No.6ベストアンサー
- 回答日時:
No.3,5のJagar39です。
>誰か感染者のくしゃみや咳などから、空気中をただようような状態になったウイルスなどは、1個とかそういうイメージがあるのですが、
基本的にウイルスの粒子が単独で空気中を漂うことはほとんどありません。
気管や咽喉頭、鼻腔の粘膜上皮細胞でウイルスが増殖すると、その細胞が死んでしまい、それら粘膜面から剥離した「細胞の死骸」が生体に「異物が気道内に入った」と認識されて、咳やクシャミといった反射を引き起こすわけです。
従って、クシャミで飛散した「飛沫」には、「細胞の死骸」が無数に含まれているわけですが、それらの1つ1つの細胞に、それぞれ数百万個のウイルスが付着している、といったところでしょうか。
もちろん、気管や鼻腔の分泌液も大量に排出されますが、それらの中にも無数のウイルス粒子が存在するでしょう。
余談ですが、インフルエンザなどの"メジャーな"ウイルスでは、迅速診断キットが商業ベースに乗って市販されていますが、"マイナーな"ウイルスで市販キットがないウイルスを迅速に診断したい場合、たまにですが「直接塗抹標本の蛍光抗体法」という手法を用います。
これは鼻腔スワブや気管スワブ(解剖しなければ気管は採取できませんが)を綿棒で掻き取り、それをスライドグラスの上に薄~く塗るわけです。
それに対して目的のウイルスに対する蛍光抗体(蛍光色素で標識してある抗体でほとんどのウイルスに対するものが市販されている)を反応させてやると、蛍光顕微鏡で見ると緑色(標識する色素にも依りますが)に光って見えるわけです。
この場合、光っているのは抗体がウイルスと結合しているからなのですが、粘液中にどれだけウイルスが存在してもあまりに小さすぎるので蛍光を発していても観察できません。
なので、光っているのは「細胞が光っている」ように見えるわけです。ウイルスによって細胞質が光ったり核が光ったり、その蛍光の発し方も判定基準になります。
話に書くと簡単ですが、スワブの塗り方や見方はけっこう難しいです。「薄~く塗る」のは、厚く塗ると細胞が"塊"になってしまい、そうなると細胞と細胞の間に入り込んだ抗体が綺麗に光ってしまうからで・・・
余談の余談ですが、獣医領域では市販キットなどほとんど存在しないので、ヒト用の診断キットを流用するか(RSとかロタウイルスのヒト用キットは獣医領域でもよく使います)、このような蛍光抗体法で応用するしかありません。
ウイルスを培養細胞に接種して分離培養した際も、分離したウイルスが何者なのか調べる(同定する、と言います)のに蛍光抗体を使うので、ウイルスのラボにはいつも蛍光抗体はひととおり揃えています。
余談が長くなりましたが、要するに「細胞が光って見える」のは、細胞表面というごく狭い範囲に、少なくとも数百万個の抗原(ウイルス)が密集しているから、なんです。でなきゃ何で標識しても見えるものではないです。
>1個でも感染してしまうようなイメージがあります
私はHIVは専門外ですが、HIVでも1個で感染するということはないでしょう。感染率も低いですし。輸血など、ダイレクトに血液を入れる経路以外の経路(性行為など)では、せいぜい1~数%の感染率しかないですよね。
私の専門はHIVとは別のレトロウイルスで、やはり血液感染するウイルスなのですが、HIVとは「血中にウイルス粒子がほとんど出現しない」点で異なっています。ウイルスは白血球に感染してその中に潜んでいるのですが、侵入した血液中の感染白血球と宿主側の未感染白血球が"接触"することによってウイルスが受け渡しされ、感染が成立する、という感染様式です。
このウイルスでの「感染に必要なウイルス数(感染白血球数)」は、1000-3000個、ということになっています。
どういうことかというと、生体には「自然免疫」というものがあります。一度感染したウイルスや細菌を記憶して抗体を作り再感染を防ぐのは「獲得免疫」ですが、それに対して「とにかく外敵を無条件に攻撃する」のが自然免疫です。
これらの自然免疫系はウイルスそのものはやはり小さすぎて直接攻撃はできませんが(加えて"異物と認識する"システムの関係もあって)、ウイルスが感染した細胞は自然免疫系の攻撃対象になります。
なので、少なくともウイルスは「自然免疫系に攻撃されるより早く増殖」しなければ、感染は成立しないわけです。
インフルエンザだと口内の唾液にも抗ウイルス作用がありますからウイルス量は激減します。また、生き残ったウイルス粒子が気道粘膜に到達しても自然免疫の攻撃によってまた激減します。
