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大学で債権の証券化について学んでします。私の読んでいる本(渡辺裕泰氏 ファイナンス課税 有斐閣)には証券化に際してのポイントで次のような記載があります。

「債権の譲渡については平成10年の「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」が施行され、法人の有する指名金銭債権については、債務者の承諾が無くとも債権譲渡を登記することで第三者対抗要件を具備できることになった。」

ここまではわかるのですが、次からの記載が全くわかりません。

「債務者対抗要件については、債務者の保護を重視した結果、特例は設けられていない。オリジネーター(原債権者)がサービサーとして債務者から債権の回収を行っている間は、第三者対抗要件のみで通常は問題が生じない。しかし、サービサーが交代するような折には、債務者対抗要件を備えるため債務者に当期事項証明書を交付し、かつ債務者に対して通知しまたは債務者が承諾することが必要となる。(動産債権譲渡特例法4条)」

申し訳ございませんが後半部分についての解説をお願いします。

A 回答 (4件)

>全体の流れでは債権譲渡の登記だけではなく、登記事項証明書を交付し、債務者に対して通知または債務者からの承諾が必要になる



まあその通りなんだけど、動産債権譲渡特例法ってのは制度的には、特に集合債権譲渡担保を確実にするための法制度なのよね。債権譲渡担保は債権譲渡の方式によるんだけど、集合債権譲渡担保だと担保となる債権が入れ替わるからそれを一々債務者に通知するのは手間が掛って現実的でない。また、担保権設定者も担保権設定の事実を第三債務者に通知したくないという事情がある場合も少なくない。
それに、被担保債権を弁済すれば債権は元の債権者に戻って来る。そうすると、譲渡担保権者は必ずしも自身が債権を行使するわけでもないから債務者に対する対抗要件は不要。あくまでも最終的に債権者として権利を行使をするまでには債務者に対する対抗要件が必要になるけど実際に行使しない可能性があるのならその段階ではまだ債務者に対する対抗要件はなくてもいい。
という話を前提にした制度であると理解した方がいいかも。結局は、債務者に対する対抗要件と債務者以外の第三者に対する対抗要件が民法上は同じものだけどそれを別ものとして切り離すことを目的とした制度と言っちゃった方が解りやすいかな。

ああ、質問にある「オリジネーター(原債権者)がサービサーとして債務者から債権の回収を行っている間」という記述の意味は、原債権者が自らの有する債権を集合債権譲渡担保の目的としたが、当該債権の回収は未だ自身が行っており、譲渡担保権者が債権回収を行ってはいない状態ということかもしれないね。


なお参考として付言しておくけど、債務者に対する対抗要件が権利行使段階までに備えればいいというのはあくまでも 遅 く と も であって、対抗要件を備える前に生じた事由による抗弁を受ける可能性を考えればできるだけ早く備えておいた方がいい場合もある。


ところで細かいところだけど、一箇所間違いがあったので訂正しとくね。
3番の回答の一番最後の段落に、
>>動産債権譲渡特例法を見れば解るとおり、民法とまったく同じではなくて、通知または承諾ではあっても確定日付ある証書である必要はなくて登記事項証明書を交付すれば良いとはなっている。
と書いたけど、これは債務者に対する対抗要件のお話。民法では債務者に対する対抗要件としては「確定日付ある証書」は必要ない。さんざん書いたとおり通知または承諾だけで十分。従って、以下のように訂正。

動産債権譲渡特例法を見れば解るとおり、民法とまったく同じではなくて、単なる通知または承諾ではなく登記事項証明書を交付しなければならないことになっている。
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書き方が拙かったみたい。



まず、対抗要件は実質的に二種類あるということを押えよう。つまり、
 債務者に対する対抗要件

 債務者以外の第三者に対する対抗要件
の二種類がある。本来は同じものだけど違うと思っていいんでとりあえず違うと思っておいて。先の回答で、
>>債務者対抗要件と債務者以外の第三者対抗要件は違うと思っていても実害はない
と書いたけど、むしろ違うと思った方が理解しやすいかもしれない。趣旨が違うから。債務者に対する対抗要件の制度は、 債 務 者 の た め だけど、債務者以外の第三者に対する対抗要件の制度は、 債 務 者 の た め で は な い から。

という前提で話をする。結論から先に言えば、質問の箇所は、それぞれ別の対抗要件の話をしていると思えば良い。後者は、債務者に対抗するための対抗要件であり、前者は、債務者以外の第三者に対抗するための対抗要件。

