日本国債は政府が発行しています。国民経済計算の視点でみるとこれは政府部門の負債です。家計、企業部門ではこれは国債という資産になります。
政府部門が政府支出を増やすつまり、公共事業を作り出す目的で、国債を発行すると、家計、企業部門の預金が吸い上げられ、公共事業の対象になった企業にその預金が移動することになります。その企業の所得になるわけです。
国債というメカニズムを通して、家計部門の動かない預金を動かして企業部門の所得にしてあげている働きをしているわけです。家計部門の預金は国債を持つ分減りますが、そのお金は消えてなくなるわけではありません。企業部門の預金として移動しているに過ぎません。
つまり、政府が国債を発行することで、動かないお金を動かし、誰かの所得にして経済を回してあげている働きをすることになります。預金というキャッシュがどこかに消えてなくなるわけではありませんし、キャッシュの総量も変わりません。国民経済計算の視点でみると、家計にとっての国債という資産と政府部門における国債という負債が資産・負債という両建で増えているに過ぎません。
次に、政府部門が発行した国債を日銀が買い取る場合を考えてみます。この場合はキャッシュそのもが増えます。日銀がお札を刷って市場に供給することになります。キャッシュそのものが増えますから、インフレの懸念も出てくるということになるのでしょう。
このようなメカニズムを国債が持っていることを考えると、誰かの借金であるとかないとか簡単な話ではないことがわかります。企業や家計における借金とは明らかに性質が違います。国債が経済学的にいったいどういう働きをしていることになるのか、非常に複雑であることが分かります。
最新の経済学の理論でもよいのですが、国債がいったいどういう働きをしていることになるのか、理論的にはどう整理されているのでしょうか? 例えばノーベル経済学賞を受賞しているクルーグマンやスティグリッツは国債のメカニズムをどう説明しているのでしょうか?
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
ども、
今tvで放送していることは、はっきりいってまちがっています。国債を発行して、借金1000兆円なので「国民一人あたりにすると、900万円の負債が有り、、」などと放送してますよね。逆ですw日本国民が日本政府に、900万円貸してあげているのです。日本政府が金を貸してほしいと、国債をはっこうしているのだから、日本国民の預金を貸してあげているのです。論理的に考えればわかることです。wっで、日本国民が日本政府に貸してあげているといっても、みんな意味がわかってないです。説明すると長くなるので省きます。よく考えてみてください。
No.2
- 回答日時:
もうすでにご存じの知識かもしれませんが、古くから言われている「異時点間の公平な負担」について、かなり省略して、簡便に書かさせていただきます。
Aさんが、日本に住んでいるとします。そして、Aさんの子供B君がいるとします。
Aさんも、B君も、日本政府から行財政サービスを受けています。
その一方、所得税(直接税)や消費税(間接税)にて、税負担を課されています。
以後は乱暴な仮定になりますが、Aさん、B君ともに、納税にて、国債という国民負担を返しています。
この時、政府が建設国債(使途は、主に道路整備)を発行します。
これを財源として建設・整備された道路の便益を、二人とも受けているとします。
しかし、その十数年後、Aさんは亡くなり、道路の便益を受け取ることができなくなりました。
一方、子供のB君(Bさん)は、その時点でも道路の便益を受けています。
なんらかの理由で、便益を受けられなくなってしまった人は、国債の返済に充てるための納税を行わなくてよいことが生じます。
一方、継続的に便益を受けている人は、引き継続き納税を行い、国債の返済を行い続けます。
以上のことから、国債の発行は、発行された年のみに、便益・負担(納税による返済)が生じるわけでなく、異なる時点(将来の長い間にわたっても)でも、「”公平”な便益の享受とその負担」が生み出されます。
このような、世代間の公平を生み出すため、「建設国債」のような使途が明確であり、長期にわたり便益を生み出す財源づくりは、良い国債の発行例と言われます。
国債の役割を短期(一年以内)と見なすと、政府・企業・家計という経済のプレイヤーによる「資産・所得の移転」を重視する分析・議論になりますが、20年から30年というスパンで考えると、「世代間の公平性」を重視する分析・議論になります。
かなり乱暴で、大幅に省略していますが、以上もまた、国債の役割を経済学で考察する際の視点の一つです。
