No.2ベストアンサー
- 回答日時:
参考までに。
民法の三大原則は、そもそも、論者によって違います。A権利能力平等の原則、所有権絶対の原則、私的自治の原則
B所有権絶対の原則、私的自治の原則、過失責任の原則
Aの方が一般的かと思いますが、Bの考え方は面白い。Bについては、権利能力平等の原則から、物権的に派生したものが、所有権絶対の原則で、債権的に派生したものが、私的自治の原則、と説明されることがあります。この流れが、質問者さんの疑問へのアンチテーゼになるかと思います。
ついでに、物権法においては、物権法定主義が原則としてあります。これは、私的自治とは、対立する考え方です。これも、反論の一つに上げられます。(ご存知かと思いますが、物権は対世権ですから、その内容が一定でないと、望外の不利益を受ける可能性が出てきます。債権のように、基本的には一対一の関係の場合には、私的自治として互いに合意しても、基本的には第三者への影響はないですが、物権にはあてはまらない。)
※余談ですが、Bの分類は、船越隆司先生が採られている説ですが、この学者の本(総則・物権・担保物権・債権総論)は、堅い感じですが、よくできた本です。特に、民訴との橋渡しなど、ロー生が読むと目から鱗な内容がたまにあります。○大生を除き、受験生には全くといっていいほど知られていませんが、個人的にはオススメの先生です。
いつも懇切丁寧かつ論理明快な回答有難うございます。
頂いた回答は、全くもっともでして、文句のつけどころがないのです
が、私の全てを私的自治で説明したいという個人的な趣味も手伝いまし
て、的外れなことになっておりました。
この文章を書き始めたときには、気づかずに、ある程度書き進めたので
すが、途中でやっと気づきました。
思い込んでいるときは、固執してしまうものですね。
まず、今回の疑問のきっかけは2つあります。
1.「私的自治の原則は、権利の処分・義務の負担などの法律関係の変
動はこれを個人の自由な意思に委ねること」と説明されてい資料があり
ました。
これが、所有権絶対の原則を民法上で規定しているとされている206
条(所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益
及び処分をする権利を有する。)をも包含しているのではないか考えて
しまったのです。
そこから、所有権絶対の原則は私的自治の原則のコロラリーとしてしま
いました。
しかし、206条は「自由な意思」ではなくて、「自由」であって「意
思」の文言がなく、私的自治から206条を導くことは妥当ではないこ
とに気づきました。
2.「物権的請求権は、私的自治の保障制度である」としている資料が
あったこと。
本来ならば、所有権絶対の原則を保障する制度と考えるのが自然かと思
いますが、所有権絶対の原則が私的自治から導かれるととすれば、上記
のような表現も可能かと思いました。
そこから、所有権絶対の原則は私的自治の原則のコロラリーとしてしま
いました。
しかし、これについても、逆に「所有権絶対の原則」は「私的自治の原
則」の前提となるものであるとしている資料(これについてNO1様も
言及されていますね)があることから、であれば物権的請求権は、私的
自治の保障制度としていることの説明が出来ますので、私的自治から所
有権絶対が導かれたとする必要がなくなりました。
また今回も、的外れな愚問にもかかわらず、お付き合い頂まして有難う
ございます
No.1
- 回答日時:
そんなことは教科書に書いてある,などというつっこみのきそうな質問ですが・・・
民法の基本原則の問題は,自然発生的に形成され,時と場所によっては為政者によって条文化され,時と場所によっては判例法によって具体的な内容を与えられてきたという歴史的経過のある,現在の民法を,どのように理解するか,という問題であって,成文法に書いてある問題ではありませんので,極論すれば,どのような議論も可能だということになります。
その上での話になりますが,たしかに,権力者の介入を排した私的自治の原則の下で,私有財産を守る大きな砦として,所有権絶対の原則が生じてきたという認識は可能だと思います。そして,このことが,ひるがえっては,私的自治の原則を支える重要な前提となっているとも認識されます。
しかし,私的自治の原則だけで,所有権絶対の原則を説明することは,かなり難しいのではないかと思います。
ひとつには,私的自治の妥当するのは,もっぱら人の人に対する権利義務の世界,すなわち債権法の世界ということになりますが,所有権絶対の原則は,人の物に対する権利の世界,すなわち物権法の世界の話になります。このように,それぞれの原則は,妥当する世界が違います。違う世界を一つの原則で説明するのは難しいように思います。
また,論理的にみても,私的自治の原則から,所有権絶対の原則が,留保なく導かれるということも難しいと思います。所有権絶対の原則は,為政者によって侵すことができないことはもちろんのこと,私的自治によっても侵すことのできない原則と認識されています(私人間の約束で所有権を制限したように見えても,それは債権にすぎず,物権の内容にはならない。)から,むしろ,私的自治の原則は,考えようによっては,所有権絶対の原則とは,緊張関係に立つようにも思えます。
私の考え自体がまとまっていませんし,ほかにも,いろいろの考え方はありそうですが,このようなところでいかがでしょうか。
いつも懇切丁寧かつ論理明快な回答有難うございます。
頂いた回答は、全くもっともでして、文句のつけどころがないのです
が、私の全てを私的自治で説明したいという個人的な趣味も手伝いまし
て、的外れなことになっておりました。
この文章を書き始めたときには、気づかずに、ある程度書き進めたので
すが、途中でやっと気づきました。
思い込んでいるときは、固執してしまうものですね。
まず、今回の疑問のきっかけは2つあります。
1.「私的自治の原則は、権利の処分・義務の負担などの法律関係の変
動はこれを個人の自由な意思に委ねること」と説明されてい資料があり
ました。
これが、所有権絶対の原則を民法上で規定しているとされている206
条(所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益
及び処分をする権利を有する。)をも包含しているのではないか考えて
しまったのです。
そこから、所有権絶対の原則は私的自治の原則のコロラリーとしてしま
いました。
しかし、206条は「自由な意思」ではなくて、「自由」であって「意
思」の文言がなく、私的自治から206条を導くことは妥当ではないこ
とに気づきました。
2.「物権的請求権は、私的自治の保障制度である」としている資料が
あったこと。
本来ならば、所有権絶対の原則を保障する制度と考えるのが自然かと思
いますが、所有権絶対の原則が私的自治から導かれるととすれば、上記
のような表現も可能かと思いました。
そこから、所有権絶対の原則は私的自治の原則のコロラリーとしてしま
いました。
しかし、これについても、逆に「所有権絶対の原則」は「私的自治の原
則」の前提となるものであるとしている資料(これについて
law_amateur様も言及されていますね)があることから、であれば物権
的請求権は、私的自治の保障制度としていることの説明が出来ますの
で、私的自治から所有権絶対が導かれたとする必要がなくなりました。
また今回も、的外れな愚問にもかかわらず、お付き合い頂まして有難う
ございます
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