プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

オーストラリアに住む友人からある、
亡くなったお父様が残した日本の古典があるのですが、
その古典が一体どんなもので、どんな価値があるのかを知りたい、
との依頼を受けました。
数枚の写真が送られて来たのですが、インターネットを検索しても全く分らなかったものですから、ご相談致しました。
どんな情報でも構いませんので、ご指導頂ければ幸いです。
なお、写真と本人の説明から分かっていることは以下の通りです(文章及び写真をご参照ください)。
どうぞ宜しくお願い致します。

1.本は全て9冊あること。
2.本のカバーは全て、薄茶色(アイボリー色?)であり、
  2箇所紐のような金具で留められてあること。
3.全体のカバーには「年○○徳 繒本古事譚 八冊」
  ※つづり字でくずしており、「○」の漢字を読むことができません。
4.うち一冊の本のカバーには「繒本古事譚 七」と書かれてあること。
5.本の内容としては、右ページには文章、左ページには絵が描かれてあること。
6.本の文章は、「人麻呂(題名) 人麻呂 姓ハ 柿本持(?)統(?)文武の○仕えく(?)住・・・」から始まっていること。

「古典 「繒本古事譚」 とはなんですか?」の質問画像

A 回答 (7件)

No.3 No.4 の kzsIV です。

近場で調べたことのみですが──
書名は字面が「繪/絵」「古/故」「談/譚」と揺れていますが、検索には「絵本故事談」が一番いいようです。全国の図書館等で所蔵されているもの、60部ほどです。そのうち9冊の揃いのものは約40部。正徳4年に大阪の大野木市兵衛(秋田屋・宝文堂)が発行したもので、江戸の須原屋が発行提携をしています。翌正徳5年の書籍目録(しょじゃくもくろく)に載り、それによると売り出し値段は銀15匁(約金1分=0.25両)。正徳の版木を使って明治期まで増刷した可能性があります。最終冊の末尾に「後編近日刊行の予告」、「画本刊行目録」又は「宝文堂蔵板予顕目録」のあるもの、第1冊の表紙の見返しに書名と「宝文堂」の名のあるもの、最終冊の裏表紙見返しの奥付けに江戸の須原屋と大阪の柏原屋清右衛門の名のあるもの、須原屋の他に江戸の6書肆と大阪の河内屋源七郎の名のあるものなどは後刷りでしょう(ただし、これらが無いからといって初刷りとは限りません)。再版(復刻・かぶせぼり)はなかったようです(断定はできませんが)。
 最近の古書肆の公開売り値は、20,000円(1974年), 32,000円(1982年), 38,000円(1985年)。9冊本の値段としてはごく普通です。学術的には、国文系の分野では特に注目されてはいません。この本を専一に研究したものは見当たりません。むしろ絵師の橘守国は『嬉遊笑覧』『浮世絵類考別本』『扶桑画人伝』にも取り上げられ、嘗ては著名でしたから、学術的なことは美術史分野の方が良いかもしれません。守国の他の9~10冊の「絵本」で、刷りのよいものは21,000円(1974), 55,000円(1982年), 96,000円(1992年), 明治刷りは 30,000(1985), 26,000(2000)となっていました。守国の作品はほとんどが出版された「絵本」ですから、「版画集」と言った方が良いでしょう。守国の原画を桜材に裏返しに張り付けて彫った版木で刷り上げたものですから、再版でない限り版画としては原作です。300年前の画家の細密版画集が海外で保存されていることは有意義なことだと思います。
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この回答へのお礼

こんばんは。
ご無沙汰しております。
お礼が遅くなりまして、大変失礼致しました。
わたくしごととなりますが、急な海外出張をまかされた関係で、
忙しさのあまり仕事以外ではパソコンを開くことはありませんでした。
よって、お礼が本日となってしまいました。

さて、とっても詳しくそして丁寧にご回答して下さり、
ありがとうございます。
ご回答を読んで、吃驚したのですが、
古書の公開売り値は思った以上にお安いのですね。
代々大切に保管された方の気持ちを考えますと、
何か切ないような気持ちがいたしました。
美術史の分野で高くなる可能性があるということがせめての救いのように思います。

友人はこの古書を今後どのように活用するのか分りませんが、
お父様が遺してくださった大切なものであることは
変わりはありませんので、
私はきっと売りに出さずに大切に保管してくれることすると思います。

