無限に深い井戸型ポテンシャルについて、GaNの層厚d=0.5nm、伝導帯電子の有効質量me=0.2m0の
とき

(1)基底状態、第一励起状態および第二励起状態のエネルギー固有値E1,E2,E3をeVの単位であらわすとどうなるのですか?

(2)GaNの伝導帯の3次元状態密度および、この問題のような2次元の状態密度を計算した場合の状態密度とエネルギーの関係はどうなるのでしょうか?

自分で勉強してみたものの、無限に深い井戸型ポテンシャルだけは良くわかりません。どなたか教えていただけるとさいわいです。

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A 回答 (1件)

(1)「井戸の壁の高さが無限大」から言えることは、「壁面において波動関数の値はゼロでなくてはならない」です。

これが計算の過程において境界条件として課されます。
ご質問の場合の量子井戸内の波動関数は以下のようになります。左側の壁をx=0の原点に取り、また井戸の壁を太線(┃)で示しています。図示の制約から正確には描けませんが雰囲気は分かっていただけると思います。古典的な振動のイメージで言うならば「壁面の位置と振動の節が一致している」ということです。

[基底状態]
・      ・
:↑波動関数 :
┃      ┃
┃  __  ┃
┃ /  \ ┃ 
┃/    \┃←壁の位置では波動関数ψ=0
┃      ┃
x=0     x=d


[第一励起状態]
・      ・
:      :
┃      ┃
┃ _    ┃
┃/ \   ┃←壁の位置では波動関数ψ=0
┃   \ /┃
┃     ̄ ┃
     

[第二励起状態]
・      ・
:      :
┃      ┃
┃      ┃
┃/\  /\┃←これまた、壁の位置では波動関数ψ=0
┃  \/  ┃
┃      ┃


井戸内部における、定常状態のSchroedinger方程式は
(h~^2/2m_e)(d^2/dx^2)ψ+Eψ=0  (1)
です。ψは波動関数、h~はhバー(Planck定数÷2π)です。また「m×e」との混乱を避けるため有効質量はmeでなくm_eと表記しました。
この方程式は2階線形の斉次微分方程式ですから
ψ=A1 sin(kx) + A2 cos(kx)  (2)
の形の解となることは自明です。ここにkは{√(2m_e E)}/h~です。またx=0でψ=0との境界条件がありますからA2=0もすぐに分かります。
さてもう一つの境界条件、x=dでψ=0を検討します。これは(2)にx=dを代入することで
d×{√(2m_e E)}/h~=π, 2π, 3π,...,nπ  (3)
とすぐに書き換えられます。
(3)をエネルギーEの式に変形すると
E=n^2 {(h~π^2}/2m_e d^2  n=1,2,3,...  (4)
ということになります。エネルギーEはnに応じてとびとびの値しか許されないことが分かります。
題意から、n=1が基底状態、n=2が第一励起状態、n=3が第二励起状態に相当します。数字を代入して計算するのはセルフサービスでいいですよね。m_eをkg単位、h~をJ・s単位で代入したならば最終結果はJ単位で出てきますから、電荷素量で除して電子ボルトの単位に直すのをお忘れなく。

(2)これも上記と同様に考えることができます。
3次元の大きな直方体の箱を考えて下さい。各辺の長さをL_x, L_y, L_zとします。この箱の中に電子が存在するとしましょう。箱の内部ではポテンシャルは一様でゼロとし、箱の外ではポテンシャルは∞とします。従って箱の内壁面において電子の波動関数ψが0という境界条件が課されます。
(1)では電子の運動は1次元(1自由度)で考えましたが、今度は3次元で考えなくてはなりません。3次元空間のSchroedinger方程式(定常状態)は箱の内部においては
(h~^2/2m_e)(∇^2)ψ+Eψ=0  (5)
となります。∇^2はラプラシアンです。この方程式はψを変数分離(ψ=X(x)×Y(y)×Z(z))して解くのが常道です。解き方は量子力学の初歩の教科書には大抵載っていますから、詳細はそちらで読んで下さい。
計算結果だけ示しますと、やはりこの場合もエネルギーEの値はとびとびのものに限られ、その値は
E=(h~^2/2m_e)×{(πn_x/L_x)^2 +(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2}  (6)
となります。n_x, n_y, n_zは整数で1,2,3,..の値を取ります。これは(4)と同じことで各壁面でψ=0という境界条件が課されるところから生じていますが、今度はx, y, zの3方向ありますからある一つの状態を表現するには整数の3つ組が必要、ということです。

