
書籍・文庫カテゴリで質問したほうがよいかもしれませんが、とりあえず漫画・コミックカテゴリにしておきます。
漫画『デビルマン』に関する質問です。
私は『デビルマン』という作品がとても好きですし、漫画史上の傑作だと思っています。
ただ、「のちの作品の多くが『デビルマン』に影響を受けている」という意見を読むと、本当か? と思ってしまいます。
『デビルマン』で描かれた「人間v.s.異形の生物」、「主人公が守ろうとした人間との戦い」というテーマ自体は、割とありふれたものだと思います。
すると、『デビルマン』以前にもそういうテーマを扱った文学作品があり、そこから影響を受けていることもあるのではないか? 何でもかんでも『デビルマン』が元ネタとはいえないのでは? と思ったのです。
『デビルマン』以前に似たテーマを扱った作品があれば教えてください。
A 回答 (5件)
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No.4
- 回答日時:
先のご回答者も触れていますし、原作コミックスを一度でも手にした方ならご存じだと思いますが、簡単に纏めます。
『デビルマン』の原点がダンテの『神曲』にあるというのは、作者の永井豪さんが本作品『デビルマン』のあとがきでも公言しています。
『神曲』の中でも、殊にダンテが地獄の最下層で氷付けにされた悪魔の王ルキフェルに出会うシーンに衝撃を受け、そこから着想を得て『魔王ダンテ』を描き(これが打ち切りになってしまったことで消化しきれなかった為ではないだろうか?と個人的に推測していますが…)、それを更に発展させ、情熱を引き継ぐようにして描かれたのが『デビルマン』です。
(ご存じない方は、“永井豪「デビルマン」を語る ”でグーグル検索してみてください。1987年9月17日発行「豪華愛蔵版 デビルマン」第1巻著者あとがきの詳細を読むことが出来ます。)
ここからは長くなります。すみません…。
あとがきからは離れますが、他に物語の着想を求めるのなら、20世紀末という当時の時代背景が考えられます。――「ハルマゲドン」、そして「超能力」。
漫画版『デビルマン』が世に発表されたのは1972年6月なら、アメリカの植民地であった沖縄が日本に返還され、本土復帰したのはそれより僅か一ヶ月前の同年5月。
連載当時はまだベトナム戦争があり、この時代、長らく沖縄はアメリカにとってベトナム戦争の爆撃機拠点であり、後方支援基地でもありました。
ですから、日本は表向きは戦後でしたが、沖縄をアメリカに軍事的に完全に掌握されていて、戦争という不穏な空気をいつも間近に抱えていました。当時はトナム戦争は常にニュースになっていましたし、「第三次世界大戦は何時でも起こりうるという恐怖は、当時の小学生でも間近に感じていた」ことだと思います。
特に日本は被爆国。第二次世界大戦で核爆弾の恐怖を味わわされた日本だからこそ、言葉は知らずとも、第三次世界大戦とは「ハルマゲドン」のことであるということを子供でも肌で感じずにはいられない時代でした。
そういった時代背景もあって、漫画や特撮ヒーローもの、オカルトや神秘的なもの好きの、当時の少年少女の最大の関心事といえば、ノストラダムスの大予言、そしてスプーン曲げを披露して超能力者として一世を風靡したユリ・ゲラーであったと思います。
第二次世界大戦で人類は核兵器を作り、『デビルマン』誕生の3年前の1969年7月には、アポロ11号が人類初の月面着陸を成し遂げ、これは世界中で衛星中継されました。
これまでの人類史を振り返れば、これらは正に魔法のような出来事で、なおさら、神と人と悪魔の領域・境界について、考えさせられる出来事であったと思います。
「ハルマゲドン」と「超能力」、「神のごとき魔物のごとき存在と人類の戦い」これらを根底に添えたとき、『デビルマン』誕生の2年前の1967年、『週刊少年マガジン』に平井和正さんと故人の石森章太郎さん(後に石ノ森正太郎に改名)の共作として連載された『幻魔大戦』があります。
1)【幻魔大戦】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%BB%E9%AD%94% …
どちらも、巨大な神のごとき魔物のごとき存在に取り込まれて、自我を失う人間たちの姿が描かれるシーンがあるというのも興味深いです。
それをいうと、庵野秀明監督のアニメ作品『新世紀エヴァンゲリオン』や三浦建太郎さんの漫画『ベルセルク』にも通じるものがあります。
永井豪さんが、『幻魔大戦』に少なからずとも影響を受けていたのかどうかは解りませんが、しかし、永井さんはデビュー前は石ノ森章太郎さんのアシスタントでもあったので、師である石ノ森さんの作品をまるで意識しなかったとは考えにくく、私的には幾らかは影響を受けた面もあるのでは…と思います。しかし、これは作者ご本人にしか分かり得ないことで、臆測から深く言及することは出来かねます。
似通った点があろうとも、特に注目したいのは、『幻魔大戦』の主人公は神のごとき魔物のごとき異形とは合体していませんからね…。ここが『デビルマン』とは大きく違います。