なので、相当量のウイルスが入らなければ、結果的に感染は成立しないわけです。
直接血中にHIVが入った場合でも、粘膜の自然免疫はクリアできるにしても血中にも自然免疫系の細胞は存在しますから、そいつらの攻撃より早く増殖できなければなりません。つまり、それなりの数のウイルスが感染成立には必要、ということです。
うがいについては、咽喉頭などの気道粘膜のコンディションを良好に保つという以上の意味合いはないので(うがいでウイルスを洗い流せるわけではない)、「気は心」程度の効果しかないと思っています。
言ってみれば、町内の自警団を整備する、くらいでしょうか。
空き巣や暴走族を排除する程度には効果的でしょうが、軍隊が攻めてきたらやはりこちらも軍隊を出さないことにはどうにもならない、ということです。
再び詳しい解説ありがとうございます。
詳しいところは知りませんでしたが
なんとなく分かることができました。
ウイルスが体内で感染したことになるまでには、ある程度の数が必要なんですね。
No.5
- 回答日時:
No.3のJagar39です。
「キャリア」は"career(経歴・履歴)"ではなく"carrier"です。直訳すると「持ち運ぶ者」という意味になります。
キャリアは通常は「保菌者」と訳されますが、"感染の履歴"ではなく、今現にその病原体を保有していて他人に感染させる可能性がある人のことを指します。
従って、インフルエンザの場合は発症1日前から症状軽快後2日ほどの間は「インフルエンザウイルスのキャリアである」と言えますが、インフルエンザのような急性感染症ではあまり「キャリア」という言い方はしません。
発症者が感染源となるのは誰の目にも明らかなので、「キャリア」と敢えて言う場合は本人に保菌者(ウイルス保有者)であるという自覚がない場合に、疫学的にキャリアの存在が重要になるわけです。
インフルエンザのような急性感染症では、罹患者とキャリアを敢えて分けて考える疫学的な必要性が薄いわけです。
HIVやヘルペスのような「持続感染」をする病原体では、キャリアは疫学的に重要な役割を果たします。
持続感染というのは、一度感染した病原体が永続的に感染状態を継続することで、そのメカニズムは病原体によって様々ですが、なんにしろ「宿主の免疫系による攻撃を免れる」何らかの手段を用いているわけです。
この場合、ほとんどは無症状のまま病原体を保有した状態が継続し、他人に感染させる可能性も持ち続けるわけですから、疫学的に非常に重要な存在になるのは明らかですよね。
インフルエンザの場合は、そういった意味での「キャリア」は存在しません。
感染しても無症状または極めて軽い症状で済んだ人は、本人に感染した自覚がないままウイルスをある期間保有し、他人に対する感染源となっているわけですから、そういった意味では「キャリア」です。キャリアでいる期間は短いですが。
ただ、インフルエンザの場合、この意味での「キャリア」は識別できないので疫学的にはある一定の役割を果たしてはいるのですが、重視しようとしても仕方がない状況にあります。
抗体というのは、感染後2~3週間経たないと検出されるレベルまで上がりません。
ですから、HIVやヘルペスなどの持続感染する感染症では、「抗体を保有している」ことは「現在も持続感染している」=「キャリアである」ことを意味します。
ですが、インフルエンザなどの急性感染症では、「抗体を保有している」ことは「過去に感染した」ことを意味し、同時に「ウイルスは既に排除されている」ことも意味します。
つまり、持続感染型の病原体とは逆に、急性感染症では「抗体を保有している」=「今現在はそのウイルスのキャリアではない」ということになるわけです。
詳しい補足をありがとうございます
キャリアという言葉の使い分けはなんとなく分かりました
なるべく短期間であってもキャリアにはなりたくないものですが
話はちょっとそれてしまいますが(別な質問を立てたほうがよいかもしれませんが)
ウイルスは生物ではないですよね?(自己増殖できなくて遺伝子情報だけをもっていて、他の生物の細胞のなかで寄生してだまして自分を増殖させる?)生物でもなく、その存在する意味はいったい何なのだろうか?と思ってしまいます。迷惑な存在ですね、ウイルスって。
No.4
- 回答日時:
okweb0034さんは「キャリア」という言葉を聞いたことはありますか?
