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No.1
- 回答日時:
基準の問題についての質問が相変わらず出てきますね。
不適切な問題である、欠陥問題である、議論の必要な問題であるということがわかってほしいです。
私はこういう問題を出す大学はレベルの低い大学であると思うことにしています。センター試験に出るとしたら国のレベルが低いということです。低学力ということが言われていますが国がそれを助長している事になります。
先月、C=12の基準を6に変えたらどうなるかという質問に答えました。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa4580732.html
定義というのをどう考えるか、歴史的な流れを考慮して定義の背景にあるものを考慮するのかしないのかというようなことが関係してきます。
記号で答える問題は答えが議論なしに決まる問題のはずです。立場によって答えが変わる、その立場のどちらが正しいと言い切ることが出来ないような問題を記号で答えよという形式で問うことはおかしいのです。
(1)~(5)の全てにあいまいさがあります。あいまいさのないのは(6)だけです。密度は分子、原子を前提としていない巨視的な量です。基本構成粒子1つの質量がいくらであるかが分からなくても出てくる量です。物質の組成がわからなくても決まる量なのです。
目に見えない、触ることも出来ない原子を取り扱うために考え出されて、出来上がった単位は全て連動しています。どういう認識を踏まえたものかという歴史的な経移が関係します。100年以上かけて築き上げてきたものです。互いに整合性を持つように、実体を反映しているようになっています。あいまいさが少なくなるように修正もされてきました。現在ではあいまいさを少なくするという意味で定義という形をとっているものが多いです。でもこういうことを考えると定義だから他の量と無関係に勝手に決めていいものと考えるのはおかしいのです。(これは私の立場です。これに同意しない人もいると思います。だから○×で答えることができない問題だということになるのです。)
(3)(4)(5) はmol、アボガドロ数の定義をどういうものとして理解するかにかかわっています。
molはアボガドロ数の値がいくらであるかが分からない時、原子や分子の実態も分からない時から使われて来た量です。少なくとも100年以上の差があります。molは原子量と連動しています。原子量も物質の最小単位の認識と連動しています。
現在はアボガドロ数を基準にしてmolを決めています。これを踏まえて「molは原子量と無関係である」とする立場がでてきます。この立場が妥当なものであるかかどうかは決着のつかない議論になるものなんです。
(1)についてはあいまいさがないと答える人がいると思います。
基準を変えたからといって比が変わるわけではない、OとCの比は4:3だという主張です。HとOの比が1:16というのも変わらないということになります。C=24にすればH=2,O=32になります。前の質問で出たC=6にしたらという場合であればH=1/2、O=8になります。でも歴史的な認識に沿ってそういう場面を考えると水素:酸素=1:16、酸素:炭素=4:3であるとはいえなくなります。
現在分かっていることは全て分かった上で基準だけ変えたと考えるのか、そういう基準を採用したような歴史的な場面で考えるのかの違いになります。
分子の存在がまだ分からなかったとき(アボガドロ以前、ドルトンの時代)、一番質量の小さい、基準になる物質は単体の水素でした。水素の単体(気体の水素)を基準にして他の元素の質量を表しました。水素の単体を原子と理解して組み立てたのです。酸素の単体も、窒素の単体も原子として扱いました。ドルトンの本を読むときなどはこの基準で書かれているのですから他の元素の原子量がどのように成るかが分かっていなければいけません。
気体反応の法則、アボガドロの法則がまだでていない段階では化合物の質量と成分単体の質量の比からしか原子量を出すことが出来ませんでした。したがって水素と酸素、酸素と炭素、炭素と水素というような組み合わせで原子量を決めていく事になります。
水のできる反応から水素=1、酸素=8、水=9になります。水素を○、酸素を◎で表せば水は○◎になります。水素:酸素=1:8です。
炭素の燃焼から酸素=8、炭素=3、炭酸ガス=11が出てきます。メタンの燃焼からはメタン=4がわかります。炭素を●で表すと炭酸ガスは●◎、メタンは●○です。水素:酸素:炭素=1:8:3です。一酸化炭素の存在は当時は知られていなかったと思います。一酸化炭素の存在が分かればその段階でC=6に変わります。それに連動してメタンの化学式は○●○、炭酸ガスは◎●◎、に変わります。水素:酸素:炭素=1:8:6になります。
単体気体が原子2つがくっついた分子として存在するということが分かれば水素原子=1、水素分子=2に基準が変わりますからまた他の元素の原子量が変わります。水素:酸素:炭素=1:16:12になります。この段階で「水素の原子の原子量をを1/2にしましょう」というような実体と無関係な決め方はしていないのです。原子量の最小単位と物質を構成する最小の粒子との間に対応関係を考えているのです。同様に水素原子の原子量を2となるような基準で考えましょう(これが今回の質問です)という事もありえないのです。水素よりも小さい原子の存在が認められていないのに何故そういうことをしなければいけないのかと「?」がつくだけの話です。原子量の基準を実体と対応させる考え方があったからこそ後になって分かった原子の構造、質量数とうまく整合するような値になったのです。
原子量の基準を変えるというのは実体の認識を変えるということです。定義だから勝手に数字を操作してもいいと考えることではないのです。
C=24にするというのO=16であった基準をC=12 と変えたということとは意味の異なるものです。
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