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不可分債権において、債務者が相殺または代物弁済を一部の債権者に対しておこなったとき、それは絶対効をもつのでしょうか??

私は、相殺も代物弁済も弁済と、債権者を満足させるという意味で、ほぼおなじものなのだから当然に絶対効をもつと思うのですが…(我妻先生や潮見先生もそう唱えられているのですが、なぜか伊藤塾は供託だけ絶対効で、相殺・代物弁済は相対効としているので悩んでいます。)

一方、不可分債務の場合、明文規定はないですが弁済その他弁済に関する行為(相殺・代物弁済・供託)が絶対効をもちます。(これは伊藤塾も認めています。)

そうすると、もし上記の疑問が肯定されるなら、不可分債権と不可分債務の違い(相対効・絶対効に関して)など存在しないのではないかかなと思いまして、質問させてもらいました。

ご教授お願いします。

A 回答 (2件)

補足+訂正します。


まず訂正ですが、No1の5行目に不可分債務とあるのは不可分債権の間違いです。すみませんでした。

以下補足です。
例えば、あなたと友人が車を共有しており、私がその車を買ったとします。
相殺が相対効であれば、私はあなたの友人に対して負っていた債務を相殺で消滅させた上で、あなたに車の引渡しを請求できることになります。また代物弁済が相対効であれば、あなたの友人から代物弁済としてホームシアターセットを受け取った上で、あなたに車の引渡しを請求できます。
これは明らかに不当ですよね?

不可分債務の場合、債権者は一人です。従って、相殺であれ代物弁済であれ、債権者は債務者から満足を受けていることになります。
そのため、不可分債務における相殺は弁済と同様「履行」としての性質を持つと解することによって絶対効が肯定されることになります(履行が絶対効を有すると言う事についての明文はありませんが、当然そうであると解されています)。

また、430条が434条から440条を排除しているのは、連帯債務に関する款のうち絶対効相対効に関する規定以外を準用する(432条、433条、441条ないし445条を準用する)と言う意味ですので、上記のような解釈が明文に反するわけではありません。

これに対して、履行の請求は絶対効を持つと解すべき明文がありませんし、そう解すべき実質的な理由もありません。
従って434条が準用されていない以上、430条で準用される429条2項より、相対効であると解するのが自然な解釈だということになります。
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この回答へのお礼

なるほど、よくわかりました。
ありがとうございます!!

お礼日時:2009/01/26 00:36

不可分債権については民法428条、429条がありますが、悩んでおられる点は相殺や代物弁済を「履行(428条)」と捉えるのか、「不可分債権者の一人の行為又は一人について生じた事由(429条2項)」と捉えるのか、と言う点でよろしいですか?



>相殺も代物弁済も弁済と、債権者を満足させるという意味で、ほぼおなじもの
機能としては、そのとおりです。問題は、不可分債務の時は債権者が多数おり、しかも目的物を分割できない(あるいは意思表示によって不可分となっている)ということです。

例えば、あなたが友人と共に車を購入した場合、車の引渡し請求権は不可分債権ですよね。
ここで「供託」の場合、相手は実際に車を供託しています。ですので、これは履行の範疇に入るでしょう。
これに対して、「相殺」や「代物弁済」の場合はどうでしょう?
貴方が相手方に引渡しを請求したところ、友人と同車の再売買契約を結んだので相殺した、とか、友人に代物弁済としてロレックスの時計を引き渡したので債務は消滅しているはずだ、と言われた場合、あなたは債権者として満足を得ていると言えるでしょうか?(友人に対しての責任追及はまた別の問題です)

法的効果の面から見れば、代物弁済も相殺も債務の消滅事由ですが、「履行」として絶対効を持たせるべきかどうか。債権者の側からすればとんでもないと言うことになるでしょうし、債務者の側からすればそうして欲しいと言うことになるでしょう。いずれの立場も理論的にありえます。

なお、不可分債務と不可分債権は他にも差異がありますよ。例えば不可分債権では履行の請求は絶対効なのに対し(428条)、不可分債務では相対効です(430条は434条を除外しています)。

この回答への補足

早速の回答ありがとうございます。

なるほど、不可分債権の場合、不可分債権と違って、債権者が複数であることから、不可分債務と同様に相殺・代物弁済に絶対効をもたしては他の債権者に不利益が生じる可能性がある。だから、不可分債権においては、相殺・代物弁済に絶対効をもたしせるには問題がある。よって、理論上はどちらもありうる。

という理解でよろしいですね。
確かに、相殺・代物弁済に絶対効をもたしてはいささか問題があるので、私としてはやはり不可分債権においては認めないほうがよいと考えたいと思います。

不可分債権では履行の請求は絶対効なのに対し(428条)、不可分債務では相対効ということですが、確かに 430条は434条を除外していますので請求は相対効なのはわかります。
なのに、明文の規定がないにもかかわらず、弁済その他債権者を満足させる行為(相殺・代物弁済・供託)には絶対効を解釈上認めるとします(特に436条の相殺の絶対効規定を430条が準用しないといっているにもかかわらずです)。そのような条文に反する解釈は可能なのですか??
それなら、請求にも絶対効をもたしてはいいものだと思うのですが、なぜ請求には絶対効を認めないのですか??

補足日時:2009/01/22 22:37
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