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タフト大統領の主要な外交政策を説明していただけませんか。

ドル外交、四国借款etc :その資金源はどこにあったのでしょうか

お願いします!

A 回答 (1件)

>その資金源はどこにあったのでしょうか



当時ニューヨークに集中していた独占資本家が持つ
ウォール街の余剰資金です。

アメリカにおける
19世紀後半~20世紀初頭までの産業発展の流れ

南北戦争後から19世紀末にいたってアメリカは最後のフロンティア
(グレートプレーンズ)を征服,大陸の征服をほぼ完了します。

・東部と西部を結ぶ大陸横断鉄道の完成
(西海岸にまで鉄道を通す目的はそもそも、アメリカの工業製品を
輸出して利益を上げるための市場(具体的には中国)を獲得するため
・東部での鉄道網の発展

この結果、市場は広域化し、
大西洋岸地方と五大湖中心に様々な工業、鉱業が発展し、
企業間の競争は激しくなり、やがて強力な企業が他の企業を
合併して巨大な企業が国内産業を独占する傾向が進みます。
(例、石油精製業のロックフェラー)

また、建設に多額の費用を要する鉄道は株式会社方式によって
資金を集めます。他の産業でもこの方式は普及し、大企業は
発展し、ニューヨーク証券取引所での株の取引が活発となり、
ウォール街はアメリカの金融と証券取引の中心地となります。

株式会社方式により、企業家と投資家の間で仲介者の役割をはたす
投資銀行家たちは、企業の株式を引き受け、その企業に信用を
与える事によって会社の経営に発言権を持つという見返りを
得、またいかがわしい企業家を排除する事によって企業の合併・
統合を助ける事になります。
(例、欧州の金融業界とつながりを持つJ.P.モルガン)

こういうことを繰り返していった結果、1912年の時点において、
モルガンとロックフェラーが支配するニューヨーク市の四金融機関が
112の大銀行、鉄道、公益企業、保険会社等を支配下に置き、それら
の会社の資本金合計が合衆国の国民総生産のなかばに上るという
状態になります。
その結果、資金はニューヨークに集中し、(通貨がウォール街にあまり
にも集中していたので、たとえ国内の遠隔地に通貨不足が起こっても
通貨を迅速に供給できず、それが原因で1907年に恐慌が起こるほど
でした)
ウォール街は投資先を求める資金であふれていたのです。

 このような独占の進行によって、独占資本家は全国の生産を支配し、
価格を上げ、労働者を搾取し、上院議員は独占資本家の利益代表
となり政治を腐敗させていると、世論の反発を招くようになります。
政府はそのような国内の反トラスト論に答えて政府の権威を高めよう
とし、シャーマン反トラスト法を適用し、独占を禁止していくのですが、
ローズヴェルト政権のもとでは大企業と紳士協定を結ぶなどある程度
行政府の自由裁量で取り締まっていたのですが、タフト政権のころに
なると独占資本家に対しより厳しい姿勢で臨むことになります。
(例、1907年、アメリカで恐慌が起こった時、J.Pモルガンは投資
信託銀行業界に2500万ドルを提供し、ニューヨークの株式市場を救済
する見返りとしてモルガンの傘下にあるUSスティールにテネシー石炭・
鉄鋼会社を安値で買収させるという取引をローズヴェルト個人承認の
下で行うのですが、タフト政権はこの買収さえもシャーマン法違反と
して告発する事になります。)

一方、20世紀初頭、国内の征服は先述のようにほぼ終了して
いたので、アメリカは発展途上国に市場を求めて、そこに自国
の工業製品などを輸出して利益をあげようとする動きなどもあっ
て積極的な対外政策を進めるようになります。
ローズヴェルト政権ではやり方としては「こん棒外交」といって
パナマのコロンビアからの独立を助けてパナマ運河を租借する等、
武力を用いる対外政策のやり方が多かったのですが、
(このようなやり方は元来孤立主義を望むアメリカ世論によって
ある程度歯止めがかけられていたのですが)
それに対してタフト政権では、ウォール街の余剰資金をアメリカの
重視する海外の地域に投資資本家たちに投資させるという、
(例えて「銃弾を代えるにドルをもってする」)
いわゆる「ドル外交」とタフト自身自称する(失言だったのですが)
やり方が対外政策の手段として用いられたのでした。

・パナマ運河の完成が近づく中、カリブ海諸国がヨーロッパに
負っていた債務をアメリカ資本に肩代わりさせる政策を行う事によって
カリブでの投資を激増させる

・ニカラグアにおいてアメリカとの通商を約束した反乱指導者を支持し、
その指導者が政権に就くとそれに対する反乱を武力で押さえ込む
(南米ではちゃんと武力を使っています。)

・中国での鉄道建設を企図した英・仏・独の国際借款団に
アメリカ銀行家を強引に参加させる

・アメリカと外国の資本に満州鉄道を日本・ロシアから買い取らせ
ようとするが、日露協約を結んでいた日・露両国に拒絶される

これらの対外政策を行った背景としては、
先述のように国内の企業独占をきびしく取り締まられた金融資本家
たちに対し、海外の事業に投資させる道を与える事によって、政府は
外交で成果を上げる一方、企業資本家は利益を得る、それでアメリカ
も発展していく、
そういう結果をもくろんだためなのではないかと思われます。
(ただし、中国への借款に関しては銀行家たちは積極的ではなく、
他列強の反対もあって、成果を挙げる事はありませんでした。)
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この回答へのお礼

なるほど、産業発展の流れの中で捉えるのですね。
無学の私にもわかりやすい説明でした。
ありがとうございます。

お礼日時:2012/02/19 11:34

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