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流通業、小規模サービス業の合理化の余地は?

野口悠紀雄著『1940年体制』(1995年第I刷発行)から抜粋します。
第三の障害は、農業、流通業、小規模サービス業などに代表される低生産性部門の合理化の難しさである。この部門はさまざまな規制によって保護されており、低生産性の悪循環から脱却することが難しい。低生産性とは、膨大な過剰労働力の存在を意味する。したがって、合理化を行えば、労働力の過剰が顕在化し、大量の失業が発生するおそれがある。しかし、こうした部門に対する保護がすでに既得権化しているので、これは現実にはきわめて困難である。

この書籍の発行は15年前です。今日でも上の記述は妥当ですか。農業については自分なりに分かりますが、流通業、小規模サービス業については分かりません。以下は今日でも妥当な場合のお願いです。
1. 流通業界の合理化が必要だとすれば、如何なる不合理がありますか。一例として、宅配業認可時の悶着は承知しているので各種の規制が隠れているのは想像できます。どんな保護が既得権化していて、これを外すと失業者が出る因果関係を具体的に知りたいです。

2. 小規模サービス業について、1と同じことを知りたいです。

どちらか一方だけでも結構です。両方が出揃った時点で締め切ります。よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

>流通業界の合理化が必要だとすれば、如何なる不合理がありますか。


流通+小売業では、規模の経済が追求されておらず、多段階の卸問屋機能と小規模な小売業になっています。
これが、大手家電流通業やファーストリテイリングのような大規模開発輸入型の流通に代わって行くと生産性(従業員一人当たりの売上)が向上します。また物流そのものに関して生産工場が出荷した時のコンテナが横付けできる大型小売店(アメリカ型)になることによって物流コストが削減=生産性向上が期待できます。特定の業種ですが、書籍の流通などは日本独特の古い商習慣(書店から卸への返品保証による大量の廃棄処分)がありますし、食品の優通プロセスには帳合という複雑な既得権基準の利益分配制度があります。その他の業種でも、不透明な販売奨励金や旧態依然とした手形決済などが残っており、これらもオーバーヘッドとして販管費の上昇につながっていると思います。
このような日本では生産性の高い流通業が成り立たないと判断し、世界第二位の流通大手カルフールが日本から撤退することで、人・物・カネの経営資源を(効率的な流通が期待できる)中国に集中する決断をしたのは記憶に新しいところですね。

>小規模サービス業について、1と同じことを知りたいです。
サービス業は労働集約産業で、同時にオン・デマンド型であることが特徴です。つまり、要望されたときに労働が発生するということです。製造業と違って”作りだめ”ができませんね。この産業の特徴は人の稼働率、すなわち、従業員を一月160時間の拘束したとして、その何パーセントがサービス従事時間か、何パーセントが待機時間であるか、の指標です。
サービス業が小規模である場合には、この稼働率の維持・上昇に限界が有ります。一人二人でやっているお店と、1000名~2000名で実施しているサービス業では、注文に対する対応能力がことなりますので、結果的に稼働率の維持に差がつくのです。
稼働率は直接的な採算性の問題になりますが、小規模なサービス業で長期的に問題になるのは技術力の向上、サービスの標準化による品質の向上が期待できないこともあります。5000人のシステム開発サービス会社でれば、色々な技術に対応し、また同時に誰がやっても標準の品質管理などが実現できますが、5人の小規模企業ではなかなか対応できないですね。
で、結果的に小規模サービス業は大手のサービス業の補完、つまり下請けになりがちです。下請けから孫請けに再委託されることもありますね。サービス産業の”ゼネコン化”と揶揄される状態で、多段階流通と同じ不効率が発生しますね。
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この回答へのお礼

拝読しました。
イ)政府の関与が合理化を妨げている分野
ロ)政府の関与はないが強権をもつ存在があって合理化を妨げている分野
ハ)過去の商習慣を引き摺っていて合理化できない分野
二)その他の理由によって合理化できない分野
これらがあるらしいと感じました。

>>大手家電流通業やファーストリテイリングのような大規模開発輸入型の流通<<
この言葉から連想が働いて
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%BA%97% … 
ここを読んでおきました。大店法の緩和はシャッター街の出現に結びつき、野口氏の指摘と符合する面がありそうです。

風が吹いたとき、眼科医、三味線業界、桶屋さんなど儲ける人々も出現する代わりに三味線芸人が増加して、この中からは失業者も出そうです。
失業、就職促進、教育訓練、雇用継続など各種の給付金制度によって安全網を張り巡らさなければならない羽目になりました。対策費は他にも沢山ありそうです。
http://www.hellowork.go.jp/html/info_1_h3.html 
こうなると一円単位で物価が下がる代わりに、何億だか何兆だかの国家予算を食われ国民は得をしているのか損をしているのか、よく判りません。
外資系企業の母国だけは丸儲けの理屈になります。と、いう訳で嫌米思想の持ち主が一人増えました(?)。

他にも考えるヒントを得られましたが長くなるので割愛します。入りも出も工夫の余地がない生活をしていると経済事情に疎くなることだけは再確認しました。
有り難うございました。

こんな具合に野口発言の補強となる回答をお待ちしています。

お礼日時:2010/08/01 07:27

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