ではいよいよ状態密度Z(E)、すなわち単位体積・単位エネルギー領域で収容できる電子数について考えてみます。
まず波数という物理量を導入します。一般にある波動があった場合、その波長λに対し2π/λという物理量を考え「波数」と呼びます。長さ方向にどれくらい波が詰まっているかを表す量です。
今考えている箱の中の波動関数で、例えばL_x/n_xは半波長に相当する量ですから、この場合の波数(x方向の波数)はπn_x/L_xということになります。同様にy方向についてπn_y/L_y、z方向についてπn_z/L_zがそれぞれ波数です。
波数はx, y, zの各方向についてk_x, k_y, k_zなどと表され、また(k_x, k_y, k_z)のように3つ組にしたものは「波数ベクトル」と呼ばれます。
波数を用いると(6)は
E=(h~^2/2m_e)×{k_x^2 +k_y^2 +k_z^2}  (7)
と変形できます。この式は波数とエネルギーの関係を表すものです。また波数を変数と考えると(7)は波数空間(3次元)での球面の式を表していることになります。(ただし定常状態となり得る波数がπ/L_xなどの整数倍、すなわち格子点に限られることは変わりありません)

これを知った上でエネルギーEとE+dEの間にある状態数Z(E)dEを考えてみましょう。
さてまず(7)で示したように等エネルギー面は波数空間で球面をなします。半径{√(2m_e E)}/h~の球と、半径[√{2m_e (E+dE)]/h~の球の間の体積差を考えると
[{√(2m_e)}/h~]^3 (4π/3){(E+dE)^(3/2)-E^(3/2)}  (8)
ですが、dEはEに比べて十分に小さいので
[{√(2m_e)}/h~]^3 (4π/3){(3/2)√E dE}
=2π[{√(2m_e)}/h~]^3 √E dE  (9)
となります。
一方、許される波数は波数空間で格子点として存在しています。その密度は波数空間の体積π/L_x×π/L_y×π/L_zあたりに1つですが、1つの準位に電子は2つまで入れますから電子の状態数にするには2を掛けます。
これを(9)にかけると、
2×(L_x×L_y×L_z)÷π^3×2π[{√(2m_e)}/h~]^3 √E dE
=(L_x×L_y×L_z)×4√(2m_e) √E÷(π^2×h~^3) dE  (10)
を得ます。n_x, n_y, n_zは正の値に限られますので、(10)の1/8が実際の状態の数ということになります。また状態密度は単位体積で定義していますから、(10)をさらに実空間の体積L_x×L_y×L_zで除して
(1/8)×{4√(2m_e)^3 /π^2×h~^3} E^(1/2) dE  (11)
を得ます。従って状態密度Z(E)は
Z(E)={√(2m_e)^3 /2 π^2×h~^3} E^(1/2)  (12a)
あるいは
Z(E)=4π{√(2m_e)/h}^3 E^(1/2)  (12b)
ということになり、いずれにしてもZ(E)はエネルギーEの平方根に比例することが分かります。ここにhはPlanck定数です。グラフにするとおよそ以下のようになります。

