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No.3
- 回答日時:
そのような「説を唱えている論文は存在」しないのではないでしょうか。
なぜって、もし「「私」が「K」の生まれ変わり」であると解釈すると、「こころ」全体における「中 私と両親」の役割や存在理由が説明できなくなるからです。
その前に、これは単なる形式レベルの話題でしかありませんが、もし作中に「私」が「K」の死後に生まれているという記述でもあったら、質問者さんのような解釈をする人がもっと多いかもしれませんね。
思うに、「私」と「先生」の関係については、「私」は「先生」の精神上の息子として設定されているとは考えられませんか?
より具体的に申し上げると、「私」には、同じく明治の時代を生き、やはり明治天皇崩御と時を同じうして死んでいく、《養父》と《実父》の二人の父親がいたのではないかということです。
思うに、「中 私と両親」の末尾で、「私」が臨終間際の《実父》を捨ておき、すでに死んでいるはずの「先生」のもとに駆けつけずにはいられなかったとあるからには、「私」のアイデンティティの拠り所として選択したのが、血を分けた《実父》ではなく、精神(こころ)上の父としての「先生」の方だったということになるのではないでしょうか。
言い換えますと、子のない「先生」にしても、「私」のことを、ある意味《実子》以上に堅い精神的な絆で結ばれている《わが子》として信頼することができたからこそ、妻にも明かせない内奥の秘密を綴った「遺書」を「私」に託せたのではないかということです。
何のために?
ほかでもなく、自分に代わって、《わが子》に次代を生きていくための「こころの糧」としてもらうために。
ということで、「私」は「「K」の生まれ変わり」といよりも、「私」は血よりも強い親子の絆で「先生」と結ばれた、「先生」の精神上の息子だったのではないでしょうか。
その点では、「先生」の死後、「私」が奥さんと結婚するという解釈もあるようですが、この方がより理屈には適っていると言えるかもしれませんね。
なお、息子が父親亡き後、その母親と結婚するという話なら、代表的なものとしては、古くはエディプス伝説に、現代なら谷崎潤一郎作「夢の浮橋」(昭34)などがあります。
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