水平方向に寝かせたシリンダーがあり、中にとある気体を入れて、なめらかに動くピストンで塞いであります。
例えば気体の温度を一定に保った状態で気体から熱を奪うと、気体が収縮してピストンは気体がある内側に動きます。
これは、気体が熱を奪われたことで圧力が下がったため、外気圧の方が大きくなり、その外気圧由来の力による仕事なので、気体は仕事を「された」ことになりますよね。
ここから先がわかりません。
もし、気体の圧力を一定に保った状態で、気体から熱を奪うと、やはり気体は収縮し、ピストンは内側に動きます。
このときの仕事も、気体が「された」仕事なのだそうですが、一体何の力が仕事をしたのでしょうか。
最初に書いた等温変化の例だと外気圧由来の力が仕事をしたようですが、低圧変化の場合、熱を奪ったあとも圧力は変わりません。
それなのになぜピストンがシリンダーの中で気体の方向へ動くのかがわかりません。
よろしくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
どういう過程かとは関係なく、ピストンが動いた時にはピストンが仕事をします。
(定圧変化の場合であっても)気体の熱を奪うとシリンダー内の圧力がわずかに下がり、ピストンが内側へ動き出すんです。
ピストンはシリンダー内外の圧力が等しくなるまで加速し、その後は一定の速度で動き続けます。
この間はシリンダー内の圧力は外気圧に等しいので、一定の圧力(外気圧)を保ったまま体積が変化(定圧変化)していますよね。
No.3
- 回答日時:
>気体の温度を一定に保った状態で気体から熱を奪うと、気体が収縮してピストンは気体がある内側に動きます。
・・・(1)>気体の圧力を一定に保った状態で、気体から熱を奪うと、やはり気体は収縮し、ピストンは内側に動きます。・・・(2)
(1)「温度一定で熱を奪う」という事はどうすれば実現するでしょう。温度一定の条件というのは熱浴に接触していることで実現します。その状態で体積を変えるためには圧力を変える必要があります。
外部の圧力を少し大きくします。内部の圧力と釣り合わなくなりますからピストンは動きます。圧縮したことと同じです。圧縮すれば少し温度が上がります。熱浴と系との間に温度差が生じれば熱が移動します。熱浴は熱容量が系に比べて十分に大きいという設定です。熱が移動しても温度は変わりません。
平衡が成立すれば内部の圧力と外部の圧力は等しくなっています。外部の圧力が高くなっていますから内部の圧力も高くなっています。これを繰り返すことで温度一定で体積が小さいという任意の状態を実現できます。圧力変化の起こる前と起こった後の関係はボイルの法則で示されるものです。
外圧が外気圧のままであればこのような変化は不可能です。
温度差がないところでは熱の移動は起こりませんので熱を奪う事が出来ません。
いまの場合は外部からした仕事の分が系を通りぬけて熱浴に移って行ったことになります。
(2)「圧力を一定に保って熱を奪う」
この場合は系を系よりも温度の低い熱浴に接触させることで実現します。
熱が低温の熱浴に移動すれば系の温度は下がりますので系の圧力も下がります。外部の圧力との間に差が生じますからピストンが内がわに向かって移動します。移動が起こればピストンは仕事をします。この時生じた熱も一緒に熱浴に向かって移動します。平衡状態が成立すれば系の温度は熱浴の温度に等しくなっています。
外圧が一定であればピストンが動いて平衡が実現した時の圧力は外圧に等しいのですから定圧変化です。
変化の起こる前と起こった後の状態の関係はシャルルの法則で示されるものです。
圧力一定で温度が下がって、体積も小さくなっています。
#1
>ピストンはシリンダー内外の圧力が等しくなるまで加速し、その後は一定の速度で動き続けます。
こういう事はありません。
ピストンが動けば仕事をするという事はどちらでも変わりません。
外部の圧力を高くしても、内部の圧力を低くしてもピストンは内側に向かって動きます。どちらの場合でも外部のした仕事は「外圧×体積変化」です。
質問文では「熱を奪う」という操作の内容を考えていないことによる混乱も重なっているようです。
※内部の圧力が高いと膨張します。この時、気体は外部に対して仕事をします。
この時する仕事も「外部の圧力×体積変化」です。外圧に抗してする仕事と表現されるものです。
この表現は真空への膨張は仕事をしないということからも納得できるものではないでしょうか。
準静的な変化では常に「内部の圧力と外部の圧力が等しい(とみなせる)」という事が成り立っていますから仕事の表現に出てくるpdVのpがどちらの圧力であるかが分かりません。
今ははっきりとした温度差がある場合、圧力差がある場合を考えています。
変化の途中で内部と外部とで圧力や温度に差が生じています。どちらも不可逆変化です。でも比較は平衡状態が成立したところで行っています。