↑Z(E)
│      *
│   *
│ *
│*
└───────→E

以上は3次元でのお話です。では2次元ではどうなるでしょうか。2次元、すなわち薄膜中での電子伝導は(7)式までは同じですがその先が少し異なります。
薄膜はx方向について極めて薄く、y方向およびz方向には十分に大きく広がっているとしましょう(L_x≪L_y, L_z)。すると波数空間において、許されるk_xの値は極めて限られたものになり、その相互の間隔は許されるk_yやk_zの間隔に比べて非常に大きくなります。格子点はy方向とz方向には稠密ですが、x方向には相当に離散的ということです。
この場合エネルギーEとE+dEの間の状態数の差は、球の体積の差でなく円の面積の差で求めることになります。
まずx方向の基底状態はn_x=1について、
E=(h~^2/2m_e)×{(π/L_x)^2 +(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2}
{(2m_e E/h~^2)-(π/L_x)^2}=(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2  (13)
となります。(13)は球の方程式でなく、円の方程式と看做すべき式です。
波数空間の平面k_x=π/L_xにおいて、半径√[(2m_e E/h~^2)-(π/L_x)^2]の円と半径√[{2m_e (E+dE)/h~^2}-(π/L_x)^2]の円の面積差は明らかに
π{2m_e/h~^2} dE  (14)
です。
またこの平面内において許されるL_y, L_zの面積密度は、π/L_y×π/L_zあたりに2つです。2つになる理由は上記と同じ(スピンの差異で2つの電子が入りうるから)です。
さらにn_y, n_zは正の値に限られることを考えると、許される状態の数は
2×(1/4)×π{2m_e/h~^2}×L_y×L_z÷π^2 dE  (15)
ということになります。実空間の単位体積当たりに直せば
2×(1/4)×{2m_e/h~^2}/(L_x π) dE
=4π m_e/(L_x h^2)  (16)
ということになります。すなわちEの値によらず状態密度は一定という結果になります。
ただし、ある程度Eの値が大きくなってくると今度はn_x=2の場合が入ってきますから、それも含めて状態数を計算する必要が生じてきます。しかしn_x=2であっても(16)の結果は同じであり、n_x=1についての状態密度とn_x=2についての状態密度を単に足し合わせれば全体の状態密度になるということです。
これは言葉で表現するより図を見てもらった方が早いでしょう。以下のような階段状のグラフになります。なお階段の段の高さはどこでも同じです。

↑Z(E)
│          
│      *******
│   *****
│ ***
│ **
└───────────→E

以上はかなり駆け足で説明したのと計算間違いをしている可能性があるのとから、miake-kiyoshiさんご自身で検算しながら、また教科書などで復習しながら読んでいただければ幸いです。

参考URLのページには精細な波動関数の図や状態密度のグラフがありますからぜひ一読ください。

参考URL:http://www.qed.eedept.kobe-u.ac.jp/japanese/semi …
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この回答へのお礼

大変ありがとうございました!とても解りやすく解説してあったのでなっとくができました!
今後は自分の力で勉強していきたいとおもいます!

お礼日時:2003/10/27 04:22

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>|x|<aでnが奇数のとき、偶数のとき、|x|≦aの時で場合分けして答え>を出すんでしょうか?
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このような導電率の温度依存性は、バンドギャップエネルギーが比較的大きな不純物半導体の一般的な特徴です。

金属や半導体の導電率 σ を決めているのは、キャリア濃度とキャリア移動度です。キャリア濃度が大きければ、電流を運ぶ担い手が多いので導電率が大きくなります。移動度が大きければ、時間当たりに移動できるキャリアの数が多くなるので導電率が大きくなります。式で書くと導電率 σ [ 1/Ω/m = C/V/s/m ] は
   σ = q*( n*μe + p*μh )
で表わされます。q は電子の電荷 ( = 1.602e-19 [C] )、n は電子濃度 [1/m^3]、p は正孔濃度[1/m^3]、μe は電子移動度 [m^2/V/s]、μh は正孔移動度 [m^2/V/s] です。したがって導電率 σ の温度依存は、 n*μe + p*μh の温度依存になります。不純物半導体の場合、n 型ならば、n >> p で、p 型ならば n << p なので、導電率は多数キャリアの濃度と移動度だけで決まります。つまり
   σ = q*n*μe  ( n 型半導体 )
   σ = q*p*μh  ( p 型半導体 )
となります。

