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超格子バッファ層を用いたエピタキシャル成長について質問です。
添付写真or参考URL41ページ目の資料を見て頂きたいと思います。
URL;http://home.sato-gallery.com/education/kouza/het …

以下の点にヒントを頂けると助かります。
「格子不整合があっても・・・、・・・pseudomorphicに成長
する。」
このpseudomorphicに成長するというのは理解できます。歪層が成長するということだと思います。
しかしこれをそのまま理解すると、超格子の格子定数はいつも
基板材料の格子定数のままエピタキシャル成長し、
その次の「格子定数の異なる基板とエピタキシャル膜を格子整合させることが可能」
という話と矛盾しているように思えます…。
いつまでも基板の格子定数ですので、結局上の膜とは
格子整合しないのではないでしょうか。

超格子層を使うことで、下地の材料と上に成長する材料の格子定数差を
埋めるという訳ではないのでしょうか?
超格子を使うことで徐々に格子定数を変えるような…。(そもそもこんなことは可能なのでしょうか)

超格子バッファ技術についてご存知の方、何でも構いませんので
回答頂けないでしょうか。
宜しくお願いします。

A 回答 (5件)

# 最近忙しくて回答を書く暇がなく、すみません。


私は専門家ではないので、もしかしたら間違いもあるかもしれません。

先ず最初の質問は超格子バッファでしたが、これは基板とエピ層との間の格子不整を緩和するためのものであることには異論がないものと思います。
何故こんなものを積むかといえば、もちろん基板に対して格子不整の大きいエピ層を積みたいからです。

ほとんどの結晶では10%を超える格子不整があれば、どんなに薄くても欠陥が生じると思いますが、仮に臨界膜厚以下であれば20%の不整合まではOKとしておきます。
基板Aに対して格子不整+20%の層Bを積みたいとき、それぞれ臨界膜厚以下の層a,bを複数組積み上げたものが超格子バッファです。

このとき、最下層のbは基板Aから20%相当の圧縮応力を受けますが、同時に基板Aも超格子層から20%の引っ張り応力を受けます。
同様に最上層のaもエピ層Bから20%相当の引っ張り応力を受けます。
基板Aおよびエピ層Bは充分厚く歪は無視できる程度として、薄いa,b層を歪ませるのが、超格子バッファだと私は理解しています。

仰るようにバッファ層内には歪が蓄積するので、半導体レーザのように
大電流を流す素子では、ライフは短いかもしれませんね。
なにしろ、室温でさえ格子は300Kの熱エネルギーで揺さぶられていますから、更に電流の影響で格子を飛び出す原子も多そうです。

「strain compensation laser」は、ちょっと違います。
2つの考えがあって、1つ目はレーザの活性層を「歪超格子」とし、(No.4に書いたように)バルクや単なる量子井戸とは異なる量子状態を作り出すことにより、従来とは異なる特性のレーザを作ろうというものです。
活性層自身が基板に対して歪みを持つので、うまく積層するように「歪緩和層」が必要です。

もう1つは、最近流行の「量子ドットレーザ」をどう作るかです。
「量子ドット」は、例えて言えばガラスの表面に水滴がつくように、量子層の表面張力を利用して作るのが最近の主流なので、必ず基板に対して引っ張り歪を伴います。
「レーザ」とするためにはこの量子ドットを半導体で埋め込まねばならないので、圧縮歪を持つ緩和層で埋め込みます。
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この回答へのお礼

何度もお付き合い頂き有難うございます。
格子定数差を緩和する機構について100%理解したとは言えませんが、
説明いただいた内容については理解したつもりです。
私にはどうしても圧縮歪み層を(薄くても)何層も積層すると、
最後には欠陥が発生して使い物にならなくなるような気がします。

strain compensation laser、すみません、タイプミスですね。
strain compensation layerと入力したつもりでした。

超格子バッファを成長するときにも、反対の歪みを持ったstrain compensation layerが
無ければ歪みが蓄積してしまうのでは、というのが最大の懸念です。

お礼日時:2009/03/02 21:51

そう悩むほどのことではありませんよ。


欠陥のない結晶を作るためには、格子点同士がきちんと(整然と)つながっている必要があります。

簡単のために、平面状に正方形の格子があるとします。
格子間隔が10cmの下の層と12cmの上の層とを接合しようとすると、接合部の格子間隔は11cm前後にしなければなりません。
つまり下の層は格子間隔が無理やり広げられ、上の層は押し縮められます。
格子定数はいきなり変わるわけではなく、上下の層が充分厚く、欠陥がないとすると、何層かに渡って下から10.2,10.4,・・・,11.8,12.0という具合に徐々に変化していきます。
これが、歪の状態です。

格子間隔を1cm伸び縮みさせることは容易でも、3cmの伸び縮みは困難であるとすると、格子間隔10cmの下の層に13cmの上の層を積み重ねるには、下の層は3個ごとに上の層と結合しない格子点を残すのが自然です。
この取り残された格子点が、"ダングリングボンド"と呼ばれる格子欠陥の一種となります。

