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丹羽春喜氏は「政府貨幣発行権限を日銀に売る」ことによって、国は財源を得ることができるし、これは現行法で行えると主張しています。日銀や財務省は、これが可能だという見解でしょうか。

A 回答 (2件)

> 「政府貨幣発行権限を日銀に売る」ことによって、国は財源を得ることができるし、これは現行法で行える



相手が日銀であれば、可能かどうか、ということであれば、不可能ではないでしょう。
一応、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律という法律の法改正が必要です。現在の法体系では

しかし、ほとんど意味がありません。
丹羽氏の言う政府貨幣とは要するに硬貨ですが、氏の主張によればその発行権を日銀に移す代わりになにがしかのお金を受け取り、日銀は発行差益を得る、ということです。
しかし、日銀の利益は結局は(一部の積立金などを除けば)日銀国庫納付金といって国庫収入になります。

要するに、現在政府が発行し差益を受け取っているものを、日銀が発行し受け取った差益を国庫に納入する、という形に変えるだけの話です。
日銀が挟まっている以外は、何も変わりません。



ところで、もう少ししっかり見ると、丹羽氏のこの話は非常に無理がある話であることが分かります。
日銀も日本政府も、発行差益を受け取ることはありません。日銀の収入の大部分は、国債等の債券からの利息収入です。
ではどこが発行差益を直接取っているかといえば・・・誰も受け取っていません。

例えば、質問者氏が銀行の口座から1000円下ろしたとしましょう。すると、質問者氏の手元には千円札が1枚増えるはずですが、口座の残高は1000円減っているはずです。質問者氏の財産も、銀行の債務+質問者氏の紙幣も、全体としては増えも減りもしていないことが分かると思います。

実は質問者氏を市中銀行、銀行を日銀に置き換えると、ほぼ同じことが起こっています。違うのは、日本銀行券は日銀の債務であるという点だけです。したがって、紙幣(日本銀行券)の発行(交付)では、通貨発行残高は変わらず、だれの財産も債務も増減せず、発行差益もありません。

ごく僅かに、記念硬貨についてのみ、造幣局が受け取り、発行差益を国庫に納付する形をとっています。

この回答への補足

記念硬貨ですが、買った人が造幣局に返したとき、造幣局は返品に応じなければなrない仕組みでしょうか。お金というものは、古くなっても同じ価値を持つとすれば、造幣局は売った値段で買い戻さねばなりませんよね。そのように解釈すると記念硬貨も負債と言えなくもないでしょうか。

日銀券発行残高は現在80兆円程度。もしこれにより日銀が通貨発行益があるとすると、日銀国庫納付金として国庫に入金されなければならないけど、実際はそれがなされていない。つまり、日銀が通貨を発行しても利益になっていない。ということは、政府から通貨発行権を売ってもらい、それを行使しても、利益にならない。だから政府への納付金も生じない。

こんな解釈でいいですか。

スティグリッツは、政府貨幣発行で国庫に入金されるように、制度を変えよと言ってましたね。例えば1兆円の政府貨幣を政府がつくって日銀に持って行けば、それが流通しなくても日銀の金庫に入るだけで1兆円が国庫に入れることにするという法律を作ることでしょうか。

補足日時:2011/01/19 21:02
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> 記念硬貨ですが、買った人が造幣局に返したとき、造幣局は返品に応じなければなrない仕組みでしょうか。



いいえ。
不良品以外ならば、銀行に持ち込んで記念硬貨ではないものと両替することになります。造幣局は販売して終わりです。
流通から先は日銀その他が行います。
したがって、造幣局にとっては負債ではありません。

> 日銀券発行残高は現在80兆円程度。もしこれにより日銀が通貨発行益があるとすると、日銀国庫納付金として国庫に入金されなければならないけど、実際はそれがなされていない。

ではなく、発行差益自体が存在しない。日本円は800兆円存在し、そのうち80兆円が日本銀行券という形をとっています。
今、日本円の総量を変えずに日本銀行券を10兆円増加させたとしても、日本銀行が市中銀行から受け入れている預金が同額減るだけです。
負債の内部での構成比率が変わるだけで、発行差益自体が発生しない。

ということで、最初から存在しないものなわけです。


一応、前回の回答で誤解を招きやすいところがあったので補足的に付け加えると、硬貨については負債計上されていないため、発行差益が(一応は)存在しています。造幣局が額面-製造費用を利益として受け取っていますが、全額国庫に納められています。



> スティグリッツは、政府貨幣発行で国庫に入金されるように、制度を変えよと言ってましたね。例えば1兆円の政府貨幣を政府がつくって日銀に持って行けば、それが流通しなくても日銀の金庫に入るだけで1兆円が国庫に入れることにするという法律を作ることでしょうか。