不純物半導体のキャリア濃度( n または p )は、資料 [1] の 図2-17 にあるように、極低温では 温度上昇と共に増加し、低温では一定値となり、さらに高温になると温度上昇と共に増加するような温度依存性を持っています。それぞれの温度領域での温度依存性は
   キャリア濃度 ∝ T^(3/2)*exp{ -Ei/( 2*k*T ) } ( 極低温 )
   キャリア濃度 ∝ Ni                (低温)
   キャリア濃度 ∝ T^(3/2)* exp{ -Eg/( k*T ) }  (高温)
です。Ei は不純物準位のエネルギー深さ [ eV ]、k はボルツマン定数 ( = 1.38e-23 [J/K] )、T は温度 [K]、Eg はバンドギャップエネルギー [ eV ] です。極低温では、不純物準位から伝導帯(n型の場合)や価電子帯(p型の場合)に励起されるキャリアが温度上昇と共に増え、その温度依存性は不純物準位のエネルギー深さ Ei にに関係しています。それより高温の領域では、不純物準位からキャリアが全て励起され尽くしてしまうので、温度を変えてもキャリア濃度は変わらず、キャリア濃度は不純物濃度 Ni に等しくなります。さらに温度を上げると、今度は、価電子帯から伝導帯に励起されるキャリアが増えてくるので、再び温度依存性が現れてきて、その依存性はバンドギャップエネルギー Eg に関係するようになります。普通 Ei << Eg なので、高温領域でのキャリア濃度の温度依存は、極低温でのキャリア濃度の温度依存よりも急峻(温度変化に対してより大きく変化する)になります。

一方、導電率に関係しているもう1つのキャリア移動度ですが、その温度依存は、キャリアの散乱が格子振動によるものであれば
   μ ∝ 1/ T^(3/2)
で表わされます。つまり温度が低いほど移動度が大きくなります。したがって導電率 σ は
   σ ∝ exp{ -Ei/( 2*k*T ) }  ( 極低温 )
   σ ∝ Ni/ T^(3/2)       ( 低温 )
   σ ∝ exp{ -Eg/( k*T ) }   ( 高温 )
という温度依存を持ちます。

GaN はバンドギャップエネルギー Eg が大きいので、室温付近では、バンドギャップを超えて励起されるようなキャリアはほとんどなく、不純物準位からキャリアが全て励起され尽くしてしまっている領域(低温)になります。したがって室温~10Kという温度範囲は、上の(低温)~(極低温)の温度領域に該当します。この温度領域では、室温付近では、導電率の温度依存が σ ∝ Ni/ T^(3/2) ですから、導電率は温度が低くなるほど大きくなるという傾向になります(これは分かるわけですね)。しかしそれより低温になると、(極低温)の領域に入ってきて、 σ ∝ exp{ -Ei/( 2*k*T ) } という温度依存に変わっていきます。これは温度が低くなるほど導電率 σ が小さくなるという温度依存です。つまり、移動度が大きくなる度合い以上にキャリア濃度が低下してしまうので、温度が下がるとともに導電率が下がっていきます。したがって、途中のある温度で導電率 σ が最大となるようなころが起こります。GaNの場合、その温度が 220K あたりになっているのだと思います。

[1] 不純物半導体のキャリア濃度の温度依存(pptファイル 28ページ) www.tc.knct.ac.jp/~hayama/denshi/chapter2.ppt

このような導電率の温度依存性は、バンドギャップエネルギーが比較的大きな不純物半導体の一般的な特徴です。

金属や半導体の導電率 σ を決めているのは、キャリア濃度とキャリア移動度です。キャリア濃度が大きければ、電流を運ぶ担い手が多いので導電率が大きくなります。移動度が大きければ、時間当たりに移動できるキャリアの数が多くなるので導電率が大きくなります。式で書くと導電率 σ [ 1/Ω/m = C/V/s/m ] は
   σ = q*( n*μe + p*μh )
で表わされます。q は電子の電荷 ( = 1.602e-19 [C] )、n ...続きを読む

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ご質問の場合の量子井戸内の波動関数は以下のようになります。左側の壁をx=0の原点に取り、また井戸の壁を太線(┃)で示しています。図示の制約から正確には描けませんが雰囲気は分かっていただけると思います。古典的な振動のイメージで言うならば「壁面の位置と振動の節が一致している」ということです。

[基底状態]
・      ・
:↑波動関数 :
┃      ┃
┃  __  ┃
┃ /  \ ┃ 
┃/    \┃←壁の位置では波動関数ψ=0
┃      ┃
x=0     x=d


[第一励起状態]
・      ・
:      :
┃      ┃
┃ _    ┃
┃/ \   ┃←壁の位置では波動関数ψ=0
┃   \ /┃
┃     ̄ ┃
     

