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- 回答日時:
(1)どのようにして地位の移転が行われるか。
契約上の地位の移転は、「契約上の地位を移転する」という意思表示によってなされます。
売買における売主の地位の移転を例に契約上の地位の移転の中身をみると、(1)まず売買代金という「債権」が譲渡され、(2)目的物を引き渡すべき「債務」も移転します。(3)そして、解除権や取消権等の形成権も移転することとなります。
つまり、債権譲渡、債務引受、解除権等の移転が複合的に生じることになります。
これらを分解して、売主と地位の譲受人との間で、債権譲渡契約、免責的債務引受契約(注意)・・・等を個別に締結してもいいのですが、面倒なので、「契約上の地位を移転する」という契約に一本化してしまうのです。
この契約は、上記の権利のすべてを移転することがその内容となります。
(2)問題点
免責的債務引受のところに(注意)と書きましたが、契約上の地位の移転での一番の問題点はここです。
免責的債務引受についてはご自分の教科書等を参考にしていただきたいのですが、契約上の地位の移転には上記のように免責的債務引受がその内容として含まれることから、誰と誰の間で「契約上の地位の移転契約」を締結したらよいかが問題となるのです(つまり、売主・地位の譲受人の2者間の契約でよいのか、買主も含めた3者間で契約を締結する必要があるのか、という点が問題となるのです)。
これは、債務引受の対象となる債権の債権者(上記の例では買主のこと。この場合の債権とは目的物引渡請求権のことです)にとって、当該債権の行使にあたり「誰が債務者であるか」が重要かどうかによって決まります。
売買の場合、買主にとって売主が誰かという点は非常に重要な問題ですから、三者間で契約を締結する必要があります。
目的の商品を持っていない人間が地位の譲受人になったとしたら、大変ですからね。
これは逆でも同じです。つまり、買主の地位を移転した場合も、だれが売買代金の債務者かという点は売主にとって重要な問題です。
無一文の人間が売買代金を支払うことができるわけないですよね。売主は通常、買主の資力を信頼して取引するものです。
また、不動産賃貸借においても問題となります。
これは、貸主(賃貸人)が賃貸借の目的物である不動産を売却した場合に生じる問題です。
この目的不動産の移転に伴う賃貸人たる地位の移転の場合は、一般的に「誰が賃貸人かは重要ではない」とされています。
というのも、不動産賃貸人は、貸す不動産さえもっていて、それを使用させてくれれば、あとは基本的にそれ以上何もしなくてよいからです。
したがって、賃貸人たる地位の移転は、3者間での契約による必要はなく、目的不動産の売主・買主の2者間による契約で有効に成立します。
(3)地位の移転と権利の譲渡との違い
もうおわかりかと思いますが、契約上の地位の移転は、権利の譲渡等が束になったものです。
長くなりました。失礼しました。
この回答へのお礼
お礼日時:2010/03/08 22:57
迅速な回答ありがとうございます。
なるほど、地位の移転は特に形式はなく意思表示で自由にできるのですね!
非常に明快でかつ必要十分な回答で、大変感動いたしました!
これほどわかりやすい文章を書けることをうらやましく思うぐらいです。
どうもありがとうございました!
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