アプリ版:「スタンプのみでお礼する」機能のリリースについて

 私の勝手な想像ですがその時代に海を渡ってインド系の人たちやアフリカ系の人たちがきていたということもありえるのでしょうか? どうして肌の色の黒さが強調されて今に伝わっているのか不思議です。 それとも三つ足の烏に関係しているのでしょうか?

A 回答 (1件)

>インド系の人たちやアフリカ系の人たちがきていた



6世紀のはなしですから、普通に考えればインド系やアフリカ系の人たちの流入というのは考えにくいでしょう。
ただ確かに中国や朝鮮を通じてならば、公式の仏教渡来の前から既に交流があったことは想定されます。例えば九州の山岳仏教を代表する彦山は、公式の仏教伝来より20年も前に北魏から日本に渡ってきた善正という僧が開創した、ということになっています。これ自体も多少疑わしいのですが、常識的にはやはりせいぜいその程度の地域内での交流と考えるのが妥当ではないでしょうか。

>どうして肌の色の黒さが強調されて今に伝わっているのか

あくまで一般論としてですが、まずこういった山岳宗教の行者、いわゆる仙人は道教をベースに呪術的な行を行う人たちです。つまり彼らは不老不死の秘術であるとか、自由に飛行したり海を歩いたりする術、さらには悪病治癒などの秘術を行うわけです。

こういった人間を超えた力は、穀断ちなどといった断食、さらに時には焚身、捨身にも至るような人間の限界を超えた苦行(羽黒山は十界修行が有名ですね)によって備わると信じられたものです。つまり仙人や聖などと呼ばれた山中修行者の行力というものは、人間であることを超える(あるいは捨てる)ことによって山の持つ霊力と感応し、初めて獲得できるものだったのです。
ですから、異形のものは異能なり、ということで、山中修行者の容貌そのものが既に人間を超えたものとして伝わるのは、当然と言えば当然のことだと思います。
(例えば現在でも修験の行者は火の行によるやけどの跡を誇るようなところがあります。体に刻まれた行の跡がそのまま験力の証明になるからです)

蜂子皇子(能除)の容貌は、黒いことも特徴ですが、何よりまず獣のように口が異様に裂けた奇怪な顔立ちが目を引きます。この容貌について宗教民俗研究の大家であった五来重先生は、羽黒山に伝わる山の神の化身としての狼(つまり大神)が擬人化して表現されたものではないか、とされています。
つまり能除が山の神の力を体得していた、ということを、あたかも狼の如き風貌に描くことでそのまま絵に表現しようとしたのだ、ということになります。

能除の出自が本当に皇子なのかどうか、かなり判定しづらいところのようですが、伝説に言うようにもともと醜い容貌であったとすれば、結果としてそのこともまた一般民衆にとって彼の行力を信用させる役目を果たしたことはあり得ることだと思います。

黒いことに関して言えば、烏の伝説の関係もあるのでしょうが、私は意外と彼が煤けていたこともひとつの要素ではないかと思えます。ただ煤けていたというと「南蛮いぶし」の冗談のようですが、実は「不滅の火」というものを守るのは山中修行者のひとつの使命でもあるからです。

例えば山形の山寺(立石寺)でも、かつて三不滅といって三ヶ所の火を守っていたり、羽黒山なら羽黒修験本宗の荒沢寺でも常火堂という場所があり、戦後しばらくまでずっと火を守っていました。火は山の霊性の象徴という重要な意味があり、これを絶やさずにおくことは行者の使命でもあったようです。火を使った密教の加持祈祷が修験にスムーズに取り入れられたのも、この火の扱いが少なからず影響しているでしょう。
聖(ひじり)という名前も、柳田國男に言わせれば「日知り」つまり日の吉凶を知っていることがもと、となりますが、こういう実態に即してむしろ「火知り」とか「火治り」が語源ではないか、という説もあるぐらいです。

こういう火はろうそくのような小さな火ではなく、ほだや丸太を燃やしておく割と大きな火だったようで、よく奥の院などの伽藍を消失する原因にもなったのですが、これを守る者は相当煙も浴びたと思います。能除も、伝説のように地黒であったにせよ、ある程度このような煙を常時浴びていたことも少なからず影響していたのではないでしょうか。
むろん木食や断食による栄養不足から皮膚が黒ずんでいた、ことも考えられますが。
    • good
    • 1
この回答へのお礼

 遅くなってごめんなさい。 詳しく説明してもらいありがとうございました。 確かに口まで裂けた大きな口はすごくインパクトがありました。 九州に先に仏教が伝わっていたという説もはじめて知りました。 当時羽黒山で荒修行をし体を酷使したのかもしれません。 狼説も良く見てみると似ていると思いました。   

お礼日時:2003/03/20 19:09

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!