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なぜシンガポールがアジアの金融の中心なのですか?できれば、ロンドンやアメリカが中心で、日本がダメなのかの理由も教えてください。文献・論文やURLを示していただければ幸いです。いい文献や論文があれば教えてください。論文作成で困っています。。。

A 回答 (6件)

シティオブロンドンの報告書によると、世界トップレベルの競争力があるらしく(1)、


世界経済フォーラムの報告書によると、アジアトップレベルの1つということですが(2)、
そのあたりに引用できそうな細かい資料や指摘もあるかと思います。
ただ、東京とシンガポールや香港の金融は性格に差異があります。
アジアのトップというよりも、アジアの「中枢機能の1つ」というところで、
上か下という問題でもないとは思われます。

人口が多い分、例えば時価総額とかなら日本の方が断然大きくはなります(3)。
サイズだけならそのうち中国やインドがアジア最大になる可能性が考えられます。
もっとも、だから中国やインドがアジアの金融の中心かというと、
単独で評価できるわけでもありません。
1000万人に満たない人口の割に金融産業がきわめて盛んで、
成長率が高く1人当りのGDPもトップクラスに躍り出た点では、
シンガポールや香港が最も注目を集める事例になっています(4)

日本の金融の中心は、確実にシンガポールではなく東京にあります。
ただ、大きい国の金融機関は国内の投資で完結しがちであり、
周辺国の金融の中枢が東京にあるわけでもありません。
海外に投資を行うにあたっても、案外近くの国に集中しておらず、
海外証券取引も欧米の先進国や中南米向けが多かったりします(5)。
いわば、日本の金融は「国内志向」「脱亜入欧志向」で、
アジアに向けた金融展開は意外と少なかったということです。
先進国向けの方が新興国向けよりもローリスクという理由もありますが、
高度な金融技能を持った外国人の数自体が少なく、
アジアの質の高い経済情報が出回らない欠点もあります。

シンガポールは、華人・マレー系・インド系に人口が三分されており、
それぞれは海外とコネクションを持つことができますし、
膨大な移民人口を受け入れています。イスラム人口も抱えています。
多民族・他宗教の融合のため、英語の国語化が推し進められました。
国内の人口の多くが外資系企業で働いています。
国土も狭く、企業も限られているため、国内の投資機会には限界があります。
必然的に、東南アジア諸国や中国・インドに投資の関心が行くようになります。
日本よりも、ヨーロッパにおけるスイスに近い立場になります。

シンガポールも、初期には加工貿易を重要な産業としていましたが、
次第に周辺国に対してコストが高騰してきて、産業転換過程を迎えます。
一方、金融に関する法律や税制度が整えられ、
金融が国内の基幹産業に変わってきます。
(ただし、香港の工場は大部分が中国に移転しましたが、
シンガポールの方は電子工業や医薬工業も盛ん)
中国やインドは、1980年代以降に相次いだ新興国の国際金融危機を、
国家の安定性を損なう重大な脅威と捉え、
国際資本移動の自由化に慎重な姿勢を取るようになりました。
人民元が将来のアジアの基軸通貨(?)なんていわれていても、
現時点での外為市場では中国はまだマイナーな立場だったりもします(6)。
その反面、規制の厳しい中国に国際投資を展開することが、
「中国通」の香港やシンガポールの優位産業になったりもします。

これから国際金融の認識も大きく変わることになろうかとは思います。
直近の金融危機でアメリカ式投資銀行の威信は傷つきました。
規制緩和と低い税率で外資を集める小国の成功例だった、
アイスランドやバルト三国も外資撤収の恐怖に脅え、深刻な窮地に陥っています。
ただ、シンガポールや香港は、国内の貯蓄率が極めて高く、
経常収支が大幅な黒字で外貨準備が巨大になっている面からも、
小さい金融立国といっても相対的に体力のある部類です。
現時点では、アジアの金融機関自体や、
HSBCやスタンダードチャータードのような、
アジアに強い銀行は相対的には傷は少ないはずです。

(1)シティオブロンドン「グローバル金融センターインデックス3」
http://www.zyen.com/Activities/On-line%20surveys …
(ロンドン 795)
(ニューヨーク 786)
香港 695
★シンガポール 675
東京 628
シドニー 621
上海 554

(2)世界経済フォーラム「金融開発指数2008」
http://www.weforum.org/en/initiatives/gcp/Financ …
(アメリカ 5.85)
(イギリス 5.83)
日本 5.28
香港 5.23
★シンガポール 5.15
オーストラリア 4.98
中国 4.09

(3)企業の時価総額
(上記ロンドン市のインデックスより。
最近の金融混乱で激変しているとは思われますが、
何年かしたら回復するだろうということで)
(ニューヨーク 20兆9340億ドル)
東京 4兆6270億ドル
(ロンドン 4兆2070億ドル)
ムンバイ(インド) 3兆0660億ドル
上海 3兆0180億ドル
香港 2兆9740億ドル
シドニー 1兆4030億ドル
ソウル 1兆2560億ドル
台北 7480億ドル
★シンガポール 5690億ドル

