論理学の入門書を読んでいて、「ならば」の説明の部分で困っています。
読んでいる書物の原文を一文ずつ書き抜き、かつ左に各文番号を付けておきます。
↓からです。ちょっと引用が長くてすみません。
(01) 最後に p → q の真理値の問題にうつる。
(02) まず p、q を与えたとき、p → q を p から q が導かれるという意味ではなく、p と q から新しい命題 p → q を作るという意味に解釈する。
(03) p と q が真のとき、p → q という新しい命題を真とすることに異存はあるまい。
(04) のこりの場合については、p → q が新しい命題というのであれば、かなり自由に真理値を決めてもよいと考えられる。
(05) しかしなにか、適切な基準があれば、それに依存するのも悪くない。
(06) われわれは代数学を学びはじめたときから、p → q において、p が偽のときを暗黙のうちにあつかっているのである。
(07) 実際、たとえば、x を整数としたとき、x が6で割り切れると、x は2でも割り切れるといって、この命題は真であるとしている。
(08) これを記号を使って書くと、∀x ∈Z (x が6で割り切れる → x は2で割り切れる)(Zは整数の集合)(3.5)となる。
(09) (3.5) はどんな整数 x をとっても真であるから、いま x に4を代入してみる。
(10) すると4が6で割り切れるならば、4は2で割り切れるとなり、これを真と考えるのが妥当である。
(11) つまり p が偽で、q が真のとき、p → q という新しい命題を真とする方が(3.5)の表す意味によく合致する。
(12) おなじようにして、x に7を代入してみる。
(13) このとき p、q がともに偽であるが、 p → q は真となる。
以下省略。
(01) ~(05)までは理解できます。(06)~(13) のように数学を例に出すとわからなくなってしまいます。いったい、
「4が6で割り切れるならば、4は2で割り切れる」の前半は意味があるのでしょうか?4が6で割り切れるなんて間違いに決まっています。同様に、x に7を代入して、7が6で割り切れるならば7は2で割り切れる、がどうして妥当なのかよく分かりません。
特に(06)はなぜなのでしょうか?「p が偽のときを暗黙のうちにあつかっている」という場合は(私の経験では)ありません。
数学の「ならば」と論理学の「ならば」とは水と油のように切り離していくべきものなのでしょうか?あるいは、数学の「ならば」は論理学の「ならば」のどの辺に位置づけられるものになるのでしょうか?
どうも頭の整理整頓ができなくて困っています。
よろしくお願いいたします。
No.8ベストアンサー
- 回答日時:
『(09)で著者は、(3.5) はどんな整数 x をとっても真であるから
と、はじめから「真」と述べているその根拠といいますか、土台はどこにあるのでしょうか?』
への回答です。
『∀x ∈Z (x が6で割り切れる → x は2で割り切れる)(Zは整数の集合)(3.5)』
この表現は、任意の(勝手に選んだ)整数 x について、 (もしも)x が6で割り切れるのであれば
この x は2でも割り切れる、と主張するものです。(テキストの(07)、(08))
x が若し6で割り切れないならば、命題(3.5)は(無意味ですが)やはり正しい主張、すなわち真です。
よって、命題(3.5)は、x がどんな整数であったとしても真である(テキストの(09)の前半)、と言えます。
以上のことを、論理学の立場から考えると、以下のようになります。
ある整数 x について、命題pを『x が6で割り切れる』
命題qを『x が2で割り切れる』と決め、また
ある整数 x について、命題A を「pならばq」とします。
すると、(算数の知識から)、『pが真』で『qが真』のとき、命題A は正しい命題となるのですが、
同時に、(論理学の立場から)、『pが偽』のときには、『qが真』であろうと、
『qが偽』であろうと、やはり命題A は正しい命題です。
つまりp が真であれ偽であれ命題A は正しいのですから、命題A は、すべての整数について(具体的には、x が6で割り切れる整数であれ、割り切れない整数であれとも)正しい。
これがテキストの(09)の前半部分です。
以上が、ご質問への回答です。
尚、勉強なさっている教科書では、一般的な『pならばq』の定義を離れて
別の見地から『pならばq』(命題Bとする)と言う関係を定義しようとするとき、
一般的な『pならばq』のときと同じように pが偽、qが真のとき(テキストの(11))、
pが偽でqも偽のとき(テキストの(13))のときにも、やはり命題Bが正しい決めるようにこの新たな関係を定義するのが理にかなっている、と話を進めようとしているようです。
以上、ご参考までに。
詳しい説明をありがとうございました。まだまだ勉強することは多いですが、「ゆっくり急げ」の箴言に従ってこれからもがんばっていきたいです。
重ねてお礼申し上げます。
No.7
- 回答日時:
そのテキストの(07)(10)は,少なくとも句読点の位置は,間違いですね.
