
タイトルどおりなのですが、景気が低迷した時、公共事業をバンバン前倒しで行なって地方経済を活性化させるという主張をよく聞きます。
理由としては 「建設業はとても裾野が広いので、一見無駄に見える(?)公共事業でもそれをを行なう事で、直接・間接的に地域経済を活性化させる強い推進力になるから」 という事らしいです。
「裾野が広い? なるほど」 と一瞬感じたのですが、その反対に 「じゃあ、今まで政府が発注した巨額の公共事業のおかげで、本来ならば今頃はどこの地方経済も活性化し、自治体の懐も豊かになってバンザ~イ!となっているはずなのに、現状は?」 という疑問が出てきました。
経済評論家の話では、ケインズ経済学では 「不況になったら、まず公共事業!」 という原則があるらしいのですが、これって正しかったのでしょうか?
あれだけ公共事業をしたのに、どうしてどこの自治体も苦しいし、地域経済は疲弊し、シャッター通り商店街の誕生が止まらないのでしょうか?
それに、もし公共事業に地域経済を活性化させる効果なんて本当は皆無に等しいという結論になったとした場合、ではなんでどこの自治体も 「道路! 空港! 港湾!」 と陳情を繰り返しているのでしょうか?
それと、公共事業によって生まれた 「おいしい部分(?)」 は一体どこに消えたのでしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
経済を語る時は、綿密な数値データに基づいた議論を展開するのが一番よいのですが、まずは言葉だけでなるべく簡単に説明を試みます。
景気がよくなるとか、経済が活性化ということを言葉で語るのは簡単ですが、万人に説明するには誰でもわかる数値目標が必要です。
そこで出てくるのが、GDPという指標です。
GDPが増えれば、その国の経済はプラス成長、減ればマイナス成長となります。
次に、GDPはどうやって計算するかというと、
GDP(国内総生産)=消費支出(家計) + 投資支出(企業) + 政府支出 + 経常収支(輸出-輸入)
となります。
では、なぜ公共投資が景気悪化の歯止めに有効かというと、本格的な不況になれば個人(家庭)も企業も収入が減ります。
そこで個人(家庭)も企業も自己防衛のため、支出を減らすのです。
よって、消費支出と投資支出が減るため、GDPが減少し、数値として景気悪化が明確になります。
しかし、公共投資を増額すれば、政府支出が増えるためGDPの悪化が避けられるのです。
また、増加した政府支出は、そのままどこかに埋もれるのではありません。
それは直接には公共事業を受注した企業の収益となりますが、その企業に勤める人の給料にもなりますし、またその企業と取引している別の企業の売上にもつながります。
こうして、めぐりめぐって国民経済が少しずつ活性化していくわけです。
(ただし、国民すべてに行き渡るには時間がかかります。一般的に公共投資の増額が民間経済の活性化につながるまでには、半年ほどタイムラグがあるようです)
乗数効果の説明や、バランスシート不況など、他にも語りたいことは多くありますが、最後に一つだけ。
>経済評論家の話では、ケインズ経済学では 「不況になったら、まず公共事業!」
>という原則があるらしいのですが、これって正しかったのでしょうか?
これについては、現在進行形でよい事例が日本の近くにあります。
それは「中国」です!
中国もアメリカ発の世界的な金融不況の影響を受け、一時期は景気が後退しましたが、今では持ち直してきています。(まあ、中国当局が発表する経済指標は正直信頼性が低く、そのまま鵜呑みにするのはリスクがあるのですが)
それは、「公共投資」です。
輸出で稼いできた中国は、その輸出が減れば必然的にGDPが減り、不況となります。
しかし、中国は総額いくらか今思い出せませんが、天文学的な公共投資を行って景気後退を支え、今では持ち直しつつあることは、ほぼ間違いないでしょう。
今の中国経済を調べれば、公共投資が景気悪化の食い止めと反転攻勢のための武器になることが、理解できることでしょう。
有難うございました。
なるほど、「不況になれば、まず公共事業を!」という説は、ある意味で正論なわけですね。
おっしゃるように、隣の中国を見れば理解できますね。
聞いた話では、リーマンショック以後、政府による財政出動を思い切った規模で、それも極めて素早く迅速に実施したようです。
今では以前の経済成長を取り戻したと聞いています。
となると、「なぜ日本は中国のように出来ない、あるいは出来なかったか?」という疑問に行き着きます。
やっぱり、日本政府は何をさせても too small, too late という批判が当たっているのでしょうね。

No.5
- 回答日時:
公共事業による経済効果を(1)その事業を行っている間(建設中)に得られる効果と(2)完成によって得られる効果の二つに分けて考えた方がよいと思います。
(1)は道路を造ることそれ自体で(完成しなくても、道路が役に立たなくても)コンクリートは買われるし、地元民の雇用は創出されるし、外からの労働者も集まるからその地域の消費も増えて地域が活性化するというようなことで、(2)は道路が完成すればその地域へのアクセスが容易になって人が集まるため経済効果がある、というようなことです。
昔は(1)(2)両方の効果が得られたものの、国が豊かになって社会が成熟するにつれ、本当に必要なものは少なくなり不必要なものまで造るようになって(2)の効果は少なくなります。そのため、(1)の効果が主な目的となりますが、これだけでは費用対効果が低いし不公平と批判にさらされているのが近年の状況です。
こういった理由で、絶対にやらなければならない事業(公共建造物の耐震化や老朽化対策など)に絞って公共事業をしたり、そもそも建設工事にこだわらず技術革新と結びついて長期的成長に結び付けられそうな政策(環境技術を普及させる政策など)やすべきとするのが最近の趨勢みたいですね。
>もし公共事業に地域経済を活性化させる効果なんて本当は皆無に等しいという結論になったとした場合、ではなんでなんでどこの自治体も「道路! 空港! 港湾!」 と陳情を繰り返しているのでしょうか?
