プロが教えるわが家の防犯対策術!

私は映画が好きですが、ほとんど洋画です。
もちろん邦画にも良い作品は沢山ありますが、
何故か、あまり映画館まで出向いて観る気がしません。

一番の原因は、邦画のカメラワークです。
今までいろいろ観てきましたが、洋画のカメラワークはさりげない場面でも、絵作りにこだわりが
ありスクリーンを観る楽しみがあり、大変面白いです。
カメラの位置、あおりや俯瞰、カット割りの仕方、アップ、バストアップ、遠景の撮り方の使い分け
クレーンの使い方等々、あと編集も大変うまいです。
「やっぱり映画だなぁ」と思わせてくれてワクワクします。

ですが特に最近の邦画の場合、カメラワークはTVドラマレベルで、あまりこだわりを感じません。
別に映画でなくてもTVで十分では?と思ってしまい興ざめです。
これで皆、満足してヒットしている邦画が信じられません。観る側もカメラワークにはこだわって
いないんでしょうかね。
確かに良い映画であってもカメラによる絵作りが素人っぽく粗雑に感じるんですが。

洋画と違って、邦画では、絵コンテなるものはほとんど書かないんでしょうか?
または軽視してるとか?

必ずハリウッドで勉強してるといわれる昨今の韓国映画のスタッフ達にも、カメラワークでは
邦画は負けてる気がするんですが?

みなさんどう思いますか。
なぜ邦画は映画の基本であるカメラワークがつまらないんでしょうか。
(邦画は予算がないから、という理由は理由になってない気がします)

A 回答 (8件)

まず日本映画とハリウッド作品の製作システムの違いがあります。


邦画は特殊な場合を除き、カメラは1作品の撮影現場で1台きりですが、ハリウッド作品は6~7台は使います。
邦画は基本的にひとつのカットに対し、ひとつのアングルの素材しか無いのに、ハリウッドモノは6~7つの素材があるわけです。

また予算の制約も大きくハリウッドは低予算と呼ばれるモノでも10億円くらいの予算は当たり前です。
たとえば車を運転するシーンがあったとして、ハンドルを握るドライバーの正面からのカットが欲しければ、邦画ではボンネットの上にグリップと呼ばれる特殊機材を装着し、そこにカメラを固定するくらいしか出来ませんが、ハリウッドだと車をぶった切って、ハンドルから前のない車を作ったりもします。そのカットのためだけのものを平気で作っちゃうわけです。

またカメラを装着して使う特殊な機材が実に豊富です。
車の例を出したので、つづければ、小型トラックの荷台にクレーンが付いていて、車を走らせながら、クレーンを上下しつつ撮影することなんかも自由自在なんです。
ショットメーカーという特殊な車両なんですが、実は日本にもあるもののデカすぎて普通の道じゃなかなか使えないんです。
こんなのです。
http://www.shotmaker.com/

ということでスタジオ内はともかく、日本で撮影をする場合には制約がかなりあります。
ハリウッドで撮影をしたことがありますが、最寄りの警察署に映画課という部署があり、撮影時には数名のお巡りさんが警備に来てくれますし、通行止めも当たり前のように行ってくれます。ロスの朝の通勤時だって平気で通行止めをしますから、これには驚かされます。
走行シーンなんかだとハーレーのポリスマンたちが先導してもくれます。

こういうことが基本的に違うのでより凝った撮影が可能だという面があります。

が、しかしハリウッド作品はとにかくたくさんのアングルでたくさんのカットを撮っておけば、編集時になんとかなる、というような風潮もあります。
プロデューサーが監督以上に権限を持っているので、監督はここからのアングルでいい、と言っても、許されず、あっちからもこっちからもと撮らせます。
で、撮影素材が多ければたいしたことのない作品でも編集と音楽でごまかせるわけです。
近年のハリウッド映画のカット数は100分ものでも3500カット以上あります。これに対し邦画だと600から700くらいかな?
ただ映画史に名を残した大監督たちの作品はこんなに細かくカットを刻んでませんし、ひとつのカットに対して6も7もカメラをまわすことは、危険な場面やアクションシーンじゃない限り無かったと思います。