[第二励起状態]
・      ・
:      :
┃      ┃
┃      ┃
┃/\  /\┃←これまた、壁の位置では波動関数ψ=0
┃  \/  ┃
┃      ┃


井戸内部における、定常状態のSchroedinger方程式は
(h~^2/2m_e)(d^2/dx^2)ψ+Eψ=0  (1)
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この方程式は2階線形の斉次微分方程式ですから
ψ=A1 sin(kx) + A2 cos(kx)  (2)
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d×{√(2m_e E)}/h~=π, 2π, 3π,...,nπ  (3)
とすぐに書き換えられます。
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ということになります。エネルギーEはnに応じてとびとびの値しか許されないことが分かります。
題意から、n=1が基底状態、n=2が第一励起状態、n=3が第二励起状態に相当します。数字を代入して計算するのはセルフサービスでいいですよね。m_eをkg単位、h~をJ・s単位で代入したならば最終結果はJ単位で出てきますから、電荷素量で除して電子ボルトの単位に直すのをお忘れなく。

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3次元の大きな直方体の箱を考えて下さい。各辺の長さをL_x, L_y, L_zとします。この箱の中に電子が存在するとしましょう。箱の内部ではポテンシャルは一様でゼロとし、箱の外ではポテンシャルは∞とします。従って箱の内壁面において電子の波動関数ψが0という境界条件が課されます。
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E=(h~^2/2m_e)×{(πn_x/L_x)^2 +(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2}  (6)
となります。n_x, n_y, n_zは整数で1,2,3,..の値を取ります。これは(4)と同じことで各壁面でψ=0という境界条件が課されるところから生じていますが、今度はx, y, zの3方向ありますからある一つの状態を表現するには整数の3つ組が必要、ということです。

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E=(h~^2/2m_e)×{k_x^2 +k_y^2 +k_z^2}  (7)
と変形できます。この式は波数とエネルギーの関係を表すものです。また波数を変数と考えると(7)は波数空間(3次元)での球面の式を表していることになります。(ただし定常状態となり得る波数がπ/L_xなどの整数倍、すなわち格子点に限られることは変わりありません)

これを知った上でエネルギーEとE+dEの間にある状態数Z(E)dEを考えてみましょう。
さてまず(7)で示したように等エネルギー面は波数空間で球面をなします。半径{√(2m_e E)}/h~の球と、半径[√{2m_e (E+dE)]/h~の球の間の体積差を考えると
[{√(2m_e)}/h~]^3 (4π/3){(E+dE)^(3/2)-E^(3/2)}  (8)
ですが、dEはEに比べて十分に小さいので
[{√(2m_e)}/h~]^3 (4π/3){(3/2)√E dE}
=2π[{√(2m_e)}/h~]^3 √E dE  (9)
となります。
一方、許される波数は波数空間で格子点として存在しています。その密度は波数空間の体積π/L_x×π/L_y×π/L_zあたりに1つですが、1つの準位に電子は2つまで入れますから電子の状態数にするには2を掛けます。
これを(9)にかけると、
2×(L_x×L_y×L_z)÷π^3×2π[{√(2m_e)}/h~]^3 √E dE
=(L_x×L_y×L_z)×4√(2m_e) √E÷(π^2×h~^3) dE  (10)
を得ます。n_x, n_y, n_zは正の値に限られますので、(10)の1/8が実際の状態の数ということになります。また状態密度は単位体積で定義していますから、(10)をさらに実空間の体積L_x×L_y×L_zで除して
(1/8)×{4√(2m_e)^3 /π^2×h~^3} E^(1/2) dE  (11)
を得ます。従って状態密度Z(E)は
Z(E)={√(2m_e)^3 /2 π^2×h~^3} E^(1/2)  (12a)
あるいは
Z(E)=4π{√(2m_e)/h}^3 E^(1/2)  (12b)
ということになり、いずれにしてもZ(E)はエネルギーEの平方根に比例することが分かります。ここにhはPlanck定数です。グラフにするとおよそ以下のようになります。