都市部の税収を地方に分配する適切な制度が無いか、もしくは独自の税収を得たところで地方自治体には効果的な政策を行うノウハウが無いという自覚があるからではないでしょうか。
>公共事業によって生まれた 「おいしい部分(?)」 は一体どこに消えたのでしょうか?
ほとんど経済成長していない状況でさえ公共事業によって維持されてる面があるということでは?
有難うございました。
おっしゃるように、昔と違って今の日本は、インフラ整備がある程度、整ったという事で、巨額の資金を投入して新しい道路を作っても、それによって発生する経済効果は思ったより少ないという事になるのでしょうね。
そのため、いくら道路を建設しても地方経済が豊かにならないという結論になるのでしょうね。
何とかのひとつ覚えではないですが、道路や空港の建設はこの辺にして、本当に経済効果が期待できる財政出動をもう一度考え直す必要がありますね。
No.3
- 回答日時:
80年代後期に起こったバブルとその崩壊が何であったのかをある程度理解しておく必要があります。
バブル崩壊後土地や不動産が大暴落し、都心部では10年ほどで土地価格は1/6にまで下落しました。この流れが経済にとってとんでもない負のスパイラルをもたらしました。
企業というのは基本的に事業を行うため、土地や不動産を担保にお金を借りています。例えば1,000万の土地を担保に数千万のお金を借りて商売をし儲けをだして、事業を行い、人を雇い給与を払い、借金の返済も行うというのが基本です。
しかしその担保価値が実は500万でしたとなったのがバブル崩壊です。そしてこれが日本中で起こり、売りが売りを呼び資産価格の下落の負の循環が巻き起こり、不良債権が増大してゆくという自体でした。
このような自体となると銀行や金融機関はお金を貸すに貸せなくなります。下手にお金を貸して倒産されて不良債権をつかまされる可能性が高まるためです。そしてこの事が更に経済を停滞させるという金融収縮という自体が起こります。
このような状況下、この悪循環にブレーキをかけられるのが政府による財政出動です。政府は国債を発行して市場に売り出し公共事業を行います。すると金融機関にとっては、国債という比較的安全な投資先と公共事業に関わる事業会社という投資先が生まれ、同時に公共事業によって雇用や設備投資需要などが生まれ経済が回ることで、国にとっては失業者の増大を防ぎ企業や個人からの税収もそれなりに確保できるという流れです。
バブル崩壊後土地や不動産が大暴落し、都心部では10年ほどで土地価格は1/6にまで下落したと書きました。もし国債発行などを行わず、公共事業も行わなかったらどのような事態となっていたか、資産バブルのような大きなバブル崩壊を市場原理に任せ放任したのが1929年の米国でした。経済は崩壊状態となり、GDPはマイナス40%近くまでの落ち込みをみせ、落ち込んだGDP分の仕事は消えてなくなり、税収も激減、治安も悪化という最悪状況を生み出しまし、世界を巻き込んでの大恐慌へと発展しました。
不況になったら、まず公共事業 というのは基本的には正しいですが、規模や他の政策も必要ですし、公共事業さえやっておけば良い訳ではありません。
また巨大なバブル崩壊後の状況下では、1929年の米国の様に恐慌を引き起こした後にニューディール政策のような大規模公共事業を行うのか、1990年頃の日本や2009年の米国のように恐慌以前に公共事業・大規模財政出動を先手で行うのかの違いがあり、後者の方が確実に傷は浅いです。
しかし恐慌後に行われると、目に見える回復が見られます。1929年の米国ではニューディール政策によって25%を超えていた失業率は15%ほどまで回復し、市場も一定の安定を取り戻しました。
これら公共事業にはすべてを解決させ好況にまで経済を戻す力はありません。根本問題はバブルを発生させた事であり、それがすべての原因です。一度バブルが発生すればその後の崩壊は必然です。その後の停滞はバブルに酔いしれ踊った事の付けであり、バブル期にこぞって行った借金をその後に返済するのは避けられない事態であるという事です。
