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アルテック38Cm同軸のマンタレーホーン付きスピーカー

このマンタレーホーンとは、ふつうのホーンとどこが、どんな風に違うのでしょうか?

A 回答 (4件)

普通の Horn (拡声器) というものが何を指すのかが不明なので原初の Horn から説明します。



原初の Horn は Megaphone のような円錐形をしたものですが、これでは狭い周波数帯域にしか拡声効果を得られませんので Audio 機器では初期の頃から断面積変化率を直線ではなく放物線 (曲線) 状として比較的広い周波数帯域に渡って拡声効果を得られるようにしたものが用いられてきました。・・・いわゆる朝顔形、ラッパ型と呼ばれるもので、管楽器の Horn は殆ど全てがこの型式ですね。

しかし、この型式の Horn を製作するには随分な Cost がかかります。

朝顔形は真鍮などの板を花弁型に切断して曲げたものを銀蝋などで溶接しなければなりませんし、小さな Horn ならば Press (押し出し整形) でできるものの、大きな Horn ともなると鋳造しなければならず、鋳型となる砂型を苦労して曲面に整形しても鋳型から Horn を外す際に砂型は壊されてしまうのですから 1 個毎に鋳型を作らねばなりません。

Horn System は『Full Range Horn Driver Unit などない』ように、可聴帯域全域を 1 つの Horn Speaker で Cover することなど到底できない『狭帯域再生器』であることから、当初から HiFi (High Fiderity:高忠実度) という目的で作られたものではなく、出力の小さな真空管 Amplifier で如何に広大な劇場全体に音を響かせるかという高能率 (音圧) Speaker Unit として発展してきた背景があります。

DC 数百 V (Volt) を出せる連結湿式電池に真空管式 Amplifier、巨大な Horn Speaker System などという天井知らずの高額となる家庭用音響再生 System を持っている人など稀な時代にあっては『音響再生装置』と言えば劇場の PA (Public Address) System でしたので、Recording Studio も劇場での再生時に最も良い音がするように劇場用 Speaker System を Monitor Speaker System に採用していました。・・・現在でもその名残で、Recording Studio Monitor Speaker System は巨大な System になっていたりもするのですが、家庭用 Speaker System が小型化されている現代では市場の現状に合わせるために小型の卓上 Speaker System を Sub Monitor Speaker System 時にして Mixing Console の上に置いていたりします。

この『円錐型 Horn』を第 1 世代、『断面積変化率が放物線 (Exponential:指数関数) となる曲線型の Horn』を第 2 世代とすると ALTEC の Mantaray Horn はさしずめ第 2.5 世代の Horn になります。・・・「第 3 世代ではないのか?」という疑問にも解説をすると・・・。

第 2 世代 Horn によって拡声周波数帯域は広がったものの可聴帯域全域を拡声する Horn System は到底無理な要求ですので、Horn System は別の方向に発達します。

劇場では大きな音を出せることに成功した Horn Speaker System ですが、Speaker System 近くに着席いた聴衆は耳をつんざくほどの大音量に悩まされる一方で、天井桟敷の後方に着席する聴衆は前の方に座る観客の歓声にかき消されるほどの小さな音でしか聞こえないという欠点があります。

これを解決するために生まれたのが上下左右非対称型の JBL 4660 等に採用されている Horn System で、Sound Service Area を上下左右方向のみならず奥行き方向にまで広げた Horn System という点で、私はこれが第 3 世代であろうと思っています。

また、Audio 用途では聴衆の耳の高さに合わせた左右水平方向に拡声性能を広げる必要はあっても天井や床方向に差拡声性能を広げるのは無駄ですので、丸い Horn 開口部を縦に潰して平べったい Horn としたものもあるのですが、その目的が『拡声周波数帯域と拡声角度を広げる』ことにある以上は第 2 世代 Horn の派生型です。

さて ALTEC の Mataray Horn ですが、上記の第 2 世代 Horn System では鋳造 Cost が高く、木製ならば削り出しが可能とは言え、これも高額になることから、もっと単純に 4 枚の金属板を溶接した Horn System でも同様の効果を得られないものかと研究されて発展してきたのが『断面が四角い Horn』System です。

断面積が四角くて、断面積変化率が滑らかな放物線 (曲線) ではない、幾つかの段階に区切られているものを『定指向性 Horn』と呼ぶのですが、この定指向性 Horn の開発に大きく貢献したのが Electro Voice 社の D. Broadus "Don" Keele, Jr. (以下 Keele) です。

