プロが教えるわが家の防犯対策術!

※つぎのように理解しています。
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※引換給付判決:給付の訴え(「お金払え」という訴え)に対して、被告から同時履行の抗弁権(「『お金払え』と言のなら、商品をよこせ。」という抗弁)や、留置権の主張(「修理代金を支払わなければ、修理に預かった時計を返さない。」という主張)が出された場合に、原告の請求権を認めるものの、同時に、被告に対して給付をするよう(「原告は、被告へ商品を引き渡す」ように)、原告に命じる判決のことを言いい、原告にも一定の義務が課されており、原告の一部敗訴判決となる。
※〔例〕
A〔原告(買主)〕がB〔被告(売主)〕からテレビを10万円で買った。
しかし、B〔被告(売主)〕はA〔原告(買主)〕にテレビを引き渡さない。

◆A〔原告(買主)〕はB〔被告(売主)〕に対し、「B〔被告(売主)〕は私A〔原告(買主)〕にテレビを引き渡せ。」といった請求の趣旨の訴訟を求める。
◆B〔被告(売主)〕は、「代金を受け取っていないので、テレビ渡さない。」と抗弁する。

※引換給付判決がない。→A〔原告(買主)〕は敗訴。…(ァ)
※引換給付判決がある。→「A〔原告(買主)〕のB〔被告(売主)〕に対するテレビの引き渡し請求権は認めるが、その代わり、A〔原告(買主)〕は、テレビの代金をB〔被告(売主)〕に支払いなさい。」という判決を出す。
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※以下につき、ご教示よろしくお願いいたします。

上記の〔例〕で、
(1)そもそも、どうして(どのような場合に)、A〔原告(買主)〕は、テレビの代金をB〔被告(売主)〕に支払っていないのにもかかわらず、「B〔被告(売主)〕は私A〔原告(買主)〕にテレビを引き渡せ。」といった請求の趣旨の訴訟を求めるのでしょうか。
(2)(ァ)の場合だと(引換給付判決がないと)、どのような不具合が生ずるのでしょうか。

A 回答 (2件)

 そもそも、判決の主文では何が示されるかを理解しておく必要があります。



 それは、その訴訟で争われている実体法上の権利義務関係において、原告が被告に対してどのような権利義務を有しているか、ということですね。

 そうすると、判決の主文では、原告の有する権利義務の内容が、実体法に沿ってできるだけ正確に表現される必要があります。

 たとえば、売買契約では、目的物の引渡しと代金の支払いは、特段の約定をしない限り同時履行の関係にありますので、原告が、売買契約の目的物の引渡しを求める権利は、原則として同時履行の抗弁(この抗弁権は、訴訟法上の抗弁権ではなく、実体法上の抗弁権です。)が付着した権利だということになり、それを、判決主文の上で正確に表現するための方法が、引換給付判決だということになります。

 まあ、そういう抽象的な話は措くことにしても、もしあなたが、テレビを買って、代金もいつでも支払えるように準備しているのに、テレビを渡してもらえないという状況を考えます。テレビなら、別の電気屋に行って同じ物を買えますので、話が分からなくなりますが、伝統的な設例では、骨董品、今風にいえば、1点しかないビンテージ物くらいですかね。売買契約の対象が、そういう物だとします。

 その場合、あなたの権利は、どのようにして実現するのが公平でしょうか。

 単純に、物を引き渡せという判決をすると、売主は、代金の支払いを受けずに、物を持って行かれる危険を負います。そのような状況は公平ですか。また、代金を支払っていないから請求棄却にしますか。それなら、あなたの権利を実現する方法がなくなりますね。代金を先払いしないと、物を引き渡せという判決は受けられないことにしますか。それは、代金を支払ったのに、物の引渡しを受けられない危険を負うことになります。

 こういうと、これは実体法上の同時履行の抗弁の説明と同じことですね。

 このような、実体法上の同時履行の抗弁を、訴訟の上でも実現する方法が、引換給付判決ということになるのです。

 そこで質問に対してですが、(1)は、「代金を支払う用意があるのに、目的物を引き渡してもらえない場合」です。債権総論で履行遅滞の要件を勉強したことと思いますが、同時履行の抗弁が付着している場合に、相手を履行遅滞に陥れるための要件は、「代金(反対給付)の支払い」ではなく、「代金の提供」ですね。

 この場合には、いったん代金を提供して相手を履行遅滞に陥れたとしても、なお、同時履行の抗弁はなくならないとされていますので、物の引渡しを受けるためには、代金を現実に支払う必要があります。ですから、少なくとも口頭の提供を継続する必要があります。そのような状況下で、買主の権利である目的物の引渡しが、引換給付判決によって実現されることになるのです。

 (2)については、上の同時履行の抗弁の説明にあるとおりです。買主としては、「代金を払っていなければ物の引渡しを受けられない」というのでは、自分の権利の実現に不具合が生じます。売主としては、「代金の支払いを受けていないのに物を持って行かれる」というのでは、やはり自分の権利の実現に不具合が生じます。

 そういうことです。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2014/10/20 03:56

(1)についてです。


可能性として考えられるのが
・売買契約が後払いだった。(=先にテレビを引き渡せ。)
・原告は何らかの方法で既に債務を履行したという主張がある場合。例えば他の取引の債務と相殺したつもりなど。

(2)についてです。
売買契約は諾成契約なので、物の引渡しがない場合、解除はできますが当初から契約が無かったことにはなりません。原告が解除を求めて、既払の代金の返還(または損害賠償)を求めて訴えたのではなく、あくまでテレビの引渡しを求めている場合で、裁判所がテレビを引き渡すことが妥当と思った場合に、引き換えに原告にも不履行の債務を履行するよう言い渡すことになります。

引換給付判決がないと、どうしてもテレビを引き渡して欲しい、金銭での代替を許容できないという趣旨の主張を満足させられませんね。
テレビだとピンと来ませんが、特定物、例えばある有名画家の絵画、大好きな芸能人のサインが入った1点もののグッズなど、目的物に他を持って代えがたい独特の価値がある場合に、引換給付判決は機能します。

この回答への補足

恐れ入ります。
・売買契約が後払いだった。(=先にテレビを引き渡せ。)

このような「後払い(=先にテレビを引き渡せ。)」の契約があった場合であっても、あえて「引換給付判決」といった制度がなかったら、「引換給付判決」のような判決はされず、A〔原告(買主)〕は敗訴となってしまうのでしょうか。

補足日時:2014/10/18 19:21
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2014/10/18 19:20

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