
No.8
- 回答日時:
No.6です。
アクリルの競合というと、ポリスチレンPS、ポリカーボネートPCがあると思います。アクリルが使われるには、安価なPSでは達成できない物性がないとダメですね。現在は、透明性と耐候性が最大のアドバンテージだと思います。
共重合でTgを上げる方法は、これらのメリットを相殺してしまう可能性が高いですね。また、一般的にTgが増加するとじん性が低下します。こういったことも考慮して、最適な材料設計をしないといけません。
どうしてもアクリル系で目的が達成できなければ、さらに高価なPCを使うしかないですよね。
基本的な考え方として、ある材料に絞って、その物性をどこまで向上できるか、という思考プロセスはあまり有益でない場合が多いです。アクリルにはアクリルの良さがあり、無理なものは無理ですので、目的に応じた材料を選ぶべきでしょう。
ただし、アクリルは独特の光沢のある透明感(プラスチックの女王と呼ばれていますね)は、すばらしいと思います。青みががった安っぽいPSの透明感や、中性的で味気ないPCの透明感を凌駕してるとぼくは思います。また、成形・加工のしやすさでも優れていますね。
ご存知と思いますが、デュポンの人造大理石「コーリアン」はアクリルベースです。建材関係に割と強い(プラの中では)のも、アクリルのメリットです。現在、プラスチック全体が(環境問題のため)逆風になっていますが、塩ビと比べれば、はるかに風当たりは穏やかだと思いますし、将来性は(10年スパン程度なら)心配いらないと思います。
ぼくは現場の知識にうといので、ご参考程度ってことで。質問がもう少し具体的だといいんですが・・・
No.6
- 回答日時:
最も簡単なのは、ガラス繊維を入れる方法です。
熱可塑の場合には、短繊維を入れますね。同様に無機系のフィラー(シリカ粉末とか)を入れても向上します。ガラス繊維の場合には、Tgだけでなく強度・剛性・寸法安定性も向上するので、メリットが大きいですね。次は、アロイあるいはブレンドでしょうか。モルホロジーが相溶性か非相溶かで話が違ってきますが、Tgの高いポリマーをブレンドすれば、通常はTgが向上します。ただし、成形性は低下する場合が多いので、注意が必要です。
その次は、共重合ですね。Tgの高いポリマーを共重合させることにより、向上させることが可能です。この場合にも、成形性の低下やじん性の低下が起こる場合があるので要注意です。
それもダメなら、元のポリマーの構造をいじるしかないですね。ガラス転移は分子動力学的にはミクロブラウン運動の開始点ですから、これが起こらないような分子構造にすればいいわけです。
一例として、PEEKのように主鎖中に芳香環を導入する方法があります(参考URL)。分子は剛直になりますが、Tgは向上します。
また、分子量を大きくする、橋かけ構造にする、分子間の水素結合を増加させる、結晶化度をコントロールするなどの方法も有効です。
で、PMMAの場合の具体案ですが、共重合が一番いいような気がします。スチレンでTgが向上すればいいんですが、逆に低下しそうですね。ポリカーボネートと共重合できればいいんですけど、無理でしょうね。
非晶性のポリマーでいいものがあるといいんですが、ちょっと思いつかないです、すみません。
参考URL:http://www.op.titech.ac.jp/lab/suato/studies/mic …
回答、ありがとうございます!
いろいろ考えていただき感謝しています。
shota_TKさんのおっしゃるとおり、共重合が一番手っ取り早いでしょうね。
ただアクリルモノマーでそういった高いTgを付加させることができるモノマーは、あまりないのが現状ですよねぇ・・・。
一番最初におっしゃられた、短繊維の導入も興味があります。有機無機ハイブリット系ですよね。
やる価値は非常にあると思います。
あと主鎖に芳香環を導入する方法ですが、現時点では耐光性に問題があるように思われます。これがシクロヘキサンだったらいいのですが・・・。
最後に大事なことが一つ。成形性も重要なファクターです。
これを無視することはできません。
長々書きましたが、アクリル樹脂に未来はあるのか・・・心配になってきました・・・。
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