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ある参考書には事務管理と行為能力については、成立要件として、行為能力を要するか
否かということと、制限行為能力者に継続義務を課すのは制限行為能力者の保護の精神
に反するという言及があるのみで、その内容を把握できませんでした。
といいますのは、事務管理が成立しないのは、それはそれで保護にならないように思え
たからです。

そこで、いくつかの資料にあたってみたのですが、
コンメンタール民法(我妻・有泉)1232Pには、もう少し、詳しい説明があり、私
の理解では、制限行為能力者が事務管理を始めたことによる不利な効果については取消
権に準じた権利を認めるということ、その結果、制限行為能力者に利益が生じてしまっ
た場合には、不当利得によって処理するというものでした。

また、些末なことなのかもしれませんが、上記のことを、「行為能力を事務管理の成立
要件にする」と表現するのが妥当なのかはよくわかりません。
字面を素直にとれば、事務管理の制度は、行為能力のある人に対する特則であり、制限
行為能力者には適用がないということになります。
それは、事務管理に該当するような事象が起きた場合には、制限行為能力(不利益な効
果をもたらすものには取消権に準じた権利が認められる)、不法行為(責任能力の問題
)、不当利得(制限行為能力者のお節介(出費)により本人が利得を得ているか)及び、
信義則(お節介について不法行為を主張することが正義公平に反しないか)によって解
決すべきということでしょうか?
あるいは、単純に、事務管理を制限行為能力者について一定の修正を加えるという意味
でしょうか?

A 回答 (3件)

おはようございます。



かなり議論が発展し、質問者様の法律へのご興味が
ふんだんと見受けられますね。

かなりレベルの高い話になっているとおもうし、
もはやB.Aクラスの解答が↓に出ているのですが、

以前から同じく、事務管理はあくまでも事実行為であって、
法律行為ではないから、行為能力の問題ではなく、
むしろ事実遂行能力の性格をもつとのことでした。

行為能力を事務管理の成立要件とする。これが決定
されてしまえば、制限行為能力者の行為は、
要件不備により無効という結論に
なりそうです。

我妻先生の考えはまさに質問者様が捉えたような
視点に立って話が進んでいますね。
事務管理に制限行為能力者の疑問をぶつけて
こられたときの話と被っています。

これを行為能力を事務管理の成立要件とする。
と表現すれば、そうですね。有利な効果が制限行為
能力者に生じたとすれば取り消す必要がなく、不利な
効果が生じれば取消の対象になる。しかしそうで
あるとすれば、行為能力は事務管理の原則的要件
である。と言った方が正確で、制限行為能力者
の場合に、例外的に取り消しができる場合がある。
トした方がよろしいかもしれません。これをしなければ、

お考えの通りそうですね。制限行為能力者
には、適用がない。そもそも無効だろう。という
ことになりそうです。

で、私は↑の後にすぐ、取り消しを後からつけることに
なるかも。といいましたが、質問者様は別の手段を
提示なさっているようです。取消権もそうですが、
不法行為、不当利得、および信義則ですね。

不法行為と不当利得は、いわばその可能性は、
当然である。と言えるものではないでしょうか。
すなわち、事務管理が事実に属する事柄である以上、
事実の遂行過程に生じるこれら二つの制度は、
その発生は当然予想されている物ではない
でしょうか。

特に事務管理と不当利得はある種被っている
場合もございます。なぜなら、例えば瓦の修理に
より、瓦の修理代金分。あるいは瓦の修理をするのに
骨を折らなかった分、利益を得ると同時に、それを
した事務管理者が損失を負っていることになり、
不当利得。といえそうです。

しかし、法律上の原因なく。の解釈によりますが、
「財産的価値の移動を、当事者間で正当とするだけの、
実質的・相対的な理由がない場合。」と解すると、
やはり、事務管理の最初の規定、事務管理の遂行
の通知とその承諾により、両者は法律上の原因を
もつにいたるといえるのではないでしょうか。

さらに言えば、不法行為が発生した後は、もはや
取消権を行使するなどはできないのではないでしょうか。
それだと不法行為が初めから無効ということになり、
これは民法の原則そのものを覆してしまいます。
取消権があるとすれば、そのタイミングをいつまで
とするべきなのか。別の問題点として浮かび上がると
言えましょう。

また、不当利得の話を上でしましたが、不当利得と
事務管理は、上記の理由から、両立しえないもの
なのではないでしょうか。

従ってこの場合は不当利得と言うより事務管理が
優先され、その義務の終わりと同時に事務管理者は
債権を得るということになりそうです。

では不当利得というのはどのような場合に成り立つ
のでしょうか。瓦の修理のときに使った工具をおいて
いってしまったときでしょうか。そんな馬鹿な。
それも含まれないということはできないですが、
それだと物権で普通に取り返せます。

