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報道のとおり、2005年4月のJR福知山線脱線事故で、神戸地検は2009年7月8日、JR西日本の社長を業務上過失致死傷害罪で在宅起訴しました。

同地検は、同社長が1996年12月、当時鉄道本部長として、JR函館線の貨物列車脱線事故について「自動列車停止装置(ATS)があれば防げた」という報告を受けていた点から、「速度超過による事故の危険を容易に予見できた」と判断。「(福知山線脱線事故の現場の)カーブの危険性を認識できたのに、経費の増大を懸念し、ATSを設置しなかった」と不作為の過失があったとしたようです。

ところで、ATSについて、私は、これは赤信号を冒進しようとする際に強制的に停止させるものであり、速度超過を排除したいのであれば、ATC(自動列車制御装置)の方が適切なのではないのか、と思ったのですが、お詳しい方のご見解を伺いたく質問しました。

よろしくご教示のほどお願いいたします。

A 回答 (12件中1~10件)

こんばんは。



そもそもなんですが当時福知山線に設置されていたATSは「ATS-SW型」と呼ばれるもので、地上子を設置して設定さえすれば列車の速度を監視し、規定速度を上回る場合は列車の非常ブレーキを動作させることができます。これはNo.5さんも仰っていますね。

ATS-Pが設置されていたら事故は防げたという事はありません。着目すべきポイントは、事故が起きたカーブ手前に速度照査用の地上子が設置されていたかどうか・・・ これにつきます。

速度照査に関して言えば、ATS-Pは速度制限区間までの残り距離を計算し速度超過を行わないように常用最大ブレーキで減速させ、制限速度まで減速した後はブレーキは緩んでそのまま運転継続できる保安装置です。

一方ATS-SWでもATS-Pと同様に速度照査を行うことが可能で、速度超過の可能性がある際に非常ブレーキを動作させて列車を停止させることができます。
但しATS-SWの速度照査に引っかかって停止してしまう事は通常の運転では考えられないので、停止してしまった列車の運転士は輸送指令に確認を取り、指令から出発許可を受け取らない限り再度列車を発車させることはできません。

福知山線に設置されていたATS-SWですが、確かにATS-Pと比べると旧型のATSであることは間違いありません。しかしこのATS-SWを旧型と言い切ってしまうと、ATS-Pを除くJR各社のATSは全て旧型となってしまうわけで・・・

補足しておくと、当時ATS-Pの設置が進んでいたのはJR東日本の首都圏各路線と、山形・秋田新幹線、JR西日本の大阪環状線、阪和線くらいだったと思います。JR東海やJR北海道、JR四国、JR九州ではATS-Pは現在に至るまで設置されていません。

それでも速度照査を行いたい箇所の手前に地上子を設置することで、メディアが旧型と言んでいる各社のATS(いわゆるATS-Sx系)でも速度照査を行うことは可能です。

それでは何故、当該のカーブ手前に地上子を設置していなかったのか・・・という話になるのですが、見聞きした限りでは福知山線は近い将来ATS-Pを設置する予定だったということらしいですね。
近い将来ATS-Pを設置する以上、速度照査に引っかかった際に非常停止させてしまう点で機能が劣るATS-SWの地上子をわざわざ設置するだけの費用を見出せなかったと。

地上子を設置して速度照査パターンのプログラミング作業に多大なコストがかかるのはATS-PもATS-SWも同じとは言え、判断を誤ったのは確かですね。

※ここではあくまで、曲線等の任意の箇所で速度照査を行うという観点からコメントをしております。ATSの本来の役割である停止現示手前で停止させる機能についてはATS-SWよりATS-Pが優位なのは確かです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。大変参考になりました。

お礼日時:2009/07/15 12:56

福知山線には旧型ATSが設置されていました。


もともとJR宝塚線は、昔は非電化だったとういうぐらいのローカル路線でした。1986年に複線電化、JR東西線の開通で、近年急成長してきた路線です。
車両は、東西線の車両が使われていて都市近郊路線に見えますが、大和路線、阪和線などと比べれば、まだ本数は少ないですし、それが事故の原因とも言われています。

