No.1ベストアンサー
- 回答日時:
ご質問のケースは、元請会社が中間請負業者が倒産した場合でも、二次下請業者の安全を確保することで請負工事をできるだけ小さな負担で続行するために定める場合が多いと思います。
相殺禁止に関しては、破産債権者間の公平を確保するため、破産法第104条(相殺禁止)の定めがあります。
◆相殺できない場合…( )部分は本件のために付記しました
1)破産債権者(二次下請⇒元請)が、破産宣告の後に、破産財団に対して債務
を負担した場合
…破産の事実を知っているので、以後の負担増について相殺を認めなければ
ならない必要が低い
= 別段の策を講じた事実上の抜け駆け回収の防止
2)破産債権者(二次下請⇒元請)が支払停止または破産申立をしたことを知っ
て破産者(下請)に対して債務を負担した場合
…破産の可能性を認識しているので、以後の負担増について相殺を認めなけ
ればならない必要が低い
= 別段の策を講じた事実上の抜け駆け回収の防止
※負担の原因が
(1) 法定原因(相続や法人合併など)による場合、
(2) 破産する可能性を認識する前の事実による場合、
(3) 破産宣告の1年以上前に生じた事実による場合
である場合を除く(=相殺可能)
3)破産者(下請)の債務者(元請)が破産宣告の後に他人(二次下請)の破産
債権を取得した場合
…他の破産債権者(二次下請⇒元請)の債権を譲り受けることで相殺禁止を
有名無実化することを防止し、他の破産債権者(二次下請⇒元請)が相殺
を悪用して迂回回収することを禁じる
4)破産者(下請)の債務者(元請)が支払停止または破産申立をしたことを知
っていて他人(二次下請)の破産債権を取得した場合
…上記と同視できる場合の「駆け込み回収」「駆け込み相殺」を禁じる
※取得の原因が
(1) 法定原因(相続や法人合併など)による場合、
(2) 破産する可能性を認識する前の事実による場合、
(3) 破産宣告の1年以上前に生じた事実による場合
である場合を除く(=相殺可能)
破産債権を事後的に取得して下請業者に対する債務と相殺するものですから、工期にもよりますが上記の3か4のどちらかに該当し、禁止の例外規定に該当しなければ、相殺はできません。「取得の原因」が「破産原因発生前の請負契約に基づく停止条件つき代位弁済契約を履行したことによる求償権の取得」と考えると、上記の4の(2)に該当すると考えることができるのではないでしょうか?
ちなみに、その他の場合の原則は破産法第98条の定めにより、
『破産債権者が破産宣告の当時破産者に対して債務(反対債務)を負担するとき
は破産手続によらずに相殺を為すことができる』
です。
破産者(下請)の有する債権、破産債権(二次下請の債権)のいずれかに期限・条件がついていても同じです(同法第99~101条)。
但し、破産債権者(二次下請⇒元請)が有する債権について具体化する条件(停止条件)があって、これが満たされていない場合や債権の効力発生日前である場合は、元請から破産者(下請)に対する弁済債務について、弁済額のうちその相殺相当額を寄託するように請求して、債権が効力を生じた時点で相殺する(寄託物は元請に戻る)ことになります。
逆に、破産債権者(二次下請⇒元請)が有する債権に効力を打ち消す条件(解除条件)があって、これが不確定な場合には、破産者(下請)に対して相殺を主張するためには、その相殺にかかる債権相当額を破産債権者(二次下請⇒元請)が寄託するか担保を提供して、債権の効力解除に備えておくことが求められます(解除されることが無くなれば元請に戻るか担保権を抹消する)。
※ 上記の「破産債権者」「破産者」の表記は、本来は不正確ですが、当事者関係をわかりやすくするために敢えてそのような表記にしました。ご了承ください。
詳しくありがとうございました。
確認させていただきたいのですが、回答の中で、「できるのではないでしょうか?」となっておりますが、「できる」と理解して差し支えないでしょうか?判例等があれば参考に教えてもらえればありがたいのですか。よろしくお願いします。
No.4
- 回答日時:
==> 建設業での判例を出さなかったのは、建設業の元請業者は企業のイメージ
==> ダウンを避けるために、裁判にまで持ち込まず示談で済ますことが多いか
==> らか
他意はありません。類似事例の判例でみつけられたのが先の回答の例だっただけです。
No.3
- 回答日時:
意味不明なことを書いてしまいました。
