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オデュッセウスは「オデュッセイア」の中で何度となく「嘘」をつきます。
一番有名だと思うのはキュクロプスの話(第9歌)の自分の名前を「誰もおらぬ」と伝えてその後の難を逃れる。。というものだと思います。
この話のようにちゃんとした理由(?)があるときはいいのですが、ないときも多いですよね。(そういえば、彼の妻のペネロペイアも彼が戻ってきたときに彼を試すような嘘をついてますよね。)

さて、どうしてオデュッセウスは嘘をつくんでしょう?
彼が「知略の人」だからでしょうか?
意見を聞かせてください。もし根拠になるようなエピソードがあったらそれも教えてください。

A 回答 (2件)

質問者さまの一言に誘導されてしまった感がなきにしもあらずですが、やはり彼の武器は「言葉」(=知恵)なのでしょうね。



人はもっとも得意なものでしか勝負が出来ないといいますか、もっとも得意なもので勝負が出来た人しか英雄になれないといいますか、まあオデュッセウスはそれこそ木馬の壮大な「嘘」を考えたことでもわかるように、舌先三寸で生きてきた……あっ(^_^;)。頭脳派だったのでしょう。
力の強い人がことにあたってすぐ腕力に訴えるのと同じように、彼の場合もつい、嘘といいますか、策を練る方向に頭が動いてしまうのではないですか。ぺネロペイアに会ってすぐ「会いたかったよ、お前!」とひしと妻をかき抱くオデュッセウスというのも、らしくない気がしますものね。「ナニか落とし穴があるのではないか?」と疑わずにいられない(=ので変装して相手を窺うようなことをしてしまう)のはオデュッセウスの業……のようなものだと思います。

でもって余談ですが、この夫婦は似たものですね(^_^;)。一つの家に賢者は二人いらないということわざもあるというのに……。
あのご夫婦はオデュッセウスが単身赴任をしていたからこそ愛情が続いていたのであって、ごたごたが収まったあと、たとえば十年も同じ家に暮らしていたら、離婚か家庭内完全殺人が待ち受けているような気がしてなりません。(わたしはペネロペイアが生き残る方に賭けます)

答えになっているかどうかさっぱり自信がありませんが、こちらは趣味の質問ですよね?レポートとかじゃなくて。もしお気に障ったらごめんなさ~い。
では失礼しますm(__)m。
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この回答へのお礼

ご意見ありがとうございます。

>ぺネロペイアに会ってすぐ「会いたかったよ、お前!」とひしと妻をかき抱くオデュッセウスというのも、らしくない気がしますものね。
確かに(笑)24歌もオデュッセウスの狡賢さ(?)を読んできて、いきなり感情に走られてもたしかに嫌ですね。思わず笑いました。そして納得しました。

>あのご夫婦はオデュッセウスが単身赴任をしていたからこそ愛情が続いていた
いやー、確かに。試し試されの関係ってあんまり面白いものじゃないですよね。
というか、殺人が起こっても、そして発覚してもオデュッセウスもペネロペイアも自分を正当化して周りを言いくるめることが出来そう。。。(笑)

しかし、オデュッセウスとペネロペイアの息子にしてはテレマコスは。。。。純粋に育ちましたね(笑)
ありがとうございました。

お礼日時:2003/02/22 01:24

 


これは、ホメーロスの叙事詩がうたわれた時代、それを聞いた人々の価値観や人間観を考えないとなりません。現代人の発想とは少し違うのです。

西欧でも、王侯貴族の祖先は、色々と粉飾していますが、多くの場合、大泥棒であったとか、侵略者の長であったとか、大詐欺師だとか、あまりろくでもないことをした人が多いということがあります。

戦争で相手の領地を奪って大土地所有者になったというと、もっともらしいですが、力づくで強奪したので、これは大泥棒なのです。

古代ギリシアの英雄とか王侯は、「賢者にして詐欺師、巧みな泥棒、寛容で気前の良い盗賊の首領」というような言葉が誉め言葉になります。「泥棒・詐欺師・盗賊」が、何で誉め言葉になるのかおかしいというのは現代人の感覚です。

古代ギリシア人は、征服者で、土地の強奪者で、財宝・金銀・美女などの盗賊で、嘘を言って、うまく身を処した者が偉いというような価値観がありました。

無論、同胞のものを奪ったり、盗んだり、同胞に嘘を付いたり、詐欺をすると、共同体の反乱者だとなるのですが、それも基準があり、基準で許容される範囲であれば、同胞でも、嘘でだまして、財宝や美女などを奪ったり、復讐するのは、奪った者などの才覚で、奪われた者が馬鹿だということになります。

二つの方向性があるのです。つまり、王侯とか領主は、古代ギリシアでは、巧みな強盗・詐欺師・知恵者で、これは、古代ギリシア人が、強盗で詐欺師であったからです。別に他部族のものを盗むのは罪でも何でもなく、巧妙な言葉で敵を倒したり騙して財宝や土地や奴隷を手に入れた者は、大いに賞賛される人だったのです。

