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イスラエルのガザ地区侵攻問題で
ハマスと戦うため、であると思うのですが
ヨルダン川西岸地区への攻撃が無いのはなぜなのでしょうか?
ハマスはガザ地区のみで活動を行っている組織なのでしょうか
知っていたら教えてください

A 回答 (4件)

まずは、基本的な用語から。



イスラエル国:1948年にユダヤ人によって、パレスチナに建設された国家。1948年5月に英国のパレスチナ委任統治の権限が切れたのをきっかけに、先の国連決議(「パレスチナの56.5%の土地をユダヤ国家、43.5%の土地をアラブ国家とし、エルサレムを国際管理とする」を根拠にイスラエルが一方的に独立を宣言します。

現在のイスラエルの主な政党:労働党(穏健派)・リクード(元祖シオニスト政党・保守派)・カディマ(シオニスト政党・中道)

パレスチナ自治区:オスロ合意に基づいて、イスラエル南部のエジプト国境に接するガザ地区とヨルダン川西岸につくられた、パレスチナ人の自治区。
現在、ガザ地区をハマスが実行支配し、ヨルダン川西岸をファタハが実行支配している。

パレスチナ暫定自治政府:オスロ合意により、PLO(ファタハ)を中心に作られたパレスチナ人の自治政府。現在は、ハマスとファタハの間で主導権争いをして分裂状態にある。

パレスチナ解放機構(PLO):1965年にパレスチナ地域のイスラエルからの開放を求めて設立された組織。当初は「イスラエルを含む民主的・非宗教的な独立国家を樹立することを目標」にしていましたが、後に「イスラエルと共存するヨルダン川西岸地区およびガザ地区でのパレスチナ国家建設」という現実路線をとるようになる。


ファタハ:PLOは幾つかの組織が参加してできた連合組織だが、ファタハはその中でも中心となっている。よって、PLOとファタハほぼ同じ組織を指しているような感じ。

ハマス:1987年に結成された組織で、PLOの和平路線を批判しその活動とは一線を画す。パレスチナにイスラム教原理主義に基づいた、イスラム国家を樹立することを目指す。当初は自治政府に反発していたが、アラファト議長死後、政策を転換し2006年に選挙に初参戦。過半数の議席を得、一度はファタハと挙国一致内閣を築くも、後に決裂。2007年6月にハマスが一方的にガザ地区を武装占拠し、パレスチナ自治政府は事実上の内乱状態となる。


つまり、もともと和平路線をとっていた「PLO」に対して、「第一次インティファーダー」の時に設立された強行派の組織が「ハマス」ということになります。
当然、お互いは犬猿の仲です。
で、2004年頃からハマスが路線転換して、パレスチナ暫定自治政府に参加するようになりました。
結果、2006年の総選挙でハマスがファタハを破り議席の過半数を占めます。
この背景には、ファタハのドンだったアラファト議長が亡くなった後の後継者争いと政治腐敗が進み、さらにイスラエルの強行派であるシャロン政権下にパレスチナ人えの抑圧が強まったことなどに対する一般市民の不満があったと思われます。

2006年の総選挙でハマスが勝ったことにより、大統領職をつとめるファタハのアッバース議長と話し合いがもたれ、一度は「挙国一致内閣」が誕生します。
しかし、もともと「イスラエルと共存の道を探る」ファタハと「イスラエルの存在を認めない」ハマスでは、その方向性が全く違うので、結局内閣崩壊に向かいます。

そして、2007年6月にガザ地区を一方的に占拠して「ハマス内閣」を作ります。
もともと、ハマスはエジプトのイスラム原理主義団体からできた組織です。
なので、エジプトと国境をせっしているガザ地区ではもともと勢力がつよいのです。

それに対抗してファタハは「クーデターだ!」と非難し挙国一致内閣を解散しました。
ここにきて、両者の対立は決定的となり、ハマスはガザ地区を、ファタハが西岸地区をそれぞれ実行支配する形となっています。
そして、ガザ地区ではファタハの構成員が、西岸地区ではハマスの構成員が、それぞれ検挙する検挙合戦のようになっています。