以上
「異時点間の公平な負担」というのは初めて聞きました。工学部出身なのですが、昨今の財政赤字の問題から経済学に興味が出てきて少しずつ研究しています。ご回答ありがとうございます。
国債の経済に与えている影響について、短期的な影響と長期的な影響について分けて考えるということですね。私が質問分に記述したようなことは短期的な視点かなと思いました。
企業会計の決算書を見るような視点でマクロ経済を眺めますと、政府というのは国債を媒介している、一部門に過ぎないような視点も見えてくるわけです。かなり極端な見方ですが。
兆円単位の大きな資金を一度に動かせるセグメントは政府部門しかありません。景気が悪化している時には、公共事業というかたちで政府が仕事を作ってあげて、景気という自転車の重いペダルの最初の一漕ぎをしてあげて、あとは民間の自立回復に任せる。民間に滞っている資金を吸い上げ経済の回転のために資する、そんなイメージです。
国債はそのための手段で、大きな資金を回すためにたまたま媒介の役割をしているに過ぎないのでは?という視点です。その財政支出にムダがあるかないかはまた別問題です。
極端なことを言えば財政赤字は企業や家計の赤字とはかなり性質が違うもので、それほど気にする必要などないのではないかと思うわけです。
財政赤字を気にして増税をしても、キャッシュが家計から政府に移り、また時間をおいて財政支出というかたちで、家計や企業部門に戻ることになります。増税した分だけ家計の
可処分所得が減り、景気にとってはマイナスなだけという印象です。
世代間の負担の問題に関しても、政府に寿命はありませんから、永久に負債を先送りできるかもしれませんし、そもそも負債なのかもハッキリしません。
つまり国債は誰かの負債ではあるものの、それは同時に誰かの資産でもあるわけです。政府が国債を発行しても、負債だけが単独に積み上がることはありえません。必ず同額の資産が積み上がります。政府に1000兆円を越える借金があって大変ですよという論考は負債サイドからしか見ていないことを示しています。
このように考察してみると、国債の果たす役割がそれほど単純ではないことが見えてくるわけです。最新の研究ではいったいどう位置づけられているのだろう?と思ったわけです。
No.1
- 回答日時:
国債についての前半の部分、つまり民間の持つ資金を国債という形で吸い上げて政府が使うことという部分については概ね正しいと思います。
一方の後半部分は、かなり疑問符が付きます。
===
次に、政府部門が発行した国債を日銀が買い取る場合を考えてみます。この場合はキャッシュそのもが増えます。日銀がお札を刷って市場に供給することになります。キャッシュそのものが増えますから、インフレの懸念も出てくるということになるのでしょう。
===
と書かれていますが、日銀が国債以外の資産を買い取ったとしても、全く同じことが起こります。実際に、アメリカでは国債ではなく債権やファンドなどを買い取ることがあります。例えばリーマンショック直後のFRBは住宅ローン担保証券と呼ばれる債権を買い取りました。
日本も含めて国債が多いのは、国債には貸し倒れなどのリスクが少ないことなどが主な理由です。
この部分については、特定の業種(例えば銀行業)に与える影響、という意味で考えるならば別ですが、一般的な経済全般に与える影響という点であれば、金融論のテキストで学ぶことができます。
この回答への補足
国債を単なる負債として捉えるのは正しくないのではという視点で考えると、やはり経済に与える一般的な影響にについて縦横無尽に考察した研究がみたいですね。
財政赤字についても全ての赤字が悪いわけではなくて、「良い財政赤字」と「悪い財政赤字」があります。フローとストックの
両面からもみなければなりません。やはり単純な話ではなく、経済学の学術世界でも決着のついてない論争かもしれません。
経済学というとミクロ経済学かマクロ経済学かというくらいのイメージしかなく、マクロ経済学の入門レベルの教科書をみますと、財政赤字の貯蓄・投資バランスに絡めた理論などが出てきますね。そこに国債の話が少し出てくるくらいで、国債の経済に与える一般的な影響について、さらに深く論じたものがないかと考えておりました。同時に、経済学の学術世界で国債や財政赤字について最新の研究をしたものがないか探しておりました。
金融論の教科書に出てくるようですね。さらに研究したいと思います。ありがとうございます。
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