「結合角の違いはpとsの混合具合によるという説明」でいいのではないでしょうか。



もちろん、2sと2pを混ぜるよりも4sと4pを混ぜる方が起こりにくいのはなぜか?という疑問に簡単明瞭に答えることができたら、もっとよいと私も思います。ですけど、話はそう単純ではないようです。

L. Pisani and E. Clementi, "Relativistic effects on sixth group hydrides"
J. Chem. Phys. 101, 3079-3084 (1994).
http://dx.doi.org/10.1063/1.468470

という論文に、H2S>H2Se>H2Teの順で結合角が小さくなるのは、第3周期<第4周期<第5周期の順でsとpのエネルギー準位の差が大きくなるからである、という説明がありました。これは#2さんの推測どおりです。しかしH2OとH2Sの結合角が大きく違う理由として、以下のようなことが書かれています("We argue that the reason is to be found in"のニュアンスがいまいち分からなかったのでパラグラフごと引用しました)。

The reason for the anomalous angle in the water molecule
must be different, because in passing from H2O to H2S
the s-p gap decreases. We argue that the reason is to be
found in the fact that the 2p level of oxygen is lower than the
hydrogen 1s level, whereas the 3p energy of sulfur is higher
than it (Table III) making the hybridization process energetically
more expensive.

「酸素の方が硫黄よりもsとpのエネルギー準位の差が大きいのだから、H2Oの結合角がH2Sよりも大きくなるのは、sとpのエネルギー差からは説明できない。酸素の2p軌道のエネルギーが水素の1s軌道のエネルギーよりも低いのに対して、硫黄の3p軌道のエネルギーは水素の1s軌道のエネルギーよりも高いから、H2Sでは混成が起こりにくくなっているのだろう」ということらしいです。引用文中の Table III は軌道エネルギーの表で、この表は例えば

藤永茂著「入門分子軌道法 : 分子計算を手がける前に」講談社 (1990).
http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/DocD …
の71ページの表6.2で代用できるので、興味があれば見て下さい。

「硫黄の3p軌道が水素の1s軌道よりもエネルギー的に高いので混成が起こりにくい」ということは、質問者さんのおっしゃるように電気陰性度(もうちょっと正確に言えばイオン化エネルギー)が関係しているのだと思うのですけど、水素の1s軌道よりもエネルギー的に高いと混成が起こりにくくなるのがなぜなのかは、私には全く分かりません。役立たずでごめんなさい。

なお、入門分子軌道法の「おわりに」に興味深い一文がありますので、手に取る機会がありましたら読んでみて下さい。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。もう少し分子軌道についての本をいろいろみたいと思います。

お礼日時:2008/10/30 04:39

まだ閉じられていませんでしたので少し考えたことを書かせていただきます。


昔かじっただけのことですので改めていくつかの教科書を見てみました。
その印象ですが全く理論的な解明は進んでいないのではないかと思います。101325様が挙げられている参考文献はJCPの1994年の論文です。私は1964年の間違いではないかとさえ思いました。まだこのレベルかという風に感じました。私はとっくの昔に理論的には明らかにされていると思っていましたので不思議でした。
福井謙一が分子軌道論でノーベル賞を貰ったが1981年です。研究者の関心が別の方向に移っていたのだろうと思います。