ウィルスに感染することと発症することは別です。
感染すれば発症するということではありません。
キャリアとは感染した際に感染したものの履歴を確認したということを言います。抗体という免疫の元になる部分です。本人は感染したことを知らなくてもキャリアである場合もあります。
新型インフルエンザ自体は分からないことが多い病気です。
今は弱毒性と言って感染しても軽症で済んだり発症しない人が多いようですが今後、毎年冬に感染者が増える季節性と言われるインフルエンザが拡大すると同時に感染するなど今後の展開は読めません。ウィルスも薬に対して耐性(ウィルスが薬を覚えてしまう、薬で退治できなくなる状態)ができたり、ウィルス自体の毒性が強くなることも考えられます。
そのような不明な状況を考えると新型インフルエンザにおいて重要なのはかからないということは難しい選択なので、感染した際に速やかに抗インフルエンザ薬などで適正な治療を受けるということではないでしょうか?
かかった際の準備をしておくと安心できるかと思います。
Jagar39さんも詳しく説明してくださっていますね。
参考URL:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kanse …
ご回答ありがとうございます
近所の学校などでも、感染者が出たとか、職場でも・・・
だんだんと包囲網が迫ってきている感が現実にあります
ワクチンなども一般の人にはまだまだ届かず間に合いそうもありませんし、おっしゃるとおり、いくらマスクをしていてももう時間の問題で、感染を防ぐことはだんだん難しくなってきていますね・・・
感染した場合の準備や対応をしっかり考えておくほうが大事かもしれませんね
できれば気力と体力だけではね返して乗り切りたいですが
No.3
- 回答日時:
獣医師でウイルスに専門知識を有しています。
ウイルスはあまりに小さいため、光学顕微鏡で観察することができません。
そのため、ウイルスを「個」で数えるという概念は通常ありません。
「どのくらいのウイルス量に暴露されれば感染が成立するのか」という量は感染価という概念で表されます。
例えば、「このウイルスはマウスに対しては10^2.5TCID50のウイルス量で感染が成立した」というような表現になります。(TCID50の50は下付き文字)
このTCID50という単位が「培養細胞に対する感染価」ですから、まあ動物に対する感染価を培養細胞に対する感染価で表現していることになり、あくまで相対的な数値に過ぎないということにはなりますね。
ともあれ、「ウイルス粒子1個で感染が成立する」ことはあり得ません。少なくとも数百万個は必要でしょう。
感染細胞1個が百万個のウイルスを生産し、1回のくしゃみでウイルスを含んだ細胞が1000個排出されると仮定すると(ずいぶん控えめな計算ですが)、その飛沫が10億倍に希釈されてやっと「ウイルス粒子1個」になるわけです。それで感染が成立するのなら、感染を免れる人などどこにもいません。
それとインフルエンザウイルスは、「粘膜から体内に侵入する」のではありません。気道粘膜そのものがウイルスの増殖部位なのです。
基本から説明すると、インフルエンザウイルスに限らず、ウイルスという微生物は遺伝子のみを持つ存在で、その遺伝子のコードを「読んで遺伝子の指示どおりのタンパク質を合成する」機能はありません。
そのため、生きた細胞内に侵入して「細胞に自分の遺伝子を読ませる」ことで、自らの増殖を行う微生物です。
その「生きた細胞内に侵入」することですが、どの細胞にも侵入できるわけではありません。ウイルスが粒子表面に持っている「鍵」にマッチした「鍵穴」を持つ細胞にしか侵入できません。
それがインフルエンザウイルスの場合は、「上部気道の粘膜上皮細胞」なのです。(詳しく書くともう少し複雑ですが、とりあえずこのくらいの説明にとどめておきます)
上部気道とはつまり、鼻腔や咽喉頭、気管、気管支のことで、この粘膜の上皮細胞(要するに粘膜面)にのみ、インフルエンザウイルスは侵入つまり感染することができるわけです。
ですから、インフルエンザウイルスは「粘膜から身体に侵入する」のではなく、「粘膜に感染して増殖する」ウイルスというわけです。
つまり、粘膜面が厚かろうが薄かろうが、メンマ工面にウイルスが付着して細胞内に取り込まれた時点で「感染が成立」します。
また、ウイルスはあまりに小さいため、くしゃみや咳といった排出のための反射を引き起こすことはありません。ウイルスが増殖して細胞が破壊されると浸出液が増加するので、それを排出しようと咳が起きるわけで、咳やくしゃみが感染防止に役立っているわけではありません。
