お世話になります。
今回、芥川賞受賞の会見において受賞者の田中氏が
「私がもらって当然だ」
と言い放ちました。
これは
1 「何回もノミネートされて、そのたびに落選したことを根に持って、(おそらく審査員の中で、一般的に最も知名度と発言力が強いと思われる)石原慎太郎氏に対するあてつけ」
でしょうか?
それとも
2 「何回もノミネートされながら受賞できないのは、作風が石原氏の好みに合わないからだ。じゃ、次の作品は芥川賞受賞を目指すべく、” 慎太郎が好みそうな作風 ”に変えてみるか。そうすれば芥川賞も簡単に受賞できるだろう」
という意図でしょうか?
彼は芥川賞の前にもたくさんの受賞歴があります。
とすると、「それぞれの選考委員の顔ぶれに合わせて、ウケがいいように題材や作風を変える」なんてのは朝飯前にできるようにも思えます。
彼の発言の真意が2だとすると、彼は天才ではないでしょうか?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
1について。
石原慎太郎氏の発言力はそれほど大きくありません。
長いこと選考委員をしているので重鎮ではありますが。
彼が押した作品でも落選することは多いです。
2について。
やろうと思えばできるかと思います。
芥川賞は構成、文体がきちってしていることを重視する方が多いように思えます。
後は選考委員の好みでしょうが、暗く重苦しい作品が多いようです。
もう少しすかっとした明るい作品が受賞しても面白いと思うのですが。
田中氏は何回も落選していますから、意地になったのかもしれません。
総評を読めばわかりますが、落選作はかなり酷評されたりします。
毎回そのような目に会うとじゃあ取ってやろうと!考えるのも不思議ではないのでは…?
東野圭吾氏でさえ直木賞落選の時は毎回選考委員の愚痴を言ったり、やけ酒を飲んだりしていたようですから…。
田中氏は芥川賞や直木賞ばかり注目されるのが嫌だったのかもしれませんね。
多くの文学賞がありますが、メディア取材が殺到するのは芥川賞と直木賞くらいです。
彼を今回の事で初めて知った人も多いはずです。
それなら余計注目されるようなことを言ってやろうと思ったのかもしれません。
真意はわかりませんが、取りたかったのは事実でしょう。
No.4
- 回答日時:
こんにちは。
芥川賞受賞時の会見について田中氏本人が書いた文章が毎日新聞に掲載されていました。
ご参考まで。
■芥川賞に選ばれて:言いたいこと、あの夜と今=田中慎弥
http://mainichi.jp/enta/art/news/20120126dde0180 …
No.2
- 回答日時:
まぁ芥川賞がそれだけ本人にとっても周囲の人にとっても大きな影響力をもつということでしょう。
というのも、ノミネートされた時点でドキュメンタリーにしたてたいメディアからの取材依頼がきます。密着などされたら日常生活が乱されます。この騒ぎが半年ごとに繰り返されたら、だれだってキレますよね。
加えて、作家以上に出版社がなんとしてもほしいわけですから、ノミネートされるための原稿依頼、ノミネート後のプレッシャー、受賞時、受賞後の準備と本人のすぐそばであたふたするわけです。そりゃうんざりしますよね。
ようやくホッとしたンじゃないでしょうか?
No.1
- 回答日時:
あれは私には冗談半分の発言にしか見えなかったですけど。
残りの半分が、無駄に持て囃される芥川賞への皮肉なのか、何度も落選していることへの自嘲なのかは、わかりませんけど。
芥川賞の受賞作には傾向があって、少し文学をやっているなら誰でも分かる律儀な構成と、表面上は時代性を備えつつも、実は古くさい文学趣味な文体であれば選ばれやすい、ということは、多少批評眼のある人なら知っています。
そのため受賞作の中には、芥川賞用に書いたようにしか思えない作品が紛れていることもしばしばあります。
奥泉光『石の来歴』は、どう見てもわざと綺麗にまとめたとしか思えない書き方でしたし、平野啓一郎『日蝕』も、芥川賞を小馬鹿にした作品に見えましたね。
近年だと川上未映子『乳と卵』も芥川賞用作品に見えましたけど(同時期に書いた他の作品と比較すると、この作品だけ妙に律儀な構成になっていたので)、彼女の場合は後の作品でも律儀な書き方をしていることがあるので、なんとも言えないところ。
つまり、仮に田中氏が芥川賞用に作風を変えたのだとしても(候補作も読むと、この人は結構本気で欲しがっていたようには見える。特に『第三紀層の魚』なんて、芥川賞を狙いすぎて失敗したようにしか見えない)、だから彼が天才なのではなく、そのくらいのことはプロならやる、ということです。
あと、石原慎太郎はマスコミが取り上げるから目立っていますけど、選考について特に発言力があるわけではありません。彼が積極的に押した作品も結構落選していますし、酷評した作品でも受賞しています。
そもそも芥川賞の選考員は10人いて、一般的な文学賞に比べて個々の発言力は弱めです。
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