先日、母方の祖父の戸籍を取り寄せて見たところわからないことがありました。
祖父が戸主ではなく、祖父の長男が戸主となっているのですがこういうことはめづらしいことではないのでしょうか?私のイメージとしては改正原戸籍というのは、住んでいる家ごとの戸籍なので、当然家族が一緒に住んでいたら戸主は父親だと思うのですが。。
気になることは、祖父の記載欄に「準禁治産宣告保佐人妻○○就職に付き届出」「浪費者として準禁治産の宣告を受け改悛の望みナキに因り推定家督相続人廃除の裁判確定」という記載がありました。
(最終的には20年後くらいに準禁治産宣告は取り消しとなっています)
ちなみに祖父は再婚をしており、上記の戸籍に記載されている妻は前妻で、長男は前妻との間の子です。祖父は前妻と離婚後、新たに戸籍を作っており(戸主は祖父です)、再婚の相手が私の祖母にあたります。
私の予想では、祖父が禁治産者の宣言を受けたため、戸主にはなれなくなった、ということだと思っています。
しかしながら禁治産者宣告を受けながらも再婚後にはそれは取り消されており、私の母やその兄弟たちも全く持って普通の人間です。
母はそのことを知っていたのかはわかりませんが、「うちのお父さんはむかし馬に乗ってて代議士をしていた」と言っていましたし、自慢の父といった言い方でした。(母はすでに他界しており、この戸籍のことを聞くことができません)
それだけに、その戸籍の内容はわたしもちょっと信じられませんでしたが。。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
まずは旧民法の原則である家制度ですが、家制度とは、1898年に制定された民法(以降、旧民法という)において規定された家族制度であり、親族関係を有する者のうち更に狭い範囲の者を、戸主と家族として一つの家に属させ、戸主に家の統率権限を与えていた制度である。
江戸時代に発達した、武士階級の家父長制的な家族制度を基にしている。とウィキペディア(Wikipedia)では解説されています。そして、「家」は、「戸主」と「家族」から構成される。戸主は家の統率者であり、家族は家を構成する者のうち戸主でない者をいう。
戸主の地位は、戸主の財産権とともに家督相続という制度により承継される。相続の一形態であるが、前戸主から新戸主へ全ての財産権利が譲り渡される単独相続である点が現在の民法と大きく異なる。
このように戦前の戸籍制度は現在と全く異なるものであり、祖父が戸主ではなく、祖父の長男が戸主となっているのはたんに祖父の長男が家督を相続したからです。
>住んでいる家ごとの戸籍なので、当然家族が一緒に住んでいたら戸主は父親だと思うのですが。
住んでいる家ごとの戸籍ではなく、家が戸籍であって家制度で言う家と現実に住む家とは異なります。
従って家制度の戸主は家督相続を受けた者です。
しかし現実は大家族が実態で住んでいる家族で家制度が出来ていたようです。
ですから次男があらたに家を建てた場合は分家されあらたに戸籍が出来たようです。
家制度のイエと住むイエが未分離で混合していた状態です。
引っ越しということも極めて異例なことで、本籍が住所となっていました。
本籍が住所で登記でいう地番となっていました。
その後引っ越し居所の移動が進み、本籍とは違う住所という概念が生まれ、住民票という制度が出来ました。
今では住民票の住所が健康保険や年金また子供の学校等々重要なものになり、本籍はたんに記号となり架空の場所を本籍地としてもなんら問題はありません。
改製原戸籍とは、戸籍が改製によりあらたに作成された前の戸籍のことをいい、最近では戸籍のコンビューター化により従前の紙の台帳の戸籍も改製原戸籍です。
昭和32年の改製に伴いそれ以前の戸籍も改製原戸籍です。
古くは昭和7年頃改製されたという記憶があります。
>祖父が禁治産者の宣言を受けたため、戸主にはなれなくなった、ということだと思っています。
司法書士をやって40年になりますが、禁治産者の宣言の戸籍を見たことは一度もありません。
禁治産者の宣言の趣旨からいって相当な資産家であって、資産を守るためになされたものと推測します。
現在は成年後見という制度になり、禁治産者の制度も廃止され、旧民法での禁治産者の制度の運用と実態について調べるすべもありません。
>しかしながら禁治産者宣告を受けながらも再婚後にはそれは取り消されており、私の母やその兄弟たちも全く持って普通の人間です。
家の財産や名誉を守るために禁治産者宣告をしたのではないかと思います。
現在の成年後見制度は医師の診断書を添付して本人の人権を守るよう制度化されていますが、旧民法の世界は本人の人権より家の存続に重きを置いてました。
家の存続のための養子縁組は当たり前で、血のつながらい養子縁組は日本固有のもののようです。
一橋慶喜も血がつながっていない養子縁組で将軍になったことは歴史の示すとうりです。
旧民法自体がもうネットで検索しても説明が余りなされておらず、条文もネットでは見ることが出来ない状況です。
既に明治生まれの人の相続の案件も無くなり現役登記官や司法書士でも旧民法に詳しい人は僅かになりました。
旧民法を使って仕事をするのは司法書士しかいない状況ですので、旧民法の世界は歴史の中に隠れて消えてしまいそうです。
しかしながら、遺産相続とか入り婿と言った言葉は現在も使われてますが、現在使われている意味と旧民法で定めた法律意味とは違っている場合が多々あります。
ありがとうございます。
家の財産や名誉を守るために行うこともあったんですね。。
祖父の時代がそれに当てはまるのかどうかわかりませんが、そういうこともありえるということでしょうか。
そうだとすると祖父への印象がまた変わります。
「金使いの荒いルーズな人間」というイメージがありましたので。。
No.3
- 回答日時:
追記
旧民法です。
第287条
家督相続とは戸主の死亡又は隠居に因る相続を謂ふ
戸主の死亡より隠居により家督相続が行われていたケースがかなり多くあります。
日本の村制度の事情により戸主権を早々に現役世代に家督相続して自分は隠居するという農耕民族からくるものです。
第297条
法定の推定家督相続人を廃除することを得へき正当の原因は左の如し
第1 失踪の宣言
第2 民事上禁治産及ひ准禁治産
第3 重禁錮一年以上の処刑
第4 家政を執るに堪へさる不治の疾病
第5 祖父母、父母に対する罪の処刑
第6 重罪に因れる処刑
ここに禁治産が現れ、長男への家督相続となったものと推測できます。
現行民法のように個人の人権が重視されている感覚で旧民法を見ると理解が難しいと思います。
個人より家の存続が重要視され、女性の選挙権も最近のことなのですから、戦後の憲法の感覚で旧民法を見てしまうと理解出来ません。
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