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質問1
エバルト球というものを学習したのですが、なぜ逆格子空間の原点に入射波の終点を置くのでしょうか?
そもそも入射ベクトルの始点、終点、逆格子点の原点(結晶内部?表面?)をどこにとればよいのかわかりません。
原点のとりかたによって違う逆格子点で反射が起きるような気がするのですがどのように解釈すればいいのでしょうか?(例えば(100)点を選んで円を描く場合とその他の点の周りで円を描く場合ではエバルト球上にのる逆格子点は違う)

質問2
粉末試料では向きが異なる逆格子空間がに重なっているのだと思います(これが間違ってる?)。
そのとき、そもそも逆格子空間の向きが違うのだから、各々の逆格子点に対して入射角、反射角はことなってしまい、エバルト球など書いても意味がないような気がするのですが。。。
つまり、あらゆる点でピークが観測されてしまい、そこからはとても結晶構造わかるとは思えないと考えてしまいます。どのように考えればいいのでしょうか?

A 回答 (2件)

> エバルト球というものを学習したのですが、なぜ逆格子空間の原点に入射波の終点を置くのでしょうか?



もう一度結晶による干渉について勉強をしたほうがよいでしょう。
結晶による干渉において大前提となることとして、入射光と散乱光の波長は等しい、つまり波数が等しいということがあります。波長が変化する散乱についても考えることはできるのですが、この場合はエバルト球という概念は意味をなしません。

球の表面は中心から等しい距離にあります。これは入射光の波数ベクトルと散乱光の波数ベクトルの大きさが等しいということを表しています。入射光が中心から球上の1点を結ぶ波数ベクトルをもつのであれば、必ず散乱光も中心と球上の別の1点を結ぶ波数ベクトルをもつのです。

散乱光の波数ベクトル - 入射光の波数ベクトル が散乱ベクトルとなりますが、散乱ベクトルを逆格子空間の基底ベクトルの線形結合であらわしたとき、そのすべての係数が整数であるときその散乱ベクトルを持つ散乱光は干渉で強めあいます。
つまり、入射光の波数ベクトルの終点を原点ととると散乱光の波数ベクトルの終点が逆格子空間の格子点となる時にその散乱光は干渉で強めあうのです。

> そもそも入射ベクトルの始点、終点、逆格子点の原点(結晶内部?表面?)をどこにとればよいのかわかりません。

逆格子空間で考えているのに結晶の内部・表面という言葉が出てくる段階で逆格子空間のことが分かっていません。逆格子空間の次元は長さの逆数、つまり現実の空間上に存在するベクトルではありません。(方向は現実の空間内に存在しますがスケールは現実空間とは全く異次元なのです)
入射光の波数ベクトルの終点は逆格子空間の原点に、中心は原点から入射方向とは反対方向に入射光の波数だけ離れた点(この"離れた"も現実の空間での距離ではなく逆格子空間での距離で考えています。つまり、波長の逆数ということです。)が入射光の波数ベクトルの視点であり、エバルト球の中心になります。

> 原点のとりかたによって違う逆格子点で反射が起きるような気がするのですがどのように解釈すればいいのでしょうか?(例えば(100)点を選んで円を描く場合とその他の点の周りで円を描く場合ではエバルト球上にのる逆格子点は違う)

そんなことはない。
逆格子空間でも格子点は並進対称性を持ちます。原点を通るように球を書こうと100をとおるように球を書こうと球上の格子点が(100)だけ平行移動するだけです。格子点の数が変化することはありません。

> 粉末試料では向きが異なる逆格子空間がに重なっているのだと思います(これが間違ってる?)。

この認識はOKです。

> そのとき、そもそも逆格子空間の向きが違うのだから、各々の逆格子点に対して入射角、反射角はことなってしまい、エバルト球など書いても意味がないような気がするのですが。。。

逆格子の向きがどうであれ入射光の向きは変わりません。つまり、エバルト球自体は動きません。(この場合、すべての逆格子空間は原点が同じ点になるように存在しています)

> つまり、あらゆる点でピークが観測されてしまい、そこからはとても結晶構造わかるとは思えないと考えてしまいます。どのように考えればいいのでしょうか?

まだあまりX線結晶構造解析が理解できていないようですね。
エバルト球の条件を満たすこととBragg条件を満たすことは同じことなのですが、これは非常に困難な条件であり、未知の単結晶に単波長の光を当てて偶然条件を満たす、等ということは運が良くないと起こりません。Bragg条件を満たすθの角度に入射光がたまたま入らないとだめなのです。
エバルト球で考えると、球の表面に原点以外の格子点が存在する必要があるのですが、これも偶然でもないと条件を満たせません。
(例:(x-√2)^2+(y-√2)^2+(z-√2)^2=6 が表す球上に格子点は(0,0,0)しかありません。(有理点も(0,0,0)しか存在しない) 実際、エバルト球上に原点以外の格子点があるのは偶然でしか起こり得ない。)

あるゆる点でピークが観測されるということはなく、むしろ偶然にいくつかのってくれたという程度しかピークは得られないのです。

Bragg条件を満たすθ,d,λの組は無限に存在するでしょうが、現実の結晶で入射光の向きが固定されていると条件を満たす組が存在すること自体が奇跡に近いことだということを理解してください。
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>質問1


>なぜ逆格子空間の原点に入射波の終点を置くのでしょうか?

ラウエの条件を思い出してください。
散乱ベクトルをΔk, 逆格子ベクトルをG(hkl)として

Δk = G(hkl)

です。散乱ベクトルは入射波の波数ベクトルをk,散乱波の波数ベクトルをk'として

Δk = k' - k

という定義なので,ラウエの条件とはkとk'の終点同士をむすんだベクトルが逆格子ベクトルに等しいという条件です。なので,終点を逆格子点に取ります。

>原点のとりかたによって違う逆格子点で反射が起きるような気がするのですが

入射ベクトルkの終点にある逆格子点を逆格子の原点とします。

>質問2
粉末試料の場合は原点を中心に逆格子点を回転させることになり,完全に等方的なら各逆格子点は球を描くことになります。この各格子点の描く球とエワルド球が交わってできる曲線(円)の方向に回折線が出ます。これを帯状のフィルムなどで記録すれば,弧として記録されます。
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