昨今の邦画はともかくも、一昔前の邦画、あるいは欧州映画だと、なぜこのアングルなのか、なぜこのサイズ(アップとかロングとか)、なぜこの長さなのか、というワンカットに対するこだわりがしっかりありました。
編集でごまかそうなんて思っていないので、必要以上のカットは要らないわけです。
近年邦画の場合、TV畑出身の監督だと、意味もないのにクレーンを使ったり、ドリーショットにしたりと、画に対するこだわりはそんなに無いんじゃいかと思えるモノが多いです(あくまでも自分の感想ですけど)。



ハリウッドの反逆児と呼ばれたロバートアルトマンという巨匠がいますが、この監督の「ザ・プレイヤー」という作品があります。ハリウッドの内幕ものなんですが、上記に書いたようなことをしっかり批判していてけっこう面白いですよ。
よかったらどうぞ。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=9 …

話しがズレましたが、邦画ではコンテはあまり書きません。黒澤明監督や市川 崑監督なんかはコンテが有名ですけど。
ハリウッドではコンテの無い作品はあり得ないと思います。
コンテをプロデューサーが見て「どうしてこの間にアップがないんだ。アップを入れろ!」とか監督にしっかり命令しますんで。

素人ぽく雑な感じがするのは、フィルムのカメラからHDカメラになり、重量がかなり軽くなったため、ステディカムなどの装置を使って撮影したカットが増えたためだと思います。
こんなのです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86% …

フィルムのカメラは20キロから40キロくらいあるもの、あるいは超大作用の70mmカメラのように4人がかりで運ぶようなものまでありましたから、自由自在に取り扱うのが大変で、その分、監督はじめスタッフはずっしりと重厚感ある画造りに心血を注いだんだと思います。
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この回答へのお礼

具体的な撮影の仕方の違いについて、大変分かりやすく
ご説明頂きまして、良く分かりました。
なるほど、やはり欧米と日本とは映画文化の違いというか、
映画製作に対するスタンスの違いが随分あるようですね。
撮りたい映像の為には車もぶった切っちゃうわけですから。
カメラの台数や、カット数もかなりちがうものなんですね。
それに、やはり警察や軍隊の協力やそれが当たり前と
思ってる国民の意識も違うんでしょうね。

本当に、ご親切で、ご丁寧なご説明有難うございました。

お礼日時:2012/05/12 22:52

カメラマンの養成システムというか、映画製作のシステム自体が全く異なるからでしょうね。


欧米では、カメラマンはカメラマンの組合(ASCやBSC)に所属しており、製作会社や制作チームとは独立して活動しています(ほとんどのスタッフがそうですが)。
それぞれが独立ですから、監督の製作意図を周知するためにはかなり細かいストーリーボードやコンテを作成する必要があります。コンテが電話帳くらいの厚さに鳴ることも珍しくありません。

最近は日本でも上記に近い体制になってきていますから、独立制作だと詳細なコンテを作成する場合が多いようですが、それでも○○組で以心伝心というケースも残っています。

また、日本映画の制作費の低さから来る、セットの貧弱さで色々なアングルが使えない。アリフレックスやパナビジョンはレンタルが高価なため、カメラ台数が少なくてロケでも多く使えないなどの問題もあるでしょう。
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この回答へのお礼

カメラマンの組合があるなんて日本ではありえないですよね。
皆独立してるからやはり絵コンテは必須なんですね。電話帳の
厚さとはすごいですね。
やはり、映画業界のシステムと予算の掛け方が全く違うんですね。
大変勉強になりました。

どうも有難うございました。

お礼日時:2012/05/12 22:41

スレ主さんがどうして「邦画の場合、カメラワークはTVドラマレベルで、あまりこだわりを感じません」と思われるのか分かりません。



最近の日本映画だと「冷たい熱帯魚」や「ヒミズ」、「スマグラー おまえの未来を運べ」「告白」といった作品ではハリウッド映画に負けないトリッキィなカメラワークが敢行されていますし、「わが母の記」や「八日目の蝉」では奥行きのある美しい映像が披露されています。

「あまり(邦画は)映画館まで出向いて観る気がしません」とのことですが、探してみると素敵な映像は日本映画の中にでも見つかるものだと思います。

お気に障ったらゴメンナサイね。
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この回答へのお礼

そうなんですか。挙げられた作品は未見です。
こんどレンタル等して是非見てみたいと思います。
邦画にもそういった作品が増えて欲しいと思っています。

どうも有難うございました。

お礼日時:2012/05/11 22:58

日本の映画のカメラワークには「お約束事」がたくさんあるからではないでしょうか?



