非常に困っています。
下記の事案につきどのような対処法が考えられるかご教示下さい。
当社は平成20年8月1日にA社からある建設機械を購入し代金の支払いを済ませました。なお、この建設機械は登記又は登録されているものではなく、純粋な動産扱いとなります。当社は購入した後は、つきあいのある倉庫業者にこの機械を保管してもらっていました。
ところが上記売買より1ヶ月後、この建設機械に対して債権者をX、債務者をYとする占有移転禁止の仮処分決定がなされ、当該機械は執行官の保管扱い(事実上取り上げられた)となってしまいました。
事実関係を調査したところ、どうやら、この建設機械はもともとY社がX社より分割で購入したものであり、代金が完済されるまでは所有権がX社に留保されているといったものでしたが、Y社は完済に至る前に倒産してしまい、他の債権者Bに対して当該建設機械を代物弁済し、その後、BがA社に転売し、最終的に当社がA社から購入したといった経緯があることが判明しました。
さて、当社としては、この建設機械が動産である以上、引渡し以外に対抗要件等がないと考えていますので、善意の第三者である当社は即時取得によりこの建設機械の所有権を取得したと考えます。しかし、仮処分に対する異議の申立てについて調べたところ、申立て者は債務者(Y)となっています。
お聞きしたい点は次の3つです。
1.仮処分に対する異議申立の手続きとして当社が関与できる方法が
あるのか。
2.1の方法がないので別訴(所有権確認訴訟?)で対応した方が良いのか。
3.1又は2の方法で対処した場合、当社に勝ち目はあるのか。
以上です。なお、当社とA社との売買に関する文書の日付は当然仮処分決定日よりも前の日ですが、私文書であり確定日付の付与等も行っていません。また代金も現金で支払いました(領収書はあります)。証拠力として弱いのでしょうか・・・
何卒よろしくお願い致します。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
>>1.仮処分に対する異議申立の手続きとして当社が関与できる方法があるのか。
第三者異議の申し立てができます。
>>2.1の方法がないので別訴(所有権確認訴訟?)で対応した方が良いのか。
所有権確認訴訟(本訴)は、通常訴訟であり、1~1.5月に1回の割合です。仮処分が、仮に地位を定めるもので債務者の審尋無しに手続きが進められたと同じように、異議の審理も通常の手続きより早く進められます。通常、2週間に1回くらいでしょう。
あくまで仮の地位の裁判ですから本訴は必要です。
建設機械でしょうから早く使いたいでしょうから、第三者異議の手続きをすることです。異議が認められれば、本訴の結論がでるまで使用することができます。
本気でやるなら、平行して本訴と第三者異議をします。
>>3.1又は2の方法で対処した場合、当社に勝ち目はあるのか。
以上です。
書かれている事情で勝ち負けを判断できれば神様でしょう。一般論では、善意取得の可能性がありますが、逆に善意取得の善意などは、取引形態、価格、市場性、A社が建築会社か中古建機を販売している会社かなど色々な事情の検討が必要です。
>>なお、当社とA社との売買に関する文書の日付は当然仮処分決定日よりも前の日ですが、私文書であり確定日付の付与等も行っていません。
建機の販売に絡んで、確定日付をとっているほうが不自然です。一般に売買契約書に確定日付などもらいません。日付が空欄の金銭貸借契約書や不動産賃貸契約書すら珍しくありません。
>>また代金も現金で支払いました(領収書はあります)。証拠力として弱いのでしょうか・・・
契約書や領収書だけでは、いくらでも仮装できるのではっきり言って弱い。というより、契約書と領収書に突っ込まない弁護士であれば勝てる。
むしろ、こちらは代金のの出所例えば銀行預金から出金した、小切手で決済したなど、お金の移動が証明できるか否かが重要でしょう。金額にもよるが領収書だけでは弱い。例えば、10万、20万なら手持ちの金で支払ったといえるが、今度は問題の建機の中古価格が10万、20万が妥当かどうかということになる。おそらく、建機なので何百万円と思われるが、そうするとやはり相場のお金の移動を証明すれば説得力が増える。金の出所は銀行である必要はないので、「Sさんから借りた」でもよいし、Sさんの口座からそれに見合う、あるいは多少前後する金銭の出金があれば、それを根拠にすればよい。弁護士に相談する前に、それくらいのことは頭をめぐらせて、弁護士から金の移動が立証できるか質問されれば、出来ますと説明出来るくらい準備すいるここと。
私が相手方であれば、領収書を裏付ける金銭の流れを証明せよと追及する。
結局、相手方が何を求めるかを想定し、金の流れを説明すること。そうすれば、第三者異議が認容される可能性がある。
第三者異議ならびに本訴は当然弁護士に頼むしかない。
第三者異議で勝訴するようであれば、本訴で勝つ可能性は高い。
ありがとうございます。
なるほど第三者異議の訴えですね。金の移動についての証明ですが、
