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はじめまして。
法律を最近学び始めた者なのですが、教科書を読んでもなかなか具体的に理解できないことがあり質問いたしました。
民事訴訟で訴訟資料と証拠資料は峻別されると書かれているのですが、具体的にはどういうことなのでしょうか?
訴訟資料と証拠資料はどのような違いがあるのか教えてください。

初歩的な質問で申し訳ありません。
よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

問 証拠資料を訴訟資料として判決の基礎とすることができるためには、どうすればよいのでしょうか?


 よく判例などを読んでいると、判決の理由中に関係人の証言が引用されていることがあると思うのですが、これは事実認定の基礎にしているとは言わないのでしょうか?

答 民事訴訟法では,法律に明記されていない用語がたくさん出てきて,相互の関係を理解するのが大変です。
 実際に訴訟を経験すれば何ということもないのでしょうが,机上で学ぶ者にとっては,六法中最も理解しづらい法律だと思います。

 さて,「証拠調べの中でたまたま主要事実が発見された場合であっても,裁判所はその主張があったとして判決の基礎にすることができない」の意味ですが,ここでは,「主要事実」と「証拠資料」の意味が重要です。

 訴訟資料の内容をなす「主要事実」とは,訴訟物を根拠付ける法令の構成要件事実(要件事実)を指します。
 たとえば,訴訟物が売買契約に基づく売買代金請求である場合,主要事実は,民法555条の売買契約成立の要件事実です。
 具体的には,財産権移転約束および代金支払約束が要件事実となります。
 弁論主義の第Iテーゼ(:当事者が口頭弁論において主張しない事実については,訴訟資料として判決の基礎とすることができない。)に言う「事実」とは主要事実を指します。
 主要事実の存在を推知させる間接事実や,証拠の証明力にかかわる事実である補助事実については,弁論主義の第Iテーゼは適用されません。

 次に,証拠資料とは,「裁判所が証拠方法を取り調べた結果得た資料」をいいます。例えば、証拠方法が証人の場合には聴き取った証言が証拠資料であり。証拠方法が文書である場合にはその文書の記載内容が証拠資料です。
 判決の理由中に引用された関係人の証言は,証拠資料であって,主要事実ではありません。

 証拠調べは,当事者の主張する主要事実の存否について,証拠資料により判断する作業です。

 先述の売買契約の主要事実の存否を判断する証拠資料としては,たとえば契約書(書証)等があります。
 真正な売買契約書(民事訴訟法219条以下参照)が証拠として採用されれば,原告に有利といえます。

 ところが,証人が,売買代金弁済の事実を証言したとしましょう。
 売買契約が成立すれば,売買代金債権が発生しますが,弁済(民法474条以下)により,債権は消滅します。
 弁済は,債権消滅の効果を発生させる主要事実です。
 
 ここで,裁判所は,証人の証言を基礎に,原告敗訴の判決を言い渡すことができるでしょうか。
 「当事者(ここでは被告)が,弁済の抗弁としてその事実を主張しない限り,判決の基礎とすることはできない」が,その答えです。
 
 これが弁論主義の第Iテーゼなのです。

 そこで,被告は,口頭弁論期日に,弁済の抗弁を主張すればよいのです。
 そうすれば,裁判所は,当事者の主張があったとして,それを判決の基礎とし,原告敗訴(請求棄却)の判決を言い渡すことができます。 

 
 
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この回答へのお礼

ありがとうございます!!

とても丁寧なご説明でしっかり疑問が解決されました。
なかなか机上の勉強だけだと具体的なイメージができず、言葉の上では理解できても納得がいかなかったのですが、やっと理解できました。
本当にありがとうございます。

お礼日時:2008/10/12 02:45

 「初歩的な質問」とおっしゃいますが,自ら訴訟を経験した人を除き,その内容をきちんと理解している人は,司法試験受験生でも半数もいないと思いますよ。



 訴訟資料とは,「訴訟における審判の資料である事実及び証拠」をいいます。
 これに対し,証拠資料とは,「裁判所が証拠方法を取り調べた結果得た資料」をいいます。例えば、証拠方法が証人の場合には聴き取った証言が証拠資料であり。証拠方法が文書である場合にはその文書の記載内容が証拠資料です。

 弁論主義の第Iテーゼにより,主要事実については,当事者が口頭弁論において主張しなければ,訴訟資料として判決の基礎とすることができません(人事訴訟法1条・20条参照)。
 よって,証拠調べの中でたまたま主要事実が発見された場合であっても,裁判所はその主張があったとして判決の基礎にすることができないのです。
 たとえば,当事者尋問(民事訴訟法207条以下:証人尋問等と同じく,証拠調べの一つ)で主要事実らしいことが主張され,裁判所がこれについて心証を得たとしても,それはあくまで証拠資料であって訴訟資料ではないので,裁判所はそれを判決の基礎にすることはできないのです。

 このように,訴訟資料と証拠資料との峻別は,私的自治の訴訟法的表れである弁論主義の一内容です。


【人事訴訟法】

(趣旨)
第一条 この法律は、人事訴訟に関する手続について、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の特例等を定めるものとする。

(職権探知)
第二十条 人事訴訟においては、裁判所は、当事者が主張しない事実をしん酌し、かつ、職権で証拠調べをすることができる。この場合においては、裁判所は、その事実及び証拠調べの結果について当事者の意見を聴かなければならない。
 
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この回答へのお礼

ご丁寧な回答ありがとうございます。
とてもわかり易く参考になりました。

更に質問なのですが、
>証拠調べの中でたまたま主要事実が発見された場合であっても,裁判所はその主張があったとして判決の基礎にすることができないのです。

とのことですが、その証拠資料を訴訟資料として判決の基礎とすることができるためには、どうすればよいのでしょうか?
よく判例などを読んでいると、判決の理由中に関係人の証言が引用されていることがあると思うのですが、これは事実認定の基礎にしているとは言わないのでしょうか?
わかり辛い質問ですみません。
お時間があれば回答お願いします。

お礼日時:2008/10/11 20:14

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