(4)人口1人当りのGDP
(IMFより、2007年)
(イギリス 名目46,100ドル 購買力平価35,600ドル)
(アメリカ 名目45,700ドル 購買力平価45,700ドル)
オーストラリア 名目43,200ドル 購買力平価36,200ドル
シンガポール 名目35,200ドル 購買力平価49,800ドル
日本 名目34,300ドル 購買力平価33,600ドル
香港 名目29,800ドル 購買力平価42,100ドル
中国 名目2,500ドル 購買力平価5,300ドル
インド 名目900ドル 購買力平価2,600ドル

(5)日本の海外証券投資残高・地域別
(日本銀行より、2007年末)
(対外資産)
アジア 9兆円
北米 93兆円
中南米 46兆円
西欧 113兆円
(対外負債)
アジア 15兆円
北米 73兆円
中南米 44兆円
西欧 110兆円

(6)外国為替取引高
(BISより、2007年4月、1日当たり)
(イギリス 1兆3590億ドル)
(アメリカ 6640億ドル)
日本 2380億ドル
★シンガポール 2310億ドル
香港 1750億ドル
オーストラリア 1700億ドル
インド 340億ドル
中国 90億ドル
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この回答へのお礼

ごていねいにありがとうございます!
参考にさせていただきます。

お礼日時:2008/10/18 17:52

日本とシンガポールの関係が逆転したのはいうまでもなく平成大恐慌が原因です。


しかし、日本の実体経済はあまりにも巨大で、
総合的な関係を逆転する力はシンガポールにありません。
結局、世界の市場はニューヨーク、東京、ロンドンで動いていきます。

日本は平成大恐慌を足かけ10年で清算しました。
その間、中小の町工場を犠牲にすることによって金融を長命させ、
更にはゼロ金利政策によって国民の受け取る利息を救済に回し、
弱者に我慢を強いることで母屋を救ったのです。

これに対して海外では色々な思惑がはたらきます。特にアメリカ人は日本人の失態を
馬鹿にすることが自己の経営能力をアピールする場でよく引き合いに出されます。
現地に行った方の話では痛烈に肌身で実感したとのことです。

同時に当時は中国とインドが猛スピードで成長していました。
だから経済を考える欧米人は日本は眼中にないわけです。
アジアへ拠点を置く場合に中国へおけばいいのですが、中国は前近代的な要素も多すぎます。
バフェットなども中国へ拠点を置くのは不安材料が多すぎると述べている点でも分かります。

また、インドへのアクセスポイントも考えた場合、東南アジアで金融セクターとして
機能していたシンガポールの立地条件の良さは別格のものがあります。

しかし、この度の世界同時金融恐慌によって日本とシンガポールの関係は逆転しています。
主立った産業が金融しかないシンガポールとドバイは没落が始まっています。
この両国がどこまで耐えるかは分かりませんが、ノムラのリーマン買収にみられるように
日本には千載一遇のチャンスが訪れ、金融強国の地歩を固めています。
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http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/200 …
「資産運用市場を強化、市場規模は5年で3倍に」

上記の日経サイトが分かりやすいです。
登録が必要ですが、詳しくまとまっています。
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ちょっと古いし、シンガポールではないのですが、この本に国際金融センターの条件や、各地の要件について分析しています。



Y.C. ジャオ (著),山本 栄治 (翻訳) 『国際金融センター香港』東洋経済新報

日本がダメなのは、いろいろ原因があると思います。
英語が通じない。確かに金融関係者は英語ができるでしょうけど、法律は日本語であり、公式な英語版はないですよね。それが規制や会計制度など、必要なことを全部英語で済ませることが出来ない原因になっています。
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今晩は。


>シンガポールがアジアの金融の中心
 逆にこの根拠を教えて下さい。

現在は、香港がアジアの物流と金融(人・物・金)の中心地と言われて
いる事は知っていますが。
理由は、法人税が17.5%と低率である点と、中国が一国二制を維持して
いる事です。
アジア経済において中国の存在感が増し、中国の金融政策が国際基準に
適合していく過程で重要な役割を担うのは香港しかないからです。
シンガポール、マカオ、ドバイなどが台頭してきたと言う事では聞いた
事があります。
しかし、シンガポール政府は、投資誘致と雇用確保のために香港との差
を縮めるべく、2008年から現行の20%を引き下げ18%にすると発表しま
した。
但し、消費税に該当するGSTを5%から7%に引き上げることも同時実
施します。
さらに、企業誘致の大きな要因となる法人税引き下げ競争は数年前から
EUで始まりました。
デンマーク、オランダが2007年に、ドイツ、英国、スペインが2008年か
ら法人税を引き下げ、法人関係の諸税合計で30%から20%程度へと下が
りました。
イタリアも引き下げを検討中です。
最も成功したのが12.5%にまで下げたアイルランドで、日本を含め世界
各地から同国に企業進出しました。
旧東欧諸国もスロバキアとポーランドが19%と外資誘致に努めています。
2006年度の法人税を世界全体で見ると、日本50%、米国40%、英国
(EU)30%、シンガポール20%、香港17.5%、アイルランド12.5%、リ
トアニアとマカオ12%、キプロス10%、ケイマンとバミューダ0%(タ
ックス・ヘイブン)となっています。
要は、法人税が安いと企業を誘致でき、それに伴い、人、物流、金融が
追従します。
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税制の問題もあるのでは?

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