問題は,r=p→q という命題rで, p=偽 のとき,命題全体rの真偽についてですね.
命題論理はブール代数で表せるので,
Notを¬,ORを∨であらわすと → は次のように定義されます.
p→q = ¬p∨q
つまり,前提p=偽のときは(結論qの真偽にかかわらず)p→q=真 となります.
質問に戻ると
命題 R =「[Xが6で割り切れる]→[Xが2で割り切れる]」
という命題でX=4とした場合,当然,前提[Xが6で割り切れる]は 偽 です.
質問者が言うとおり,結論[4が6で割り切れる]わけがありませんので偽です.
しかし,命題全体としては R=真 となります.
前提が偽ならば結論の真偽にかかわらずR=真となります.
ここでは,Rが「全てのXについて成り立つ(真)」といわないと
→(ならば)を導入した意味がないですよ.といっているのです.
[Xが6で割り切れる]ようなXだけについて言うのなら,
命題[Xが2で割り切れる]が成り立つと書けばよいのだから,
→を導入する意味がないのです.
約束=[明日晴れたら]→[遊園地に行く]は
明日の天気にかかわらずの約束といわないと・・・
明日雨のときは[遊園地に行っても行かなくても]
約束は守ったことになるということです.
>約束=[明日晴れたら]→[遊園地に行く]
この例は具体的でわかりやすかったです。
>p→q = ¬p∨q
これが本質的に大事なことですね。
詳しい説明、ありがとうございました。
No.6
- 回答日時:
No.5
- 回答日時:
「… 自由に真理値を決めてもよい」が「適切な基準があれば … 悪くない」けれど、貴方の場合は「p が偽のときを暗黙のうちにあつかって」いないのですから「適切な基準」も「ない」のだと思います。
しかし、ともかく真理値は決まりました。次へ進みましょう、後で戻ってくるかもしれませんが。No.3
- 回答日時:
No.2 への補足です。
質問者さんは、「pならばq」の言い回しにおいて、命題pの真偽と、命題「pならばq」自体の真偽を、混同しているように見受けられます。
『(06) われわれは代数学を学びはじめたときから、p → q において、p が偽のときを暗黙のうちにあつかっているのである。』 ここでは、「p→q」の真偽と、pの真偽は別物として区別してください。
『同様に、x に7を代入して、7が6で割り切れるならば7は2で割り切れる、がどうして妥当なのかよく分かりません。』 ここでは、『7が6で割り切れる』が偽なのですから、それに続く主張『7は2で割り切れる』が真であろうと偽であろうと(ここでは偽ですが)、命題『7が6で割り切れるならば7は2で割り切れる』は、正しい命題なのです。
No.2
- 回答日時:
No1さんの書かれている通り、数学でも論理学でも、『ならば』の意味は同じです。
そもそも数学も論理学も根源的には同じものです。誤った仮定からはどんな結論をも導くことが出来る、というのが基本的な決まりです。『pならばq』という命題は、命題pを真と仮定したとき(あくまでも仮定であって、本当の真偽は問わない)、別の命題qが導かれる(真となる)と主張するもので、命題pが本当は偽のときには、命題qが真であろうと偽であろうと『pならばq』はやはり正しい命題となります。ですから、例えば、「『明日太陽が西から昇る』ならば『私はあなたに1億円差し上げます』」という命題を、私は安心して正しい命題として提示できます。『明日太陽が西から昇る』という仮定が偽である以上、そこから「ならば」で導かれる命題の真偽は問題にならないのですから。
>誤った仮定からはどんな結論をも導くことが出来る、というのが基本的な決まりです。
ここが大切な出発点ですね。
>「『明日太陽が西から昇る』ならば『私はあなたに1億円差し上げます』」
この例は具体的でわかりやすかったです。
コメント、どうもありがとうございました。
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>誤った仮定からはどんな結論をも導くことが出来る、というのが基本的な決まりです。
ここが大切な出発点ですね。
>「『明日太陽が西から昇る』ならば『私はあなたに1億円差し上げます』」
この例は具体的でわかりやすかったです。
コメント、どうもありがとうございました。
先ほどのコメント(補足)は投稿場所を間違えました。もう一度投稿しなおします。失礼いたしました。
#7さんへ、詳しい説明、ありがとうございました。
すみませんが、もう一つだけお聞きしたいです。(09)で著者は、
(3.5) はどんな整数 x をとっても真であるから
と、はじめから「真」と述べているその根拠といいますか、土台はどこにあるのでしょうか?
これがどうも腑に落ちませんでした。
よろしくお願いいたします。