No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>> 法律相談集みたいな本 //
個人的には、この手の本はお薦めしません(似たような話は、法律漫画やコメディ系の法律番組にもいえることです)。「ある事例」についての答えは書かれていますが、たいてい「その場限りの解決」でほかに応用が利かないからです。なので、「一見するとよく似ているが、専門家の目から見ると別のケース」という場合に、何が違って、どう考えれば良いのか、分からなくなってしまいます。
>> 裁判所の手続きっぽいことが書いてあるというイメージ //
法律の世界では、大きなステップが3つあります。
1つ目は、実体法の理解です。実体法というのは、数学の公式と同じで、「AとBという要件がそろったら、Cという効果が生じる」というものです。たとえば、「金を渡したこと」「返すと約束したこと」「返す期限を決めたこと」という3つの要件がそろうと、「金銭消費貸借契約の成立」という効果が生じます。条文は、こういうふうに簡単には書いていないので、それを読んで、「A+B+C」が要件なのか、「A+B」で足りるんじゃないのか、といった議論をします。
2つ目は、手続法です。民事訴訟法は、ここに入ります。裁判では、「金を渡した事実があったのか」「返す約束ではなくて、もらったのではないのか」といったことを争います。それを、裁判所が、契約書、領収証、当事者の供述、証人の供述などの証拠から、「あった、なかった」と判断します。
ここで、実体法の理解(1つ目のステップの理解)が非常に重要なのですが、「なぜ大事か」を説明するには、まさに「実体法の理解」が必要になります。非常に難しい話なので、ここでは横に置いておきましょう。
3つ目は、執行手続です。裁判所が「金を払え」という判決を出しても、相手が実際に払ってくれなければ意味がありません。これを、「判決が出た」という理由で、国に強制的に取り立ててもらうのが、執行です。ここでは、先の2つのステップ両方の理解が必要になります。
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民法の「さわり」という意味で、少し古いですが良い本だと思いますので、以下の2冊を挙げておきます。
五十嵐清「私法入門 改訂3版」(有斐閣・2007年)
我妻栄(遠藤浩・川井健 補訂)「民法案内 1 私法の道しるべ」(勁草書房・2005年)
後者は、明示~昭和期の日本民法学をリードしてきた大家の著書に、加筆訂正を加えたものです。文体が古くさいの読みにくいかも知れませんが、現在の日本の通説は、かなり我妻博士の議論に依拠しているので、良いと思います。
前者は、かなり平易な入門書です。専門用語が説明なしに使われている場合もありますが、初学者にとっては、説明があったからといって納得できるものでもありませんので、「そういう用語があるんだ」くらいに思いながら読めば十分です。
「私法入門」を読んでから「民法案内」、続いて「民事裁判入門」といけば、いちばん流れとしては良いのではないかと思います。
丁寧な長文のお返事どうもありがとうございました。実は「民事裁判入門」を図書館で借りたばかりなのですが、想像をはるかに上回る難解さに「民事訴訟法ってしんどいのね・・」とタメイキをついています。ご紹介された本もそのうち読むと思いますが理解できるかどうか。どうもありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
一番最初に讀むべき本かどうかはわかりませんが、
No.2でも回答のある『民事裁判入門』の他、
有斐閣選書『よくわかる民事裁判 平凡吉訴訟日記 第2版』(山本和彦著)
がいいです。
お返事どうもありがとうございます。民事裁判の仕組みを何も知らないで本人訴訟をやり始めたので、裁判官の先生に法廷で「民事訴訟法の本を読んでみたら」と言われて慌てて本を探し始めたという経緯があります。でも最初は難解でもぼちぼち頑張りたいと思います。
No.2
- 回答日時:
きちんと理解したいなら、中野貞一郎「民事裁判入門 第2版補訂版」(有斐閣・2005年2月)をお勧めします。
わが国をリードする民事手続法学者による入門書ですが、日本語がうまく、日常的な感覚の言葉遣いなので、初学者には最もお勧めできます(専門書は独特の言い回しが多いので、読みにくいです)。理論的にも優れています。No.1の回答者がお勧めの小林秀之先生の著書は、まったくの法律初心者にはヘヴィでしょう。
ただ、いずれにせよ、手続法の理解には実体法の理解が不可欠なので、せめて民法の基礎知識はないと、どんなに簡単な民訴法の入門書でも、理解するのは難しいです(法学部でも、民訴法の授業は上位学年からです)。
といって、1冊で民法が分かる本というのはないので(何せ民訴法の基本書はふつう500ページで1冊くらいですが、民法は500ページで5冊とかいう世界なので)、そこは悩みどころですが...
お返事どうもありがとうございます。
「せめて民法の基礎知識はないと」
無いです。すみません。やはり法律相談集みたいな本を読み漁るのがいいのでしょうか?
「法学部でも、民訴法の授業は上位学年からです」
そうなんですか。知りませんでした。裁判所の手続きっぽいことが書いてあるというイメージがあって一番最初にやるものだと思ってました。
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