そうやって考えると、『デビルマン』よりも後に発表された『新世紀エヴァンゲリオン』や『ベルセルク』の方が異形との融合を思わせる描写が多く、より『デビルマン』的で影響を色濃く感じさせます(そもそも、庵野秀明監督は制作にあたり『デビルマン』の影響を受けていることは認めていますけれども)。
これも臆測でしかありませんが、『デビルマン』に少なからずとも影響を与えたかもしれない作品には、『ウルトラセブン』第42話「ノンマルトの使者」が挙げられるのでは…。
2)【ノンマルトの使者】http://seven.onasake.com/vol42.html
3)【海の底編】http://www3.coara.or.jp/~kiiro/009/column/origi0 …
ちなみに参考リンク3では、「ノンマルトの使者」と石ノ森正太郎さん原作『サイボーグ009』の「海の底編」の類似点が挙げられています。
「海の底編」、これについてはコミックスが手元にないので検証できませんが、参考リンクの記述によれば、「ノンマルトの使者」は1968年の7月放送。海の底編は1968年の9月連載開始ということですから、何れも『デビルマン』より発表時期が3年ほど早い点で着目に値します。
ネタバレになってしまいますが、要するに地球には有史以前に今の人類とは別の種族が先住していて、どちらが侵略者なのか、どちらが破壊者なのか?と主人公や視聴者に問うスタイルが似ています。
でも、これは世界中にある(インディオ、インディアン、イヌイット、アイヌなどの)先住民族問題と通じるものがあり、どの作品が作者たちに直接影響を与えたのかは、当事者や関係者にしか解り得ないことで検証のしようがありません。
ともかく、どれほど既出作品の影響を受けたかは解りませんが、世相や社会問題を反映して『デビルマン』が誕生したとは言えそうです。
ちなみに、「ノンマルトの使者」の脚本を書いたのは脚本家で故人の金城哲夫さんですが、この作品には、アメリカ統治下時代の沖縄県で育った作者のアイデンティティーが反映されているという説があります。海底都市ノンマルトを“ニライカナイ”に見立てたのでは?という説も何処かで読んだことがあります。
金城さんが手掛けたウルトラシリーズには、“ニライカナイ”や“まれびと”という沖縄に古来から伝わる思想が貫いているとも言われています。
4)【金城哲夫】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%9F%8E% …
“ニライカナイ”とは日本本土では“常世”や“根の国”に当たるといわれ、深海にあるとも地の底にあるともいわれる異界であり、神界でもあります。
そして“まれびと”とは、沖縄だけではなく日本列島全土に広がる思想で、神格を持つ人、神の使いのことです。
「ノンマルト」が“ニライカナイ”なら、「ノンマルトの使者」とは“まれびと”と言えると思います。
そう考えると、『ウルトラセブン』の「ノンマルトの使者」と『デビルマン』は世界観が繋がります。
5)【ニライカナイ】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A9% …
6)【まれびと】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BE%E3%82%8C% …
『デビルマン』誕生に『ウルトラセブン』の「ノンマルトの使者」が影響していたかどうかは解りませんが、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督は、ウルトラマンシリーズの影響を受けていることを公言していますし、共に世界観が近いとは言えると思います。
何しろ、特撮ヒーローもの大国日本ですから、このような超人を扱った作品は、金城哲夫さんに石ノ森正太郎さん、永井豪さん無くしては語り得ず、共に影響を与え合っていたのでは…(単純と言われれば否定できませんが)と、その様に思うのです。
No.3
- 回答日時:
影響を受けた、とは別の話ですが、『デビルマン』は永井さん自身の『魔王ダンテ』が出発点だと思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E7%8E%8B% …
No.2
- 回答日時:
デビルマンはダンテの神曲などからインスピレーションを受けて書かれたものです。
なので何の栄光を受けないで書かれたものとは違います。
ただ、デビルマンが何かの影響を受けたからと言って、デビルマンが何かに影響を与えられないことにはなりません。
また、デビルマンがのちの作品に影響を与えた部分は単純な「人間v.s.異形の生物」、「主人公が守ろうとした人間との戦い」ではないと思います。
ヒロインがクライマックス直前で同じ守る側の人間から虐殺を受ける。
そのことにより主人公が最初の目的と違う方向に進む。
人間VS異形の生物なのに人間は自らの問題によって滅びる。
神と悪魔の解釈。
そういった部分が影響を与えたと思います。
No.1
- 回答日時:
敷き詰めていけばですが、各宗教で云う所の『救済』が元ネタになっていると思います。
他には例えば『今昔物語集』なんかもそういった物語を纏めた物だと言えるでしょうし、
探せばまだまだ他にもあるかも知れませんね
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