とすれば、やはり例外として認められた取消権の行使
の結果、相手の利得が生じた部分について、不当利得を
認めるということになり、従って取り消し権の行使により
このときにはすでに事務管理はない。といえてしまい、
両立しない。ということにやはりなってしまいそうです。

また、さらに言えば、事務管理の途中で不法行為
が発生した場合、それはもはや事務管理とはいうことが
できなくなってしまっており、本人の意思に適合しない
方法であることはあきらかでありますから、
これもほとんど不法行為と両立しないことになるので
はないでしょうか。つまり、事務管理が皮肉にも
不法行為の原因となってしまったということです。

先生が先生なだけに私の意見ももしかしたら間違って
いるかもしれないし自分でもそんな不安がございます。

最後に、信義則(お節介について不法行為を主張すること
が、正義公平に反しないか。)という部分ですが、これは
もう少し具体的にしていただきたいと思います。

確か以前の解答でこの信義則云々が出てきたという気は
するのですが、ちょっと忘れてしましました。。。
それと質問者様の質問に改めて解答するうちに、
上記3つの、「事務管理と不法行為、不当利得の
関係性」について、それなりの考えが浮かびあがって
きました。

これらは事務管理、という一つの枠組みの中で
どれも発生しそうなものですが、しかしどれかに
分岐していく。という意味で関連性があり、
どちらも両立して成立するということは、
少し考えにくいのではないでしょうか。

これは以前の私の回答に対し無責任な発言かも
知れませんが、自然にそうではないかと思ってしまった
ものですから、平にご容赦ください。

最後に事務管理を制限行為能力者について一定の
修正を加えるということか?といえば、我妻先生は
このスタンスを取っているのではないか。と思います。
制限行為能力者が事務管理に乗り出した時、
それが完遂するまでの間において、取消権の
行使を認めることにより、事務管理に一定の
修正を加えている。ということができそうです。

かなり深い議論ですが何かあればまたぜひ
投稿してください。応援しています。

この回答への補足

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答をありがとうございます。
私のもの分かり悪さのために、ご迷惑をおかけしているのではないかと恐れるところで
す。

>不法行為と不当利得は、いわばその可能性は、当然である。と言えるものではないでしょうか。
すなわち、事務管理が事実に属する事柄である以上、事実の遂行過程に生じるこれら二つの制度は、
その発生は当然予想されている物ではないでしょうか。

仰るとおりと思います。
さらに言えば、事務管理は、不法行為と不当利得の特則であると思います。
事務管理は、本人と事務管理者の利得と損失があり、それは法律上の原因によらない
ものであって、ただ違うのは、「本人のために行う意思があるかないか」ではないか
と思います。

また、事務管理は他人の事務に介入することになりますので、不法行為になりうるもの
ですが、相互扶助のために、不法行為の適用がない特則といえるのではないかと思いま
す。

従って、事務管理の適用が行為能力者でないことを理由にして排除されてしまいます
と、不法行為、不当利得が前面に出てくるものと思います(その根底には当然あった
ものと思います)。
しかし、制限行為能力者であっても事務を十分にこなせますので、利益を受けている
いるにも関わらずに行為能力者でないことを理由にして、出費等を逃れるために、事
務管理でないことを理由に不法行為を主張するのは信義に反すると思います。

一方、行為能力者でないことを理由に、事務管理の適用を排除するのでなくて、部分
的に修正するということであれば、話はちょっと複雑になるのなかもしれません。
といいますか、事務管理について詳しくしりませんので、どのように修正すべきか
よく分かりません。
そこで、お恥ずかしい話なのですが、基本的なことをお聞きします。
事務管理が成立しますと、本人と管理者との間に、権利義務が生じますが、管理者に
ついては通知義務、継続義務、報告義務、善官注意義務(698条反対解釈)が発生
、これに、管理者が反した場合には、債務不履行責任となり、完全履行または損害賠
償の対象となり、費用償還請求と相殺することになるのでしょうか?

ここまできて、はたと思ったのですが、管理者の義務のうち、継続義務については、
ちょと扱いが、難しいように思います。
その他の義務は、事務遂行能力に密接に結びついていますが、継続するか否かは本人
の意思能力に密接に結びついていているように思えるからです。

補足日時:2011/07/08 11:55
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こんにちは



>「他人のためにする意思があることが要求されている」
というのは、理解できますが、行為能力に限らずに、
一定の無能力者につい
ての配慮はどのように図るべきでしょうか?

短い文章のやりとりで、相手の真意を掴むのは難しく
的外れの回答でしたら、申し訳ありません。
「一定の無能力者」という意味がよくわかっていないのですが・・・

「他人のためにする意思があることが要求される」
ということは、当然に「当該行為をする意思能力があること」
という意味も含みます。意思能力がなければ、他人のために
する意思を持ちようがありえません

また詐欺又は脅迫によって、事務管理を始めた場合には、
96条が適用されるでしょう

>やはり事務管理の制度は、通常の能力を有する者を前提にして設計されているように思
われます。

失礼ですが、この一文にどういう意味を込めたのか真意を
図りかねますが、どういう意味ですか?