最後となりましたが、
わたくしのためにお時間をさいて詳しく調べてくださったことに
言葉では言い表せない感謝の気持ちでいっぱいです。
前回のお礼でも書かせて頂きましたが、
このように知識人と関わりの場を持てたことを大変嬉しく
思っております。
どうかお体を大切になさって下さい。
そして、kzsIV様のご健康とご活躍を心からお祈り致します。
どうもありがとうございました。

お礼日時:2009/04/16 23:50

 今晩は。

皆が寄っているような質問で回答をするのは久々の気がしますが、私も参加します。

 なるほどなるほど。こんな本ですか。
http://www2.library.tohoku.ac.jp/kano/05-001064/ …
狩野亨吉博士の集儲をきちんと公開している東北大学は素晴らしいですね。
 この2枚目にもあるように書名は『繒本古事談』です。すべての所蔵図書館においてこの書名で登録されています。こちらで検索するとケンブリッジ大学を含めて6館あります。
http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/Equa …
更に上記の東北大学、これ以外にも民間に伝存の本もそれなりの数がありそうです。この辺は『国書総目録』を参照すればもっと詳しい情報が得られるかもしれません
 ともあれ上記の目録の内容を見る限り、版元は一つだけです。初刷り、後刷りの差はあるかもしれませんが、甚だしい異版が存在するような印象は受けません。

 この『繒本古事談』を国会図書館で検索すると『和製類書集』という10年ほど前に刊行された本に収録されていることが判ります。
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000003063791/jpn
「類書」の関連語として「百科事典」が並んでいます。↑の写真版の目次を見れば、中国や日本の人物の故事もあれば、日本三景のような土地の紹介の記事もあります。2巻以降も見てみるともっと雑多な項目も含まれているかもしれません。ともあれ活字版が出ていますから、読むこと自体には困難はありませんね。
 ところで、この人名辞典には本書が絵の手本(教科書)だと書いてあります。橘守国の項。
http://members.edogawa.home.ne.jp/tatibanaya/sub …
写真版の内容をもっときちんと見ないと内容の判断は出来ないようです。

 さて、売値は・・・。
 端本(揃っていないもの)の売り物が或る古書店にあったようですが、詳細はもう判りません。
http://www.kosho.or.jp/list/044/044-52.html
 もう少し調べると2年ほど前にオークションに出ています。
http://rating1.auctions.yahoo.co.jp/jp/show/rati …
ただし2007年 3月 2日終了では最早調べることが出来ません。多少参考になるのはこちらのページの高額品トップ50には含まれていないことです。
http://www.ta-ka-ra.com/guidebest50106/index.htm
80万円はしなかったことだけは判ります。
 江戸期の版本の値に詳しいわけではありませんが、状態が良くてもおそらく30万までは行かないのではないかと感じています。個人的な勝手な推測を言わせてもらうと、10万から高くて20まで。こんなところでしょうか。もちろん格別の付加価値が無い場合です。
 帙にも場合によっては付加価値があります。古典籍専門の古書店として知られた弘文荘の反町氏は、その取扱書に帙を誂えて渡すのを常としていました。氏は世界有数の古典籍商でしたから、この帙があるということはそれだけで品質を保証する証となります。在ると無しでは大違いが生じます。
 長くなったのでこれくらいにしましょう。
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この回答へのお礼

こんにちは。
ご回答にあるウェブサイトの順に一通りアクセスをしてみました。
こういう調べ方があるのだと感心致しました。
これから更に詳しく調べていきたいと思いますが、その前にご回答して下さったことに、お礼を申し上げます。

わたくしも同感でして、貴重な資料を公開している東北大学には頭が下がるばかりです。
ケンブリッジ大学にも本書が貯蔵してあるのですね。
これは大変助かりました。
少なくとも、英語しか分らない友人にも自分で調べられる方法があるということになります。
わたくしも重荷が軽くなった思いです。
ありがとうございました。

そして、活字版があるとは、大変興味深いですね。
これから早速図書館に行ってみたいと思います。
友人からの写真と東北大学の資料から、大変興味を感じましたので、
私自身も読んでみたいと思っていたところだったのです。

売値ですが、原本がなければ判断は難しいと説明した上で、オークションの情報も伝えようと思います。
本人が喜ぶのか悲しむのかは分りませんが、わたくしとしてはお父様が遺してくださった古書は80万円以上だと思っています。