発症率が2割というのは私も初めて見ました。
出典を明示して欲しいと思いますが、おそらく何かの勘違いかと。もっと高いでしょう。
ただ、感染しても発症しない人や軽症で済む人、そもそも感染しない人など、様々な個体差はあります。
その要因は十分解明されているとはとても言えない状況ですが、体力や体調などの他に、遺伝的要因があることは十分予想できます。H5N1の鳥インフルエンザやHIVなどで感染耐性は既に発見されています。
要するに上で「細胞の鍵穴」の話をしましたが、インフルエンザウイルスに対する鍵穴が少なかったり、あるいは持っていない人というのは、インフルエンザウイルスに対する感染耐性あるいは発症耐性を持っていることになります。
「体調」という点では粘膜面の状態は重要です。
粘膜が乾燥していると感染しやすいというのは、粘膜が分泌する粘液には免疫系の細胞や抗体が多く含まれているのですが、乾燥=粘液が少ないとこれらの粘膜免疫が十分働くことができません。従って感染しやすくなります。
うがいをするのも、ウイルスを洗い流す効果はまず期待できませんが、粘膜面を湿潤に保つことによって粘液を分泌しやすい状態を維持するという意味合いが大きいでしょう。あまりにしつこくうがいすると、せっかくの免疫を洗い流してしまうことになりかねないですが。
詳しいご回答ありがとうございます
なるほど、ウイルス1個というと、ずいぶん希釈されたことになってしまうんですね。
誰か感染者のくしゃみや咳などから、空気中をただようような状態になったウイルスなどは、1個とかそういうイメージがあるのですが、
やはり1個ではなく、たくさんのウイルスがかたまりで存在するのでしょうか。
たとえばですが、HIVウイルスですが、(こちらも1個ということはあり得ないかもしれませんが)1個でも感染してしまうようなイメージがあります(HIVの場合は空気感染はないですし、ほとんどが血液や粘膜などからの直接接触でしょうけど)体内に入った場合、その活動を通常の免疫では防げないので、時間はかかるかもしれませんが必ず感染が広がって放っておくといつか発症してしまうものだと思っています。
話はそれてしまいましたが、HIVだとどんなに免疫が強くて体力がある人でも、体内でやっつけてしまうことはできませんよね・・・
インフルエンザウイルスと単純に比較できるものじゃないかもしれませんが、インフルエンザが必ず発症したりするものでなくて、人によっては体内でやっつけてしまえるものならいいなと思っています
ちなみに医学の知識も生物学の知識も特にない素人ですので、間違っていたらすみません
話は戻りますが、喉のうがいなどはある程度は意味があるというか効果があるような感じですね、水分不足と乾燥がよくなさそうだというのはあらためて思いました
No.2
- 回答日時:
そもそもウイルスが皮膚に付いても体内には入りません。
しかし、ウイルスの付いて指で目をこすったり、口に入れたりすれば粘膜上にウイルスが移ります。ウイルスは粘膜を通じて体内に入ります。
粘膜上に付いたウイルスがすべて体内に入るわけではありません。
せきをしたりくしゃみをするのはウイルスなどを吹き飛ばす自衛的な行為です。
水分が十分に補給されていれば粘膜も厚くなりなかなか体内には入りません。
喉の粘膜状で一番増殖しやすく、体内に入るのもここが多いと聞きました。
しかしうがいをすれば多くは流されてしまいます。水道水が良いそうです。
ある本には100万個ぐらいに増えないと体内に入らないともありますし、粘膜付着後5分後には入りだすと書いてあるものもあります。
いずれにしても、粘膜が乾燥するとすぐ体内に入るそうです。
進入率がどの程度か書いてあるのを見たことはありません。
進入しての発症率は他の方が書かれているのをはじめてみました。
ご回答ありがとうございます
喉の粘膜がいちばん弱いんですね
以前、あるニュースで
歯磨きをして口内を清潔に保っている場合と、そうでない場合を
比較して、前者のほうが、インフルエンザにかかる確率が少ないという
レポートを見たことがあります
口内環境と喉は直結しているので
口内で細菌が繁殖しやすくなっていると、喉の粘膜の免疫力が下がるそうです
他の方のご説明やご回答も読み、
喉を水で流すことが、ウイルスを洗い流せるのか
単に粘膜の水分を補給できるだけなのかは分かりませんが
水道水でまめにうがいするのは予防に効果的なようですね
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