で、イスラエル側の対応としては、「PLO(ファタハ)とは交渉するが、ハマスとは一切交渉しない」というものです。
これは、やはりハマスが和平を邪魔してきた組織であること、イスラエルとは対立する姿勢であることなどなどがあげられるかと思います。
よって、イスラエルはヨルダン川西岸地区のファタハ政権を承認し、ガザ地区のハマス政権は非承認、ハマスがロケット弾などで攻撃していることを理由にガザ地区へと進行したというのが現状です。
因みになぜロケット弾攻撃かというと、シャロン政権下でイスラエルが進めた防御壁があるからです。
この防御壁は、ハマスなどのパレスチナ人のテロリストがイスラエルに来ないようにという目的で作られたのですが、境界線を越えてパレスチナ側を通るルートがあったり、ルート上にすんでいるパレスチナ人を強制退去させたりと強行建設がされていました。
で、防御壁に阻まれて直接テロ攻撃にいけないので、ロケット弾で攻撃しています。

近々、イスラエルの国政選挙があるので、こちらで強行派が勝つようだと、まだまだ長引きそうです。

※以下のQ&Aでパレスチナ地方の近代史を、簡単にまとめていますので手前みそですが参考してもらえれば幸いです。
http://okwave.jp/qa4621866.html
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この回答へのお礼

イスラエル建国の時代から詳しい解説ありがとうございます!
「パレスチナ地方の近代史」も参考になりました!

お礼日時:2009/01/24 11:53

>ヨルダン川西岸地区への攻撃が無いのはなぜなのでしょうか?



ヨルダン川西岸地区は、PLOの穏健派が支配しています。
穏健派は「ユダヤ人が主張するする3000年前の土地所有権を認め、イスラエルを承認」し「共存共栄の道」を模索しています。
軍事的な行動は、形式上放棄しています。
ですから、イスラエル軍も「わざわざ攻撃して、寝た子を起こす事はしない」のです。

>ハマスはガザ地区のみで活動を行っている組織なのでしょうか

国際選挙監視団の監視の下に行なわれたPLO評議会(国会に相当)選挙で穏健派が破れ、強硬派のハマス所属立候補者が過半数を占めました。
ところが、穏健派は「ハマスの勝利を認めない」状況が続いています。
ですから、ハマス本部があるガザ地区を中心に活動を行なっています。

ヨルダン川西岸は、旧PLO(穏健派+強硬派)を軍事・資金援助していたヨルダンと国境を接していますが、前ヨルダン国王の死去に伴い、PLO強硬派への援助を(アメリカの命令を受け表面は)停止しています。
昔の活動拠点であるレバノンも、ヨルダン政府の影響下にあり活動出来ません。
ですから、エジプトと国境を接するガザ地区に拠点を設けたのです。
そもそも、ハマスは「エジプト・ナセル大統領の支援を受けて誕生した組織」です。
今でも、エジプト国内には「ハマス支持者(とパレスチナ難民)が多く存在し、正式に国境を通過したり、地下トンネルを通過してガザ地区に活動家・支援者が行き来」しているようです。(ロイター通信)

イスラエル・パレスチナ問題は、根本的な原因(第二次大戦末期のアメリカ・イギリスとユダヤ人協会との密約)を解除しないと解決しないでしようね。
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この回答へのお礼

PLOとハマスの関係ががスッキリしました!
ありがとうございます

お礼日時:2009/01/24 11:50

ハマスという組織は、エジプトのイスラム同胞団が元になってできた、イスラム被害者の救済を目的とした組織です。


そのため、ハマスの基幹部分は、エジプトとのつながりが極めて強固であるのが現実です。
ヨルダン川西岸地区にもハマスはいますが、エジプトと隣接していない関係上民衆支援が十分にできず、支持者が広がらないのが実情です。
ハマスの一部は、レバノンにもおり、今回のイスラエルのガザ侵攻に併せてレバノンからイスラエルにロケット弾を打ち込んでいます。
レバノンにおいて、ハマスはヒズボラに圧倒されている関係上、レバノンでも大きな勢力になりえていないのが実情です。
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この回答へのお礼

エジプトがポイントだったんですね!
回答ありがとうございました。

お礼日時:2009/01/24 11:45

>>ハマスはガザ地区のみで活動を行っている組織なのでしょうか



簡単に説明しますと、その通りです。
イスラエルの中に「ヨルダン川西岸地区」と「ガザ地区」の2つのパレスチナ自治区があります。
ヨルダン川西岸地区はPLOパレスチナ解放機構の主流派ファタハが統治しています。ファタハはいわゆる穏健派であり、イスラエルとの共存がベースです。
一方、ガザ地区のハマスはイスラム原理主義の強硬派で、イスラエルとの徹底抗戦が基本です。
よってイスラエルはハマスを潰すためにガザに侵攻しているのです。

以上、昨日のスマステでわかりやすく解説されていました。
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この回答へのお礼

お礼が遅くなりました!
いち早くの回答ありがとうございます。
スマステでもやっていたとは…。

お礼日時:2009/01/24 11:42

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