>定圧変化の場合、熱を奪ったあとも圧力は変わりません。
これは平衡が成立した後の話です。
No.2
- 回答日時:
■気体がされる仕事と外圧は直接結びつけられない
気体分子は常に四方八方に飛び回っていますので、
箱に気体を詰め込んだ場合、その内壁には気体分子が常にぶつかります。
壁のある面がピストンであれば、ピストンに対して気体分子が常にぶつかります。
つまり、「いつでも気体はピストンを押す向きに力を与えています」。
気体の「圧力」とは、この内壁を押す力の強さの事です。
そして、気体のした仕事は、
{気体の加える力} × {その力が加わっている物体が動いた距離} … (1)
で定義されます。
ここで注意したいのは、「外圧の大きさは気にしていない」という事です。
実際、同じ圧力の気体が同じ外圧にさらされていたとしても、
ピストンがどちらの向きに動くかは場合によります。
(1)ピストンが固定されていれば → ピストンは動きません
(2)気体が定圧のまま「体積だけが小さくなれば」 → ピストンは内側に向けて動きます
(3)気体が定圧のまま「体積だけが大きくなれば」 → ピストンは外側に向けて動きます
■気体の「仕事」の求め方
では気体の仕事をどうやって求めれば良いかと言うと、
<方法1>
定圧変化の場合は簡単です。
(1)式の{気体の加える力}が常に一定ですので(それを定圧と呼ぶのでした)
{気体のした仕事} = {気体の圧力} × {ピストンの断面積} × {動いた距離}
で求められます。
# 圧力は単位面積あたりの力のため、
# 実際に力[N]として用いる場合は面積をかけてやる必要があります。
さらに、気体の言葉を使えば、
{ピストンの断面積} × {動いた距離} = {気体の体積増加分}
ですので、
結局 W = PΔV と分かります。
<方法2>
定圧変化では無い場合、時々刻々と気体の圧力が変わりますので、
(1)をそのまま用いる事ができません。
そこで、熱力学第一法則
Q(気体に加わった熱量) = ΔU(気体の内部エネルギーの上昇) + W(気体のした仕事)
より、QとΔUから間接的にWを求めます。
<方法3>
PVグラフを使うという手もあります。
Pを縦軸、Vを横軸にとり、気体の変化の様子を曲線(直線)で表せば、
その線と横軸で囲まれた部分の面積が仕事です。
これは、実は、(1)より厳密な、定積分を用いた仕事の定義です。
W = ∫P dV です。
数学で定積分まで学んだら、式で求めるのも便利です。
■じゃ、外圧はいつ使うの…?
では外圧はいつ使うのかというと、
「ピストンが常に釣り合いを保ったままゆっくり動くときに限り」
(1)式が、内側から考える場合と外側から考える場合で正負ちょうど逆になりますので、
{気体がされた仕事} = - {気体がした仕事}
と、外圧を用いて求める事ができる、という事です。
しかりこれには注意が必要です。
例えばなめらかに動くピストンがついたシリンダーが垂直に設置されているとき、
たしかに「ピストンが常に釣り合いを保ったままゆっくり動く」状況ですが、
ピストンの釣り合いの式は PS = P0S + Mg … (2)
です。
つまり、気体の圧力が「外圧+ピストンに働く重力」と釣り合っていますので、
{気体がピストンにした仕事} =
- {ピストンが外気圧からされた仕事} - {ピストンが重力からされた仕事}
となります。重力の仕事が加わります。
(2)式でまず気体の内部の圧力を求めて、
定義通り気体内部の圧力を用いて計算した方が良いですね。
気体のした仕事が分かれば、それに負号を付ければ気体のされた仕事です。
---
長くなりましたが、これを踏まえて答えると、
>気体の圧力を一定に保った状態で、気体から熱を奪うと、
>やはり気体は収縮し、ピストンは内側に動きます。
>このときの仕事も、気体が「された」仕事なのだそうですが、
>一体何の力が仕事をしたのでしょうか。
PV = nRT
のPが固定(定圧)、nとRも固定であり、Tが下がっていますので、
Vが下がり(つまり体積が減り)その結果としてピストンが内側に動いています。
定圧ですので、圧力は変わりません。
動いた理由は、圧力差ではなく、体積の減少です。
気体の仕事は、<方法1> W = PΔV から求められます。
ΔV < 0 (体積が減る)ので W < 0 ですね。
された仕事は、-w (>0) です。
腑に落ちましたでしょうか?
言われてみれば、そうでした。
温度が上がるから、気体の構成分子の熱運動が激しくなって、
それでも圧力は変わらないから体積が大きくなるんでしたよね
ありがとうございました。
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