「勇猛である」というような性質は、戦士社会では、みな当然持っていることで、とりわけ、それが強調され、賛美されるようなことではなかったとも言えます。無論、並はずれた力、勇敢さなどを持つ者は、これも英雄だとされました。しかし、オッデュセウスがそうですが、勇猛な戦士で、自分に不利益を与えた者に、無実の罪を着せて、殺させるということをしています。

これでもって、オッデュセウスが非難されていません。むしろ、オッデュセウスほどの人物に、不利益を与えると、どういう仕返しをされるか分からないので、それを防ぐことができなかった者が馬鹿だということになります(オッデュセウスは、トロイア戦争に行くのは無駄だと思っていたのを、ある戦士の言葉で、出なければならないはめになり、後に、この男を冤罪で死刑になるよう嘘を付いて報復します)。

しかし、古代ギリシアの英雄・王侯・領主・首長は、別の美徳が要求されました。それは「寛大で、気前の良い首領」という誉め言葉です。英雄としては、嘘を付いても、強盗しても、土地・財宝・美女など、幾らでも奪っても良いのですが、仲間や部下には、その戦利品を、気前よく分け与えるということが、また「美徳」として賞賛されたのです。

『イーリアス』の最初の部分は、アガメムノーンが、戦利品の美少女が、実はアポルローン神の神官の娘で、神官がアポルローンに祈って、ギリシア軍に疫病をもたらした結果、この娘を神官に返さざるをえなくなり、代わりに、一旦は、アキルレウスの戦利品とされて分配された別の美少女を、アキルレウスから奪い、自分のものとしたことから話が始まります。

アキルレウスは、権力に任せて、自分のものであった美少女の戦利品を奪ったアガメムノーンの行動に激しく怒り、戦場への出陣をやめます。その結果、ギリシア勢は、トロイエー側に次々敗北し、アガメムノーンは無論、その他のギリシアの有力者も、アキルレウスを宥め、出陣を願うのですが、アキルレウスはこれを聞き入れない、というところで話が展開します。

アガメムノーンは、「気前の良い首領」の条件から逸脱したので、その結果か、戦争に勝利した後、帰国して、不倫していた妻に殺害されるという不運に出会います。これは、古代ギリシアの倫理観や人間観からすれば、首領・英雄としての度量に欠けるアガメムノーンに、神々の罰がくだったのだと言うことになるのです。

古代ギリシアは厳しい戦士社会で、武力で勝利するも、嘘やペテンや罠で勝利しても、勝利さえすれば、賞賛されたのです。ただし、同胞に向けられる場合は、条件があり、また、英雄や王侯は、同時に、「寛大で、気前良い」という条件が付いたのです。

詐欺や嘘で、土地や財宝や美女を得ても、寛大で気前が良いと、共同体の成員にも、その利益の分け前が当然来るので、共同体としては、これで十分、賞賛できたのだということです。

「汝、殺すなかれ。汝、盗むなかれ」などというのは、キリスト教やユダヤ教の倫理で、古代ギリシア人は、戦士社会ですから、こういう倫理は関係ないのです。

またユダヤでもキリスト教でも、「殺すな、盗むな」は、共同体の中に対しての倫理で、賞賛されたユダヤの英雄ダヴィデ王は、大泥棒で、嘘つきで、人殺しです。ペリシテ人を何人殺して、敵を騙して征服し、何を奪った偉大な王とか、『旧約聖書』に賞賛の言葉と一緒に記されています。

オッデュセウスは「智慧の人・知謀の人」で、その英雄として賞賛される特性は、つまり、「智慧を使って嘘を言って、相手を騙す達人だ」ということです。ただし、その「嘘」が、共同体の倫理に適合したものであることは言うまでもないのです。

単なる嘘つきでない、巧みな、共同体の人々を感心させるような嘘を付いて、それを武器とする英雄なので、「智慧の人・知謀の将」なのです。
  
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この回答へのお礼

ご意見ありがとうございます。
古代ギリシャ(特にホメロスの世界)ではどれだけ強いか、というのがその人の価値につながりますし今の考え方で観てもしかたないですし、観るつもりもないです。
それでも味方に有益な嘘や行動は正当化される、というようなところは現代にも通じますね。
「寛大で気前がよい」という条件は初めて聞きましたが、そう考えるとそうかもしれませんね。
利己的な王をあまり英雄視したくないですもんね。昔も今も。
>財宝・金銀・美女などの盗賊
そういえば、古代ギリシャでは女も所有財産のような扱いを受けますね。
誰かが「オデュッセウスは最良の夫である。金持ちで、有名で、頭がよく、そして家にいないのだから」と言っていましたが。。。。いえ、こんなことは今関係ないですね。

やっぱり、オデュッセウスは考える(能力のある)人だから、ということでしょうか。。
まぁ、武勇ではアキレウスにはるか劣ると思われる彼が英雄と名を馳せるのも彼の智慧によるんでしょうね。

ありがとうございました。(お礼遅くなってすみません)

お礼日時:2003/02/25 17:02

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