それにしても、美しい古書ですよね。
写真の絵はなんとも美しく、いかに日本の歴史は中国の影響を受けたことが感じ取れます。

最後に、再度、ご回答いただいたことに感謝しております。
ありがとうございました。

お礼日時:2009/04/04 16:49

和書の初版か否かは刊記をみればわかるのですが、このようの複数冊の場合、最終冊にのみ刊記がある場合があります。

その場合その他の冊子が同じ版のものかそれとも入れ本で補充したものか迄は写真では到底鑑定ができません。普通は奥付で行けるのですが、偶にそうはいかない場合があります。後板(「版」ではありません)の場合は明らかなのですが、初刷か後刷かの別は現物を見ないと難しいです。
なお、前に回答が出ていますが、気になる事がありますので。
元々の本にはなくて買った人が帙を作る或いは作らせたものを「拵え帙」と呼んでいます。これは写真から見ても大分後の拵えと云う感じです。
題箋は正しくは「正徳年版・絵本故事譚・八冊」です。但し「絵本」と「画本」、「故事」と「古事」とは音通ですので使っている意味は同じです。
古書の相場は、状態や版の違いなどによって可也左右される事があります。又江戸期の古書の場合は書き込みがあった場合、誰の書き込みか内容によって又異なって来ます。特に高名な人や識見のあるとされている人の註解や補充などの場合は価格が上がる場合があります。
御参考にならば幸甚です。
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この回答へのお礼

こんにちは。ご回答ありがとうございます。
ご回答を読んで、わたくしが最初に発した言葉は「ひゃー!」でした。
「これをどうやって、英訳すればいいのでしょう」の「ひゃー!」は勿論ですが、「日本語なのに、日本人にも分らないわ」の「ひゃー!」が大きかったです。
恥ずかしながら、わたくしは辞書を片手に「奥付」と「後板」を調べながら、ご回答を読んでおります(*^ ^*)

ところで、現物を見ていただくには、どこにお願いをすればよろしいのでしょうか?
通常の骨董屋さんですと、学術的価値と骨董的価値の両方を分かっていただけるのでしょうか?

「正徳年版・絵本故事譚・八冊」ですが、実は、わたくしが気になっているのが、本人からの説明ですと全部で9冊の本があると言っていることなのです。
余分に1冊があるということなのでしょうか。。。

それにしても、「拵え帙」だけで大分後に添えられていることが分かるなんて、本当に奥が深いです。
ところで、「拵え帙」とは「そえちつ」と読むのでしょうか。。。読み方でさえ分りません。。。お恥ずかしい限りです(*^^*)

ご回答どうもありがとうございました。
古書の深さ、そして自分の知識の浅さを改めて気がつきました。

お礼日時:2009/04/04 15:49

 退隠生活のため手元に資料が無く詳しいことは申し上げられません。

次いでがあるので心がけておきますから、暫く(せめて2週間)このページを締め切らずにおいてください。又、事情に詳しい方からの回答が無いとは限りませんので。
 ご質問に対して、「回答、専門家、自信あり」という回答ができるのは、近世出版史に詳しく、特に『絵本古事談』について調査研究をされた方に限られます。そういう方がおられるのかどうかを、まず調べることからはじめ、おられなければ、次善の方法で、という具合になります。
 「帙」は普通、所蔵者が大事な本だと認めてあつらえるものです。書物本体ではないので、「帙」で値打ちは判断できません。ただ、帙入りで伝わった本は、当然保存状態が良いので、帙ナシよりは評価が高くなります。
 価値──には、学術的価値 と 骨董的価値 とがあります。研究者も、愛好家も、古美術商も、古書肆も、値打ち物に対してはそれぞれに思惑があります。
 本体の写真掲載を急ぐ必要はありません。
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この回答へのお礼

