
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
補足拝見しました。
ありがとうございます。考える材料ができました。ゲーテの言う「エンテレヒー」は、私の先の回答で言うと「エネルゲイア」のニュアンスで読んだ方がよさそうです。エンテレケイアの「完成態」という語感だと、完成されてはいるものの反面、固定的で硬直したものという印象も帯びますから。「自然はエンテレヒーなくしては活動できない」というあたりを見るとその感を強くします。(とはいえ、ゲーテの用語法が不適切ということではありません。前に書いたように、アリストテレス自身、区別しないで用いていますから。)
でもって、「分離し得ない活動的な個性」ときて、「ライプニッツのモナド」ときますか。ライプニッツのモナド(単子)は、「原子のような物質的延長を持たず、分割不能な真実在」とされます。「純粋な精神の個」とでも申せましょう。
だいぶはっきりします。ゲーテという一人の文学者は、「精神として一つの個」でありながら、同時に自然の「活動する現実態(エネルゲイアまたはエンテレケイア)」に感応し、「普遍」にも触れていく。「個」でありながら「普遍」の活動性に促されて活動的なものとなり、結果、時を超えて人々に感動を与える存在でありつづける。そのためには、今の自分が「エンテレヒー」でなければならない、というような意味のようです。
で、書籍です。ゲーテには直結せず、アリストテレスの「デュナーミス/エネルゲイア」論の解説となるものですが、
藤沢令夫『イデアと世界』岩波書店・1980年
がお勧めできます。いちおう、専門的な研究書ということになりますが、そういうものの中では限りなく一般書に近く、非常にわかりやすいものです。少なくとも、近代専門だった私にも理解でき、かつ非常に示唆に富む本でした。
文庫化した…という話を聞いた覚えもあるのですが、すいません、確認できませんでした。本屋さんに問い合わせてみてください。単行本だとやや高価ですので、図書館でお探しください。
ありがとうございました。
ライプニッツのモナドについては、まだよく理解できませんが、
ゲーテの言うエンテレヒーについての言及は自分の中でかなり解
決されたと思います。
それにしても用例だけで、ここまで読み込むことができること
に感服しました。本当に感謝しております。
「イデアと世界」、ぜひ探して読んでみます。
No.3
- 回答日時:
さらに微修正。
デュナーミス(Dynamis)は「可能態・能力」で、この可能性・能力が発揮されている姿のことをエネルゲイア(Energeia)と呼びます。「活動」ないし「現実態」と訳されます。物で言えば、「質料(物質的材料・素材)」がDynamisとしてあって、それが「形相(本質)」という「はたらき」と合一してEnergeiaという「活動現実態」、つまり現に目の前に見える形での「物」の姿をとらせる、という構図です。ややわかりにくいのは、アリストテレスがしばしば「形相というはたらき」と「エネルゲイア」を同じものと扱いつつ、しかも「質料と形相との合一態としての現実態」も「エネルゲイア」と呼んでいる点です。人間で言うと、肉体は「質料」、魂は「形相」で、この「魂」はエネルゲイアですが、「魂を持った肉体」という「生身の人間」もエネルゲイアなのです。
一方エンテレケイア(Enthelecheia)ですが、こちらは「完成態」「終局態」「完全現実態」と訳されます。アリストテレスは、これもまたしばしば「エネルゲイア」と区別しないで用いています。が、微妙なニュアンスのちがいはおわかりいただけると思います。
「エネルゲイア」は、現実に活動している姿。
「エンテレケイア」は、それが完成し、円熟した姿。
いちおう、このように区別して読むことも可能です。
以上はアリストテレス哲学の中心概念としての「現実態・可能態」の説明です。あとは、ゲーテがどのような文脈で「エンテレヒー」という語を用いているかの問題です。もしよろしかったら、質問者の方にいくつか用例を紹介していただければ…と思うのですが。
この回答への補足
用例
「私はわれわれの永生については、疑いをさしはさまない。自然は
エンテレヒーなくしては活動できないからね。しかし、だからといっ
て、われわれ誰もかれもが同じように不死というわけではないのだ。
未来の自分が偉大なエンテレヒーとしてあらわれるためには、現在も
またエンテレヒーでなければならない。」
そして註にはこうあります。
エンテレヒー:一定方向へ向かう活動的な生きた力。決して分離し得
ない活動的な個性。ゲーテは宇宙の生活内容を、根源
的素質の独自な発揮において、活動的な個体において
求め、それをライプニッツの「単子」、アリストテレ
スの「エンテレケイア」の名称で呼び、この意識に「
永生」の信仰が結びつく。それはカントのように道徳
的要請からの断案ではなく、ゲーテの自然観照からの
究極的結論である。
これだけではよく解らなかったので質問したのですが、
やはり、アリストテレスのエンテレケイアが関係していますね。
これは、ゲーテの造語なのでしょうか?
かなり興味があるので、良い本があれば紹介していただけない
でしょか。
No.2
- 回答日時:
Entelechie とは、哲学用語で「完成態」という意味です。
もともとはアリストテレスの使った言葉で、「あるものの内在する可能性が実現した状態」のことをさします。難しい概念ですが、比喩的に言うと、植物の種子を可能態(Dynamis)とすると、その可能性が形になった成木の状態が完成態(=Entelechie)、と考えるとわかりやすいでしょうか。Energie(エネルギー)もEntelechieとほぼ同じ意味をもった言葉です。
ちなみにエントロピーはEntropieで全く別語です、念のため。
この回答への補足
ありがとうございます。
エンテレヒーはアリストテレスのエンテレケイアという
概念からきているというのは事実のようです。
参考になる本があれば紹介して下さい。
No.1
- 回答日時:
まったく自信がありませんが、「エントロピー」と同じなのではないのでしょうか。
もしそうであれば、無秩序さの度合、程度をしめすものの事です。エントロピーが増大する、というのは、より自由度の大きい環境での平衡に移行しようとする、という事で、平たくいえば、氷は放っておけば水になろうとし、さらに蒸発していこうとする、といった事だといえると思います。固体として秩序を保っていたものは、より自由な液体の状態に移行しようとし、さらに自由度の大きい気体へと向かう流れがある、といったことです。
秩序は崩壊していく、でたらめさが増していく、というような意味で哲学にも通じるものがあるように感じましたので解答してみましたが、全く見当違い、あるいは釈迦に説法、といった可能性が大きいですね。その場合、どうか笑って許してやって下さい。
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