スティグリッツの話はさておき(彼の話は要するに「国債が問題なら政府紙幣を作って日銀に渡し、日銀保有にしてしまえ」ということを冗談めいた話として言っただけ。これをすると確かに連結ベースでは国債は消滅する)、
> 例えば1兆円の政府貨幣を政府がつくって日銀に持って行けば、それが流通しなくても日銀の金庫に入るだけで1兆円が国庫に入れることにするという法律を作ることでしょうか。

印刷代ももったいないので、電子データでも良いわけで、帳簿上、日本銀行の貸借対照表の政府預金の数字を、例えば100兆円足すだけでも良いわけです。で、何が起こるのか、というと、・・・最も簡単にいえば何も起こらない。

日銀は政府預金に100兆円の増額と資産の部かそれに対応した政府紙幣100兆円が書かれ、日本銀行はそれでおしまい。
支出側である政府は、費用項目に○○特別会計繰入(複数年度にわたる会計は基本的に特別会計です)等という適当な科目で100兆円が支出されて、同額の収入が歳入として計上されてこれでおしまい。
特別会計の中身は、繰入がそのまま資産に政府預金として乗るだけでおしまい。

日銀の準備金等の変化や配当など、色々端折っているけれども、概ね日銀の引き受けということからいえばそういうことになります。ということで、何も起こりません。


日銀がこの政府紙幣で例えば国債を買った場合ですが、日銀が政府紙幣100兆円で買った場合と、通常の買いオペで買った場合は、
(国債)100 (政府紙幣)100
となるか
(国債)100 (当座預金)100
となるかだけの話であり、これもほとんど変わらないことが分かると思います。
特に、政府紙幣が日本銀行券と手数料ゼロでの等価交換が保証されるのであれば、全く変わりません。
(国債の買い取り額を増やす云々は、政府紙幣とはまた別のお話なのでこれ以上深追いしません)。

この回答への補足

>流通から先は日銀その他が行います。
したがって、造幣局にとっては負債ではありません。

日銀が買う義務があるとすれば日銀の負債でしょうか。
造幣局は財務省に属しておりますし、財務省は政府の一部です。発行益は政府が受け取ったのですから、返品があれば最終的には政府が払い戻すべきでしょう。そう考えれば、政府貨幣は日銀の負債ではなく政府の負債とも言えるでしょうか。

>一応、前回の回答で誤解を招きやすいところがあったので補足的に付け加えると、硬貨については負債計上されていないため、発行差益が(一応は)存在しています。造幣局が額面-製造費用を利益として受け取っていますが、全額国庫に納められています。

とはいえ、例えば電子マネーの普及で硬貨がごっそり日銀に返ってきたら、政府は買い取らねばならないですよね。そういう意味で、日銀は委託販売をしている「中間業者」であり、硬貨は発行元である政府の負債と考えるべきではないですか。日銀が「中間業者」と考えていて、返品を受けるのは日銀ではなく、政府である。そうなら、通貨発行権を政府が日銀に売っただけで、発行益をよこせと言うのは無理があるのかも。日銀は通貨発行権を持っているのだから、政府から買わなくてもよい。


>印刷代ももったいないので、電子データでも良いわけで、帳簿上、日本銀行の貸借対照表の政府預金の数字を、例えば100兆円足すだけでも良いわけです。で、何が起こるのか、というと、・・・最も簡単にいえば何も起こらない。

政府預金に100兆円が加われば、これが財源となって、国の借金を増やすことなく、減税とか社会保障費等、何にでも使えるのでしょう。でもこれは日銀による国債引き受けと同じだから、国会の承認(新しい法律制定?)が必要になるのではないでしょうか。現在の認められている政府貨幣の額面は6種類だと、法律で規定されていたでしょう。通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の第5条です。

>日銀がこの政府紙幣で例えば国債を買った場合ですが

政府貨幣を買って、その引き替えに国債を売りたい人は誰もいないのではないですか。政府貨幣には利子はつきませんから。つまり政府貨幣は資産として日銀に滞留するのでは。もちろん、政府が、あり余るほどの税収が入って、政府貨幣を買い戻そうという時が来たら別ですが。いつか政府貨幣を政府が買い戻すかもしれないということを考えれば、やはり政府貨幣は政府の負債として計上されるのではないですか。

例えば、私の会社に限度のない通貨発行権が認められてたとします。勝手に通貨を発行しますね。税理士が試算表を持ってきて、負債が大変だと言ってきても気にしませんね。負債がいくらあっても倒産しないからです。国の負債も同様だと思いますよ。国の負債なんて気にしなければいい。いくらでも通貨を発行できるのですから。

補足日時:2011/01/20 13:32
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