そこで、例えば格子間隔12cmの中間層(バッファ層)を間に挟むと、上下の層との格子間隔の差は1,2cmなので、なんとか欠陥の少ない結晶成長が可能となります。
この方法は、格子定数の差が小さいときには今でも使われています。

更に、中間層として格子間隔11cmと12cmの層とを交互に積み重ねれば、上下の層に対する歪はもっと小さくなるでしょう。
中間層における歪は蓄積したままなので、それぞれの層は臨界膜厚以下に保つ必要があります。
これが歪超格子バッファの基本的考えです。

尚、私は結晶成長をしたことはないので以下は想像混じりですが、同じ部署には結晶屋さんもいっぱいいました。
基板と同じ格子定数の層を成長するときでも、基板と同じ組成で、ある程度の厚さのバッファ層(例えばInP同士)が必要と聞いています。
原料コストや制御の容易さから、歪超格子バッファは、上下の層からかけ離れた組成のものは使わないでしょう。
またバッファ層が厚すぎると、おっしゃるように新たな格子欠陥が生じる割合も増えるでしょうから、厚さには限界があるものと思います。

尚、単純に「歪超格子」と言ったときは、歪のない超格子とも違う量子状態を作り出すことを言いますが、歪超格子バッファはこれを結晶成長の格子不整緩和用バッファ層に転用したものと思います。
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この回答へのお礼

ご丁寧な説明有難うございます。
確かに10cmと13cmの格子定数の間に 11/12cm の
超格子を挟むことで格子定数10cmから13cmにうまく繋げられそうに思えます。

ただどうしても理解に苦しむのが以下の点です。
10cmの層に対して11cmの層を成長するというのは10%の圧縮歪を
持った層を成長することになります。
次に12cmの層を成長するというのは、基板に対して20%の圧縮歪を
持った層を成長することになります。
つまり10cmの基板の上に、常に圧縮歪(基板に対し)を持った層を
積層するわけで、歪の蓄積から欠陥が発生するように思えます。

10%の歪を持った層の臨界膜厚が20nmとした場合、
以下の構造の成長には問題があるように思えます。
(InP基板/10nm-10%圧縮歪み層/10nm-InP/10nm-10%圧縮歪み層)
この時点で既に計20nmの歪み層を成長したことになるので、
3層目の歪み層を成長すれば臨界膜厚を超えてしまうのではないでしょうか。
こうならないように歪みを打ち消すのであれば、圧縮歪み層の上には、
逆に引っ張り歪み層を成長する必要があるのではないでしょうか。
「歪み補償層 strain compensation laser」の考え方がこれだと思います。
10%圧縮歪み/20%圧縮歪みの繰り返しでは、さらに歪みの蓄積が
加速するため、欠陥の発生も早い段階(薄い膜厚で)起こらないのでしょうか。

お礼日時:2009/01/29 08:13

In47Ga53PはInP基板と格子整合しますけどね。

^^;
余計な茶々は措いといて、すみません、私もこれ以上は詳しくありませんが、一方はどちらかと同じとしても、少なくとももう一方は中間の格子定数のものを重ねると思います。

歪の蓄積についても、私もその通りと思います。
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この回答へのお礼

有難うございます。

基板とは違う格子定数の層を何層か成長するわけですよね。
これだと歪が蓄積するだけで、なぜ格子定数を基板材料から
変えるようなことができるのかがつかめません…。

もう少し勉強を進めてみて、新たな疑問点が
あれば質問させて頂きたいと思います。

お礼日時:2009/01/22 19:47

#1です。

ちょっと補足。

> 超格子を使うことで徐々に格子定数を変えるような…

まさにその通りです。

> 超格子層を使うことで、下地の材料と上に成長する材料の格子定数差を埋めるという訳ではないのでしょうか?

格子と格子の間に別の格子が入ることをイメージしていると思いますが、これこそミスフィット転位による"格子欠陥"です。
一度できた格子欠陥は、結晶成長中に自然に消えることはほとんどありません。
(結晶成長方法の工夫により、横方向に逃がすことはできる。)

尚、格子欠陥はリーク電流の元となり、発光素子なら発光効率が低下します。
また一般に格子欠陥は電流などにより成長するので、寿命低下の原因ともなります。
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リンクされたpptファイルの「臨界膜厚」のページにも書いてあるように、pseudomorphicな状態を維持できる厚さには限界があります。


そこで、上の層に近い格子定数の層と、下の層に近い格子定数の層とを、臨界膜厚を超えない程度に交互に積み重ねて格子歪を緩和するのが、超格子バッファです。
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この回答へのお礼

回答有難うございます!
>上の層に近い格子定数の層と、下の層に近い格子定数の層とを、臨界膜厚を超えない程度に交互に積み重ねて格子歪を緩和する
例えばですが、InP基板からInGaAsの格子定数に変えていきたいとします。
この場合は、InP/InGaAs超格子を成長するのでしょうか?
ここで一点分からないのですが、最初のInGaAs層は臨界膜厚以下なら歪んで欠陥無しに成長できると思います。
しかし2層、3層と格子ミスマッチのある層を積層していくと、歪みが蓄積し、
最後には転位を発生して歪みを緩和してしまうと思うのですが、どうなのでしょうか。

お礼日時:2008/12/23 18:17

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