「弱毒性のウイルスでも、人から人への感染によって、突然変異を
起こし、弱毒性から強毒性に変化する可能性があるから、
極力、感染が広がらない努力をしなければならない、」という話を
聞きます。
しかし、聞きかじりの知識では、H1N5などの強毒性に変異するためには、
別の種を媒介しなければならないと聞きます。

ならば、人の間で感染してるだけなら、弱毒性から強毒性に変化する
可能性というのはそんなに高くないので、それほど過敏になる必要は
ないと思うのですが、この意見は間違ってるでしょうか?

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A 回答 (6件)

 獣医師でウイルスに専門知識を有しています。



 最初にインフルエンザウイルスの「強毒型」と「弱毒型」について説明します。

 他の方の回答にもありますが、要するに強毒型とは「全身臓器に感染することが可能なタイプ」、弱毒型は「気道と腸管の粘膜上皮でのみ感染・増殖が可能なタイプ」です。
 ただし、この「気道と腸管のみ」あるいは「全身臓器に感染可能」というのは、そもそも"鶏に対する病原性"として定義されたものです。鶏に対して全身感染を起こすウイルスが、他の動物に感染した時に全身感染を起こすかどうかは当面関係ありません。HA蛋白そのものは全身感染が可能な形になっていたとしても、鶏以外の動物の"他臓器"にウイルスのレセプターがあるかどうかは別の話ですから。
 現に、東南アジアで鶏からヒトや他の動物に感染して高い致死率をもたらしている「強毒型」のウイルスも、他動物に感染した際には必ずしも全身感染を起こしているわけではありません。

 強毒型や弱毒型は、上にも述べたとおりHA(ヘマグルチニン)蛋白の形が重要なわけですが、このHA蛋白はA型インフルエンザウイルスでは16の亜型に分類されていて、ソ連型はH1、香港型はH3、そして今回の新型はH1亜型に分類されるのはご存じのとおりです。
 そして、「強毒型」に変異するのは、現在では「H5とH7亜型のみ」ということになっています。他の亜型が絶対に強毒型に変異しないとは言い切れないのですが、まあ今回のH1亜型が「強毒型」に変異することはないでしょう。全財産を賭けろと言われたら、まずほとんど全てのウイルスの専門家が「強毒型にはならない」方に賭けると思います。

 ですが。
 インフルエンザウイルスの病原性というのは、当然ですが感染臓器の選択性によるものだけではありません。スペイン風邪は最初から最後まで、そして現在に至るまで(今のソ連型はスペイン風邪の子孫です)、弱毒型のままでしたが、それでも2%という極めて高い致死率を記録しました。

 ちなみに東南アジアの鳥インフルエンザやエボラなど、50%とか60%といった激烈な致死率を持つ感染症の恐怖で脅されているためか、2%程度の致死率ならたいしたことない、と思う人が多いようですが、単一の感染症としては2%の致死率は非常に高い方ですよ。感染力まで合わせて考えると、「人類史上最悪の伝染病」を挙げるとすればスペイン風邪は最有力候補のひとつでしょう。

 さて、そういう意味での「強毒変異」は、どんなウイルスも常にその可能性を持っています。言葉の定義が紛らわしいので混乱される方が多いようですが、「弱毒型」のままでも「強毒変異」する可能性は普通にあるわけです。(つまりここでの"強毒変異"は、単に病原性が強くなると言う意味)

 今回の新型で最も懸念されているのは、この「強毒変異」です。くどいようですが「弱毒型」のままで、という意味です。
 これは過去にもスペイン風邪などで実例がありますし、アジア風邪にしろ香港風邪にしろ、大流行の第一波より第二波の方がなぜか病原性は高い、というパターンがあります。(スペイン風邪は第一波の途中で強毒変異してしまったことが、被害が桁違いに多かった要因のひとつではあるでしょう)

 というわけで、対策が後手に回って爆発的な感染拡大を許してしまうと、どこかで"強毒変異"してしまって突然致死率が上がる、という懸念があるわけです。
 感染拡大の速度を少しでも遅らせることができれば、強毒変異する前にワクチン製造が間に合うかもしれませんし(ワクチンによって免疫を賦与できれば、ウイルスの病原性が強くなっても被害の増大は抑えられるかもしれません)、たいした強毒変異をしないまま終息させることもできるかもしれません(終息というより、そのまま人類に定着して"季節性インフルエンザ"になるのでしょうが)。

 異種動物との混合(遺伝子再集合)については、これは別に今回のウイルスの問題ではなく、季節性インフルエンザもまったく条件は同じです。
 中国で強毒型に感染した渡り鳥が日本にやってきても(現に去年、やってきましたが)、その鳥の死骸を素手でさばくなどといった無茶をしなければヒトには感染しません。もし簡単に感染するのなら、今頃東南アジアではヒトが全滅してます。
 「ウイルスを持った渡り鳥が日本に来る」→「そのウイルスが飼育されている鶏に侵入する」→「鳥インフルエンザが鶏で発生してウイルスが爆発的に増える」といった過程を経なければ、ヒトへの鳥インフルエンザ感染と新型との混合のリスクが現実問題として懸念しなければならないようにはなりません。

 そもそも普段の季節性インフルエンザだって豚に感染しますし(豚インフルエンザのH3亜型は、元々ヒトの香港型が豚に感染したものです)、それで「さらなる新型」が出現してしまうリスクは、本質的に新型も季節性も変わりません。
 というより、そもそも今回の新型がそうやって産まれたウイルスです。いわばこれが「結果」です。