以前、ビートたけしが映画を撮った時の苦労話で、結構、日本の映画界の実情が出てきましたから。
日本の映画界は、こういうシーンはこのアングルからアップはこう、引きはこう、という「お約束事」があり、皆、同じような撮り方をするそうなんですよ。
監督であるビートたけしが「俺はこういう絵が欲しい」と言っても、カメラマンや助監督といった「本職」達が、「こういうシーンはこういう撮り方をするのが決まりだ!」みたいなこと言って、全然いう事を聞いてくれなかったそうな。
「俺は本職の映画監督じゃない、だから本職のような絵は撮らなくていい」といって、無理やり納得させたそうですよ。
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この回答へのお礼

なるほど、まだまだ日本の映画界では昔ながらの保守的な習わしが
そのまま残ってしまってるんでしょうかね。
それが撮影手法にも影響を与えてると・・・

大変参考になりました。ありがとうございます。

お礼日時:2012/05/10 12:40

手塚治虫の名が出ましたが、西洋映画のカメラワークを漫画に取り入れたのがこの人で、それまでは4コマ漫画的な一方向カメラでした。



映画も劇場の芝居のように、右・左を行ったり来たりするだけの、アップとなればど正面同士の深みのない画面構成になります。

映画の製作者と脚本がステージ芝居経験者だとその方向に走ります。観客は一方向で見ていますからね。

問題は制作会社内の子弟関係が、新しい画面構成を取り入れる邪魔をしていたのではないでしょうか。それが若い世代なら実験的にいくらでもできますが、そのベテランの元で研修している内にパターンも踏襲してしまうのではないかと。
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この回答へのお礼

若い世代の監督たちが、昔から変わらない製作会社の
先輩たちの言いなりになるしかない現状っていうのは、
若い個性をもった監督たちの才能の芽を潰してる感じ
ですかね。ん~・・いやですねそうゆう映画業界って。
こういう体質って変わらないんでしょうかね。

有難うございました。

お礼日時:2012/05/10 12:47

カメラワークについて、ですよね。



これは思いつきなんですが
日本の場合、視覚的な創造力やアイデア等の才能を持った人材の多くがマンガやアニメのほうに行っているせいかもしれません。
手塚治虫のせいですよ。彼のおかげでそういった才能がマンガやアニメで活かせるようになってしまったのです。

もうひとつ、アメリカがどうなのか知りませんが、日本の映画界って徒弟制度の気風が強く残っているから、というのもあるかもしれません。
「映画ってのはそういうもんじゃねえんだ」みたいに自由な発想の芽を若いうちに摘み取られてしまう事があるように思います。

カメラワークは撮影と演出と編集の三位一体ですから風通しがよくないと才能のある人がいてもなかなかそれを活かせないんじゃないでしょうか。

もうひとつ、TVドラマなんかでもアメリカのはカメラワークが大胆だなと思うことはよくありますが、見慣れてくると大胆というより派手なパターンのストックが多いのかなという気もしてきます。

で、やっぱり撮影にかける金が違うんじゃないでしょうか。
機材も人件費も、あと時間も。
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この回答へのお礼

上の方も同意見でしたが、やはり先輩たちに
「映画の撮り方っていうのはなぁ・・」とか言われちゃうん
でしょうかね。
あと、確かに機材や予算、あと時間の掛け方が違いますもんね。
やはり予算=時間というのは避けて通れない壁ですかぁ。

有難うございました。

お礼日時:2012/05/10 12:56

 以前、テレビでテレビドラマを映画にし出した時期の頃に聞いたかな。

テレビと同じようなスタッフを使用している時があったかな。
 映画から学んだより、今はテレビドラマから学ぶ方が多いのでは。実際の現場でも映画の人間は減ってきているらしいです。 こだわりが無いというか。