再度にご回答して下さり、ありがとうございます。
昨日は出かけておりましたので、お礼が大変遅くなりました。
お詫び致します。

はい、アドバイスを頂いたおとり、暫くはこちらのページを開かせて頂きますので、どうぞ宜しくお願い致します。

一昨日、友人にこれまでの情報をメールで送りました。
そして、彼女からはすぐに返信があり、返信から彼女が大変な興奮状態であることが分りました。
彼女の話では、お父様が残してくださったものなのに、インターネットで調べても、オーストラリアにいらっしゃる日本人に聞いても全くの情報が得られなかったとのことでした。
そして、なんとなく古いものでしょうということは分かっていたけど、まさか1700年代に初版されたものである可能性もあるとは思っていなかったようでした。
本人は、メールを受けてからすぐに大学の図書館で「山本序周」と「橘有税」を調べたそうです。
「山本序周」については情報を得ることができませんでしたが、「橘有税」については「famous artist」と分ったとのことでした。
英語と日本語の違いでしょうけれども、わたくしは「famous artist」と言われてなんとなく気が抜けました。

「帙」のことはよく分かりました。こういうものに全く知識のない私でも、「きっと価値があるから、わざわざカバーをつけたのでしょう。」ということは理解できます。
「価値」については、わたくし個人の考えでは「学術的の価値」に大変興味がありますが、本人はきっといずれの価値も知りたいのでしょう。

本当にどうもありがとうございました。
このように、知識人とご連絡ができて、わたくし自信大変光栄に思っております。ありがとうございます。

お礼日時:2009/04/04 15:07

正徳4年(1714)初版の『絵本古事談(えほんこじだん)』のようです。


8巻、9冊。山本序周・著 橘有税・画。
外装は「帙(ちつ)」と言います。発行時のものではないと思われます。旧蔵者があつらえ、題簽(だいせん)用に紙を貼り、書題を書いたもののようです(書き題簽)。(刷り題簽=印刷した題簽、ではなさそうです)。上の4字は「正徳年版」の順で読みます。書題は『繪本古事譚』で「絵」の旧字が使われています。
本体が正徳年間の初版初刷りであるのか、初版後刷りであるのか、再版であるのか、は わかりません。
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この回答へのお礼

非常に丁寧に、そして、分りやすくご回答して下さり、有難うございます。
いただいた情報をもとに『絵本古事談』を検索したところ、早稲田大学の図書館に保管してあることが分かりました。
インターネット上で内容を確認したところ、友人から送られた写真と同じでしたので、間違いなく『絵本古事談』です。
どうもありがとうございました。

ところで、本体が初版初刷りであるかどうかを確認するにはどうすれば良いかご存じでしょうか?

友人は、本書がどのくらい価値があるものかを知りたいそうです。
本書の「帙」が発行時当時のものでないということですが、価値が低くなるということでしょうか?
わたくしなどは、全く検討もつかないのですが、オリジナルの状態であれば、価値は如何ほどでしょうか?

お分かりの範囲で構いませんので、再度お教え頂ければ幸いです。

最後となりましたが、ご回答して下さったことに感謝しております。

お礼日時:2009/04/02 21:40

#1です。



気になって、ちょっと調べてみたところ、
「正徳」と言う日本の元号があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E5%BE%B3_ …
関連があるのではないかと思いますが、

「年」の下の文字がいまいち理解できません。
もし、ご友人に連絡できれば、上の4文字のクローズアップを再度掲載できないでしょうか?
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この回答へのお礼

早速にアドバイスを下さり、ありがとうございます。
「正徳」とは元号だったのですか。。。初めて知りました。
ということは、「正徳年○」と書かれてあるのですね。
何かなぞが一つ一つ解けていくようで、大変ドキドキして参りました。
もしかしたら、最後の字は「版」で、「正徳年版(?)」と書いてあるのでしょうか?
恥ずかしながら、わたくしには「豚」という字に見えて仕方がないのです。。。(^^;)
写真のことは、早速に友人に連絡してみます。
明日にでも写真送ってもらえることと思います。
その際には、勿論可能であればで結構ですが、またアドバイス頂ければ幸いです。
本当にどうもありがとうございます。

お礼日時:2009/04/02 19:36

>「年○○徳 本古事譚 八冊」



とありますが、
昔の綴りは右から始まります。
それで、一番上、右のの文字は「正」ですね。

ざっと見て、このくらいしか分かりません。
他の方のお答えと総合してご判断ください。
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この回答へのお礼

早速に、アドバイスを下さり、ありがとうございます。
小学生時代に国語の先生から「古典は右から読み始めるのよ」と教わったことを貴方様のアドバイスで思い出しました(*^^*)
「正」と読むのですね。
わたくしは、「区(?)」、「臣(?)」、「匹(?)」とハテナの連続でした。
ありがとうございました。

お礼日時:2009/04/02 19:26

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