↑Z(E)
│      *
│   *
│ *
│*
└───────→E

以上は3次元でのお話です。では2次元ではどうなるでしょうか。2次元、すなわち薄膜中での電子伝導は(7)式までは同じですがその先が少し異なります。
薄膜はx方向について極めて薄く、y方向およびz方向には十分に大きく広がっているとしましょう(L_x≪L_y, L_z)。すると波数空間において、許されるk_xの値は極めて限られたものになり、その相互の間隔は許されるk_yやk_zの間隔に比べて非常に大きくなります。格子点はy方向とz方向には稠密ですが、x方向には相当に離散的ということです。
この場合エネルギーEとE+dEの間の状態数の差は、球の体積の差でなく円の面積の差で求めることになります。
まずx方向の基底状態はn_x=1について、
E=(h~^2/2m_e)×{(π/L_x)^2 +(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2}
{(2m_e E/h~^2)-(π/L_x)^2}=(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2  (13)
となります。(13)は球の方程式でなく、円の方程式と看做すべき式です。
波数空間の平面k_x=π/L_xにおいて、半径√[(2m_e E/h~^2)-(π/L_x)^2]の円と半径√[{2m_e (E+dE)/h~^2}-(π/L_x)^2]の円の面積差は明らかに
π{2m_e/h~^2} dE  (14)
です。
またこの平面内において許されるL_y, L_zの面積密度は、π/L_y×π/L_zあたりに2つです。2つになる理由は上記と同じ(スピンの差異で2つの電子が入りうるから)です。
さらにn_y, n_zは正の値に限られることを考えると、許される状態の数は
2×(1/4)×π{2m_e/h~^2}×L_y×L_z÷π^2 dE  (15)
ということになります。実空間の単位体積当たりに直せば
2×(1/4)×{2m_e/h~^2}/(L_x π) dE
=4π m_e/(L_x h^2)  (16)
ということになります。すなわちEの値によらず状態密度は一定という結果になります。
ただし、ある程度Eの値が大きくなってくると今度はn_x=2の場合が入ってきますから、それも含めて状態数を計算する必要が生じてきます。しかしn_x=2であっても(16)の結果は同じであり、n_x=1についての状態密度とn_x=2についての状態密度を単に足し合わせれば全体の状態密度になるということです。
これは言葉で表現するより図を見てもらった方が早いでしょう。以下のような階段状のグラフになります。なお階段の段の高さはどこでも同じです。

↑Z(E)
│          
│      *******
│   *****
│ ***
│ **
└───────────→E

以上はかなり駆け足で説明したのと計算間違いをしている可能性があるのとから、miake-kiyoshiさんご自身で検算しながら、また教科書などで復習しながら読んでいただければ幸いです。

参考URLのページには精細な波動関数の図や状態密度のグラフがありますからぜひ一読ください。

参考URL:http://www.qed.eedept.kobe-u.ac.jp/japanese/semicon/semicon_basics.htm

(1)「井戸の壁の高さが無限大」から言えることは、「壁面において波動関数の値はゼロでなくてはならない」です。これが計算の過程において境界条件として課されます。
ご質問の場合の量子井戸内の波動関数は以下のようになります。左側の壁をx=0の原点に取り、また井戸の壁を太線(┃)で示しています。図示の制約から正確には描けませんが雰囲気は分かっていただけると思います。古典的な振動のイメージで言うならば「壁面の位置と振動の節が一致している」ということです。

[基底状態]
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QBose粒子系における基底状態と励起状態の粒子数の比

 エネルギー0≦ε<∞のBose粒子系において、T<T_〔C〕(T_〔C〕:臨界温度)ではN'=N'|_〔μ=0〕であるとして

 N_〔0〕/N=1-{(T/T_〔C〕)^(3/2)}

を確かめようと思っています。
 全粒子数Nを基底状態(ε=0)の粒子数N_〔0〕と励起状態(ε≠0)の粒子数N'の和で表し、後者を連続近似でN'=∫〔0~∞〕f_〔B〕D(ε)dεと書く、とすることや等式

[2/{π^(1/2)}]∫〔0~∞〕[(x)^(1/2)/{exp(x)-1}]