>下から3段落目の「でも民法による・・・」では債務者とは無関係に対抗要件を備えられるようになったとなってしますが、

これは
 債務者以外の第三者に対する対抗要件
のお話ね。民法では467条2項で定める対抗要件。内容は、確定日付のある証書による通知または承諾。
これはあくまでも
 債務者以外の第三者に対して
債権譲渡の事実を対抗するための要件なの。具体例は、債権の二重譲渡とか差押え転付命令と債権譲渡とか。
これは、
 債務者に対して自分が債権者であることを主張するための対抗要件ではない
のね。だから債務者がこの対抗要件が問題になる場面は、債務者以外の第三者が相手なのだから債務者は関係ないわけ(実は細かい議論はあるけどとりあえず略)。元々、民法が通知または承諾を対抗要件としているのは債務者が債権譲渡の事実を知ることができるようにってことなんだけど、これは債務者以外の第三者に対する対抗要件の場合、
 債権譲渡の公示方法がなく、債務者をして債権譲渡の公示機関とするため
なの。つまり、債権譲渡の事実を債務者に知らせておけば、債権の譲受人が債権譲渡の事実について知りたければ債務者に問合せれば良いことになるということなの。だけど、他に確実な公示方法があれば別に債務者に公示機関の役割を負わせる必要はないの。債務者にとっては債権譲渡の事実は自分の弁済に関わらない限りどうでも良いことだから、自分に関係のない限りは別に知っておく必要はないでしょ?即ち、この対抗要件は
 債務者の利益のためにあるわけではない
ってこと。それならこれを民法の原則である通知または承諾のように債務者が債権譲渡の事実を知ることになる方式以外の方式にしても特に問題は起らないってこと。だから、動産債権譲渡特例法で登記という
 債務者の関与しない形態の対抗要件を認める
ということにしたわけね。債務者に主張するための要件じゃないから債務者が知らなくても債務者保護に欠けることはないのでオッケーってことなの。だから、
>>少なくとも債務者以外の第三者対抗要件としては債務者は関与しなくて良いじゃんってこと
なわけ。

ところが、

>その次の段落では債務者のあずかり知らないところで債権譲渡と対抗要件具備なんてことになったら債務者が困るとなっています。

こちらは
 債務者に対する
対抗要件の話、つまり467条1項の対抗要件の話なのね。こちらは、譲受人が債務者に自分が債権者であるという主張をする場合なんだけどそれって結局、弁済の請求をすることに他ならないわけ。ところが債権譲渡は勝手にできる。そうすると、債務者の全然知らない人が請求してこないとも限らないわけね。となると譲受人が本当に債権者なのか債務者は確認しないといけないのね。ところがそれが簡単にできるとは限らない。だから
>>債務者のあずかり知らないところで債権譲渡と対抗要件具備なんてことになったら債務者が困る
ってことになるわけ。債権譲渡はあくまでもあずかり知らないところでできるの。これはしょうがない。だけど、対抗要件については、
 少なくとも債務者との関係では
債務者のあずかり知らないところで具備できることにしてしまうと、債務者が非常に不利になっちゃうの。
 弁済は義務なので抗弁事由がない限り拒絶できない。
 でも誰に弁済するかは非常に重要な問題。
ところがもし仮にここで
 債権者が替ったことを債務者が知らないでも新債権者が債務者に当然に弁済を請求できる。
なんてなったら債務者は、請求してきたのが本当に債権者かどうか確認する時間が必要だがその間に履行遅滞責任を負わされる可能性があるという著しく不利な立場になるでしょ?だから、債務者に対抗するには民法の原則どおり債務者が債権譲渡の事実を知らないといけないということになるわけ。つまり、通知または承諾が必要と。これは債務者をして公示機関の役割を果たさせて債務者以外の第三者の便宜を図るためではなくて、
 純粋に債務者自身の利益のため
に必要な対抗要件なのね。だから、債務者以外の第三者に対する対抗要件とはまったく趣旨が違うの。債務者の利益を図るには債務者が知ることができないと困るから、通知または承諾をなくすわけにはいかないってわけ。