現金で払ったとは言うものの、当社の銀行口座から売買前日に代金
と一致する金額を引き出していますので、それなりの証明にはなる
と思います。
No.2
- 回答日時:
>1.仮処分に対する異議申立の手続きとして当社が関与できる方法が
あるのか。
保全異議の申立ではなく、第三者異議の訴えをすることになります。(民事保全法第46条、民事執行法第38条第1項)
>2.1の方法がないので別訴(所有権確認訴訟?)で対応した方が良いのか。
第三者異議の訴えに併合して、所有権確認の訴え等を提起することも可能です。(民事保全法第46条、民事執行法第38条第2項)
>3.1又は2の方法で対処した場合、当社に勝ち目はあるのか。
詳細な事実関係が分かりませんので何とも言えませんが、Y社からB、BからA社、A社から御社の何れかの段階で即時取得が成立していれば、御社は所有権を取得するのですから、X社の方が分が悪いように思います。
訴えを起こすのでしたら、A社に訴訟告知をされてはいかがでしょうか。仮に御社が所有権確認の訴えに敗訴したので、A社に対して追奪担保責任を理由に損害賠償の請求をする裁判を起こした場合、御社から訴訟告知を受けていたA社は、担保責任を負っていない根拠として「原告はその機械の所有権を取得している。」とは主張できなくなるからです。(参加的効力)従って、A社は所有権確認の訴え(及び第三者異議の訴え)に補助参加して御社を助けてくれることが期待できます。
民事保全法
(民事執行法 の準用)
第四十六条 この章に特別の定めがある場合を除き、民事執行法第五条 から第十四条 まで、第十六条、第十八条、第二十三条第一項、第二十六条、第二十七条第二項、第二十八条、第三十条第二項、第三十二条から第三十四条まで、第三十六条から第三十八条まで、第三十九条第一項第一号から第四号まで、第六号及び第七号、第四十条並びに第四十一条の規定は、保全執行について準用する。
民事執行法
(第三者異議の訴え)
第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
2 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。
3 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
4 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。
民事訴訟法
(補助参加)
第四十二条 訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。
(補助参加の申出)
第四十三条 補助参加の申出は、参加の趣旨及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない。
2 補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。
(補助参加についての異議等)
第四十四条 当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。
2 前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、述べることができない。
3 第一項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
(補助参加人の訴訟行為)
第四十五条 補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。
2 補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。
3 補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。
4 補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。
(補助参加人に対する裁判の効力)
第四十六条 補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。
一 前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。
二 前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。
三 被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。
四 被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき。
(訴訟告知)
第五十三条 当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