それ以前に、ATSが無くても、現行の鉄道システムでは、基本的には事故は起きません。また、旧型ATSであっても、運転士がちゃんと確認すれば、事故は起きないんです。

問題は、サービス優先で、遅れを認めなかったJRに責任があるといえますが、JR西日本は、東海道に比べて基盤の弱い山陽新幹線と首都圏に比べて弱い京阪神を持ったので、「ひかりレールスター」の投入や「223系新快速」の速達化は客の立場からはかなり良いですし、便利です。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2009/07/15 12:55

技術的には、ATS-Pがあれば、事故は防げたでしょう。


しかし、全路線に取り付けるには、経済的に厳しいものがあります。
歩道だって、すべての道についてるわけではありません。
また、JR西日本は、東海、東日本にくらべて、あまりお金も無く、北海道、九州、四国のように国が基金を用意をしているわけではないので、一番JRの中で、厳しかったといわれています。
また
現在、ATS-Pを取り付けるために、お金を使っているので、あまり新車が出ません。山陽・山陰・北陸は、一般車両はすべて国鉄型車両です。

カーブがきつくなったから、事故が起きたと書いてありますが、あそこより、もっときついカーブなら尼崎発車後の橋をわたる際にあります。
また、きつくなったおかげで、宝塚線、東海道線、東西線、学研都市線は、一気に便利になりました。


なお、福知山線脱線事故の報道はでっち上げが多いので、気をつけてください。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2009/07/15 12:55

遺族側はとにかくATSの不備に重点を置くことに固執したがっていますが、


実際にはカーブの勾配の微調整やらレールガードの整備やら、急カーブの
線路ぎりぎりの土地まで他人に使わせて(売って)しまうことやら、
『ラッシュ時は根性で間に合わせるもの』という一言で片付けるにも
限界がある(旧日本軍の気合精神で片付けるみたいなもの)こととか、
利用者自身も無理して乗車せずに次の列車に乗るなり一本早い列車に
乗れるくらいの余裕を持って行動するなり・・・と、他の要因の方が
影響として大きいと思います。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2009/07/15 12:54

技術的にはATCの設置でも事は足ります。


ATSは自動列車停止装置ですので、最終的には列車を自動的に停止させるもので、停止信号に対する冒進を防ぐ目的で設置されます。
現在はいろいろなタイプがあり、ATCの機能を兼ね備えたものなどがあって、ATS何型などと言いますが、全てを総称してATSと呼びます。

歴史的には、三河島事故などの戦後復興期に発生した重大鉄道事故を教訓にATSが設置されたため、一般には事故を防ぐために自動的に列車の速度を落とす設備を全てATSというような風潮があります。
また、速度制限で速度を落とすのは、そこに常に注意信号など進入速度を制限する信号があるようなもので、技術的にはATSと同様な物という理解もできます。

起訴する側からは、事故の危険を「容易に予見できた」かどうかの問題で、ATSとATCの違いは関係ありません。「JR側は使用しているATS設備に対応する速度超過照査・制御の装置を設置する事によって、事故は未然に防げたはずである」といった論点です。すなわち、「予見できた事に対して、経済的負担をおそれて危険を放置した」という不作為の過失が問題で、現実的な解決策として「ATS設備(何型をさしているのかはわかりませんが)の設置という方法があり、十分に設置する経済的な余裕があった」と言う事なのでしょう。
安全確保のための最善策がなんであったかではなく、金銭面なども考慮して、現実に設置できる余裕があると判断できる設備、すなわちATSすら設置しなかったのが不作為とされているようです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2009/07/15 12:53

報道の仕方が完全に間違っていますね。


ATSではなくATS-P型と言わないと正しくはありません。
現在の報道を見る限り、福知山線(宝塚線)にはATSが整備されていなかったように誤解されてしまいますね。

この回答への補足

ご回答ありがとうございました。すると、当時の事故現場区間には、旧型ATSが設置されていたのでしょうか?