 今の状況で異種動物との混合を心配するのは、例えるなら家が火事で既に燃えているのに、ガスの元栓を閉めたかどうか心配しているようなものです。その前に火勢がますます強くなるかどうかを心配しなければ。

 というわけで、「強毒型」と「弱毒型」は、インフルエンザの分類の1つ、というくらいに認識していただいても差し支えありません。
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この回答へのお礼

皆様、詳細なご講釈ありがとうございました。

「強毒型」という言葉の使い方の意味よくわかりました。
強毒型になるためには異種動物との混合が必要でこの変異がおこる
確率はかなり低い。
けれど、弱毒性のウイルスが強毒化することはありえて、たとえ2%の
死亡率といっても馬鹿にはできない。ということですね。

また感染拡大を防ぐことは
・強毒化やワクチン耐性ウイルスへの変異を遅延させる
・医療機関のパンクを防ぐ
・新しいワクチンの開発

などの意味があるということですね。
よくわかりました。

ご回答をいただいた皆様、どうも有り難うございました。

お礼日時:2009/05/21 08:27

私も最初はそう思っていました。

しかし周囲が直撃を受けている今、少し考えが変わりました。
とにかく未知のものです。弱毒性だからそれほど危険ではないからということとは関係なしに、最初は過剰すぎるくらいでいいんではないでしょうか。

ワクチンもなく免疫がある人が皆無というものなので、周囲で流行り出したら、通常の季節型インフルエンザよりも感染する確率は高いでしょう。
医療体制も整っていないですし、もし感染が疑われる場合どうすればよいかと言う情報も一般市民には伝わりきれていません。(現にマスコミでも再三「まず電話で相談を」と言っているにもかかわらず、直接外来する人が後を立たないそうですよね)
全面休校や人が集まるイベントの自粛もなく、マスク着用・手洗い・消毒、などの注意喚起が徹底されなかったら、もっと爆発的に感染が拡大する可能性もあります。もしそうなってしまったら、病院の許容量はあっという間に超えてしまうでしょう。タミフルも3800万人分の備蓄があるとは言っても、爆発的に拡大すれば「余裕がある」とは言えなくなるかもしれません。数が多くなれば確実に混乱も増えると思います。

とりあえず7日間は厳重な体制を取って、感染拡大を「遅らせて」その間に体制を整えていく、という方法は妥当だと思います。

もっと言うと、関西以外の地域の場合、「前例」があるだけまだラッキーだと思いますよ。
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日本国内で豚や鳥が飼われていなければいいのですが、少なからず飼われていますし、国によっては豚と鳥、人間が接近して生活しているエリアはたくさんあります。


交通網の発達した現在は、発生国からの飛行機だけを検疫しても、実際は納屋の戸を5枚中3枚ぐらいしかしまた効果しかないかと思います。

現在のところ一般のインフルエンザほどは人が死んで無いですよね。
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/inf-rpd/ …
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まず、インフルエンザウイルスの強毒・弱毒というのは毒が強いとかの問題ではないことを認識してください。

気道の細胞から分泌される特定の酵素がないと増えられないタイプのものは気道でしか増殖できない弱毒性、体内のどこにでもある酵素を利用できるタイプは体中で増殖する強毒型(高病原性)という分類になります。この違いはヘマグルチニン(HA)という表面構造の差違に由来します。

問題の2009年新型インフルエンザはA型インフルエンザの亜種であり、A型は元来内部変異型の多いタイプです。またRNAウイルスそのものも突然変異が起こりやすいものであり、内部変異によって強毒性(通常の酵素を利用できるタイプ)への変異を遂げる可能性もゼロではありません。

しかし最も怖いのは、他種との接触です。RNAウイルスは交配を行うわけではなくRNAコピーで増えるので、複数種が同時感染すると用意に遺伝子再集合が起こります。
たとえば現在、中国青海省ではH5N1型鳥インフルが発生中です。H5N1型は現状、鳥→ヒト感染の能力を獲得しているのはご存知の通りですが、例えば中国から感染した鳥が飛来し、それが日本人に感染し、たまたま潜伏中の2009年新型インフルエンザとH5N1型が日本人の体内で出会い、強毒性とヒト-ヒト感染性を持ち合わせてアウトブレイク、ということもあり得るわけです。
また、鳥と濃密に接触する職業のヒトに感染する事で、鳥の体内で上記の事態が起こる事も考えられます。

インフルエンザウイルスは生物の体内でしか生存、増殖できません。それ故、感染を広げないことで変異の機会を少しでも減らす、というのが大きな意味を持ってくるのです。
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たくさんの人間が感染することで「別の種」との接触確率が増します。



質問者さんのおっしゃる通り過敏になりすぎる必要はありませんが、注意は必要でしょう。
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弱毒性から強毒性へ変異する脅威もありますが、弱毒性のままでも妊婦さんや体の弱いお年寄り、幼児については、死に至る可能性がゼロではありません。



また、一般人についても熱は39度を超えてきますので、爆発的に増えた感染者が、一気に診療を受けた場合は病院も薬もパンクします。
病院で適切な処理を施されないと、病状は悪化し、肺炎などを併発し出すと、一般の大人であっても死に至る可能性も増大します。

今現在の新型インフルだけで考えれば、過敏になる必要はありませんが、出来るだけ一気に感染しないし、感染させないように各人が出来る限りの努力をする必要はありますね。

今回の新型インフルで一番恐れられているのは、毒性の強弱よりも、その感染力の強さなんです。
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