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僕は今まで張作霖爆殺事件は関東軍の所業、即ち河本大作大佐の謀略だと習ったので今までそう思い込んでました。ところが最近、新聞を見て共産党のしわざである可能性の方がずっと高いという事を知りました。やはり真相は共産党のしわざだったのですか?

A 回答 (2件)

もう古い話で、ほぼ決着がついています。

現代史の専門家は、だれもこの珍説を認めていません。今頃になって取り上げているのは、どこの新聞ですか。

経緯は以下に詳しい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B5%E4%BD%9C% …
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>やはり真相は共産党のしわざだったのですか?



これは,少し前に話題に上がった「張作霖爆殺事件ソ連特務機関犯行説」ってやつのことだと思います。
この説は,2000年にロシア人歴史作家ドミトリー・プロホロフ(他)が『GRU帝国』という著書で,旧ソ連側の機密文書の分析の結果導き出されたとして紹介しています。
その後,2005年にユン・チアン『マオ 誰も知らなかった毛沢東』で簡単に触れられていたのを,一部や保守系ジャーナリストや論客が反応して一時期議論となりました。
とはいえ,証拠不十分であったり,分析に使われた史料が意図的に矮小化されていたりと学術的な証明は出来ていません。


当時の中国は,辛亥革命で清帝国が倒れ内乱状態でした。
国民党の蒋介石や中国共産党の毛沢東らを中心に,幾つもの軍閥が乱立したところに,欧米日ソが自らの国益を確保しようとバックに付くという構図です。
色々と複雑な経緯をたどるので一概には言えませんが,おおよそ下記の関係となります。

・国民党蒋介石=欧米が支援
・中国共産党毛沢東=ソ連が支援
・張作霖=日本が支援

日本の利益を代表していたのが張作霖でした。
張作霖は日露戦争で日本軍と協力した事がきっかけで,そのまま満州における日本の傀儡政権として有力軍閥として台頭しました。
ところが,満州を万全な形で統治したい日本側の意図に反して,張作霖は中国本土支配への野望を抱き始めます。

その後,紆余曲折を経て張作霖は北京に進出,大元帥への就任=中国の統治者を宣言しました。
そして,反日・反共の姿勢を強くして欧米への依存度を高めていきます。
ところが,その欧米は国民党の蒋介石を重視し,張作霖については要監視対象の扱いでした。
結局,国民党の北伐に対抗出来ずに,北京を脱出,本拠地である奉天へと逃げ帰ります。

この時,日本では張作霖の処罰に対して意見が分かれていました。

・張作霖を再び傀儡として満州統治を図る
・張作霖の一連の行動から,張作霖を使った間接統治は難しいので排除し,別の傀儡政権を立てて満州国を建国する

上の意見が日本国政府の方針。
下が関東軍の方針でした。
結局,結論は出ずいたずらに時間だけが過ぎて行きました。
そんな折に,北京から脱出して満州への途上にあった張作霖が爆殺されます。

事件直後の調査で,ロシア製の爆弾が使われていたり二人の中国人だと思われていた死体が日本側の工作であったこと,爆破に使用しされたとみられる電線が橋台から日本軍の監視所まで引き込まれているなどから,河本大作大佐を主犯とする関東軍内部の犯行とされ,時の首相田中義一に報告されました。
その後,田中義一は天皇にちゃんと処罰すると伝えていたものの陸軍の猛反発にあい,結局かるい行政処分で済ませました。
そして天皇には「陸軍の仕業ではないが,警備の手落ちが合ったので処分した」と伝えますが,天皇は「前の話とずいぶん違うではないか」と叱責されたと言われています。


ザッと,満州事変に至るまでの経緯を纏めてみました。
で,件の「張作霖爆殺事件ソ連特務機関犯行説」では,河本大佐の戦後の証言は中国側のマインドコントロールで言わされたと主張したり,従来の説の根拠になってるのが小説『昭和軍閥』というのはおかしいと言いつつ,自分たちの説の根拠が一ロシア歴史作家の著作だったり,その作家自身が歴史史料による考察ではなくて伝聞を基にしていると語ったりと,,,
まぁ,学術レベルではお話にならないほど拙い説なんですよ。

というわけで,「張作霖爆殺事件ソ連特務機関犯行説」は学術レベルにも達していない陰謀論のようなものです。
まぁ,今後の調査研究で裏付けられることがあるかもしれませんが,今のところそういった史料は無いようです。

ではでは、参考になれば幸いです。
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この回答へのお礼

詳しい回答ありがとうございました。大変分かりやすい解説で、とても参考になりました。

お礼日時:2013/12/24 12:04

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