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 宿り木
 三月、大井川筋の山深い谷間の、流れに近い川床は、深閑として静まっていた。渇水期の水は、岩の裾を巡り、浅瀬を流れ蛇行して淀みを作り、またごろごろした石の間を通って細く分かれ、穏やかに流れ下って行く。
 V字に切れ込んだ両岸は高く、川床に近い樹木は一定の高さまで伐採されて、いずれこの谷は満々たる水を湛えたダムになるはずである。そのため水没する部分の木はダムの障害にならないように、あらかじめ整理され、作業は急ピッチで進み、谷底は意外に明るいからりとした景色であった。
 この谷を埋め生い茂っていた木々の中には、伐るにしのびない木が何本かあり、何とか別の場所に移植する計画がたてられていた。山奥の谷で人の目に触れず、長い歳月を過ごしてきた木には、それなりの風格を備えているものがある。かえで、けやき、もみ、山桜などが候補にあげられていたが、実際に谷の傾斜はきつく、移植が可能かどうかは、なかなかむずかしい。筆頭にあげられている桂の木は、この木の来し方を今に見る、姿をしていた。

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上の文章が掲載されている書籍のタイトルを教えてください。
よろしくお願いします。
 

A 回答 (1件)

そもそもこの文章はどこから引っ張ってきたのでしょうか?


引用された文章であれば出典が記されているはずですから、新聞とかに載っていた文章ですか? (その新聞社の記者の書いた文章の場合、無署名の場合もありえます)。
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