Mantaray Horn は ALTEC 社の Clifford A. Henricksen と Mark S. Ureda が Keele の特許に抵触しないように考慮しながら発展させたものと言えるのですが、どの程度まで抵触しないのかよく判らないほど『同系統』の Horn System と言えます。

Mantary Horn はもともと石油系成金の特注から開発が始まったという話があるのですが、こうした経緯は Audio 業界では珍しいことではなく、例えば日本を (と言うよりも世界を) 代表する Condenser Speaker Maker であった STAX 社が ELS-4X の 2 倍の規模を持つ ELS-8X を製品化した背景にも US の富豪が『ELS-4X じゃ音量不足だから ELS-4X を 2 Set、2 段重ねにして使えるようにしろ』と注文したことから始まったのだとか・・・ホントかね(笑)?。

定指向性型 Horn が生まれるまでの従来の最新型 Horn System は Multi Cellular Horn と呼ばれるもので、ALTEC 社の 604 Series で言えば 604-8G までの製品がそうなのですが、Multi Cellular Horn は見ても判る通り、鋳造部品が多くて高額な Cost がかかる代物です。

しかし、それほどの Cost をかけて理論的に優れた System を開発しても、いわゆる「Horn 臭さ」とも言われる Horn System 独特の刺激的な音を払拭させることができず、Horn 臭さを低減するために高額な削り出し木製 Horn を採用する Maker もあった時代でした。

Keele が発明した Horn System は比較的安価な製造 Cost で済むもので、その分、理論的には歪みの原因となる反射波を発生させてしまうという欠点があるのですが、Audio というものは「理論的に優れたものの方が良い音とは限らない」という不思議な現象が起こるもので、定指向性型 Horn は「Horn 臭い、刺激的な音」という Image からはちょっと信じ難い、滑らかな音を出すものが多いことでも知られています。

声楽家の遠鳴唱法で焦点を合わせられた経験のある人でなければ Horn の刺激音が如何に凄いものか想像が付かないかも知れませんが、私は女性声楽家に遠鳴唱法の焦点を合わせられた時、耳がつんざかれるほどの痛みを覚えた経験があります。

Mantaray Horn を注文した石油成金もおそらく「あの、耳をつんざくような Horn 臭い音は止めてくれ」とでも言ったのでしょうか(笑)・・・Mantaray Horn はいかめしい外観からは想像ができないほど意外にも滑らかな高音を出す Horn となっており、ALTEC 604-8G の後継機である 604-8H 以降の製品にも採用されています。

・・・いうわけで、この解説は私独自の考え方と感想に因るもので、定説というわけではありません(汗)・・・異論はたくさんあると思います(滝汗) が、まぁ Mantary Horn は軒が傾いた ALTEC 社が Cost 低減と (理論上は不利でも) 滑らかな良い音を出せる新たな Horn System として 1970 年代に開発した 第 2.5 世代の Horn System と私は捉えています。

ちなみに私は Horn Speaker System は嫌いで(笑) 小口径 Full Range Speaker Unit 至上主義派です(爆笑)。・・・それに Super Woofer と Super Tweeter を Monaural で加えることはしますが(汗)・・・。

参考文献

http://en.wikipedia.org/wiki/Horn_loudspeaker#Ma …

Horn System を知りたければ、こちらが役に立つかも・・・ちょっと難しいでしょうが・・・。

http://kiirojbl.exblog.jp/

素敵な Audio Life を(^_^)/
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ALTEC 604シリーズの歴代仕様はこちら


http://www.fsinet.or.jp/~ash-k/604siries.htm
良い記事だと思います。

スピーカーの音は、ホーンだけで決まるものではなく、全帯域の質量バランスが重要ではあるのですが、質問がホーン限定のようですので、その範囲だけで回答させていただきます。

ところでNo.3 HALTWO氏回答でも指摘があるように『ふつうのホーン』という定義が曖昧です。
楽器のホルンと同じ語源で、起源は角笛です。
楽器のホルンがそうであるように幾つかの音程で共鳴しますので、オーディオとしては利用しにくい形状です。
1970年代までは、数学的な設計がホーンの主流(理想とされていた?)を占めていました。その為共鳴特性を逃れられずに、所謂ホーン臭い音でした。
そこで、数学的なフルサイズホーンにせずに途中で切り詰めるショートカットホーンにしてみたり、更に円形ではなく楕円の開口部にしてみたり、イレギュラーな形状でホーン臭さを逃れようと試みられました。
その中で、比較的成功したのが、JBLのショートカットホーン+音響レンズの組み合わせと、定指向性型と言われるEVのCDホーンとAltecのマンタレーホーン、および銀杏の葉のように平べったいラジアルホーンでしょう。
参照:JBL HORN/LENS SERIES
http://www.lansingheritage.org/html/jbl/specs/pr …
ラジアルホーンは、ウエストレイクに代表される、現在のスタジオ用大型モニターに採用される事の多いホーンです。
現在では、かつてのフルサイズホーンによるシステムを市場に見ることはできなくなっているようです。
フルサイズホーンの参考例GOTO UNIT
http://audio-heritage.jp/GOTOUNIT/unit/index.html