もっとも、動産債権譲渡特例法を見れば解るとおり、民法とまったく同じではなくて、通知または承諾ではあっても確定日付ある証書である必要はなくて登記事項証明書を交付すれば良いとはなっている。だけどここで重要なのは、
 通知または承諾が必要であり、これは債務者に譲渡の事実を知らせて弁済の時に困らないようにするため
ということ。債務者以外の第三者と債務者自身とでは、同じ対抗要件でも全くその意味合いが違うってことなの。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。次のようになると解釈してもよいでしょうか。
 「債権者Aが債務者Dに対する債権をB、Cの2人に二重譲渡した場合、BとCとの間でどちらが権利者であるかが争いになる。このようなとき、Bが先に動産債権特例法4条1項の登記を済ませていれば、BはCに対して自分が正当な権利者であることを主張できる。この場合債務者Dは何も関与していない。
 一方で、債務者Dに対しては、譲渡先の債権者Bから弁済を請求されたときの為に、動産債権特例法4条2項の登記事項証明書を交付して通知して、またはDからの承諾が必要である。」
 この解釈でよければ、全体の流れでは債権譲渡の登記だけではなく、登記事項証明書を交付し、債務者に対して通知または債務者からの承諾が必要になるということですね。

お礼日時:2009/05/23 23:56

まず債権譲渡の基本を抑えようよ。



民法の債権譲渡の対抗要件について大雑把に説明するよ。
債権譲渡ってのは債権者と譲受人の間の契約だけでできるんだよね。そうすると債務者は第三者として蚊帳の外なの。でもそれじゃあ債務者が知らない間に債権者が替ってしまうことになって債務者は一体誰に弁済して良いか判らなくなったりして困っちゃう。そこで債権の譲受人が債務者に対して自分が債権者になったという主張をするために対抗要件を必要としたの。これが債務者対抗要件ね。つまり、債務者に対して一体誰が「俺が債権者だ」って主張できるのかって話なの。

債権譲渡の効力を債権譲渡契約の 第三者である債務者 に対抗するんだからその意味で立派な対抗要件だよ。条文にもはっきり「債務者その他の第三者」と書いてある。「その他の」という言葉はその前の言葉が後の言葉の例示であるのが通例。つまり、債務者は第三者の例示であって、第三者に含むってことだ。そしてその対抗要件は、債権譲渡の通知または承諾。通知ってのは、債権の譲受人が債務者に対して「俺の持ってたお前に対する債権を誰それに譲渡したから、そいつから請求があったら払ってやれ」ってなことを知らせることね。一方、承諾ってのは債務者が譲受人に「あんたが誰それが俺に対して持っていた債権を譲り受けたって聞いたから、あんたが請求して来たらあんたに払うよ」ってなことを言うわけね(実際にこんな言い方はしないよ、もちろん)。

で、この対抗要件がない限り、債権譲渡の譲受人が債務者に請求しても「あんたには払う義務がない」って言えちゃうわけ。つまり、債権の準占有者に対する弁済が有効になるとかそんな話は関係ないの。そもそも債務者が弁済を拒否できるって話なの。だって、通知または承諾があれば善意無過失ってことはありえないけど、通知または承諾がなくて債権者に対する対抗要件を備えていなくたって債務者が悪意または有過失であれば478条で有効にはならないんだから。だったら対抗要件とは別問題じゃん。
誰がなんと言おうと478条は別問題。これはしっかり理解しようね。

一方、債務者以外の第三者(この言い方は条文の文言どおりだけど明らかに債務者が第三者であることが前提だよね)に対抗する必要がある場合がある。本来は、譲渡人と譲受人と債務者の関係だけで良いはずなんだけど、世の中には悪人もいて債権を二重譲渡しちゃったりするわけだ。そうすると、二人の譲受人がそれぞれ自分の債権譲渡契約の第三者であるもう一人の譲受人相手に自分こそが債権者だって主張をしなければいけないわけね。そこでどっちの主張を認めるかを決めるのが債務者以外の第三者に対する対抗要件ってわけ。もちろん、二重譲渡だけじゃなくて債権譲渡と差押え転付命令が競合するような場合とかもあるけどね。

で、この場合の対抗要件は、確定日付のある証書による通知または承諾。

実は、条文を読めば明らかだけど、第三者対抗要件は 債務者に限らず 467条1項により通知または承諾なんだよね。だけど、同条2項により債務者以外の第三者は単なる通知または承諾だけではだめで確定日付のある証書によれ、と要件を加重してるの。まあだけど、債務者対抗要件と債務者以外の第三者対抗要件は違うと思っていても実害はない。法律的に厳密に言えば、どっちも同じだけど債務者以外の場合には確定日付にある証書という要件を加重していると言うべきだけどね。ともかく、債務者も第三者だからあくまでも対抗要件だよ。