民法の大部分の規定は、当然に通常の能力を有するものを前提に
設計されていて、そうでない者、例えば制限行為能力者、意思無能力者、
詐欺脅迫による意思表示をしたもの等については、
それぞれを保護する規定、修正する規定が別途定められている
のであって、あえて事務管理が
「通常の能力を有する者を『前提にしない』で設計したもの」
等と考える実益があるようには、あまり思えないのですが?

この回答への補足

回答ありがとうございます。
基本的に、通常の能力を持った人を前提にして、制度設計がされるのは当然とも言える
と思いますが、法律行為であれば制限行為能力者制度があり、不法行為であれば責任無
能力者制度があると思います。
つまり、一定の無能力者に対する配慮をした制度がセットで用意されているように思い
ます。

そこで、事務管理の場合には、そのような配慮をどのようにしたらよいのかという疑
問です。
全く配慮が必要がないというのであれば、それも一つの考えかたであると思います。

補足日時:2011/07/06 15:54
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この回答へのお礼

いつも、懇切丁寧な回答をありがとうございます。

現実には、多分に一定の無能力者が事務管理類似のことを行う場合があると思いますが
、このような場合にはどのように処理されるのか興味深いところです。

一定の無能力者が、事務管理を行った場合に、事務管理によって発生する義務を、その
無能力が故に果たせなかった場合には、違法性が阻却されず不法行為にもなりかねませ
んし、支出した金額が償還請求できない事態もあると思います。
そのような場合には、不法行為についは、責任能力によって調整し、支出した金額につ
いては不当利得によって解決すればよく、特別の保護制度を設ける必要もないのかもし
れませんね。
後、意思能力の問題ですね。
制限行為能力制度は、意思能力に問題がある人を類型化して、画一化することによって
保護する制度ですので、制限行為能力制度で画一的に保護するのでなくて、もし意思能
力の欠如により事務管理に支障をきたすような事態があるのであれば、個々に意思能力
を判断していけばよいのかもしれません。
その場合には、その人が制限行為能力者であるもか否かは、重要な判断材料になりうる
でしょうか。

お礼日時:2011/07/07 13:15

こんにちは お久しぶりです



本質問はその3ということで、
その1、その2を拝見していない自分が回答していいのか、
悩みましたが、何らかの参考になれば・・・

まず第一に
「制限行為能力者でも有効に事務管理の管理者になりうるのか?」
については、通説によれば、制限行為能力者でも
かまわないとされています

事務管理は法律行為ではないから、行為能力が必要ではない。
ただし、他人のためにする意思は要求されるから、
その意思を決定する能力さえ備えていれば良い

なお、管理者には他人のためにする意思があることが
要求されているが、この意思は事務管理が相互扶助の
理念に基づく制度であるところから要求されているに過ぎず、
この意思の効果として各種権利義務が発生するわけではない

これらの権利義務は法律上の効果として生ずるものであるから、
法律行為ではなく、準法律行為なのである
(「伊藤真 試験対策講座4 債権各論」を参照した)

これ以上のことについては、明快な判例や通説は
恐らく存在しないんじゃないかと思います

そこで、僕が感銘を受けたある講師のお言葉を借りれば
(誰のお言葉か忘れたし、内容も大分変わっている可能性大ですが・・・)

「受講生に込み入った質問をされることは多い。
所詮法律なんか人間が作ったものだから矛盾だらけであって、
いくらでも突っ込みの入れようはある

この場合、僕の答えは2パターンある。質問の内容について
判例・通説があれば、それを答える。
なければ、『それは誰も知らないことだから、貴方が裁判官なり
弁護士なりになって訴訟をして結論を出してください』と言う

前者であれば、試験に出る可能性はあるけど、
後者であれば、答えのない問題であって、試験範囲になりえないから、
少なくとも今やる必要はなし。

試験に出ないことをやるのは、ただのオナニーであって、
時間的にゆとりのある学部生や、大学の先生は別として、
君たちにはそんなゆとりはないはず」


以上のことを前提にしたうえで、
「貴方ならどう弁護するのか?」とご質問下されば
私なりの私見を述べたいとおもいます

何らかの参考になれば幸いです

この回答への補足

回答ありがとうございます。
仰ることは、ごもっともであると思います。

敢えて言い訳をさせていただけば、議論のための議論をしているつもりはなく使える民
法を目指していることをご理解ください。

さて、お言葉に甘えての質問なのですが、「他人のためにする意思があることが要求さ
れている」というのは、理解できますが、行為能力に限らずに、一定の無能力者につい
ての配慮はどのように図るべきでしょうか?
やはり事務管理の制度は、通常の能力を有する者を前提にして設計されているように思
われます。

補足日時:2011/07/06 10:00
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