詳細な解説に感謝します。
もし日本が公共事業を展開していなければ、もっとひどい状況になっていたと考えるべきなのですね。
となると、「不況になれば、まず公共事業を」という主張は一応正論なのでしょうね。
あとはその規模と内容ですね。
日本政府は何をさせても too small, too little と批判されますが、公共事業の面でも中途半端なようですね
勉強になりました。
No.2
- 回答日時:
まず、日本の公共投資は飛び抜けて多くはありません。
むしろここ10年は諸外国に比べ少ないほうです。公共投資の中でも建設関係については、ゼネコンと政治の結託のためにうまく機能していないというのが現状です。特にバブル崩壊後、さらに外国援助事業の縮小などのあとは、大規模事業の枯渇とそれに伴うゼネコンの経営悪化を救うために、大手企業がそれまでは手をださなかった地方の中規模工事などにも露骨に参入し、少なくなったパイの奪いあいを演じています。
この結果、公共工事の多くはゼネコンの救済にあてられ、地元への経済効果はほとんどありません。結果、公共工事の投下資金は東京都への法人税と政治家への献金となって、ますます地方は疲弊しているのです。
もっと、具体的に書きたいのですが、さしさわりもあり、書いてて頭にくるんでやめておきます。参考になれば。
有難うございました。
なるほど、本当はゼネコンを通じて各自治体の経済に大きな波及効果があるはずだったのが、結局はゼネコンの本社がある東京都への大きな法人税、それに政治献金に化けただけだったのですね。
という事は、やっぱり「不況になれば、まず公共事業を!」というスローガンは全くの嘘デタラメだったという結論になりますね。
でも不思議なのは、それでも日本中の自治体が今でも「道路!道路!」と叫んでいるのが理解できませんね。
No.1
- 回答日時:
何処の国でも公共投資は行われていますが、その中で日本は国家予算の中に占める割合が特に大きく先進国の中では一番でしょうか?
その中で注目するのは貴方が掲げる道路、空港と港湾ですが、前政権が予算にの行に官僚にまかせっきりでありその執行に対する評価すら行っていなかったので所謂ゼネコンだけがもうかれば国家は良くなる、と云った誠に間違えた思想が自民党にあったのではないのか。
この思想は先ずは大企業が儲かれば国民もその利益にあやかれるだろうとの考え方ですが、しかしながら大企業が儲かっていたが国民の所得は下がる一方ですし貧困家庭が増える一方でホームレスも増えましたからこの思想は大きく間違っていました。
但し、その投資には空港と港湾と道路の合理的集約がなされていなかったのだろう--
特にこうした方面の投資には例えば空港では既に廃止がされるところもありますから、こらは地方の「無いものねだり」が生んだ結果な訳ですから此れまでの公共投資の限界であると思われる。
ダムにしても「水が溜まらないダム」などはダム全体の60%以上もありそうな!
八ッ場ダムの場合はまたしても大手の「談合」疑惑が有るなどともかく予算の25%はこのように「税金の無駄使い」になっていると言われている。
日本ではその公共投資がいかに有効に機能するかが問われる事となったのは政権交代でもたらされた「選択と集中」ではないか。
早速のお答え、有難うございました。
「建設業は裾野が広いから、まずゼネコンが儲かれば、段々と下にお金が下りていって、最後には全員がハッピーになる」 という説明をずーっと聞いてきました。
自民党や地方自治体の説明はそうだったはずです。
やっぱり、結局はこれは全てウソだったを決め付けて良いのではと感じています。
少なくとも国全体と自治体のフトコロ具合を見ると、「ゼネコンに渡ったあのお金は一体どこに消えてしまったのか? 裾野を下って地方の住民や企業に行き渡るはずだったのではないか? そのために借金までして公共事業の発注をしたのではないか?」 という疑問が解消されません。
あのお金はどこに消えてしまったのでしょうか?
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