これが民法の債権譲渡の対抗要件の概要。

でも民法による確定日付のある証書による通知または承諾って色々問題があるわけ。そこで、特に法人は債権取引の機会も多いこともあるから、法人による債権取引を円滑にするために債権譲渡を登記により公示可能にして、債務者と無関係に対抗要件を備えられるようにしたってわけ。先に述べたけど、債権者も含めた第三者対抗要件は通知または承諾でしょ?これは債務者への通知、債務者による承諾なんだから当然、債務者が関与することになるわけよ。でもそんなのも面倒だから、少なくとも債務者以外の第三者対抗要件としては債務者は関与しなくて良いじゃんってこと(凄い大雑把な言い方だよ)。そこで動産債権譲渡特例法4条1項で、登記があれば確定日付のある証書による通知または承諾があったとみなすということにして民法467条の要件を満たすようにしたわけ。ちなみに法律上はあくまでも民法467条の要件を満たさないといけないんだな。特例法は民法467条の要件を満たしたものと扱うための規定でそれ自体は実は債権譲渡の要件の規定じゃない。まあ細かい話だけど。

だけど、債務者対抗要件はそうは行かないでしょ?だって、債務者の知らないところで起った債権譲渡について債務者の知らないところで対抗要件を備えたなんてことになっても債務者は良い迷惑じゃない。いきなり「俺が債権者だ。金払え」って言われても「いや、通知がないし承諾もしていないから払わない」ってやるんだけど、「残念だが登記があるから拒否はできない」って言われても本当に登記があるのか判らない。「確認するまで待て」と言っても「その間履行遅滞になる」って言われたら困るでしょ?だから、質問にある、「特例は設けられていない」ってことになるわけ。あくまでも債務者のあずかり知らないところで債権譲渡と対抗要件具備なんてことになったら債務者が困るから、債務者に対抗するには民法とほぼ似たような内容の動産債権譲渡特例法4条2項の規定(確定日付のある証書の替りに登記事項証明書の交付を要する)によりなさいよってことになるわけ。

ただ、質問の文は変だね。「オリジネーター(原債権者)がサービサーとして債務者から債権の回収を行っている間は、第三者対抗要件のみで通常は問題が生じない」とあるけど、原債権者が債権回収しているってことはつまり債権譲渡してないってことじゃないのか?だったら第三者対抗要件も必要ないけどな。

この回答への補足

非常に丁寧な解説ありがとうございます。
「一方、債務者以外の第三者・・・・」の段落に二重譲渡の話がでていますが、ここの意味がよくわかりません。
譲受人がさらに別の人に譲渡するということでしょうか?
A⇒B⇒Cという流れで譲渡されて、AとBがそれぞれCに対して自分が債権者だっていう主張をするということでしょうか?
この場合、確定日付のある証書による通知または承諾によりどちらかの主張が認められるってことでしょうか?
なんか頭がこんがらがってきました。。
民法って難しいですね。

補足日時:2009/05/20 00:59
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この回答へのお礼

すみません。補足の質問は解決しました。たいした問題じゃなかったです。
別の点がわからなくなってきました。
下から3段落目の「でも民法による・・・」では債務者とは無関係に対抗要件を備えられるようになったとなってしますが、その次の段落では債務者のあずかり知らないところで債権譲渡と対抗要件具備なんてことになったら債務者が困るとなっています。
下から3段落目と2段落目の関係がよくわかりません。

お礼日時:2009/05/21 22:16

準占有者への弁済を定めた民法478条との関係で当該弁済が善意債務者にとって有効となりうることへの対抗要件を定めたものと考えられます。


債権譲渡の対抗要件は通常債権の帰属についてですが、債務者対抗要件(厳密には対抗要件という使い方はおかしい。対抗要件は第三者対抗要件として使用するのが本来の用法)はあくまで弁済の効力についてを問題にします。そして債務者が善意で弁済した場合、478条により弁済は有効となり債務者は保護されてしまいます。
それでは債権者に酷な場合もあるので債務者への対抗要件として債務者への通知または承諾を特例法4条で要求したものと考えられます。
この要件を充足すれば特例法4条により478条による準占有者への弁済の保護は排除されます。
このように解釈するのが妥当と考えます。
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