数学的なホーンの欠点は、特有の共鳴を持つ(従って周波数特性がフラットではなくカマボコ型に成らざるを得ない)ことと指向性が狭い(鋭い)ことです。指向性が鋭い事を緩和するために考案されたのが、細いホーンを寄せ集めてアジサイの花のようにそれぞれに出口方向を割り当てて拡散させる方法、マルチセルラホーンです。これが初期の同軸ユニット604に採用されました。
Altec 604シリーズは、アメリカの録音スタジオの標準モニターとして君臨しました。
一方、一般家庭用スピーカーでは、1959年に発売されたAcoustic Research社のAR-3あたりから変革と本格的な普及が始まり、1966年にAR-3aが発売される頃には、それまでのカマボコ周波数特性からフラット(平坦)特性へとユーザーの好みが変わったのです。
時代の要望で、Altecもそれに追従する必要があったのです。
参照:Altec 604-8Kの特性
http://www.lansingheritage.org/html/altec/specs/ …
機種が違いますが、次のリンクは所謂アルテックカーブ(周波数特性)の参考例です。
http://www.lansingheritage.org/html/altec/specs/ …
Altecにとって、マンタレーホーンは、時代の要求に応えるホーンだった訳です。
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はじめまして♪



これなんか、参考に成るかなぁ?
http://www.geocities.jp/exclusivekunny/g12.html

上下方向、左右方向などで、何段階かに分けたフレアを組み合わせて、指向性の制御を行なった、と言う事のようですが、それ以前のマルチセルラー型は複雑だったので、簡素化した形状とした。という事でしょう。

外観の見た目では、今でも似た様な物も利用されていますが、基本的にはPA用などがメインです。

家庭用のハイファイ再生には、特にこの同軸ユニットに対しては賛否がアリ。
人によってはホーンの鳴きを押さえるなどで、ホーン部に手を加えたり、全く違う形状に取り替えると言うケースもあったようですが、強い個性も味のうち、としてオリジナル状態を好んで利用された人も折られるようです。

根本的に、大音量のモニタリング用で、一般家庭で使う様な小音領域、近距離では個性の方が強く耳に付き易かった、というのが一般的な評価のようです。
とは言っても、それ以前のマルチセルラーホーンが付いていたモデルよりもホーンの開口面積は大きく成りドライバーも変更となった為、クロス付近の余裕度が増し、高域が伸びた、と言う事で登場した時は皆が良く成ったと評価したようです。

私が聴かせていただいたスピーカーとしては、マルチセルラーの同軸、620とかかな?
マンタレーのツイーターが付いた3ウエイの9861
システム構成が違うので、度売れる判断は出来ませんし、なにぶん中学の頃の記憶なのですが、高域が伸び切っていなかった620、なんとなく高域側に奥まった様な印象が感じられた9861と言う感覚が残っています。

奥まった感じと云う部分が、ホーン形状からの鳴きだったのかどうかは良くワカリマセンが、、、(汗)

なお、高域ホーンを違う物に付け替えて、スピーカーシステムとして販売していたUREIというブランドもありましたね。(ユウレイじゃないよ、ウーレイですよぉ。)
http://audio-heritage.jp/UREI/speaker/813b.html

一般ユーザー以外に、企業もホーンの付け替え、それだけ賛否とか分かれた音だったのでしょう。
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japan393939 様おじゃまします。



マンタレーホーンの特徴は振動板から出た音の通り道
(スロート)を普通の円形ではなく細長スリット形状にして
横方向の音圧拡散効果を狙ったホーンスピーカーです。

「ホーン歪」などは考えていなかった頃は音の広がりだけの
美点に目を向けていたので、映画館、劇場用のスピーカーシステム
に利用するばかりでなく家庭用にも採用されました。

PA用途しては納得できますが家庭用のオーディオとしてはあまりにも
うるさすぎますね。
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