補足日時:2009/07/13 14:49
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ATC から ATSーP に変更した路線もあります。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8F%E6%AD%A6% …

ATCにすると、 対応車以外の車輌が乗り入れられなくなる。
長距離列車が走行する可能性のある線は無理
一分の線だけ高性能にすることには無理があります。

参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8F%E6%AD%A6% …
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。確かに長距離路線の特定の区間のみ高性能にするのは不合理ですね。参考になりました。

お礼日時:2009/07/13 14:49

この事故を防ぐだけならATS-P(俗に言う新型ATS)を設置しなくとも、ATS


(旧型ATS)でも事故は防げたはず。カーブ手前の地上子の配置を変え(増やし)
制限速度以上なら列車を止める設定にしておけば事故はなかったでしょう。
ただ旧型ATSなら列車を止めるだけの機能しかないですが、新型ATSなら
指定の速度までスピードを落としてカーブを通過させることは可能です。

今回の事故に限れば想定外の速度を出して運転する事が仮にあったと
しても事故が起きないように速度を落とす「保安装置」さえ設置して
いれば事故は起きなかったでしょう。
「保安装置」とは旧型ATSでもATS-PでもATCでもメトロ銀座線の開通時
からずーっと使われていた打子式ATSであろうとも同じです。

ただ、都市鉄道として生まれ変わった福知山線が旧型ATSのままで良いのか?
とかいう次元の話になると問題は別です。ATCとATS-Pの機能の違いも小さく
なってきていますし、大阪近郊のATS路線群の中にポツンと一つATC路線が
あるのも変な話です。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。旧型ATCでも今回の事故が防げた可能性があったわけですね。参考になりました。

お礼日時:2009/07/13 14:48

ATSは速度超過と赤信号無視に対して行うものなのは他の回答者も指摘されていますが、



ATCと言うのは主に新幹線などで使われている制御装置であり、運転席に制限速度が表示されます。新幹線は何百キロと出ているので線路の脇においてる速度制限の標識を見る事ができないので採用されています。

ウィキによると山手線などのそれほど高速運転をしない路線でも採用されているようですが、少なくとも福知山線にはATCは採用されてはいないはずです。


それに、事故を起こした203系にもATCのシステムは入っていませんので、新しく取り付けるとなると多額の費用がかかると思われます(ATSを線路に取り付けるより)

線路にもそのシステムを設置するとなると、福知山線はその線路だけではなく、神戸線や東西線ともリンクしているのでさらに費用が…と考えられます。

長くなりましたが、要はそこまでしなくても、新型ATS(正確に言うとATS-P)で十分であると言うことです。

ちなみに、私は福知山線の利用者です。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。ATS、ATS-P、ATCの違いを理解した上での報道、裁判であることを願います。

お礼日時:2009/07/13 14:44

先の回答者さんの言うように、ATSも時代と伴に進化していますが、大きく分類すると、点制御と連続制御に分かれます。



点制御は、その地点での速度を照査し、速度が超過しておれば、非常停止させる機能を有しますが、超過していなければ、照査ポイントを通過後、速度を上げれば、矢張り脱線の可能性は残ります。また、大幅に速度が超過すれば、カーブ入り口までに所定の速度まで下がらない可能性も否定できません。

また、今回の事故では、横揺れを抑える「油圧ダンパー(ヨーダンパー)」が故障していたのでは? と言う説もあります。

ですから、一纏めにATSを設置すれば、100%安全かと言えば、可也の率で事故は減らせても、絶対は有り得ません。

まぁ、今回の起訴は、罪の重軽も然る事ながら、当時の技術最高責任者を起訴する事で、鉄道会社への警鐘。また、最高責任者が罪にも問われないでは、遺族も浮かばれません。その辺の感情も配慮しての起訴ではないかと思われます。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。ATSにも様々な種類があることが分かり、参考になりました。確かに100%の安全確保は不可能ですが、検察側の主張は「ATSすら設置されていない」というものですので、ATSについての正しい知識が報道等で広まってほしいものです。

お礼日時:2009/07/13 14:41

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