宇宙が閉じているか開いているかという問題は、宇宙の大局構造として一様等方性を前提とし、宇宙定数(宇宙項)を考慮しない場合、次のような関係になるのだと思います。
a 曲率が正 = 閉じた宇宙 = 最終的には収縮する宇宙
b 曲率が負 = 開いた宇宙 = 膨張を続ける宇宙
c 曲率が0 = 開いた宇宙 = 膨張を続ける宇宙
そのどれであるかは、物質密度が臨界密度よりも大きいか、等しいか、小さいか、ということによって決まる。そして、普通に観測される物質は、臨界密度にはとても足りない(物質:約4%)。ダークマターを足しても、まだ臨界密度には到底届かない(暗黒物質:約23%、計27%)。
そうすると、答えはbになるのではないかと思うのですが、一方で、「曲率:3%以下」ということで、答えはほとんどcに近いと言われているようにみえます。この関係が、私にはよく分かりません。物質と暗黒物質の合計が100%から程遠いのに、曲率が0に近いというのは、どういうことでしょうか。どのように整合しているのでしょうか。この比率は、臨界密度(に対応する質量)に対する、物質や暗黒物質の質量の比率ということではないのでしょうか。
さらに、宇宙定数:約73%というのはどういう意味なのかが分かりません。以上を合計すると100%になりますが、この比率は何の比率なのでしょうか。物質や暗黒物質については、臨界密度との関係で、その何%の質量が宇宙にあるのかという意味ではないかと思っていたのですが、宇宙定数は質量とは反対方向に働く力ですから、質量と同じ平面に並べて、その比率を求めるようなものではないように思うのですが、いかがでしょうか。もし並べるなら、マイナスの符号をつけるべきもののようにも思えてしまいますが、私がしている勘違いはどこなのでしょうか。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
曲率が0(K=0)であることは、COBEなどによる観測から得られた結果です。
一方で、ご存じかと思いますが、アインシュタイン方程式に空間の一様等方性を課したフリードマン方程式から、
1=Ω(物質)+Ω(輻射)+Ω(曲率K)
であることが示唆されています。Ω(?)とは、宇宙に存在する?の密度を臨界密度で割った量です。
質問にもあるように、観測される物質の量は、臨界密度にはとても足りない27%ので、一般相対性理論と観測とを正しいと信じるならば、何か未知のエネルギーがこの宇宙には存在しなければなりません。それを、ダークエネルギーと呼んでいますが、まさにこれが宇宙項の役割をします。
1=Ω(物質)+Ω(輻射)+Ω(宇宙項)+Ω(曲率K)=0,27+0.73+0+0
遠方にある超新星の観測(98年)から、宇宙項の存在がほぼ確実とされています。
mtnohr さん、早速のご回答ありがとうございます。
お示しいただいた式を私は知りませんでした。ご説明により、少し分かってきた気がします。
私が勘違いしていたのは、・臨界密度を質量の密度だと考えていた、・宇宙の曲率は質量密度だけで決まると考えていた、という点のようですね。
臨界密度とは物質(質量)の密度ではなく、エネルギーの密度である。宇宙背景放射の観測等から宇宙がほぼ平坦(曲率≒0)であり、したがって、エネルギー密度は臨界密度にほとんど等しいことが分かる。つまり、宇宙の大局構造は、4次元の球面でも双曲面でもない。
宇宙のエネルギーのうち、質量(物質や暗黒物質)として観測されるのは27%であり、差し引き73%は未知のエネルギーがあると考えるほかない。
また、以上のような幾何学的構造だけで、宇宙が最終的に縮小するか膨張を続けるかが決まるわけではない。遠方にある超新星の観測によると、宇宙は加速膨張している。質量は収縮方向に働く力であるから、加速膨張しているとすれば、それを上回る膨張方向に働く力がなければならない。これがダークエネルギー(宇宙項)である。
まとめると、宇宙の総エネルギーは臨界密度にほぼ等しいが、そのうち27%は縮小方向に働く質量で、残りは膨張方向に働く宇宙項である。概ねこのように考えれば、そう間違いではないと言えるのでしょうか。
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