No.2ベストアンサー
- 回答日時:
確かに、戦争を背景に描いていますが、私には反戦映画とは思えませんでした。
インディペンデントの映画監督が作品を撮るための詭弁とでもいいましょうか、
映画のパンフレットでも連呼されるところをみると、今回、“反戦”はプロモーションにうまく使われたように思います。
私も最後の曲に「?」と思いましたが、ベルリン映画祭で受賞し知名度が上がったことを受けて、主題歌として採用されたようですので、映画本編の夫婦の話は異形の性がテーマなのかと錯覚してしまうくらい、なかなか反戦と結びつかないので、ちぐはぐな感じがするのも納得です。
観客の見世物的好奇心に訴えるカルト映画をうまく反戦イメージでコーティングして、なんとか商業ベースに乗せています。そういう意味では成功しています。
戦争の無意味さ、反戦のメッセージをこの映画に込めたかったがための、元ちとせ「死んだ女の子」だったのだと思いますが、いかんせん本編は、寺島しのぶの熱演に支えられた、若松孝二監督ならではのエログロ映画に仕上がっています。
ご回答、ありがとうございます。
あなたは若松作品に何を期待していたんだ?と訊かれているようで、
若松孝二監督ならではのエログロ映画、という一言に納得せざるを得ないようです。
No.5
- 回答日時:
#4で回答した者ですが、余談ながら、面白そうなので#3欄に貼ってくださったリンクの評論を読んでみました。
私は的を得ていると思いましたね。評論では、あくまでも「子供だって作れるか“もしれない”し、心で愛し合う“こともできる”」と言っているわけで、単なる“可能性”ですから誤解ではないと思います。むしろ、そういったさまざまな不確実な可能性こそが、この映画の底流だと思うんですよね。で、余談ばかりだとなんなんで申しますと、戦争の本音と建前を実生活の本音と建前にシンクロさせている点は面白いと思いました。いずれにせよ、映画のPRにおいて「反戦」が声高に叫ばれているのが間違いなのであって、この映画における反戦性は、もっとさりげないものであり、さりげないからこそ効果的なのだと思います。まあ、しかし、くどいようですが、なんといってもキャタピラーが魅惑的です。
そうですね。私も再読してみました。
単なる“可能性”とすれば誤解というのは過ぎた表現でした。
であれば、もっと夫の人間性が描かれていればと思うのですが、
常に女性に責任が押し付けられ非難され生きてきた女性の悲哀ばかりが印象に残っていたので、映画の見方としては、すこし了見が狭かったなと反省しております。
ただ、夫が無事に帰ってきたとしたら実家に帰されていただろう女性ですから、子供だって作れるかもしれないし、心で愛し合うこともできるという予断を許してはくれない追い詰められた環境だったと思います。やはりラッキーな部類とはとても思えませんでした。
しかし、この腑に落ちないもやもやとした感じこそが、映画の魅力だったと思えば、すべては映画のPRにおいてに間違いだけが残念です。
こうした ucok さんとのやりとりがあったのも、映画の魅力の一部だと感謝しております。ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
江戸川乱歩の『芋虫』を大幅に取り入れた、夫婦にまつわる普遍的なテーマを持つエログロ志向な映画作品に、反戦一色で塗り固めた豪華パンフレットを添えて、「反戦」という“ウケの良い”大義名分を付けたものだと感じました。
心に残るのはあくまでも、大西信満演じるキャタピラー氏の強烈なセックスアピールであり、実はそれをすべて承知のうえで作っているのではないかと勝手に思いました。あそこまで声高に「反戦」を叫ぶのは、ジョークだと感じました。つまり、わざとかなと。曲にも違和感がありました。監督の最盛期には、あの手の違和感のある技法が流行ったものです。ほかにも良い意味で突っ込みどころはたくさんありますが、ネタバレになるので控えます。パンフレットの表紙もなかなか“時代”を感じさせます。けっこう、総合的に楽しめました。
もはやヤクザな監督のダメダメなパロディだと結論付けようとしていましたが、ご回答から、いっそ「ジョークだとおもって楽しむ」という、映画通の懐の深さを感じました。
突っ込みどころの多さには、度し難い部分がありますが、総合的に楽しむってことでいえば、こうした質問サイトでのやり取りも含め、楽しませていただきました。
ご回答、ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
私自身はこの映画を拝見していないので何なのですが。
前田有一氏という映画評論家もご自身の映画批評サイトで同様の感想を述べられています。
御参考までに。
参考URL:http://movie.maeda-y.com/movie/01496.htm
ご回答、ありがとうございます。
ご紹介のコラム拝見しました。
二人のドラマはじつのところ戦争とはほとんど関係が無く、単なる夫婦の間のいち問題にすぎないように見える。
とありますので、我が意を得たりとは思いました。しかし、
ましてこの夫には、ペニスもあれば思考する脳みそもあるのだ。恋愛というものは、究極的に言えばその2つがあれば成立する。子供だって作れるかもしれないし、心で愛し合うこともできる。簡単ではないだろうが、愛し合う夫婦が乗り越えられない障害ではまったくない。まして戦時中ならラッキーな部類といっても過言ではない。
とあるのです。寺島しのぶ演ずる女性は子どもの生めない“石女(うまずめ)”と呼ばれて蔑まれていたのですから、肝心な部分を誤解していたり、かなり評論としてはズレているように思いました。
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