
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>物質の原子番号が高いほど、密度が高いほど、厚いほど減弱しやすくなります
1)原子番号と密度が同じであれば、厚いほど透過すべき物質の量が多いので減弱しやすくなります。
2)原子番号と厚さが同じであれば、密度が高いほど透過すべき物質の量が多いので減弱しやすくなります。
3)密度と厚さが同じで原子番号が異なる場合は少し複雑です。その場合には、透過すべき物質の質量(密度×厚さに比例)は同じです。密度が同じということは、単位体積当たりの核子(原子核に含まれる陽子と中性子の総称)の数が同じということです(電子は軽いので質量にはほとんど寄与しません)。中性原子では原子核を構成する陽子(+)の数と核外の電子(-)の数は等しく、陽子の数は大雑把には核子の数の半分程度なので(よって中性子の数も同様)、単位体積当たりの核子の数が同じであれば、電子の数も大雑把には同じです。X線減弱の主な要因が電子であろうと陽子であろうと中性子であろうと、密度と厚さが同じ場合には、X線が透過すべきそれらの量は大雑把には同じなのです。
そこで考えられるのは、光電離のエネルギー依存性です。核外電子を原子核の束縛から解放する(原子を電離する)にはその電子が属している殻(軌道)に応じたある最低のエネルギー Ei が必要ですが、エネルギー E (> Ei)の光子による電離では、その断面積(反応の起こりやすさを表す量)はふつう
σ(E) = σi f(E/Ei)
の形で表されます。ここで f(E/Ei) は E/Ei の増加とともに(ふつう)急激に減少する関数です。σi、Ei の値と f の関数形は原子番号と電子の殻に依存しますが、例えば最内殻の K 殻(いろいろな殻の中で Ei が最大)の場合には、原子番号が大きいほど σi は小さく、Ei は大きくなっています。その場合、あるひとつの値 E での σ の値を考えると、原子番号が大きいほど σi は小さいが、f(E/Ei) は大きく、どちらの効果が勝るかで σ の大小関係が決まりますが、E が大きいほど f(E/Ei) の効果が勝って、原子番号が大きいほど σ は大きいということになります。ひとことで言うと、じゅうぶん大きな E では、原子番号が大きいほど E/Ei が小さいために光電離の断面積が大きいということです。
このことは↓で確認することができます(扱われているエネルギーが、質問者さんの関心のある範囲より低いかもしれませんが、大体の傾向は見て取ってもらえるのではないかと思います)。
http://ulisse.elettra.trieste.it/services/elemen …
原子番号が大きいほどX線が減弱しやすいのは、光電離断面積のこのような性質のためではないでしょうか。
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