「破産債権者が否認せずに相殺に応じるものと思います」とあるのは、
「破産者が否認せずに相殺に応じるものと思います」の間違いです。
No.2
- 回答日時:
昭和41年4月8日最高裁第二小法廷昭39(オ)1158号
同法104条3号(昭和42年7月27日法律第88号により現2号を挿入。当時の3号は現4号)について
『破産者ノ債務者カ支払ノ停止又ハ破産ノ申立アリタルコトヲ知リテ破産債権
ヲ取得シタルトキ』には相殺をすることができない旨規定しているのは、破産
宣告前であっても、支払停止または破産申立があった後のいわゆる危殆時機に
おいては、すでに破産債権の実価は下落するのが通常であるところ、破産者に
対する債務を負担している者が右時機において実価下落の破産債権を取得して
相殺に供し、もつて、不当に有利にその債務の消滅を計ることを許すのは、破
産法が本来考えた相殺許容の趣旨を逸脱するものといわねばならず、しかも、
右の場合の破産債権の取得は、破産者の加担なしに行われうるから、否認権を
もつてこれに対処することができない点を考慮したことによる』
と述べています。
つまり、「実質価値が下落した債権を廉価に取得して債権の表面額で相殺をすることで不当に有利に債務を消滅させようとするのは、破産財団の健全性を損なうし、これについて破産者が阻止できない」という事情から、このような相殺を禁止した趣旨だということです。
上記に続いて
『破産債権をすでに有する者がそれとの相殺を企図して破産者に対する債務を
負担しようとするには、破産者との間に新たに債務負担行為をする場合および
債権者たる破産者も加って債務引受の合意がなされる場合は勿論、債務者と引
受人とだけで債務引受の合意がなされる場合にあっても、少くとも債権者たる
破産者の承認を要するから、破産者の加担なしにこれに対する債務の負担は考
えられないわけであって、破産債権を有する者が支払停止または破産申立のあ
ったことを知りながら破産者に対する債務を負担する場合には、右債務を負担
するに至った行為自体について否認権行使が考えられる』
と述べています。
つまり、債権譲渡の時点で破産者が否認権を行使できるのであれば、相殺を禁止するまでもないとしています。
また、以下の判例もあります。
昭和39年7月15日名古屋高裁判決昭38(ネ)376号
『控訴人が破産者の取引先から払込を受け、同額の預金債務を破産者に負うに
至つたのは、~(略)~(既に)成立した-取引契約上控訴人が破産者に負担
していた義務履行の結果なのであり(控訴人がその受入を拒むことは破産者に
対する債務不履行となる)、その破産者に対する(略)債務の負担は、契約上
の義務という法定の原因に準ずべき原因に基づくともいいうべく、また支払停
止前の(略)成立した契約という原因に基づいて、負担するに至ったものとも
いいうべきものである。そうすると、控訴人の破産者に対する預金債務負担は
破産者の支払停止を知っての後のことではあるが、破産法104条3号但書の趣旨
に鑑み、右債務を以てする破産債権との相殺は有効になされうる』
つまり契約上の義務は、「法定の原因に準ずべき原因」だと述べています。
以上から、前記回答の4の(1)に該当するという主張も、理由がないものではないとは思います。
ただ、「代位弁済」という契約上の義務は「求償権」の取得を前提にしているものの、求償権の取得は代位弁済後に発生するものですから、代位弁済自体が支払停止または破産申立の後に行われるものであることから、直ちに適用できるかどうかを確答することはできませんでした。
契約上、破産した者も了解していることですので、破産債権者が否認せずに相殺に応じるものと思います。その経緯も、不当に債務を免れようとするものではありませんので、有効だと考えることが可能だと思いました。
この回答への補足
判例も、そのときの法律の解釈によって、違う結果が出ることもありそうですね。Bokkemonさんが、倒産等は他業種に比べて非常に多いはずの建設業での判例を出されなかったのは、建設業の元請業者は企業のイメージダウンを避けるために、裁判にまで持ち込まず示談で済ますことが多いからでしょうか。
補足日時:2003/02/18 14:31お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
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