No.3ベストアンサー
- 回答日時:
現在は満20年目であるものの、かつては(原則)満19年目ごとに行われており、
本来は満19年目ごとに行われるべきものであったとする下記論文の見解に魅力を感じます。
既読ならば笑って許して下さいm(_"_)mでも未読なら是非御一読頂ければ幸いです^^
◇『千葉商大紀要 48(2)/千葉商科大学/2011-03』(133-154頁)
「神宮の本姿:式年遷宮と式月式日の問題/江口洌(千葉商科大学名誉教授)」
<22~1/22>※頁逆順※によれば、
http://ci.nii.ac.jp/naid/110008429951
式年遷宮については主に11の見解があるとして、
そのうち世間でもっともらしく説明されている代表の二つの見解
(1)「建材の耐用年数の問題」と(2)「匠の技術の継承」については、
------------------------------------------
かつて大神宮の禰宜職を務め、皇學館の理事長をも務めた桜井勝之進氏は、
「建材や構造を変更しなくても二十年ぐらい造営の要は断じて生じない」
(『伊勢神宮/学生社/1998』)と書いておられます。
これは現場に長く立ち会ってきての断言です。
また、40年以上も禰宜職を務めた矢野憲一氏も
「その気になれば百年でも大丈夫だろう」(『伊勢神宮/角川書店/2006』)と書いています。
------------------------------------------
…8世紀の日本の人口がたとえ400万人ぐらいだったとしても、
萱葺、掘立の神明造りの宮大工になる人が少なかったとは思われません。
大工技術の衰退を心配するのは現代の考え方でしょう。
産業の少なかった当時の匠の仕事は、現代で言えば自動車産業です。
最ももてはやされ、最も金になる職業でした。…
…当時の天皇たちが、匠の技術の継承などを考えて宗廟として造った神殿を壊すでしょうか、
それはあり得ないことです。
しかも、新しい大陸風の威風堂々とした寺院建築が伝来してきている時代ですので、
古い建築法を、宗廟を壊してまでも保存する必要があったとするなら、
その拘りは何故なのかを考えなければいけないと思います。
------------------------------------------
などと(1)(2)には否定的な見解を示された上で、
現在は満20年目に行われているが、古くは20年目、
つまり(原則)満19年目に行われていた事に着目して、
太陽(陽)と月(陰)とは、そして天と地上の暦とは、
満一九年(20年目)ごとに誤差を殆んど解消し、
---------------------------------
一九年間の時間は次のようになります。
365.2422×19年=6939.602日(太陽)/29.5306×235月=6939.691日(月=暦)
---------------------------------
そして次の同時再生の一九年に向けて新たなスタートをきり、
遷宮は、満一九年目に再生した太陽神を、新たな社殿にお迎えする祭儀であり、
天皇霊は、その原初に還ることで原初の霊力を得て、
太陽と同じく一九年ごとに復活・再生するという信仰があったとの
見解を示されています。
なお、余談ですがNo.2の dayonee 様と私 dayone とは
全くの初対面で一面識もないことを申し添えます^^
No.4
- 回答日時:
建物を数十年に1度建て替えるというのは、東アジア(シベリアを含む)の建築の歴史からして非常に古い習慣だと聞いたことがあります。
考古学関連の講義で聞きました。
東アジアの古い建築は、礎石を置かないで柱をじかに地面に立てるので数十年すると痛むため立て替えなければならない。
礎石を敷き瓦を葺くという中国漢民族系統の新しい建築技術が入って来る以前の、非常に古い原始的な建築のやり方です。
シベリアでシャーマンが祈りのために建てる建物(祈祷のための臨時の小屋)とも通ずるものがある、とも聞きました。ま、これが学問的にはっきり証明されたものかどうかはわかりませんが。
これを聞いた時、「お寺のようにしっかりした建物を建てたらいちいち建て替えなくてもいいのに。」と思いましたが、あくまで伝統を固辞しているということでしょう。伝統を保持、とも言えます。
No.2
- 回答日時:
伊勢神宮のホームページより抜粋。
遷宮(せんぐう)とは、神社の正殿を造営・修理する際や、
正殿を新たに建てた場合に、御神体を遷すことです。
式年とは定められた年という意味で、伊勢神宮では20年に
一度行われます。
第1回の式年遷宮が内宮で行われたのは、持統天皇4年(690)のことです。
それから1300年にわたって続けられ、昭和48年に第60回、
平成5年には第61回が行われ、平成25年に第62回を予定しています。
神宮にとって永遠性を実現する大いなる営みでもあるのです。
No.1
- 回答日時:
古事記・日本書紀や伊勢神宮の宮司録にも文字記録として決定的な証拠が残っているわけではないので、あくまでも現代まで続く儀式やその段取りから推察できる限り・・・とした上で研究者や宮内庁が出している見解です。
伊勢神宮は、天皇家の祖先が初めてヤマトの地(機内)に達して支配を始めた頃の皇宮を再現するということで、弥生時代の建築様式を踏襲しています。
屋根は萱葺き、柱も塗装なしの白木を礎石を置かずに直接地面に突き刺しているため、耐用年数としても20年というのはけっこうギリギリです。
また、耐用年数以外に『悪い気(穢れ)が溜まっていない』と見なせる清浄さ(常若)の点でも20年というのは一つの基準と見られています。
後は、当時の天皇一代の御世が大体20年(記述に想像が多すぎる(実在性に疑いのある)天皇は除く)であったためという点が一つ。
また、宮大工が下働きの世代と棟梁格の世代で生涯に二度遷宮に関わる(親から子の世代へ変わるのが大体20年)ことで、技術や精神の直伝の継承ができることが一つ。
歴史的に重要な意義や伝統を持つものは、単なる費用だけの問題で切り捨ててよいものでもありませんので、逆に貴方もそういうものを残すべき意義を勉強してみると良いのではないでしょうか。
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