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標記の件に関して、2点疑問があります。

黒四ダムがいい例かと思いますが、アーチダムは、鉛直断面的に見ると、なぜ上部ほど下流へせり出している=オーバーハングしているのですか?

感覚的には、下層部ほど水圧が大きくなるので、オーバーハングさせれば下層部の水量が少なくなり、上層との水圧の差異が軽減し堤体が安定するからなのかな、なんて考えられるのですが、どうなんでしょうか。

もう一点、たとえば同じ話を「水」ではなく「土」に適用して、もし仮に土をアーチダムのような形状の擁壁で抑えようとした場合は、いくらなんでもオーバーハングは(これまた感覚的に)ありえないと思うのです。

圧力を抑える機構を考えるとき、土と水で、なにか根本的な原理の違いみたいなことはあるのでしょうか?

または、それは単なる施工の順序?つまり、「水」の場合は堤体が完成してから水を貯え始め、「土」の場合はあらかじめそこに土の塊があるところに擁壁を築いていく、というプロセスの違いの問題なのでしょうか?

言い換えれば、土の場合でも、まず最初に谷間にアーチダムをつくって、その中に土を充填させていくとするならば、水の場合と変わらず、オーバーハングさせるほうが有利なのでしょうか?

どなたかご教授いただければ幸いです。

A 回答 (1件)

アーチダムは必ずオーバーハングしているわけではなく、重力アーチ式といってオーバーハングしていないのもあります。


ただし、重力アーチ式は、オーバーハングしている(ドーム型、放物線型)ものに比べ、
堤体がブ厚くなります。

以下、厳密な説明ではないし、実際に設計したことがあるかたからの突っ込み覚悟のうえの概念的な説明になるけれど...
アーチは、水のある側からの荷重には強いけれど水の無い側ならの荷重に弱いことはいいですよね?
ダムに水がたまっていれば荷重に強い方向だから問題なし。
でも、ダムが空の場合で地震が起きたときは、水の無い側から荷重がかかり壊れやすくなります。
アーチをオーバーハングさせると、コンクリートの重量が上からかかるため、
水のある側からの荷重が常にかかっているのと同じ効果があり、
壊れにくくなるので、その分、コンクリートを薄くできます。

>圧力を抑える機構を考えるとき、土と水で、なにか根本的な原理の違いみたいなことはあるのでしょうか?
力学的な原理の違いは何もありません。
いや、1つあった。
土:擁壁の裏の土が除去されることはほとんど無い。
水:渇水時にはダムの水位は下がり空になる。

>土をアーチの形状の擁壁で抑える
アーチの場合、アーチの左右端で支えることになります。
したがって、支える場所が強固であることがアーチを作るための条件となります。
で、擁壁は、高さ数メートルで長さ数十~数百メートルなので
それだけの荷重を左右端に集中させて支えるのはかえって損です。
※アーチダムの場合、ガチガチに強固な岩盤、かつ、谷の形状がほぼ左右対称の場所にを選んで建設します。
擁壁の場合、岩盤どころか土の上にも作るから、こういう場合、アーチで作ることは不可能です。

>土の場合でも、まず最初に谷間にアーチダムをつくって、その中に土を充填させていく
谷に土を盛る場合、斜面にすれば擁壁やアーチは必要ありません。
ここばかりは、水と土で違うところですが、
・土と水で、なにか根本的な原理の違い
まではいかないです。
土の場合、斜面の角度が20~30度以下なら崩れないが、水はゼロ度以外は崩れる。
という、角度の違いにすぎないため、原理の違いでなくパラメータの違いです。
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この回答へのお礼

masa2211さま

さっそくのご回答ありがとうございます。

>アーチをオーバーハングさせると、コンクリートの重量が上からかかるため、水のある側からの荷重が常にかかっているのと同じ効果があり、壊れにくくなるので、その分、コンクリートを薄くできます。

なるほど。水の場合、アーチゆえにこそオーバーハングしていたんですね。
となるともし仮にアーチで土を留める場合、やっぱりオーバーハングはナンセンスということになりますね。

ありがとうございます。とても納得できました。

お礼日時:2009/09/11 17:23

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