2 訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。
3 訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。
4 訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。
No.3
- 回答日時:
補足
>>当社は平成20年8月1日にA社からある建設機械を購入し代金の支払いを済ませました。なお、この建設機械は登記又は登録されているものではなく、純粋な動産扱いとなります。当社は購入した後は、つきあいのある倉庫業者にこの機械を保管してもらっていました。
多少,X社からみれば胡散臭さを感じますね。
建機は使用することが前提ですが,多くの土木,建築関係の会社は,現場や資材置き場等においていることが多く,ちゃんとした会社でもガレージで保管しているのは珍しい。それを,倉庫業者が保管すること自体,隠匿の雰囲気がありますね。倉庫業者が保管する合理性を説明できるかいなか。
>>ところが上記売買より1ヶ月後、この建設機械に対して債権者をX、債務者をYとする占有移転禁止の仮処分決定がなされ、当該機械は執行官の保管扱い(事実上取り上げられた)となってしまいました。
逆になぜ,建機の保管場所が分ったか不思議です。自動車の駐車場所が100m変わるだけで,自動車の発見は難しいものです。
Yの関係者が保管場所を喋ったか,B社の関係者が喋ったかです。関係者が喋りすぎ。としかいえません。
教科書には,動産の善意取得が書かれ,良く「善意の第三者だ」と言う主張がありますが,実際の訴訟の場では,「善意」「無過失」のようなものは目に見えませんから,主張すれば認めると言う単純なものではなく
B社,A社,御社の業種や売買された経過,価格等細かく検討され,御社の業種,経験などから「なるほど,御社がA社に所有権があると思っても已むを得ない」と思われる場合に初めて,善意無過失となるのです。
本訴関係
X社は既にY社に本訴(建機の返還請求)を提起していると思いますが,まだでしたらY社が起訴命令の申立をして,X社に本訴を提起させること。
X社が提起した訴訟に御社が共同被告となっていたら,当然被告で継続しますが,Y社だけでしたら,御社が訴訟参加の申し出をすること。御社が訴訟告知をする必要はありません。
ま,このあたりは,弁護士が説明することで,一般の人は知らなくても結構ですが。
ありがとうございます。第三者異議の訴えについては準用規定が
あったのですね。知りませんでした。
当社としては、できれば相手方の出方を待って(本訴で対応したい)
と考えていたのですが、仮処分の手続きにおいて当社の存在は完全に
無視されているようです。おそらくこのままでは当社が関知しない
ままにX社のYのみを相手方とする勝訴判決が確定してしまうような気がします。X社のY社に対する訴えがなされたということを当社はどうやって知れば良いのでしょうか?
なお、当社は当該建設機械は輸出する予定でした。これまでにも同様の
取引を何度も行ってきています。保管場所が分かったのはX社が行方不明建機の捜索願いのようなものを出していたからだと考えます。
No.4
- 回答日時:
>>当社としては、できれば相手方の出方を待って(本訴で対応したい)と考えていたのですが、仮処分の手続きにおいて当社の存在は完全に無視されているようです。
おそらくこのままでは当社が関知しないままにX社のYのみを相手方とする勝訴判決が確定してしまうような気がします。X社のY社に対する訴えがなされたということを当社はどうやって知れば良いのでしょうか?
まず,分りません。X社かY社の関係者に聞くしかありません。裁判所は個人情報ですからXY間の本訴については教えません。
最悪,Y社が倒産しておれば,訴訟に応訴せず,欠席で判決が出て,Xの勝ちが決まります。
問題は,御社が何もしないことです。通常,自分のものと思っている物,しかも金が出ている物を差押えられ,あるいは占有移転禁止の仮処分の対象となって,異議を出さなかったり,所有権確認の本訴をしないこと自体が不自然です。最低でも内容証明で抗議をしないと善意,過失の有無について不利な認定の材料になります。抗議や異議を出さないのは,あやしい,知っていたのではないかと,素人でも思うでしょう。
教科書では,善意や無過失が前提で善意取得の効果を書いてあるのですが,実際の裁判では,善意かどうか,過失があったかどうかが問題になり,人の心の中ですから視るわけにはいかず,言葉で知りませんでしたと言って,直ちに信用するわけにはいかないのです。
細かなことの積み重ねで,善意,過失を認定するのです。既に金の流れについて書いてますが,その他のA社,B社,御社の業務,これまでB社との取引実績など,とにかく細かな事実を検討しなくてはいけません。ちゃんとした弁護士ならことあたりはきちんと教えてくれます。
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