#2でp性、s性ということで説明するのは説明になっていないと書きました。なぜ2s、2pよりも3s、3pの方がpの割合が小さいような角度になるかという理由が全く示されていないからです。
sp3の混成軌道as+bpのa、bの値は結合角をパラメータにして決めることが出来ます。これだけであれば単なる言い換えです。
分子の形を決めるための簡単で便利な理論に原子価殻電子質対反発理論(VSEPR理論)というのがあります。これはルイス構造を書くことができると形が推測できるというものです。電子対は互いに反発して空間的に一番安定な方向に分布するという基準で構造を考えます。メタンで言えば4つの電子対が反発して空間的に一番安定な位置に分布するということから正4面体構造が出てきます。sとpの混成軌道では電子対の間の反発を考慮していません。そういう構造を取るとした時の波動関数的な裏づけが存在するということを言っているだけです。
VSEPR理論では孤立電子対の広がりは共有電子対の広がりよりも大きいと考えます。これで水のHOHの角度が正四面体角よりの小さくなるということの説明にしています。
共有電子対では電子の分布の先に水素の原子核の正の電荷があります。この電荷による引力で絞り込みが起こっているというのが理由です。
(sp3の混成でも孤立電子対の広がりが大きいという結果は出てきます。でもそれは共有、非共有ということではなくて「4つの軌道のうち2つの距離を近づけると残りの2つの距離は大きくなる」ということが軌道の直交条件から出てくるのです。)

VSEPR理論では周期の違いを取り入れた議論が出来ません。
でもこの絞込み効果が第2周期、第3周期、第4周期と大きくなっていくということが言えるとこの問題に答えることが出来た事になります。
私はこれはp軌道のエネルギー準位が周期と共に高くなっていくということで言えるのではないかと思います。
水素の原子核があることでの電子対の分布の収縮が起こるというのはO,S,・・・のp軌道とHのs軌道との重なりでのエネルギー降下が起こるということと同じことだと思います。分子軌道を作るとどちらのエネルギーよりも低い順位を作る事になります。元のpのエネルギーが大きいものほどエネルギー降下の値が大きくなリますから絞込みが強く起こるという理由になります。#3の文献にある硫黄のpの順位が酸素のPの準位よりも高くなるというのがヒントになりました。
原子内のsとpのエネルギーレベルの違いは関係ありません。
詰まってしまえば違いは関係なくなります。
sp3で割合を考える時は2つだけでなくて残りの2つについても考える必要があります。4つで初めて完全になります。片方でp性が高いからといって混成が起こっていないとは判断できないのです。
H2Sの角度にあわせて計算するとp性は97%になります。でも残りの2つの軌道についてのp性は51%です。半々で混ざっています。

長くなりましたのでひとまずここで打ち切ります。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。今の知識だけでは理解できないのでもっと勉強したいと思います。

お礼日時:2008/10/30 04:41

この期に及んで あまりつっこんだ議論ができず 申し訳ありませんが、#1 さんの ご回答に共感をおぼえましたので、書かせて頂きます。


高周期になればなるほど 水素と共有結合をつくる価電子は 原子核から離れた外殻にあることになります。
こういう広い空間を占める軌道の電子が共有結合を形成するにあたって、わざわざs軌道と混成軌道をつくる必然性が 感じられません。
混成の度合いが低くなればなるほど、本来のp軌道を使って共有結合を作っている状態(結合角90°)に 近づくのは 必定 という気がします。

ところで、#3 さんが 引用なさいました、論文の記述には 疑問を感じますが、どういうことなのでしょうか?
「H2S>H2Se>H2Teの順で結合角が小さくなるのは、第3周期<第4周期<第5周期の順でsとpのエネルギー準位の差が大きくなるからである」 とありますが、 「 in passing from H2O to H2S the s-p gap decreases」 ということは  「sとpのエネルギー準位の差 は  第2周期>第3周期<第4周期・・・」 という風になって居て 第3周期で エネルギーギャップが 極小になる ということなのでしょうか?  ここ は 論文の原著者の記述が 間違っていないことを 祈るのみですが  なんか 違和感を感じます。

というわけで 過去のご回答に レスしただけ みたいな 書き込みになってしまいましたが、最新の研究動向を探すまでもなく 混成軌道の概念が、高周期に行くにつれて あまり重要でなくなってゆくことや、多重結合というものも 第二周期以外の元素の間では あまり重要でないものになって行く傾向をみるにつけ、 混成の度合いが 高周期の元素ほど 低いために 結合角が90°に近い物となる ということ自体には 帰納的な意味において あまり違和感を感じません。
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