 海外では映画は映画として作りますので、考え方も異なりますね。


 ただ海外の作品で日本に来るのはA級とかになると、予算のかけ方とかも違いますから、どうしても日本では短期間でという感覚があるし予算も少ないからこだわりにくいのかもしれません。それにテレビなどがスポンサーとかになると冒険もしにくいので無難な形もあり得るでしょう。
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この回答へのお礼

TVと映画って全然違うものなのに、一緒になってるとすれば
悲しい現実ですね。映画なら絵作りに凝って欲しいものですが・・
やはりスポンサーの目が気になって冒険はできないっていうのも
あるんでしょうね。金出してもらってるし。

有難うございました。

お礼日時:2012/05/10 12:56

洋画には洋画の楽しみ方があり、邦画には、邦画の楽しみ方があると思います。


すべての映画が、洋画と全く同じだと仮定して、それで、見ていてはたして楽しいでしょうか。
それぞれの国には文化や芸術が有るように、映画にも、それぞれの国柄で製作されるからこそ、一辺倒なみな同じ。
には、見えないから楽しいでは。

確かに、映像的な技術は邦画に比べ、洋画の方が進んでいし技術的にも進んでいると思います。

でも、近年、そうした洋画以外のジャンル枠に、邦画が注目されるようになりつつあるのも事実です。
その理由は、映像こそ進化したものの、それに伴う内容が、明らかに洋画の方が落ち込んでいる分、新鮮な意味合いで邦画に注目が集まるようになったのは確かなことです。

とりわけ香港映画や日本映画以外に、インドやベトナム。タイなども、独自の映像の撮り方でなかなか楽しい作品を世に送り出しています。

つまり、邦画はまだまだ、これからいくらでも伸びる要素があるのに対し、洋画の方は、もう少し映像美を追求するだけでなく、それに対する内容がもう少し充実した作品を作らなくては、やがては邦画に、その第一線を奪われかねないとも思います。
その表れが、スパイダーマンやバットマン。
どうしてあれだけの作品に対し、コロコロと俳優を変え、ストリーを変更して再び。
何でしょうか。
前の作品が、面白くなかったから。
そんなことはないと思いますが、何故、過去数年に放映した作品を、別の俳優を使用して再び放映?
ある意味、自分にとっては?です。

それを考えると、全くのオリジナルストリーで楽しめる邦画の方に魅力を感じてしまうのは自分だけでしょうか。

色々な意味も含めて、映画業界そのもののが今、変革の年を迎えているのかもしれません。
そんな中、必死に頑張っている邦画もあれば、洋画もあります。
それらはやはり、見ていて製作している側の熱意というか情熱というか、そんなもの感じてとても楽しめますね。
役柄である俳優さん達の一生懸命さも、ある意味、見ていて伝わってきますからね。

まあ、嫌わずに、長い意味で邦画にも注目してやってください。
きっと、楽しい作品にめぐりあえと思いまよ。
邦画も、洋画と同じ映画。
なんだから・・・・・
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この回答へのお礼

確かに最近の洋画、特にハリウッド映画は、リメイクだの
2,3だのってネタ切れもいいとこで、映画自体面白くなく
なっていますよね。
映像技術うんぬんより、どれみてもゲップが出るというか
独自性に欠けてつまらない。
本当に危機的といってもいいかもしれないです。
映画量産国の宿命でもあるかもしれませんが。

だからこそ日本映画にも頑張ってほしいんですよね。
私も日本人なんで自国の映画がもっと世界に評価されるように
なって欲しいし、他国の映像技術の良いところをを学んで
もっと映像美を追求してほしいんです。
映画は脚本や役者の演技は確かに大事ですが、それを観客に
いかに巧みなカメラワークで魅せるかという技術も必要で、それが
すべて一緒になって素晴らしい映画作品が出来ると思うんです。

日本の映画業界も、もっと新しい、若い才能を伸ばせる環境が
整うことを願うばかりです。

いろいろ参考になりました。有難うございました。

お礼日時:2012/05/10 13:14

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