を何処かで用いることは分かるのですが…。
 誠に恐縮ですが、どなたか御回答を宜しく御願い申し上げます。

Aベストアンサー

教科書の「Bose-Einstein凝縮」のところを調べて下さい。

Q井戸型ポテンシャル(JJサクライ)

JJサクライ下巻のp397(5.1.15)
摂動論ではないのですが、
さらりと触れられている箇所が納得できずにモヤモヤしています。

非常に弱い一次元の井戸型ポテンシャルを考えます。

V=-V0 (|x| < a)
V=0 (|x| > a)

λ>0 の引力に対して
E = - (2ma^2)/h^2 |λV0|^2
というようなエネルギーの束縛状態がある。
(ここでhはh/2πの意味です)

このエネルギーの式はどのように導いたのでしょうか。
単純な井戸型ポテンシャルでもなさそうですし、
トンネル効果と比較してもよく分かりません。
よろしくお願いします。

Aベストアンサー

λが唐突に出てくるのですが、
|x|<aでV=-λV_0、あるいは同じ事ですが、ハミルトニアンをH=p^2/2m + λVとしているという事でいいですね?

エネルギーE(<0)の束縛状態の波動関数(のうち偶関数のもの)は、
x>aで、ψ=Aexp(-ρx)
|x|<aで、ψ=Bcos(kx)
x<-aで、ψ=Aexp(ρx)
のようになっています。ここで、E=-h^2ρ^2/2m=h^2k^2/2m -λV0です。・・・(◎)
※(λV0が大きければ)奇関数の束縛状態も存在しますが、基底状態のパリティが正なので、簡単のため奇関数の束縛状態は考えない事にします。

x=±aで、ψとその微分が連続という条件から、ρ=k tan(ka)が出てきます。・・・(☆)
※実際には、◎と☆の交点が固有状態を与えます。(もちろん、奇関数解で☆に相当する式も考える必要はあります)

λV0に関する最低次の項のみを考えると、
☆よりρ=k^2a.これと◎から、h^2k^2/2m=λV0となります。
故に、E=-h^2ρ^2/2m=-(2ma^2)/h^2 |λV0|^2となります。

λが唐突に出てくるのですが、
|x|<aでV=-λV_0、あるいは同じ事ですが、ハミルトニアンをH=p^2/2m + λVとしているという事でいいですね?

エネルギーE(<0)の束縛状態の波動関数(のうち偶関数のもの)は、
x>aで、ψ=Aexp(-ρx)
|x|<aで、ψ=Bcos(kx)
x<-aで、ψ=Aexp(ρx)
のようになっています。ここで、E=-h^2ρ^2/2m=h^2k^2/2m -λV0です。・・・(◎)
※(λV0が大きければ)奇関数の束縛状態も存在しますが、基底状態のパリティが正なので、簡単のため奇関数の束縛状態は考えない事にします。

x=±a...続きを読む

QBose粒子系における基底状態と励起状態の粒子数の比

 エネルギー0≦ε<∞のBose粒子系において、T<T_〔C〕(T_〔C〕:臨界温度)ではN'=N'|_〔μ=0〕であるとして

 N_〔0〕/N=1-{(T/T_〔C〕)^(3/2)}

を確かめようと思っています。
 全粒子数Nを基底状態(ε=0)の粒子数N_〔0〕と励起状態(ε≠0)の粒子数N'の和で表し、後者を連続近似でN'=∫〔0~∞〕f_〔B〕D(ε)dεと書く、とすることや等式

[2/{π^(1/2)}]∫〔0~∞〕[(x)^(1/2)/{exp(x)-1}]

を何処かで用いることは分かるのですが…。
 誠に恐縮ですが、どなたか御回答を宜しく御願い申し上げます。

Aベストアンサー

Bose 凝縮についての3つのご質問ですが,
前に grothendieck さんがアドバイスしておられますように,
適当な統計力学の本を参照されるのがよいかと思います.
この話は大学の物理系の学科で学部2~3年くらいのレベルで,
私の講義経験では講義1回分近くが必要です.
したがって,この回答欄にはちょっと書き切れません.
手元にある本をいくつか見てみたところ,
市村浩「統計力学」(裳華房) がかなり詳しいようです.

なお,
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=709374
が多少参考になるかと思います.


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