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カメラが発明された当初は人物なり風景なり、記録するのが主な用途だったろうと思うのですが、
例えば構図の工夫などで、芸術性を持たせるようになったのはいつごろからでしょうか。
パイオニアとなる人物がいたのでしょうか。

A 回答 (2件)

写真が今芸術の分野かどうか、まだ判然としない部分はあります。

芸術に入る部分もあり、そうとも言えない部分もあるといった所だと思います。

写真は発明後すぐに肖像写真としての地位と需要を得ました。
一方、小さくて安価な肖像写真もありましたが。

ナダールなどは元々肖像画家でしたが肖像写真家として商売としても大成功しています。ナダールの写真は写真らしさを生かしていますが画面への入れ方などは肖像画のスタイルを踏襲しているように思えます。ドーミエの絵に「写真を芸術の高みに浮上させようとするナダール」という有名な絵がありますから、そういうモチベーションは常に写真・写真家とともにあったのだろうと思われます。

またひところは絵画趣味・ピクトリアリズムの写真というのが19世紀終わりから20世紀初めにかけて盛んでした。
これはおっしゃるように絵画の「構図」や絵画の「芸術性」という概念をそのまま写真に持ち込んで写真で絵を作るという物だったのですが、それだけ写真という物が技術的に難しく、社会にとってもまだまだ使いこなれていない物だったからでしょう。
今コンピューターでやるようにネガやプリントを切り張りしたりして一枚の絵“のように”仕立てるというような事も流行りました。

湿板時代の写真は組み立て式テントのような暗室のセットを人足に背負わせて持ち運ばないと野外では写せない物でしたから、記録といっても写せる物は非常に限られていましたし、今からは考えられないような苦労であったようです。むしろ絵画の道具の方が持ち歩きには適していたのです。
写真を絵画に応用する画家もいましたが、静止して照明を当てなければ撮れなかったのですから、例えば踊りの一場面を再現してスタジオのような所で止まってもらって撮った物を下絵として使用したのだと思われます。

写真が今のように写真独自の面白さを追求されるようになったのは、写真がもっと手軽になってからであって、さらにはライカのように手持ちで次々と写真を撮れる機械が出てきてからその傾向が強まったと言えるでしょう。ドキュメンタリーとかルポルタージュというような概念も生まれました。
それと同時に構図など、絵画の概念からは離れる傾向も強くなっています。
それまではどうしても一枚の絵、絵画を如何にシミュレートするかというような価値観からなかなか逃れられなかったのです。写真が無く、絵画が先にあったという経緯から言っても、絵画の影響が最初は強く、だんだん弱くなるという流れは自然と思われます。
ナダール
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%80% …
スティーグリッツ
http://www.artphoto-site.com/story7.html
他のキーワード pictorialism , linked-ring
ストレート・フォトグラフィStraight Photography
http://photohistorybymax.blogspot.com/2010/03/pi …
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この回答へのお礼

詳細なご説明ありがとうございます。
私の質問自体が曖昧なもので申し訳ありませんでしたが、おっしゃるとおり
「絵画の概念からは離れる」ような写真がいつごろから出てきたのかが知りたくて、
その意味で正に意にかなったご回答でした。
#2の方のキーワードと併せて知識を深めたいと思います。

お礼日時:2011/06/06 08:55

写真が写真らしい「造形的画面構成」などで写真独自の「芸術性」を獲得したのは前記回答のストレートフォトグラフィ以降と思われます。



パイオニアとなる人物は
ポール・ストランド   Paul Strand
エドワード・ウェストン Edward Weston
ウォーカー・エバンス Walker Evans
モホリ・ナジ Moholy-Nagy
マン・レイ Man Ray
など
また変化を遂げたという意味では前記のスティーグリッツも研究するとおもしろいのでは。
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